【絶対幼女伝説】 〜『主人公は魔王なのに』を添えて〜

是呈 霊長(ぜてい たまなが)

文字の大きさ
37 / 49
幼女+紳士さん

28話 〜少しずつ前進〜

しおりを挟む
「おるにゃん、だいじょうぶ?」
 ステラがオルランドに確認する。
「ああ、ステラのおかげでな」
 オルランドはステラに笑って見せ、腰のホルダーから杖を抜く。
「そか! ばんがれ、おるにゃん!」
 ステラが拳を握って応援する。気持ちが昂っているのか、翼もはためかせていた。
「必ず勝利しよう。約束だ」
 オルランドが深呼吸をひとつし、目を閉じる。
 風が草を撫でる音、柔らかな大地の香り、動物やモンスターの息吹を感じる。
 ここは以前シロプルと戦い、無様にも敗北を喫した草原。
 ここに居ればまた戦闘になるのも時間の問題だ。
 今のオルランドがあの時のままなら、何度挑んでも負けていただろう。
 だが、魔法耐性の付与されたトップハットを手に入れ、ステラにパルトネルで事前に情報を調べてもらい、これまでに何度もプルプルとの戦闘を重ね己を鍛えてきた。
「……もう、油断はしない」
 目を開けると、数メートル先にシロプルがいた。
 ここで負けるようでは、この先どこに行っても何かを成し遂げるのは絶望的であろう。
 シロプルの結晶を手に入れ、何度も自身をすくってくれたステラに少しでも恩返しをする。
 そして、失ったを取り戻す為、ゼティフォール自身に血を分けてくれた女性を見つけ約束を果たす為、オルランドは覚悟を決めた。
「ふー……。いくぞ」
 オルランドは静かに息を吐いて、シロプルに近づいていく。
「……」
 ステラも空気を読んだのか、言葉を発さず一瞥だけしてその場を離れた。
『プルル!』
 シロプルは近づいてくるオルランドに、警戒の色を示す。だが、不意打ちができないのは想定通り。
「プルプル種の視界は全方位……」
 気付かれてしまったオルランドは、先制攻撃をしかけるために足を速める。
『キュルル!?』
 相手は不意を突かれ、初動が遅れてしまう。故に、オルランドはその隙を突き、渾身の力を込めて杖を振り下ろした。
『プルッ!』
 シロプルは回避が間に合わず、攻撃に直撃し、数メートル吹き飛ばされる。
「まだだ!」
 オルランドは杖を引きつつシロプルを追いかけ、杖を振って連続攻撃を仕掛け、
「食らえ!」
 最後に全力の突きを放った。
『ギュルル!?』
 シロプルは何度も地面にバウンドしながら、またも飛ばされる。
「……まずは成功だな」
 次は警戒しつつ慎重に距離を詰めていく。
『ルルルルルル~』
 シロプルは既に魔法の詠唱に入っていて、今から走って行っても魔法を妨害する前に発動を許してしまうだろう。
「光魔法だな……」
 オルランドが左手をポケットに入れる。
『キュルップー!』
 シロプルが、以前オルランドを一撃で倒してしまったあの魔法を放った。
「今だ!」
 オルランドはポケットから砂を出し、広範囲に撒いた。
「良し」
 風で舞い上がった砂が砂煙のようになり、防壁のように光魔法からオルランドを守った。
「っ痛ぅ……」
 隙間から侵入した光が頬を焼くが、トップハットに掛かっている魔法がそれを軽減し、軽い火傷で済む。
「シロプルの魔法は威力も低く質量が殆どないため、光を透過しない物理的な盾となるものを用意すれば防ぎやすい。だったな……」
 オルランドが呟きつつその場を移動する。
 砂煙とシロプルの魔法で視界が悪くなった故、相手はオルランドの位置を把握できていない。
「今の内に……!」
『キュル!?』
 シロプルがオルランドに気付いた時にはもう遅い。既に杖は振り下ろされていた。
「はあっ!」
『プルル!』
 杖を受けたシロプルは、地面に反発して真上に跳ね上がる。
「まだだ!」
 オルランドは杖をグリップから柄に持ち替える。
 そして、空中で隙を晒しているシロプルにグリップを引っかけ、
「せいっ!!」
 大きく振りかぶり、シロプルを地面に叩きつけた。
「ギュルルル!?』
 これにはシロプルも大ダメージを受けてしまう。
「ふう、ふう……」
 オルランドは息を整える。これで終わったわけではないからだ。
『クルルーッ!』
 シロプルは普通のプルプルを遥かに超えるスピードで突撃してきた。
「ぐぅっ!」
 杖を両手で傾けていなそうとするが、回転しているので見た目以上に攻撃が重い。
「……しまった!」
 杖が巻き取られ、遠くに吹き飛ばされる。
『シュルルッ』
 シロプルは回転によって空中で体勢を整え、オルランドに再び突撃した。
「ぐはぁっ!」
 ガードしようとした左腕に大ダメージを受けてしまう。
「受けるのは無理か……!」
 その間にシロプルは体勢を整え、もうすぐにでも攻撃してきそうだ。
「食らえ!」
 オルランドはシロプルに向かって砂を投げつつ、バックステップで距離を取る。
『プルルーッ』
 突撃したシロプルだが、砂が邪魔で目標を捕捉できずに攻撃を外した。
「今の内だ」
 ステラに事前に分けて貰ったスプレー型回復薬を、オルランドはポケットから取り出して腕に噴射した。
「良し。一応繋がったな」
 手を握ったり開いたりして力を込めて、ダメージが治ったか確認する。
『プルップルッ』
 シロプルは連続で体当たりを仕掛ける。が、オルランドはステップを踏み、身体を屈め、逸らし、時に跳躍して、たまに掠りながらも攻撃を回避した。
「至近距離でなければ、ギリギリで回避できる。が……」
 だが、先程仕掛けてきた猛スピードの突撃をあれから見ていないのが気がかりであった。
「もう少し……」
 先程吹き飛ばされてしまった杖まで、あと少しの所まで来ていた。攻撃を回避しつつ移動していたのだ。
「早く拾わなければ……!」
 でなければ、もし攻撃を受けそうになった時に自身を守る術はない。
 オルランドはジリジリと距離を詰めていく。
『ルルルルル~』
 シロプルが魔法を詠唱する。
「今だ!」
 オルランドは向きを変え、杖に向かって走った。
『クルルーッ!!』
 だが、
「何っ!?」
 を読んでいたシロプルは、詠唱を中断、猛スピードでオルランドに突撃した。
「──ガハッッ!」
 突撃はオルランドのわき腹に直撃。オルランドは錐もみ、地面に叩きつけられてしまった。
「おるにゃん!」
 遠くで見ていたステラが、思わず声を上げてしまった。
「ぐぅ……」
 オルランドは打ちどころが悪く、まともに息ができない。痛みで脂汗まで流れて来る。
 それを見たステラは飛び出そうとするが、オルランドが手で『来るな』とジェスチャーを送る。
「……」
 困惑したステラは、その場で立ち尽くす。
「っくぅ……。ふっう、ぐぅ……」
 オルランドはポケットに手を伸ばそうとするが、
『クルルーッ』
「がふっ!」
 再び突撃されダメージを受けてしまう。
 その後もシロプルの攻撃は止まることなく、オルランドは抵抗できずに何度も突撃を受ける。傷まみれ、泥まみれ、汗まみれ。息も絶え絶えで、絶体絶命の危機に追いやられていた。
「おるにゃん……!」
 オルランドは上手く体が動かせないながらも、ステラに来ないようジェスチャーで伝えた。
『クルルッ、クルルッ』
 攻撃はまだ続く。オルランドは息が上手くできず、声が出せなくなっていた。
『キュルルーッ!』
 シロプルは回転しつつ突撃し、オルランドを大きく吹き飛ばす。
「くはっ!」
 力なくオルランドが転がる。
「おるにゃん……」
 ステラが心配そうに見つめる。
 シロプルは悠々と、転がったオルランドを追いかける。もう勝利を確信しているのであろう。
 オルランドは既に、今の状況も把握できない程意識が薄れていた。
「が、がんばれ……! おるにゃん、がんばれー! まけるなー!」
 ステラが全力で叫ぶ。
『キュル……?』
 シロプルがステラに意識を向けるが、そんな事一切構わず、ステラは声援を送り続けた。
「おるにゃん、がんばれーっ!!」
 喉が枯れるのではないかという程にステラが叫ぶ。
「はっ!」
 その時オルランドが、一度手放してしまった意識を取り戻した。
『プルル……』
 シロプルは動く事もままならないオルランドを捨ておいて、今度はステラを目標にかえて近づいていった。
「そうは……。させぬ……!」
 オルランドはスプレー型回復薬を全身に吹きかける。
「くっ! ふぅ……」
 しかし効果が弱く、怪我を治しきれていない。
 だがそれでも、オルランドは足を引きずりながら、武器の所へ急ぐ。
『プルル……』
 この間にも、シロプルはどんどんステラに近づいていった。
 武器が無ければまた攻撃の的にされるだけで、今度こそ止めを刺されかねない。
「急げ……。もう、少し……!」
 歩くたびに激痛が走るが、オルランドは歩みを止めない。
 必ず勝利すると、約束したからだ。
「キュルルルル!」
 シロプルが回転しつつ猛スピードでステラに突撃する。
「ひゃっ!」
 ステラはすんでのところで回避するが、シロプルはもう今にも次の攻撃を仕掛けようとしている。
「……貴様の相手は、この私だ! 私はまだ生きているぞ、貴様の実力はその程度か……。片腹痛いわ!」
 それを見たオルランドは、自分に意識を向けさせるため、シロプルを挑発した。
『……キュルップ』
 挑発したのが効いたのか、ただ大きな音が出た故に反応したのかは定かではないが、目論見通りシロプルは進行方向をオルランドの方へ変えた。
「まさか、この私がここまで弱くなってしまうとはな……」
 オルランドが落ちていた杖を拾う。
『プルッ、プルッ』
 シロプルは跳ねながらどんどんオルランドに近づいてくる。
「だが、諦めはせぬ。私は、魔王だ。最期まで信ずる道を進む。例え今は力が無くとも……」
 シロプルはもう目前に迫っている。
 オルランドは杖を上段に構えた。
『キュルルップー!!』
 シロプルは光をまとって、回転しつつ突撃を仕掛けてきた。この一撃で勝負が決まる。
「我が道の……」
 目を見開き、杖を絞るように力を込め、
「礎と成れ!」
 空を切り、全力で振り下ろした。
『ギュブルルッ!?』
 振り下ろされた杖は、光も回転もものともせず、シロプルの突撃を止め、
「おるにゃん、いっけー!!」
「はぁっ!!」
『ルブババッ』
 シロプルを一撃のもと粉砕し、再起できぬ程に弾けさせた。
 両者の攻撃は苛烈で、ぶつかるまでどちらが勝つかは分からなかった。だが、オルランドが勝った。
 そう、何故ならオルランドにはがあり、覚悟があり、そして応援してくれるモノがいたからだ。
「やったー!」
 ステラが喜び、オルランドの元に駆けてくる。
「勝った、のだな……」
 オルランドは気が抜けてその場で座り込んでしまった。
「やったね、おるにゃん! けが、なおしてあげるからね!」
 駆け付けたステラが、ウエストポーチから回復薬を何個か取り出し、オルランドに吹きかける。
「ああ、ありがとうステラ……」
「どういたましてー!」
 ステラが笑顔で応える。
「ステラの応援のおかげか、最後に今まで以上の力が出たのだ」
「そうなの?」
 ステラはオルランドの怪我を治しつつ首を傾げた。
「ヒトが仲間と共に協力する理由、それと何かを守る為に戦う理由。少し分かったかもしれぬ」
「そか、よかったね! はい、おしまい」
 オルランドの怪我を治し終えたステラが、スプレーをウエストポーチにしまう。
「助かった。ステラ、良い情報と悪い情報があるが、どちらから聞きたい?」
 オルランドは座ったまま、少し口角を上げながら言う。
「ん? じゃあ、わるいのから?」
 ステラは困りながらも答える。
「今後も私は何度も苦戦を強いられ、今回のように迷惑をかけるやもしれぬ。故に、先に謝らせてくれ」
「ん? ステラはおるにゃんに、あやまってほしくないよ?」
「む、何故だ」
 眉間にシワを寄せてオルランドが訊く。
「えとね、なにかしてもらったら、『ありがとう』っていうんだよ。だから、『ごめんなさい』はいらないの!」
 少し怒ったようにステラがオルランドに言い聞かせる。
「……そうか。では、ありがとう。それと、迷惑をかけるこのような軟弱な私だが、これからも宜しく頼む……」
 オルランドは苦笑いしながら言った。
「は~い。よろしくね、おるにゃん! あ、それと、いいじょーほー? は、なあに?」
「良い情報はな、ほら!」
 オルランドが手に持っていたものを、投げてステラに渡した。
「うぁっと!?」
 ステラが落としそうになるも、何とかキャッチする。
「手に入れたぞ」
「あ、これ!」
 ステラの顔が、先程までとは比べるまでもないくらいにパッと明るくなった。
「シロプルの結晶だ。これでアクセサリーが作れるな」
 オルランドは優しく笑う。
「ありがと、おるにゃん!」
「ぐはっ!」
 舞い上がったステラはオルランドに、シロプルの突撃よろしく強烈な体当たり、もとい抱擁をした。
「あれ、おるにゃん?」
 疲労困憊なオルランドは抵抗できず諸に衝撃を受け、
「あ、やっちゃった!」
 そのまま気絶してしまったという。
「ぶくぶくぶく……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

処理中です...