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幼女+紳士さん
19話 〜内密にお願いする〜①
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「ふふっ。いや、本当に肝が冷えた思いだったぞ……」
安堵したゼティフォールは、椅子にもたれながらコーヒーを口に含む。
「いや~、これは失礼! しかしながら、こちらもできるだけ早くお連れする必要がありましたから。ガハハハハっ」
スーツのドワーフが豪快に笑う。
この髭を蓄えたスーツのドワーフは、トニー・ガバオン。この町の町長の叔父にあたるヒトで、考古学をメインに吸血鬼の事を調べている。魔王国に何度も調査に行っており、その繋がりでチャピランやゼプトとも面識があるのだ。
「貴公がいて本当に助かった。あのままではまた装備も無しに野宿をする事になるところであったわ」
ゼティフォールは半分ほど飲み進めたカップを、質素ながらも趣のあるテーブルに置く。
「僕もまさか、昨晩までこのような大役をするとは思いませんでした。まさかの連絡だったもので、とるものもとりあえず仕事を放って急いで来ましたよ。それにしても間に合ってよかった」
昨日魔王国からトニーに、内密にゼティフォールの保護依頼が届いたのだ。
「そうだな……」
「下手に衛兵や警察、役人等に捕まってしまえば、国際問題ですから」
他国の王、それもひとりで数百では収まらない程の一般兵を優に倒してしまうモノが、国に無断で侵入し怪しい素振りをみせたとあれば、何かが起きなかったとしても、スパイ、侵略、国家転覆の暗躍等、いくらでも嫌疑をかけられてしまうだろう。そして、実際あの宿屋の店員は通報していた。
通報を受けて警察が出動しそうになった時に、丁度この町に帰ってきたトニーが機転を利かせ、逸れてしまった自分の客人だからと説き伏せて、信用の置けるモノとゼティフォール確保に向かったのである。
ちなみに警察と衛兵の違いは、基本的に警察はヒト相手で問題を解決する組織で国ではなく町によって管理されているのに対し、衛兵は基本的に国から派遣された、町や村で起こったモンスターによる問題を解決する組織である。だが、警察を置く余裕がない村などでは衛兵が警察の役割を果たす事も少なく無い。
「ふう、ごちそうであった。しかし、私はこれからどうすれば良いのだろうか? 国を跨ぐにしても身元不明のモノをそのまま出国させるわけにも行くまい」
「そうですなあ……。確保の後の事は僕もまだ聞かせて貰っていないので分かりませんが、仮の身分証明書を用意して出国するか、荷物として送るかですか。身分を隠さずそのまま返すのも、不法入国者として強制送還というのも、これまた大ごとになってしまいますからできませんし……」
「連絡待ちか……」
「ではどうでしょう、お風呂に入られては。着替えも用意しておきますし、今気をもんでも仕方ないですからね」
「良いのか?」
「はい。ラブラドリーテ町長は巷で噂の怪物についての会議だとかで数日帰ってこないみたいですし、ごゆっくりなさってください。そのうち魔王国からも返信があるでしょう」
「分かった。言葉に甘えるとしよう」
「ふむ、良い湯であった。そういえば、私の服が見当たらなかったがどうしたのだ?」
ゼティフォールは風呂から上がり、用意されていた服を身に纏った後、トニーが待っている居間に来ていた。
「今汚れを取っている所です。部分の損傷が激しい為に代りの布が見つからない限り修繕は難しいので、せめてと思いまして」
ノートパソコンを使って仕事をしていたトニーが、ゼティフォールに気付き返事を返す。
「そうか。置いてあった故この服を着たのだが、問題なかっただろうか?」
「ええ、そのために用意しましたからね。着心地はどうでしょう?」
「ああ、色も大きさも問題ない。しかも、身体をひねったり屈伸をしても突っ張る感じがしない。このまま戦闘ができそうな程だ。……気に入った」
ワイシャツに、暗めの金色のネクタイ、黒のベルトで、パンツとジャケットはワインレッドのスーツだった。配色はゼティフォールに合わせたのだろう。
「それはそれは、選んだモノに聞かせたら喜ぶでしょうねえ。ちなみにですが、そのスーツは魔法で編まれたものでして、本当に戦闘行為をしても大丈夫なように作られているんですよ」
トニーはひと段落着いたのか、ノートパソコンを畳んだ。
「ほう。いや、しかし破けてしまったらどうするのだ?」
ゼティフォールがトニーの前の席に着く。
「魔法装備修繕用の魔機があるんで、それを当てて貰えば、欠片も残さず消滅させられない限りは直す事ができるんですよ」
「ほう、それは良い事を聞いた。だが、そのような事をすれば、装備の複製ができてしまうのではないか?」
「ですから、魔法の装備は基本的に買い取りをしていなかったり、やっていても子どもですら喜ばない値段での取引きになっているんです。まあ、国からまず許可が出ないと売る事もできませんし、所持数や売り上げを報告しないといけませんから、そもそも取り扱っていないお店の方が多いんですけどね」
トニーがアイスティーをカップに入れてゼティフォールに渡す。
「店で買う場合の値段も、もしや国が決めているのか?」
ゼティフォールはアイスティーを受け取り一口飲んだ。
「ええ。その場合は高値での取引きにはなるんですが、国、町等、輸入の場合はその輸出国からも、売り上げの一部を税として納めなければならないんで、販売者はあまり儲ける事はできませんね」
「では、何故そこまでして店に並べるのだ?」
「魔法装備を欲しがるヒト達は、例外もあるでしょうが、それを買おうと言うのだからお金を持っています。それに、買い物はできれば一回で済ませたいですよね? ですから、売っているお店は魔法装備と一緒に利益の大きいアイテムも並べているんです。レア魔法装備を注文している店は、利益を出す為にも他の商品に力を入れている事が多いので、全体的に信頼度が高くなり、お客さんも多くなりやすいんですよ。しかしながら、魔法装備を仕入れたは良いが、他の商品に力を入れる程予算が無い、なんてことになれば、普通の商品は買われず魔法装備だけが売れてしまい、魔法装備を再入荷する予算を捻出できないお店は、ただの粗悪な装備しか売っていないお店に早変わり。信頼度は落ちて赤字となって、最悪お店を畳まなければいけなくなるんですよ。ああ、つい語ってしまいましたな、申し訳ない」
トニーは丁寧にゼティフォールに説明した。
「ふむ、詳しく教えてくれて感謝する」
「いえいえそんな! 僕ばかりが一方的に話してしまいましたが、気を悪くされませんでしたか?」
トニーは慌てる。
「いや、変に話を省略されるより、長い話の方が好みだな。それに、なかなか興味深かったしな」
ゼティフォールは口角を上げた。
「そう言ってもらえてありがたい」
トニーは乾いた口を紅茶で潤した。
「話は戻るが、このスーツは高かったという事だな。急に出させてしまって、大丈夫だったのか?」
ゼティフォールも紅茶を飲んだ。
「ああ、それは問題ありません。僕もそれなりにお金は持っていますし、ゼティフォール様をもてなしたり、必要になったものの代金は後で魔王国から補填されることになっているんですよ。それに、これも一応仕事になりますので報酬が出ますし」
「そうか、それは何よりだ。もし報酬の面で何か問題があれば言ってほしい。後から話を付けておくからな」
「ありがとうございます。そうだ、何故ここに飛ばされたのかお聞きしてもよろしいですか?」
トニーは何気ない感じで尋ねた。
「ふむ。一応我が国の大臣に話してもよいか確認してからにしよう。知らぬ方が良い情報があるやもしれぬしな」
「はい、分かりました。せっかくこうして吸血鬼に会う機会を頂いているのですから、睨まれたくないですしね」
その時、トニーのパルトネルが振動した。
「お、丁度電話が来ましたね」
ゼティフォールは手で出るように促した。
「では、失礼。もしもし、トニーです。ああはい、無事お連れ致しました。はい、ありがとうございます。いえ、まだ大臣殿にお話しして決めるとのことで……。はい、わかりました」
トニーはゼティフォールにパルトネルを渡した。
「大臣殿ですよ。替わって欲しいと」
ゼティフォールはそれを受け取った。
「わかった……」
安堵したゼティフォールは、椅子にもたれながらコーヒーを口に含む。
「いや~、これは失礼! しかしながら、こちらもできるだけ早くお連れする必要がありましたから。ガハハハハっ」
スーツのドワーフが豪快に笑う。
この髭を蓄えたスーツのドワーフは、トニー・ガバオン。この町の町長の叔父にあたるヒトで、考古学をメインに吸血鬼の事を調べている。魔王国に何度も調査に行っており、その繋がりでチャピランやゼプトとも面識があるのだ。
「貴公がいて本当に助かった。あのままではまた装備も無しに野宿をする事になるところであったわ」
ゼティフォールは半分ほど飲み進めたカップを、質素ながらも趣のあるテーブルに置く。
「僕もまさか、昨晩までこのような大役をするとは思いませんでした。まさかの連絡だったもので、とるものもとりあえず仕事を放って急いで来ましたよ。それにしても間に合ってよかった」
昨日魔王国からトニーに、内密にゼティフォールの保護依頼が届いたのだ。
「そうだな……」
「下手に衛兵や警察、役人等に捕まってしまえば、国際問題ですから」
他国の王、それもひとりで数百では収まらない程の一般兵を優に倒してしまうモノが、国に無断で侵入し怪しい素振りをみせたとあれば、何かが起きなかったとしても、スパイ、侵略、国家転覆の暗躍等、いくらでも嫌疑をかけられてしまうだろう。そして、実際あの宿屋の店員は通報していた。
通報を受けて警察が出動しそうになった時に、丁度この町に帰ってきたトニーが機転を利かせ、逸れてしまった自分の客人だからと説き伏せて、信用の置けるモノとゼティフォール確保に向かったのである。
ちなみに警察と衛兵の違いは、基本的に警察はヒト相手で問題を解決する組織で国ではなく町によって管理されているのに対し、衛兵は基本的に国から派遣された、町や村で起こったモンスターによる問題を解決する組織である。だが、警察を置く余裕がない村などでは衛兵が警察の役割を果たす事も少なく無い。
「ふう、ごちそうであった。しかし、私はこれからどうすれば良いのだろうか? 国を跨ぐにしても身元不明のモノをそのまま出国させるわけにも行くまい」
「そうですなあ……。確保の後の事は僕もまだ聞かせて貰っていないので分かりませんが、仮の身分証明書を用意して出国するか、荷物として送るかですか。身分を隠さずそのまま返すのも、不法入国者として強制送還というのも、これまた大ごとになってしまいますからできませんし……」
「連絡待ちか……」
「ではどうでしょう、お風呂に入られては。着替えも用意しておきますし、今気をもんでも仕方ないですからね」
「良いのか?」
「はい。ラブラドリーテ町長は巷で噂の怪物についての会議だとかで数日帰ってこないみたいですし、ごゆっくりなさってください。そのうち魔王国からも返信があるでしょう」
「分かった。言葉に甘えるとしよう」
「ふむ、良い湯であった。そういえば、私の服が見当たらなかったがどうしたのだ?」
ゼティフォールは風呂から上がり、用意されていた服を身に纏った後、トニーが待っている居間に来ていた。
「今汚れを取っている所です。部分の損傷が激しい為に代りの布が見つからない限り修繕は難しいので、せめてと思いまして」
ノートパソコンを使って仕事をしていたトニーが、ゼティフォールに気付き返事を返す。
「そうか。置いてあった故この服を着たのだが、問題なかっただろうか?」
「ええ、そのために用意しましたからね。着心地はどうでしょう?」
「ああ、色も大きさも問題ない。しかも、身体をひねったり屈伸をしても突っ張る感じがしない。このまま戦闘ができそうな程だ。……気に入った」
ワイシャツに、暗めの金色のネクタイ、黒のベルトで、パンツとジャケットはワインレッドのスーツだった。配色はゼティフォールに合わせたのだろう。
「それはそれは、選んだモノに聞かせたら喜ぶでしょうねえ。ちなみにですが、そのスーツは魔法で編まれたものでして、本当に戦闘行為をしても大丈夫なように作られているんですよ」
トニーはひと段落着いたのか、ノートパソコンを畳んだ。
「ほう。いや、しかし破けてしまったらどうするのだ?」
ゼティフォールがトニーの前の席に着く。
「魔法装備修繕用の魔機があるんで、それを当てて貰えば、欠片も残さず消滅させられない限りは直す事ができるんですよ」
「ほう、それは良い事を聞いた。だが、そのような事をすれば、装備の複製ができてしまうのではないか?」
「ですから、魔法の装備は基本的に買い取りをしていなかったり、やっていても子どもですら喜ばない値段での取引きになっているんです。まあ、国からまず許可が出ないと売る事もできませんし、所持数や売り上げを報告しないといけませんから、そもそも取り扱っていないお店の方が多いんですけどね」
トニーがアイスティーをカップに入れてゼティフォールに渡す。
「店で買う場合の値段も、もしや国が決めているのか?」
ゼティフォールはアイスティーを受け取り一口飲んだ。
「ええ。その場合は高値での取引きにはなるんですが、国、町等、輸入の場合はその輸出国からも、売り上げの一部を税として納めなければならないんで、販売者はあまり儲ける事はできませんね」
「では、何故そこまでして店に並べるのだ?」
「魔法装備を欲しがるヒト達は、例外もあるでしょうが、それを買おうと言うのだからお金を持っています。それに、買い物はできれば一回で済ませたいですよね? ですから、売っているお店は魔法装備と一緒に利益の大きいアイテムも並べているんです。レア魔法装備を注文している店は、利益を出す為にも他の商品に力を入れている事が多いので、全体的に信頼度が高くなり、お客さんも多くなりやすいんですよ。しかしながら、魔法装備を仕入れたは良いが、他の商品に力を入れる程予算が無い、なんてことになれば、普通の商品は買われず魔法装備だけが売れてしまい、魔法装備を再入荷する予算を捻出できないお店は、ただの粗悪な装備しか売っていないお店に早変わり。信頼度は落ちて赤字となって、最悪お店を畳まなければいけなくなるんですよ。ああ、つい語ってしまいましたな、申し訳ない」
トニーは丁寧にゼティフォールに説明した。
「ふむ、詳しく教えてくれて感謝する」
「いえいえそんな! 僕ばかりが一方的に話してしまいましたが、気を悪くされませんでしたか?」
トニーは慌てる。
「いや、変に話を省略されるより、長い話の方が好みだな。それに、なかなか興味深かったしな」
ゼティフォールは口角を上げた。
「そう言ってもらえてありがたい」
トニーは乾いた口を紅茶で潤した。
「話は戻るが、このスーツは高かったという事だな。急に出させてしまって、大丈夫だったのか?」
ゼティフォールも紅茶を飲んだ。
「ああ、それは問題ありません。僕もそれなりにお金は持っていますし、ゼティフォール様をもてなしたり、必要になったものの代金は後で魔王国から補填されることになっているんですよ。それに、これも一応仕事になりますので報酬が出ますし」
「そうか、それは何よりだ。もし報酬の面で何か問題があれば言ってほしい。後から話を付けておくからな」
「ありがとうございます。そうだ、何故ここに飛ばされたのかお聞きしてもよろしいですか?」
トニーは何気ない感じで尋ねた。
「ふむ。一応我が国の大臣に話してもよいか確認してからにしよう。知らぬ方が良い情報があるやもしれぬしな」
「はい、分かりました。せっかくこうして吸血鬼に会う機会を頂いているのですから、睨まれたくないですしね」
その時、トニーのパルトネルが振動した。
「お、丁度電話が来ましたね」
ゼティフォールは手で出るように促した。
「では、失礼。もしもし、トニーです。ああはい、無事お連れ致しました。はい、ありがとうございます。いえ、まだ大臣殿にお話しして決めるとのことで……。はい、わかりました」
トニーはゼティフォールにパルトネルを渡した。
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