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第6話 畑に一粒の種を植える。
しおりを挟む鍬の耕す方の金属部分とは逆の柄の端に手のひらを乗せ、さらにその上に顎を乗せる。いかにもな農民なうなスタイル。遠目で見たら完璧だ。
ん?なんで俺がそんな格好で和んでいるかって?自分地の畑を耕していたからだ。
もちろんゲーム内の。このゲーム、初期から土地をもらえるのだ。
貰えると言っても一人暮らしにちょうど良いくらいの一軒家と4畳くらいの広さのまだ耕してもない畑を最初に無料でもらえるのだ。
一軒家の広さは最初は狭い。広さだけで言えば2DKくらいか。つってもそれでもリアルじゃ1ルームの俺のマンションの部屋より広い。なんか虚しくなるな…。
ただこっちの家はレトロ感を出してるんだかキッチントイレはあるがキッチンが土間で竈の癖に何故かガスコンロのひねるタイプのスイッチ?見たいのがあって中火弱火とか簡単に出来るようになっている。なんで見た目は昭和初期くらいのちょっと洋風の小屋のようで現代っ子にもそれなりに使いえる使用になっている。
トイレは外、と言うこともないがあれだ。デフォは無限に広がるブラックホールのような穴だ。穴があるだけだ。ゲームなのにトイレもあるのか?と言われそうだが、食うのだから合っても良いだろう。と言っても現実世界ほど頻繁に使うわけじゃない。これもレアと言って良いのか。たまにゲーム内で腹痛を起こすデバフをもつ食物がある。それを食べた時、恐ろしい腹痛を体験する。罰ゲームのようなそれは滅多に起こらない。起こらないだけであるのと、うちらPCとは別にNPCが普通に生活をする上で使用するので設置されているという理由もある。
ゲーム内とはいえ、NPCの数は惜しみなく配されているのでNPCのいる村も街も本物の都市のように生きた賑わいがリアルに再現されている。
AI技術の進歩も目覚しく、普通に話したら人間と大差ないほどの知識と流暢な会話を披露してくれる彼らは何度質問しても同じ会話しかしないということはない。
少し忘れっぽい。そういう所もあるが、ログインしている全部の冒険者の数を思えば、一人ひとり覚えておくのもまた難しいのかもしれない。
おっと、話は反れたがそんな訳で俺は久方ぶりのログインに続き、次の日もvariousにログインしている。キャラは新規で作ったキャラのもので
家もキャラごとに用意されているので新規のものを。variousでアカウントが同じキャラの共通部分なんて運営からの全プレのシリアルコードくらいで後はほぼ完全に別の人間として扱われる。
そのためもともと築いてきたフレンド関係もギルドも制限なく新たに気づけるのでそれは粘着などで困っていたユーザーにはありがたい対応なのかもしれない。
もし、新たなキャラで元もとのキャラのフレンドと会話したいなら新キャラを教えて新たにフレンドになればいいだけなのだから。
そう言うところ、このゲームは細やかに対応してくれている。
そう、だから俺はまだ前にプレイしていた時のフレンドにはまだたぶん見バレしてないのである。
なんでそんなことをしているのか、おれ自身にも明確な言葉はない。
前に遊んだ奴らが俺が復帰したからと一年も時間を置いてそう前のように頻繁に連絡してくるとも思わない。もしかしたら多くは止めた俺など早々にフレンド解除しているかもしれないし、同じく一年の間にやめたかもしれない。
ただ、前のキャラにログインすればフレンドにはログインしたことをフレンド閲覧から確認できる。俺はまだなんだかうだうだと考えてまだ前キャラでログインできていない。今更の癖にうじうじ悩む男なのである。
「クロって本当にあのクロなのかなぁ…」
俺の中で思い浮かぶクロは初心者マークのゲームに慣れていない弟分だ。
同じ名前だから同一人物ともいえない。改名カードはあるし、リアルと違いキャラの装備も何もかも自由に変えられるのだゲームは。
もしかしたら昔いたクロという人とは違うと言うことは十分に考えられる。
会いたい気持ちはあるが、会ってだからどうだと言うことだ。
ゲームでたまたま一時期、遊んだだけのフレンドユーザー。
一年も音沙汰なく、そして現時点での開きは天と地ほどもある。
馴れ馴れしく接してもいいものか、悩みものである。
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