前世で不遇すぎたおっさん、女神に憐れまれてチート貰ったので好きに生きてみる

紫楼

文字の大きさ
57 / 102
一章

海ダンジョン 4

しおりを挟む
 拝んでる男に結界を張ってから、天河を振ってゴブリンを倒した。
「ややや・・・お助けぇ・・・」
 コイツ、良くここまで来れたな。
 目を瞑って震えてるから結界張ってたのも気付いて無さげ。こそっと解除した。

「終わったぞ」
「は?ふぇへぇ!!?」
 腰が抜けてるのか上半身だけ左右に周りを見渡す。
「ええええぇぇえええ・・・」
 ドロップ品と武器がいくつか落ちてるだけになってる。

「怪我は?」
「ほぉあ!ちょっと切られたぐらいでぇ!」
 テンパって江戸っ子になっているこの男はブランと名乗った。
 前歯が印象的なハーフのネズミ獣人だそう。
 身長が俺の胸くらいで子供かと思ったら十八歳だとさ。

「わっちはこげな美しか男ん人見た事ないでやんすよ」
 何弁かわからないが結構訛ってるなぁ。
 でもめっちゃ褒めてくれて気分は良い。素晴らしかろう。俺の愛するイケメンの全ての要素を凝縮してるんだ。もっと褒めてくれて良いぞ。
 安心したからかめっちゃ喋る。

 ブランはぼっち攻略していたんじゃなく、仲間達がゴブリンの多さに対応しきれず、囮になれと置いて行かれたらしい。
 
 ひでぇなぁ。俺は今のところ嫌な冒険者に会ってなくて、ドットたちもランガたちも大当たりだったんだなぁ。

「わっちは弱い、荷物持ちでやんすから」
 しょぼんとしてるブランは近くに落としてあった大荷物を指差す。ゴブリンが荒らしたのかボロボロだ。

「マジックバッグないのか」
「何言ってるでやすか?そんなのレアでやんすよ!大金持ちの持ち物でやす!!」
 めっちゃツバ飛ばしてくるやん!

「装備を整えるので精一杯でやんすから」
「ここに入れるのCランクからだろ?そこそこ稼いでないのか?」
 キーーーっと歯を剥き出しにされた。
「お坊ちゃんはお金に苦労してないでやんすね!?ランクが上のダンジョンに入れるようになったら装備も良いやつに変えるでやすからお金なんてすぐ消えるでやんすよ」
 まぁ、防具とかもそれなりに気を使うか。

「で、ブランはこの後どうするんだ?五階層に戻って帰るか十階層目指すか」
 お金が無いなら緊急脱出用の魔道具持ってないよな。五階層に戻るならボス攻略が済んでるからゲートは使えるだろうけど、ブランが一人で戻るのは無理そうだ。

「ややや・・・」
 上目遣いで見てくるが男にはときめかないぞ。
「俺は今回三日しか居られないから戻りに付き合う気はないぞ」
 冷たいだろうが時間は有限だ。そして〈転移〉を使えることをバラすほどの信用はまだない。

「十階層までなら俺について来ればゲートで戻れる」
 ブランだけゲートを使えば良いしな。
「・・・十階層までお願いするでやんす」

「その荷物、ブランが持ってるなら他の連中は五階層に戻る感じか?」
 食糧やポーション、寝袋とか何も持ってない状態で先に進むのは無謀だろう。

「・・・アイツらの性格だと行きも戻りも同じだけの階層でやすから同じことだと進むと思うでやんす」
 なるほど。出てくる敵の強さはアップするのに考慮なしか。

 ちょっと聞くと仲間は狐、猿、狸の獣人だってさ。メンツが日本昔話に出てきそう。
 
「途中で見つけらたどうする?」
「・・・もう戻れないでやんすよ」
 だろうな。

「じゃ、助けないぞ」
「・・・」
 良心が咎めるか?ドットたちなら助けるかな??
 仲間を置き去りにする連中はバチが当たっても良いと思うが。

「なるべくガチ合わないように進もう」
 見ちゃえば気になるだろうしな。

「荷物は預かる」
「ほぇ?」
「俺は金持ちだからな」
 ボンボンではないし、苦労したことはないとは言わないけど、今はかなり恵まれてるぞ。チートな魔法使えて、神器クラス武器まで貰ったという恵まれ具合だ。
 ついでに傷にポーション使えと渡すと恐縮しつつ、「天使さま」って涙ぐむ。天使ってカナンとポルドスで聞いたことはないけど、他国人か?

「さて、風のように速く飛ぶように軽やかに〈俊足〉」
 自分だけなら省略出来るけど、人に付与する時はイメージを植え付けないといけない。面倒で恥ずかしいぞ。

「ほぇぇぇーーー!付与魔法ぅぅ!!」
「行くぞ」

 俺は今日中に十階層を超えたい。

 ブランは自分の足の軽さに驚きつつ、俺の足に付いてくる。

 元仲間に出会わないようにこっそりスマートウォッチを確認して進んでいるんだが、近くに反応はないな?すでに九階層に進んだか?

 ブランは荷物持ちだからか俺が途中で倒した獲物のドロップを俊敏に拾ってくれる。
「ジェイルさん、運がいいほうでやんすか?」
「んー、多分良いと思う」
 この世界ではな。

「ドロップ品が当たりの方が多いでやんすよ」
「そうか?」
「わっちらだとハズレ続きでこの差にうんざりでやんすよ」
 んー、皮か牙とかの当たりとかわからないぞ。

「あ、あの木の実美味いでやんすよ」
 ブランが言う木の実は高い位置にあった。ブランの前で短銃使えないぞ。っと悩んでたらブランがスルスルっと登って行って、ポコポコっと落としてくれた。身軽だ。

「もちっとしてねっとりなんでやんす」
 ブランが中身を出してくれて食べると、どうやら牛乳餅かバター餅のような甘ったるいような素朴な味。
 食感は缶詰の桃・・・?

「好きじゃないでやんすか?」
 ブランは頬をパンパンにして食べている。ネズミっていうよりリスのようだ。

「いや懐かしい感じのだよ」
「でやんしょ」
 口に入れたままで話すなよ。

 出会いは緊迫だったのに、ちょっと気が抜けるような感じでのほほんと八階層を出たよ。




しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました

山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。 王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。 レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。 3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。 将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ! 「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」 ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている? 婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。