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幼女+紳士さん
20話 〜ステラ〜①
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是呈 霊長
────────────────────
ラブラドリーテの町、町長宅の居間。質素な家具が多いが、いくつか高そうなものもある。
そこにゼティフォール、町長の叔父でありチャピランと古い仲であるドワーフのトニー、そしてパルトネルで立体映像の電話でチャピランの三人が話している。
「最後に、吸血鬼としての鏡と考えるモノだな。勘でしかないが、この線が一番可能性として高いのではないかと睨んでいる」
ゼティフォールは真剣な面持ちで言う。生ハムを乗せたラスクを頬張りながら。
『ほう、誰ですかな?』
「私の部屋に現れ、私の知らない事情や、私も知らない私さえ知っていて、ここへ意図的に飛ばしたあの吸血鬼だ。あのような言い方をしたのも、何か理由があったはずだ。敵に悟られない為……とかな」
「興味深い……。情報が少ないので何とも言えないですが、否定する要素もありませんね」
トニーは喉が渇いていたのか、アイスティーを勢いよく飲んだ。
『深読みかもしれませんが、今や知らないヒトの方が少ない表の吸血鬼と、誰も知らずに今まで隠れて居た裏の吸血鬼として考えるなら鏡という表現もおかしくなりませんしな』
チャピランも用意したのか、煎餅にチーズを乗せて食べる。
「希望の星についてだが、多分この地で出会うモノの事であろうな」
ゼティフォールはチーズに手を伸ばす。
「そう考えるのが自然でしょうね」
「となると、気になるモノがいてな……」
『おっと、わたしもいるんですな』
チャピランは驚いた顔をしながら言った。
「ほう、聞かせてくれ」
「はいですな。少し前の事なんですがな、魔王様が目覚める少し前に、父親を探しているという、4歳の小さなお客さんが来ましてな、その子は金色の小さな翼を持っていて、紫の瞳、くせっ毛の紅い髪で、ピンクのドレスを着てていましたな』
ゼティフォールはチャピランの言葉を聞いて目を丸くする。
「それで?」
『特に目的地はないようでしたので、沢山のヒトがやってくる中央国をオススメしたんですじゃ。護衛の騎士を付けると言っても『じぶんでみつける』と聞いてくれませんでな、一応困ったことがあれば連絡するようにとパルトを持たせましたが……」
「そうか。しかし、何故それで問題ないと思ったのだ? まだ子どもであろう」
「あの子は特別な力が宿っているんですな。何故かはよく判りませんでしたが、その騎士とやらが見つかるまで絶対に無事だというヴィジョンのようなモノが頭に流れまして、これは未来の映像かもしれませんな~と」
チャピランはふむふむと思い出す。
「先見の民だったか、その力なのやもしれぬな」
「ええっと……。先見の民って、かの昔、伝説の時代で吸血鬼の王に仕えていたという、未来視ができる種族の事ですよね。本当にいるんですか?」
「ああ。私に血をわけてくれたモノと、今回の話でふたり確認している事になるな」
「伝説の再来という事か……。この時代に産まれて良かった」
トニーはしみじみとラスクを食べた。
「それで、その子が何故星になるのだ?」
『安易なんですが、その子の名前が星という意味だったんですな」
「ふむ。先程気になったモノがいると言ったが、それも同じ子の可能性が高い。昨日から度々会っていてな、この町の場所を教えてくれたのもその子だ。初めて会ったヒトでもある。故に、その子が星の可能性は十分あり得る話だ。余談だが、三つ目オオカミを素手で一撃のもと倒したのは驚いてしまったぞ。最近の子どもは皆ああなのか?」
ゼティフォールは乾いた笑いを浮かべながらアイスティーを飲んだ。
「それは流石にお強いですねえ……」
トニーも流石に驚いたようだ。
『ですか。して、その子は今どこにいるんですかな?』
チャピランはキャンディーチーズをヒョイパクっと何個も食べながら訊いた。チャピランにとってはそこまで驚く話ではないらしい。
「出てくるときも去る時も突然でな、先程も人混みに紛れられてしまって見失ったのだ……」
バツが悪くなったゼティフォールは目を逸らした。
『なんと! 今日一番の失態ですな。その町から離れられる前に探した方がいいですぞい」
チャピランは怒りを煎餅にぶつけて、砕かれた煎餅を一気に頬張った。
「今から探した方がいいだろうか?」
『せっかくの手掛かりですぞ、みすみす逃す手はありませんな! さて、れつごー!』
「三つ目オオカミが一撃なら、どんどん進んでしまう可能性はありますからね。今日の内に探した方がいいでしょう。まだその辺で観光しているかもしれませんし……」
「それもそうだな」
『ではわたしも仕事に戻りますぞい』
「ああ、助かった。ではな」
『さようなら~』
「さようなら」
電話が切れた。
「で、観光と言ったが何か名所でもあるのか?」
ゼティフォールはカップに残っていたアイスティーを飲み干す。
「そうですねえ。町の東側にある山の高台は町を一望できますし、夕焼けや夜空を愉しめますよ。観光目的で来る方は、だいたいこれが目的ですね。何故か他の所より綺麗に景色が見えるとかで。それと、露店は色々な食べ物が並んでいてそそられます。あとは農場ですか。騎乗用のモンスターに乗る事ができるんです。まあ、色々な国から物品が集められるので、ウィンドウショッピングも良いかもしれませんね」
トニーが町の地図で指し示しつつ説明した。
「高台か、良いな……。後で見に行くとしよう。この地図は借りて良いか?」
「ああ、差し上げます。自分の町で迷子になりませんし」
「そうか。では行ってくるが、見つけたらここに戻って来ていいのか?」
「はい。お夕飯を人数分ご用意しておきますので、どうぞここで召し上がって下さい。そうだ、念の為お財布と、これを」
トニーがゼティフォールに灰色の石が付いた指輪を渡した。
「これは?」
「これは霧装の指輪で、姿を少しだけ変えられます。色んなヒトが来ますから中には魔王の姿を知っているヒトもいるでしょう」
「幻術系か。怪しまれないのか?」
ゼティフォールは指輪を観察する。
「大丈夫です。初めに特殊な霧を出して固定化するので、指輪をはめる時以外は魔力反応が出ませんし、それにお手軽にコンプレックスを隠せたり特徴を活かしたりできるので、若モノを初め、幅広い年齢層で使われているんです。まあ、私は使っていませんが」
「便利なモノだな」
「それと、無線の機能もありますので、町周辺くらいでしたら連絡もとれますよ。今日必要かはわかりませんが、暫くはここにいるでしょうし使う機会もあるでしょう」
「分かった。ありがたく使わせてもらう」
そう言ってゼティフォールは指輪をはめて探しに行った。
是呈 霊長
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ラブラドリーテの町、町長宅の居間。質素な家具が多いが、いくつか高そうなものもある。
そこにゼティフォール、町長の叔父でありチャピランと古い仲であるドワーフのトニー、そしてパルトネルで立体映像の電話でチャピランの三人が話している。
「最後に、吸血鬼としての鏡と考えるモノだな。勘でしかないが、この線が一番可能性として高いのではないかと睨んでいる」
ゼティフォールは真剣な面持ちで言う。生ハムを乗せたラスクを頬張りながら。
『ほう、誰ですかな?』
「私の部屋に現れ、私の知らない事情や、私も知らない私さえ知っていて、ここへ意図的に飛ばしたあの吸血鬼だ。あのような言い方をしたのも、何か理由があったはずだ。敵に悟られない為……とかな」
「興味深い……。情報が少ないので何とも言えないですが、否定する要素もありませんね」
トニーは喉が渇いていたのか、アイスティーを勢いよく飲んだ。
『深読みかもしれませんが、今や知らないヒトの方が少ない表の吸血鬼と、誰も知らずに今まで隠れて居た裏の吸血鬼として考えるなら鏡という表現もおかしくなりませんしな』
チャピランも用意したのか、煎餅にチーズを乗せて食べる。
「希望の星についてだが、多分この地で出会うモノの事であろうな」
ゼティフォールはチーズに手を伸ばす。
「そう考えるのが自然でしょうね」
「となると、気になるモノがいてな……」
『おっと、わたしもいるんですな』
チャピランは驚いた顔をしながら言った。
「ほう、聞かせてくれ」
「はいですな。少し前の事なんですがな、魔王様が目覚める少し前に、父親を探しているという、4歳の小さなお客さんが来ましてな、その子は金色の小さな翼を持っていて、紫の瞳、くせっ毛の紅い髪で、ピンクのドレスを着てていましたな』
ゼティフォールはチャピランの言葉を聞いて目を丸くする。
「それで?」
『特に目的地はないようでしたので、沢山のヒトがやってくる中央国をオススメしたんですじゃ。護衛の騎士を付けると言っても『じぶんでみつける』と聞いてくれませんでな、一応困ったことがあれば連絡するようにとパルトを持たせましたが……」
「そうか。しかし、何故それで問題ないと思ったのだ? まだ子どもであろう」
「あの子は特別な力が宿っているんですな。何故かはよく判りませんでしたが、その騎士とやらが見つかるまで絶対に無事だというヴィジョンのようなモノが頭に流れまして、これは未来の映像かもしれませんな~と」
チャピランはふむふむと思い出す。
「先見の民だったか、その力なのやもしれぬな」
「ええっと……。先見の民って、かの昔、伝説の時代で吸血鬼の王に仕えていたという、未来視ができる種族の事ですよね。本当にいるんですか?」
「ああ。私に血をわけてくれたモノと、今回の話でふたり確認している事になるな」
「伝説の再来という事か……。この時代に産まれて良かった」
トニーはしみじみとラスクを食べた。
「それで、その子が何故星になるのだ?」
『安易なんですが、その子の名前が星という意味だったんですな」
「ふむ。先程気になったモノがいると言ったが、それも同じ子の可能性が高い。昨日から度々会っていてな、この町の場所を教えてくれたのもその子だ。初めて会ったヒトでもある。故に、その子が星の可能性は十分あり得る話だ。余談だが、三つ目オオカミを素手で一撃のもと倒したのは驚いてしまったぞ。最近の子どもは皆ああなのか?」
ゼティフォールは乾いた笑いを浮かべながらアイスティーを飲んだ。
「それは流石にお強いですねえ……」
トニーも流石に驚いたようだ。
『ですか。して、その子は今どこにいるんですかな?』
チャピランはキャンディーチーズをヒョイパクっと何個も食べながら訊いた。チャピランにとってはそこまで驚く話ではないらしい。
「出てくるときも去る時も突然でな、先程も人混みに紛れられてしまって見失ったのだ……」
バツが悪くなったゼティフォールは目を逸らした。
『なんと! 今日一番の失態ですな。その町から離れられる前に探した方がいいですぞい」
チャピランは怒りを煎餅にぶつけて、砕かれた煎餅を一気に頬張った。
「今から探した方がいいだろうか?」
『せっかくの手掛かりですぞ、みすみす逃す手はありませんな! さて、れつごー!』
「三つ目オオカミが一撃なら、どんどん進んでしまう可能性はありますからね。今日の内に探した方がいいでしょう。まだその辺で観光しているかもしれませんし……」
「それもそうだな」
『ではわたしも仕事に戻りますぞい』
「ああ、助かった。ではな」
『さようなら~』
「さようなら」
電話が切れた。
「で、観光と言ったが何か名所でもあるのか?」
ゼティフォールはカップに残っていたアイスティーを飲み干す。
「そうですねえ。町の東側にある山の高台は町を一望できますし、夕焼けや夜空を愉しめますよ。観光目的で来る方は、だいたいこれが目的ですね。何故か他の所より綺麗に景色が見えるとかで。それと、露店は色々な食べ物が並んでいてそそられます。あとは農場ですか。騎乗用のモンスターに乗る事ができるんです。まあ、色々な国から物品が集められるので、ウィンドウショッピングも良いかもしれませんね」
トニーが町の地図で指し示しつつ説明した。
「高台か、良いな……。後で見に行くとしよう。この地図は借りて良いか?」
「ああ、差し上げます。自分の町で迷子になりませんし」
「そうか。では行ってくるが、見つけたらここに戻って来ていいのか?」
「はい。お夕飯を人数分ご用意しておきますので、どうぞここで召し上がって下さい。そうだ、念の為お財布と、これを」
トニーがゼティフォールに灰色の石が付いた指輪を渡した。
「これは?」
「これは霧装の指輪で、姿を少しだけ変えられます。色んなヒトが来ますから中には魔王の姿を知っているヒトもいるでしょう」
「幻術系か。怪しまれないのか?」
ゼティフォールは指輪を観察する。
「大丈夫です。初めに特殊な霧を出して固定化するので、指輪をはめる時以外は魔力反応が出ませんし、それにお手軽にコンプレックスを隠せたり特徴を活かしたりできるので、若モノを初め、幅広い年齢層で使われているんです。まあ、私は使っていませんが」
「便利なモノだな」
「それと、無線の機能もありますので、町周辺くらいでしたら連絡もとれますよ。今日必要かはわかりませんが、暫くはここにいるでしょうし使う機会もあるでしょう」
「分かった。ありがたく使わせてもらう」
そう言ってゼティフォールは指輪をはめて探しに行った。
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