女神に可哀想と憐れまれてチート貰ったので好きに生きてみる

紫楼

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二章

護衛依頼中 4

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 夜九時過ぎ、予定の三時間遅れで、ドレッドの村に到着した。

 宿、貴族が泊まるような格では無いけれど、牧場や林業地の宿よりは体裁が整っている建物に護衛、侍従を詰め込めるだけ詰め込んだ部屋割りで。

 俺たちは納屋みたいなところに。こんな大所帯受け入れるような村じゃないんだって。
 でも旅行とかする貴族はどうしてるんだと思えば、ゆっくり移動でゲル(天幕)建てたり、場所によっては、馬車で休むこともあるらしい。貴族馬車内からそこそこ快適かね?
 騎士や護衛は地べたで仮眠。それで何週間?ハードだ。

 子供がいるから、まだマシな環境らしい。
 俺、今後は護衛依頼受けないぞ。

 遅いけど、ミシェルのご飯の準備に行く。
 ドットたちはさすがにポルドス弁当を食べるって。

 案内されて、執事にミシェルが夕食がわりにクッキーを食べてるので軽く食べれるものっていうので、とりあえずクタクタにした野菜ペーストを牛乳で煮込んで、スムージー状態のスープを。

「これは?」
「野菜を細かくして煮込んだミルクスープ」
 〈ルーム〉でフードプロセッサを使って作ったものだけど、頑張れば、自力で細かく出来るだろう。
 昔、微塵切りってストレス解消にどこまで細かく刻めるかってやってたけど、機械の力を知ってしまうと虚しくなるよ。

「美味しいものではない?」
「野菜は煮込むと甘味が出てくるよ」
 コンソメ入れたいけど、じっくり見られてる。
 シルスファンは宿の食事を食べるらしいけど、ミシェルのスープを薄めてに甘芋を刻んだものを少し入れて味を整えて渡す。残れば誰か飲むんだろう。

 味見(毒見)をしてから侍女が運んで行った。

「朝作るまで待たせるのは可哀想だから、仕込みをしたいんだけど?」
「そうですね。よろしくお願いします」

 執事はあっさり下がって、調理人キリムがお手伝い兼見張りで残った。

 魚と肉を細かく切って、それぞれ小さめなつくね状に丸めた。
 キリムがなぜ細かく?って聞いてくる。
「小さい子は飲み込むのも噛むのも苦手だから食べやすくしてる」
 と言えば、納得してくれる。
 粗挽きなソーセージがあるんだから、細かく切るのはあるんだろうけど、子供用にはやってないのかね。

 つなぎに片栗粉がないので芋ペースト使った。コロッケじゃん!
 軽く焼いて、明日はスープに入れるって伝えた。
 ミシェルの様子を聞くと馬車疲れで元気がないらしいので、胃に優しいものを続けることにした。

 うどんや米が使えると楽なんだけど。

 キリムが野菜の微塵切りを買って出たので明日からの分を山盛り任せて、俺はおやつ用クッキーとパンケーキを焼くことに。

 簡単なものなら作れるんだ。

 なぜかって?
 お小遣いが少ない、小中学生のころだ。姉貴と妹が好きな人にバレンタインにチョコを~とか、誕生日にクッキーをとか、とりあえず作るんだよ。
 でもあいつら飽きたり、失敗すると俺に「手伝って~」とか言い出す。
 友達の姉ちゃんは「味見して」とかで毎日同じお菓子が出てくるとか聞いてたのに、味見は無かった。

 結局最後は俺が全部仕上げてたんだ。
 ふははは!歴代彼氏どもよ!彼女の手作りって喜んでたお菓子は全部俺の手作りだ!!サーセン!!ザマァ!!

 そんな二人も無事結婚して、子供の弁当を作るオカンだ。
 姉ちゃんの旦那、俺が作ったガトーショコラがキッカケで付き合い始めたんだぜ?
 なぜ俺には・・・、目から変な汁が出るわ。

 ふぅ。
 この世界ではまだチョコを見つけていないので、とりあえず素朴なナッツ、ドライフルーツクッキーだ。
 パンケーキはバナナを入れた。
 手掴みで食べれるサイズ。

 何回か分は作れたので、また明日ってことでキリムと別れた。
 
 すでに深夜なので警戒中の見張り役がパラパラ立ってるくらいで、村の食堂くらいしか明かりが付いていない。

 俺はこれくらいならタバコ吸っても良いなと咥えて、ドットたちのいる納屋を目指す。

 クレイバーとシャートは寝てたけど、俺の気配で起きた。

「おかえりー」
「お疲れ」
 俺たちの見張りタイムは明け方らしいので、寝てたらって言うと良い匂いがするとドレイクがスンスンとやってる。
 オッさんがオッさんを嗅ぐんじゃない。

「スープとか作ってただけだよ」
「あー、温かいもの良いね」
 作れって言うのね。

 仕方ないので野菜を適当に刻めと渡して、使ってと渡されたボア肉の細切れを少し火で炙って鍋に入れる。
 肉の解体が出来るから、任せても大丈夫だろうと思ったんだよ。
 だいぶ大雑把だったけど、ちゃんと細かくなった。

 コイツらなら多少変わったの入れても気にしないでろうけど、良い匂いしちゃうと周りにバレちゃうので、薬味系ハーブを葉っぱや根っこは刻んで、種は叩き潰して混ぜた。

「薬屋の匂いがする」
「体が温まるし、ピリ辛で良いんだ」
「ほー」
 生姜と唐辛子、山椒、チャイブみたいなのを入れた。若干飲みにくいか?
 夜の山間部にいる状態なのでこれで良いだろう。

「組み合わせ、よく分かるなぁ」
「んー、適当」
「適当かよ!」
 こそっとちょっとだけ鷄ダシの顆粒入れた。
 
「あー」
「ふぉ」
 生姜の味に慣れていないらしいどっちたちが、一瞬だけ変な声出したけれど、野菜と肉の出汁も出てるから美味しく飲めたようだ。

「ポカポカする気がするー」
 効くの早いな?
「薬屋の草がこんな味になるのか」
「薬屋の匂いはヤバいのにな」
 
 ボルクさんもちょっとはハーブ使ってたのに。作ってる最中を知らないとわからないかもな。




 納屋はなんかいろんな匂いが混ざってたので俺は外で寝袋で寝ることにしたよ。
 


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