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幼女+紳士さん
22話 〜命の重さと責任の重さ〜①
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「うひゃぁ~!」「は、はなせ~!」
ラブラドリーテモンスター牧場。ここでは、色々な種類のモンスターと触れ合うことができるが、利用者の9割以上は騎乗体験を目的としてやってくる。因みに騎乗体験ができるのは朝の10時から12時、昼の13時から16時の合計5時間で、今は15時半を過ぎた頃。
ゼティフォールとステラが入ったのが体験申し込み時間ギリギリだった事もあって、他の利用者も帰り貸し切り状態であった。
「はやー!」『ブッフォ!』
ステラはこの牧場で一番の大型モンスターで、やんちゃという事もあって人気が最近無くなってしまっている“ヤマクズシ”に乗っている。体長4mあるこのイノシシ型モンスターは、片牙が折れ、所々激しい戦いでもしたのかという様な傷跡が見受けられ、それなりに実力のあるモノでも避けて通る、いや出会いたくもない風貌をしていた。
やんちゃと名高いヤマクズシは自分から人を乗せる事が殆どなく、無理やり乗ろうにも暴れてしまい、乗れたとしても自分勝手に走るので、振り落とされそうになるか、重い乗り物酔いになるのが定番である。
とは言っても、騎乗装備で落とされないように固定してあったり、万が一の為に緊急離脱装置も付いてあったり、常に指導員が目を光らせていたりするので、今までこれといった怪我ニンを出したことが無い。
「噛まないのでは、なかったのかあぁ~!」
そしてゼティフォールが選んだのは、人懐っこい性格で果物をメインにして食べる草食二足歩行トカゲモンスター“走りトカゲ”。体長は尻尾を入れずに2m程で、ひとり乗り専用。性格や乗りやすさに定評があり、なかなか人気のモンスターである。
「ゆ~れ~る~!」『ブフフフフ~』
ちなみにこのヤマクズシ、怖いもの見たさや度胸試しをしたいモノや、絶叫系スリルを楽しみたいモノには人気である。
だが、ステラは身体が小さいので振動の度に少し跳ねてしまうが、曲がりたい時には曲がり、速度を出したい時には速くし、停まりたい時にはしっかり停まり、初めて乗ったにも係わらずプロも驚きの乗りこなしを見せていた。
「ステラちゃん、私より上手かもしれないですよー!」
指導員のお姉さんがステラに声援を送った。
「指導員さん、私は何故こうなってしまったのだー!」
それとは裏腹にゼティフォール。乗るはおろか、縦横無尽に駆け回る走りトカゲに、ゼティフォールは服の背中部分を咥えられて運ばれている。
「気に入られたみたいですね! 多分、子どもか何かだと思ってるんじゃないですかー!」
指導員さんは楽しそうに言う。少なくとも害意は無いらしいが、ゼティフォールにとっては気が気でない。
「どうやれば停まるのか教えてくれぬかー!」
ゼティフォールには大声で指導員さんに言った。
「首のところを、ポンポンって軽く叩いてあげてくださーい!」
「首、首だな! よし、ぅおっと、もう少し、くっ! それ!」
ゼティフォールは振り回されながらも、何とか走りトカゲの首をポンポンした。
『キュルルィー!』
雄たけびを上げて、ようやく走りトカゲは走るのを止めた。
「助かった……」
降ろされたゼティフォールはその場で座り込む。
「お疲れのようですが、大丈夫ですか? 宜しかったらどうぞ」
指導員さんが駆け寄って来て、ゼティフォールに水を渡した。
「ああ、助かる。……子どもか何かと言っていたが、どういう事だ?」
ゼティフォールは運ばれている時に指導員さんが言っていた言葉が気になった。
「ああ、そのままの意味ですよ。動物もモンスターも手が発達していない種類は、移動するときに我が子を咥えますよね。それです」
「そうか……。む、私はこの走りトカゲに子どもだと思われてしまっていたのか?」
『クルルル……』
走りトカゲがゼティフォールに顔を擦り付ける。
「何でそう思っちゃったかは分からないですけど、そういう事になりますね~」
「まあ、食われるのでないなら良しとしようか」
ゼティフォールは走りトカゲの頭を撫でる。
「……今度は背中に乗せてくれるか?」
ゼティフォールは走りトカゲに訊いた。
『クルルィイ!』
「おっと」
走りトカゲはその言葉を聞くや否や、ゼティフォールを咥え、ひょいと背中に乗せた。
「ふむ、本当に嫌われているようでは無かったようだ。では指導員さん、私はこやつと風になってくるとしよう」
すっかり得意げな顔になったゼティフォールは指導員さんに宣言した。
「はい、いってらっしゃい」
指導員さんは手を振って送り出した。
「いっけー!」『ぶぅっふぉおー!』
他のモンスターも乗っていいとの事であったが、ステラはもうすっかり気に入ったみたいでずっとヤマクズシに乗っている。
「じゃーんっぷ!」『ブヒー!』
ステラの掛け声でヤマクズシは大きく飛び上がる。
「うひゃ~!」
着地の振動に驚いて、ステラは思わず翼をばたつかせる。
「もっかい、もっかいしよ!」「ブヒッ!」
だが、面白かったみたいで、その後何度もジャンプをしたり、全速力で走らせたりしていた。
「あ、頭が、揺れる!」
走りトカゲと風になった後、せっかくだからとゼティフォールは他のモンスターに乗ることにした。
とは言っても、閉場時間が近いので1種類だけだが。
「は、速過ぎる……!」『ぴぅー!』
なのでこの牧場で一番スピードの出るモンスターを選んだのだが、ゼティフォールは全く制御できず、移動は全てモンスターにまかせっきりだ。
「ラビジェット……。名に恥じぬ、速さ……! 圧が、圧が凄いぞ!」
“ラビジェット”体長は先程の“走りトカゲ”よりは小さめの1m半程であるが、出せるスピードは比にならない。その強靭な足は、地面を蹴った時に余りの勢い、圧力、摩擦によって赤熱し、数十mから長い時で100m以上をひとっ跳びする様は、まさにジェットエンジンで移動しているように見える。
「内臓が、圧迫され、る……!」『ぷっぷう!』
当たり前だが、ラビジェットは三つ目オオカミなぞ比べ物にならない程に強いので、身体も相当の負荷に耐えられる。故に、三つ目オオカミ程度に手も足も出ないゼティフォールは、騎乗してラビジェットのスピードを体験するだけで身体が潰れてしまいそうになるのだ。比喩表現ではあるが。
「くぅっ。手綱を、少しでも……!」
ゼティフォールは先程から握るだけにしか使われていなかった手綱を、風に煽られながらも何とか引っ張る。
「うぉっと!?」
しかし、着地の瞬間とタイミングが重なり、衝撃で勢いよく手綱を引いてしまう。
『ぷぷぅっ!?』
「ぐふぅぉ!!」
ラビジェットが驚き、急停止した為にゼティフォールは誤って緊急離脱装置を押してしまう。
「ぅお~飛んで行くー!?」
そうなったゼティフォールは、勢いよくラビジェットから発射される。
「あ……!」
指導員さんも驚いて思わず声を出す。とは言ってもプロ、瞬間的に風の魔方陣を展開、パルトネルで魔法強化していつでも救出できるよう準備を整えていた。
「ぅぅぁぁあああ~! ぼへっ!?」「わわっ!」
だが、救出する必要はなかった。
「……ここは?」
「あ、しんしさん! ここはね、ヤマクズシー!」『ぶっふぉ!』
そう、飛ばされたゼティフォールは、運よくステラの乗っているヤマクズシの上に着地していたのだ。
「おおー! なかなかのファインプレイですね」
ラブラドリーテモンスター牧場。ここでは、色々な種類のモンスターと触れ合うことができるが、利用者の9割以上は騎乗体験を目的としてやってくる。因みに騎乗体験ができるのは朝の10時から12時、昼の13時から16時の合計5時間で、今は15時半を過ぎた頃。
ゼティフォールとステラが入ったのが体験申し込み時間ギリギリだった事もあって、他の利用者も帰り貸し切り状態であった。
「はやー!」『ブッフォ!』
ステラはこの牧場で一番の大型モンスターで、やんちゃという事もあって人気が最近無くなってしまっている“ヤマクズシ”に乗っている。体長4mあるこのイノシシ型モンスターは、片牙が折れ、所々激しい戦いでもしたのかという様な傷跡が見受けられ、それなりに実力のあるモノでも避けて通る、いや出会いたくもない風貌をしていた。
やんちゃと名高いヤマクズシは自分から人を乗せる事が殆どなく、無理やり乗ろうにも暴れてしまい、乗れたとしても自分勝手に走るので、振り落とされそうになるか、重い乗り物酔いになるのが定番である。
とは言っても、騎乗装備で落とされないように固定してあったり、万が一の為に緊急離脱装置も付いてあったり、常に指導員が目を光らせていたりするので、今までこれといった怪我ニンを出したことが無い。
「噛まないのでは、なかったのかあぁ~!」
そしてゼティフォールが選んだのは、人懐っこい性格で果物をメインにして食べる草食二足歩行トカゲモンスター“走りトカゲ”。体長は尻尾を入れずに2m程で、ひとり乗り専用。性格や乗りやすさに定評があり、なかなか人気のモンスターである。
「ゆ~れ~る~!」『ブフフフフ~』
ちなみにこのヤマクズシ、怖いもの見たさや度胸試しをしたいモノや、絶叫系スリルを楽しみたいモノには人気である。
だが、ステラは身体が小さいので振動の度に少し跳ねてしまうが、曲がりたい時には曲がり、速度を出したい時には速くし、停まりたい時にはしっかり停まり、初めて乗ったにも係わらずプロも驚きの乗りこなしを見せていた。
「ステラちゃん、私より上手かもしれないですよー!」
指導員のお姉さんがステラに声援を送った。
「指導員さん、私は何故こうなってしまったのだー!」
それとは裏腹にゼティフォール。乗るはおろか、縦横無尽に駆け回る走りトカゲに、ゼティフォールは服の背中部分を咥えられて運ばれている。
「気に入られたみたいですね! 多分、子どもか何かだと思ってるんじゃないですかー!」
指導員さんは楽しそうに言う。少なくとも害意は無いらしいが、ゼティフォールにとっては気が気でない。
「どうやれば停まるのか教えてくれぬかー!」
ゼティフォールには大声で指導員さんに言った。
「首のところを、ポンポンって軽く叩いてあげてくださーい!」
「首、首だな! よし、ぅおっと、もう少し、くっ! それ!」
ゼティフォールは振り回されながらも、何とか走りトカゲの首をポンポンした。
『キュルルィー!』
雄たけびを上げて、ようやく走りトカゲは走るのを止めた。
「助かった……」
降ろされたゼティフォールはその場で座り込む。
「お疲れのようですが、大丈夫ですか? 宜しかったらどうぞ」
指導員さんが駆け寄って来て、ゼティフォールに水を渡した。
「ああ、助かる。……子どもか何かと言っていたが、どういう事だ?」
ゼティフォールは運ばれている時に指導員さんが言っていた言葉が気になった。
「ああ、そのままの意味ですよ。動物もモンスターも手が発達していない種類は、移動するときに我が子を咥えますよね。それです」
「そうか……。む、私はこの走りトカゲに子どもだと思われてしまっていたのか?」
『クルルル……』
走りトカゲがゼティフォールに顔を擦り付ける。
「何でそう思っちゃったかは分からないですけど、そういう事になりますね~」
「まあ、食われるのでないなら良しとしようか」
ゼティフォールは走りトカゲの頭を撫でる。
「……今度は背中に乗せてくれるか?」
ゼティフォールは走りトカゲに訊いた。
『クルルィイ!』
「おっと」
走りトカゲはその言葉を聞くや否や、ゼティフォールを咥え、ひょいと背中に乗せた。
「ふむ、本当に嫌われているようでは無かったようだ。では指導員さん、私はこやつと風になってくるとしよう」
すっかり得意げな顔になったゼティフォールは指導員さんに宣言した。
「はい、いってらっしゃい」
指導員さんは手を振って送り出した。
「いっけー!」『ぶぅっふぉおー!』
他のモンスターも乗っていいとの事であったが、ステラはもうすっかり気に入ったみたいでずっとヤマクズシに乗っている。
「じゃーんっぷ!」『ブヒー!』
ステラの掛け声でヤマクズシは大きく飛び上がる。
「うひゃ~!」
着地の振動に驚いて、ステラは思わず翼をばたつかせる。
「もっかい、もっかいしよ!」「ブヒッ!」
だが、面白かったみたいで、その後何度もジャンプをしたり、全速力で走らせたりしていた。
「あ、頭が、揺れる!」
走りトカゲと風になった後、せっかくだからとゼティフォールは他のモンスターに乗ることにした。
とは言っても、閉場時間が近いので1種類だけだが。
「は、速過ぎる……!」『ぴぅー!』
なのでこの牧場で一番スピードの出るモンスターを選んだのだが、ゼティフォールは全く制御できず、移動は全てモンスターにまかせっきりだ。
「ラビジェット……。名に恥じぬ、速さ……! 圧が、圧が凄いぞ!」
“ラビジェット”体長は先程の“走りトカゲ”よりは小さめの1m半程であるが、出せるスピードは比にならない。その強靭な足は、地面を蹴った時に余りの勢い、圧力、摩擦によって赤熱し、数十mから長い時で100m以上をひとっ跳びする様は、まさにジェットエンジンで移動しているように見える。
「内臓が、圧迫され、る……!」『ぷっぷう!』
当たり前だが、ラビジェットは三つ目オオカミなぞ比べ物にならない程に強いので、身体も相当の負荷に耐えられる。故に、三つ目オオカミ程度に手も足も出ないゼティフォールは、騎乗してラビジェットのスピードを体験するだけで身体が潰れてしまいそうになるのだ。比喩表現ではあるが。
「くぅっ。手綱を、少しでも……!」
ゼティフォールは先程から握るだけにしか使われていなかった手綱を、風に煽られながらも何とか引っ張る。
「うぉっと!?」
しかし、着地の瞬間とタイミングが重なり、衝撃で勢いよく手綱を引いてしまう。
『ぷぷぅっ!?』
「ぐふぅぉ!!」
ラビジェットが驚き、急停止した為にゼティフォールは誤って緊急離脱装置を押してしまう。
「ぅお~飛んで行くー!?」
そうなったゼティフォールは、勢いよくラビジェットから発射される。
「あ……!」
指導員さんも驚いて思わず声を出す。とは言ってもプロ、瞬間的に風の魔方陣を展開、パルトネルで魔法強化していつでも救出できるよう準備を整えていた。
「ぅぅぁぁあああ~! ぼへっ!?」「わわっ!」
だが、救出する必要はなかった。
「……ここは?」
「あ、しんしさん! ここはね、ヤマクズシー!」『ぶっふぉ!』
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