【絶対幼女伝説】 〜『主人公は魔王なのに』を添えて〜

是呈 霊長(ぜてい たまなが)

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紳士さん

10話 〜誰が笑うか〜

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 先に攻撃を仕掛けてきたのは怪物だった。
 喉をガラガラと鳴らした後、勢いよく水をはきだした。その水の勢いは凄まじく、途中でかすった白雷の塔の床を削った。そう、今までの激しい戦いですら一切傷が付かなかった白雷の塔の床をだ。
 その水流はゼティフォールに迫るが、ゼティフォールは避けない。
「……ふむ。こやつを倒すには何を使うのがいいか……?」
 闇と化したゼティフォールが手を前に向け闇の盾を作りだす。
「……様子見をしているつもりか? 早く私を倒さないと、復活もできぬようになるぞ」
 闇の盾は、水流のことごとくを飲み込み、消し去ってしまった。
「……では次はこちらがいかせてもらう」
 ゼティフォールが影に潜り姿を消したかと思うと、次の瞬間怪物の影から現れた。
『ギィァアア!』
 怪物は不意に現れたゼティフォールの攻撃を避けようと羽ばたくが、
「遅い」
 ゼティフォールは逃がさず、飛び上がりつつ手刀でいくつかの触手と共に翼を切り裂いた。
 片翼を失った怪物はへばりつくように地に落ち、すぐに体勢を立て直すことができない。ゼティフォールがその隙を見逃すはずもなく、闇の吸い込む力を利用し瞬間的に下に移動、怪物にかかとをおみまいする。
『ギャガガガァ!』
 蹴りを受けた部分の触手が耐えられず破裂した。
「────まだ続けるぞ」
 闇の剣を作り出し、触手をバッサバッサと切り刻む。
『ギャルルァア!』
 怪物は触手を切られつつも体勢を直し、反撃せんと攻撃をし始める。
「そう簡単に頭をとらせる気は無いか……。まあいい、準備は進みつつある」
 何度も頭を狙うが、触手が邪魔をして届きそうで届かない。それどころか、
『ギィャァア!』
 手の形の翼は既に元に戻り、切られた触手も少しすれば綺麗に再生している。
「チィ!」
 闇の剣に触手が絡みつく。
『ギィィイイイ!』
 怪物はその触手を犠牲にしつつ、闇の剣を奪いとってきた。
「仕方あるまい……」
 ひとつの武器にこだわっていては、他の触手に反撃を食らう。故にゼティフォールはその闇の剣に早々に見切りをつけ、新しく闇の大剣を作る。
「硬くなってきているのか……?」
 触手はただ再生するだけでなく、闇耐性ができているのか硬質化しているのか、少しずつ切断しにくくなっている。このままではジリ貧だ。
「では……」
 両手で持っていた剣を片手に持ち替え、空いた手に魔力を貯める。
「────貪れ!」
 現れた漆黒の球体が大口を開け、一気に大量の触手を食らう。
「はあっ!」
 回復に気をとられ防御が甘くなった瞬間を狙い、頭に切りかかった。
『ギャァ!』
 が、切っている途中で怪物の出したブレスにより闇の剣が消滅してしまった。
「惜しい……!」
 尚もこちらを狙い続けるブレスに、ゼティフォールは距離を開けるのを余儀なくされる。
 そして、その隙に怪物は回復を果たしてしまった。
「まだ少し時間がかかりそうだな。魔力、もってくれ……」
 ゼティフォールが別の事に意識を取られている内に怪物が寄ってきて、ゼティフォールに噛み付く。
「させぬわ!」
 攻撃を防ぎつつ槍を形成、怪物の頭を刺し貫く。
『ギャア!』
 しかし怪物の動きは止まらない。
「急所を外したか」
 怪物が触手を使い、連続で叩きつけてくる。
 ゼティフォールはそれを躱し、防御し、必要とあれば切り刻みつつ凌いでいく。
「しかし、この状態の私に触れて何事もないとは……」
 闇そのものと成ったゼティフォール。触れるだけで対象を侵食し、消し去る効果があるのだ。
「それだけ回復能力が凄まじいという事か」
『ギャアア!!』
「なっ!?」
 怪物が触手でゼティフォールを絡めとり、口から半透明の粒子を纏ったレーザーを放つ。
「ふん!」
 ゼティフォールは身体を一瞬霧散させ、難を逃れる。
『ギャアア!』
 怪物は次に、ゼティフォールが回避した先に雷を落す。
「食らうか!」
 ゼティフォールは咄嗟に闇の砲弾を放ち、落ちてきた雷を相殺した。
 だがこれで終わりではなく、怪物は次に灼熱の業火を放った。ゼティフォールはこれを闇のレーザーで貫き、怪物を狙う。だが怪物はそれを察知し、翼で飛んで回避する。
「逃がさぬ!」
 ゼティフォールは無数の闇の槍を作り出し、機関銃のように連続で発射。しかし怪物も何重もの魔法壁を展開しつつ飛び回り、闇の槍は届かない。それを悟ったゼティフォールは槍を全て同時に投げつけ爆散させる。爆発によって魔法壁を砕かれた怪物は怯み、一瞬ゼティフォールから目を離してしまう。
 意識がこちらに向いていないその隙に、ゼティフォールは空中に飛んで怪物までの距離を詰めた。
『ギィイ!』 
 怪物がゼティフォールの存在に気付いた時にはもう、魔法の準備はできていた。
「食らうがいい!」
 怪物の巨体を飲み込む程の極太のレーザーを、ゼティフォールは頭上より撃ち込んだ。
「なかなかしぶとい奴だ……」
 だが、怪物はダメージこそ受けていたものの、形を留めていて、その傷も瞬く間に回復してしまう。
「止めとはいかないまでも、ひん死に追い詰めるつもりで放ったのだが……」
 どうやら怪物の回復能力もどんどん上がっているようだ。
「そろそろだが、余り時間をかけてしまうと手を付けられなくなりそうだ」
 ゼティフォールは連続で闇の球を放ち怪物を牽制し、床に着地する。
『ギャアギャア!』
 その攻撃を怪物は半透明の粒子を纏わせた球体で吸収してしまう。
「ダメージ目的ではないが、あそこまで魔法を無効化されると癪にさわるな……」
『ググググググ……』
 怪物が飛び出そうな程目を見開いて、体が怪しく明滅し始めた。
「何だ……?」
 怪物はもがき、のたうち回り、悲鳴を上げるように叫び、何やら力を貯めているようだった。
『ギィィャア!!』
 怪物は口から吐き出されたのは、黒いブレスだった。
「危ない!」
 悪い予感がしたゼティフォールは回避を試みるが、あまりに広範囲に至った為に片足に攻撃を受けてしまう。そして、攻撃を受けたゼティフォールは大きく吹き飛ばされ、倒れてしまった。
「うぐっ!?」
 予想以上の痛みに、ゼティフォールは攻撃を受けた場所を確認する。
「……何だと?」
 片足が消し飛ばされていた。そう、怪物が放ったブレスは、怪物を生み出し、雷御の前足を消し飛ばしたあの黒い煙だったのだ。
「やってくれるわ……」
 そして、ゼティフォールが足を回復させようとするが、原因不明の力で阻害されてしまった。
『ギィギィイ!』 
 怪物は素早く触手を伸ばし、倒れているゼティフォールをつかみ取る。
「くっ」
 怪物はゼティフォールを引き寄せた後、無数にある触手で打ち付けていく。
「力が、思うように、出せぬ……!」
 魔力を練ろうにも思うようにいかず、何度もかき消されてしまう。
『ギャアギャアギャア』
 その間も休む事無く怪物は攻撃を続けている。
「そうか、この粒子のようなものが……」
 半透明の粒子が怪物の触手に纏わりついていた。そのせいで、ゼティフォールの体力と魔力が奪われ、思うように魔法が出せなくなっていたのだ。そして、ゼティフォールに触れても消し去られずに済んでいたのも同じ理由だ。
『ングガガァア……』
 怪物は裂けんばかりに大きく口を開け、粒子纏わりつく球体を出した。それはゼティフォールの力を容赦なく奪い取っていく。
「ぐっ……」
 ゼティフォールの力が失われていくことにより、世界に少しずつ闇が返還されていく。
『ギヒッギヒッギヒッ』
 怪物は勝利を確信したのか、汚らしく笑うように声を発した。
「くくくくく……。笑っているのか? 浮かれているのか?」
 ゼティフォールは笑う。
「笑うのは勝利が確定してからにしておけ……」
 ゼティフォールは触手に捕まり、力と言う力を奪われ、片足まで失っているにも係わらず、何故か余裕があった。
『グググァア……!』
 その様子に怪物は戸惑い、怒っているようにも見えた。
「おっと、攻撃をやめるのか? そうでなければ、私を倒せていたやも知れぬというのに、惜しいなあ……」
 ゼティフォールの足が治る。
「ああ、済まないな。何を言っているか、理解できぬのでは面白くとも何とも無いであろう?」
 ゼティフォールは天に指を差す。
「あれだ……」
 怪物は指差された先に顔を向けた。
「あれを作り出すのに、いや、あれが被害を出さないようにするのは大変だった。何せ、そのまま発動すれば、私だけでなくヒトやこの星にまで被害を出してしまうからな……」
 ゼティフォールは立ち上がり埃を払う。
「知らぬのか?」
 それを見たまま動かぬ怪物に、ゼティフォールは声をかける。いつの間にかゼティフォールは完全に闇を世界に返還し、世界に闇が、影、陰が戻った。
「……ブラックホール。これに飲み込まれれば、光といえど逃げることはできぬ」
 ブラックホールが天を覆い尽くし、雲や空気を飲み込んでいた。
「貴様はどうであろうな、逃げる自信はあるか……?」
 逃げる事はできない。逃げられる何てこと、あろうはずが無かった。
『ギィイ! ギィイ! ギィイ!』
 怪物が逃げようとするが、堅牢な結界に阻まれる。それでも逃げようとする怪物は、奇妙な球体を出して必死に食い破ろうとした。
「……無駄だ。この結界を作り出すのにどれだけ苦労したと思っているのだ?」
 魔力を貪り、魔法を消し去るこの怪物ですら、この結界に傷ひとつ付けられはしなかった。
「私が世界中の闇と一体化する、などという大技を使っていたというのに、弱すぎるとは思わなかったか?」
 怪物は諦めたのか、逃げようとするのを止め、ただブラックホールのある方を見続ける事しかできなくなっていた。
「それが貴様の敗因やもな。そうそう、ブラックホールは次元を超える。貴様が何者であろうと、核をどこに飛ばそうと、確実に止めを刺す……」
 ゼティフォールは空に手をかざす。
「貴様に朝は来ない。……終わりだ!」
『ギィィィイイイヤアアア!!』
 ブラックホールは怪物を、核諸共食らい尽くし、完全に消え去った。跡形も無く、何も残さず。

「くっ……!」
 ゼティフォールは膝を付いてしまう。
「魔力を使い過ぎたか……」
 昨日の正体不明の異様に強いプルプルに続き、今回の魔力を吸い取って来る怪物との戦い。しかも最後はブラックホールのオマケ付き。いかに魔王と言えども、限界だった。
「まあ、無事に倒す事ができて良かったと言うべきか……」
 ゼティフォールはその場で倒れこんでしまった。

 ────死を覚悟した私に、勇者には手を差し伸べた。邪悪なる魔王であったこの私に。
 また世界が危機に瀕した時、新たな勇者と共に世界を救ってほしいと言ったのは神だった。
 また道を間違えてしまわないように、君を支えようと勇者は言った。永遠かもしれない寿命の吸血鬼と共にある為に、ニンゲンとしての死、ジン生を捨ててまで言ってのけた。
 100年を超える歳月を越えて、私は久方ぶりに笑った。そこまで賭けられて乗らぬわけにいくまい。
 世界に危機が訪れた時、例え戦えるモノが私ひとりになったとしても、必ず救ってやる。
 あの時、そう約束したのだ────────

 意識が遠のいていく中で、ゼティフォールはぼんやりと昔を思い出していた。
 とは言っても、400年眠っていたゼティフォールにとってはつい最近のようなものだったが。
「ふう……。しかし、世界を救うのがこれ程大変だとは、聞いておらぬわ……」
 
 その時だった。
 ピシピシと音が鳴ったかと思うと、突如空が割れ、禍々しい気配と共に巨大な陰が姿を覗かせた。
『フフフフフ……。コノ時ヲ待ッテイタゾ、吸血鬼』
 陰は言葉を発した。そして、ゼティフォールの事も知っているようだ。
「何者だ……!」
 ゼティフォールはできるだけ身体を起こし、陰の方を睨みつける。
『奴ヲ滅ボストハ、ヤハリソノちからハ侮レンナ……。シカシ、思イ上ガルナ雑種ヨ、ちからヲ持ッタ所デ所詮ハ家畜デアル事二変ワリは無イ』
「家畜とは、なかなか言ってくれるではないか……」
『前王ノ気紛レヲ受ケタダケニ過ギン家畜ゴトキガ、分不相応ノ代物ヲ持チ増長シ、あまつさエ世界モ知ラヌ矮小ナル下等生物ゴトキガ、崇高ナル我々ノ計画ヲ何度モ邪魔ヲシヨッテ……』
「何の事を言っている……?」
 ゼティフォールの声が聞こえていないのか、それとも聞く気もないのか、その陰は一切の反応を見せずに語り続ける。
『コノ世界ノエネルギーハ使エルカラト大目二見テヤッテイタガ、ヤハリ、コレ以上ハ目障ダ。今ココデヲ返シテモラウトシヨウ。ソレガ良イ……』
 どこからともなく、数十もの蜘蛛型の怪物が現れる。
「何をするつもりだ……! く、放せ!」
 蜘蛛はゼティフォールに群がり、針を刺し、力を奪っていく。だが、振りほどく力も残っていないゼティフォールは、為す術無く、ただ無意味に言葉を発して苦しむ事しかできない。
『ホウ……。コレガ、コレコソガ……。美シイ……!』
 蜘蛛がゼティフォールの内側から、魔王の盃を取り出しててしまう。
『サア、コチラヘ……。早ク、サア……!』
 一体の蜘蛛が魔王の盃を陰の元に運んでいく。ゼティフォールは必死に手を伸ばす。
「やめろ、何をする気なのだ……。か、えせ────」
 しかし、力を失ったゼティフォールは盃を取り戻すどころか、意識を保つ事すら不可能であった。
 
 
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