8 / 8
7
しおりを挟む
数年ぶりの領地は穏やかな風と長閑な空気でレインティアを迎え入れた。
田舎とまでは行かずそれなりに発展してはいるが王都のように密集した家屋や店舗はなく、畑や牧場が点在している。
幼い頃は通年領地で過ごし、10の頃から王都と行き来が始まり、15の年で王宮にほぼ軟禁になった。
レインティアは数日屋敷でゆっくり過ごして、近隣を散歩して過ごした。
「やっぱり故郷はいいわね」
「そんな枯れたことを仰るお年ではないでしょう」
後ろについて歩いている侍女のネネが笑う。
「年は関係なくてよ?」
牧場では牛や羊が自由に駆け回ったり草を喰んだりしている。
動物は自由気ままで良いだなんて言う気はないけれど、王宮での日々と比べたらここで寝そべってぼんやりして過ごす日々が羨ましいとレインティアは思ってしまう。
でも今は解放されたのだ。
いざ自由を得るとあれこれやってみたかったのについ「明日にしよう」と流してしまう。
この自由が有限であったらもっと焦るのかも知れないけれど今は先が何も決まっていないから・・・は言い訳だろうか?
友人たちが遊びにきてくれたらきっと予定がびっしり埋まるわね?とレインティアは楽しみにしている。
屋敷に戻ると家令が手紙を渡してきた。
「あら?」
友人たちの名前の他にも数枚封筒がある。
「まぁ、ディライト卿からも来てるわね」
彼の帰国後に開催された茶会は、お誘いがあったようだけど、母たちが今は見合い的なものに参加させる気はないとお断りしてくれたので、彼に会うことはなく王都を離れたのだ。
急ぎではないと判断したのでまずは両親のいる居間に顔を出すことにした。
「あら、お帰りなさい」
「おかえり」
父と母は手紙や書簡を手に何やら話し込んでたようだ。
「ふぅ、ティアはしばらく休養をさせると言っておるのに見合いだ茶会だ夜会だの色々誘いがあってな」
婚約破棄などがあったのに?と首を傾げた。
「ティアに非があったわけではないからな。まぁそれでもバカにしたのか傷があるなら格下でも良いだろうと男爵家や後妻になどと話にもならない話もくるがな」
身分で差をつけたくはないけれど、家格が釣り合わないと言うのは両家にとって碌なことにならないので避けるのは仕方がない。
後妻も別に構わないけど、どういった離別理由かに寄ると思うが、父が静かに怒っているところを見ると良い意味では無さそうだ。
せっかく気楽になったのに訳アリな問題を抱えた相手はゴメンなのである。
「うふふ、私の可愛いティアを安く見たお家はちょっと痛い思いをしておいた方が良いわね」
「ははは、放っておいても自爆で消えそうだがな」
久しぶりに共に暮らせるようになった両親は随分と過激になってしまった気がする。
よほどストレスを抱えてしまっていたのだろうか?
夕食までは自室にいると伝えてて部屋に戻るとナーシャとネネがお茶を用意してくれた。
先ほどの手紙を開いていけば、友人たちからは近日我が家に向かう旨が書かれていて。
学友たちからはご機嫌伺いと近況報告。
ディライトからは領地に訪ねても良いかと簡素な伺いだった。
それぞれに返事を認めて、ディライトには近いうちに旅行に出るだろうから日程が合えばと返した。
「ナーシャ、ネネ、エリアーナたちがもう数日で訪ねて来るそうよ」
「まぁ予想の範囲ですね。すでにいつでも大丈夫なように整えておりますよ」
「さすが私のナーシャとネネは敏腕ですことね」
両親も兄も王都にいる時よりゆったりとしながらも事業や領地の視察にと充実した日々を送っている。
時折、王都に残っている貴族から懇願や嘆願が届いたりしているようだが引き継ぎに
の要件以外は撥ねつけている。
レインティアは何もしなくても良いと言われているのでそれに甘えているけど、少し手持ち無沙汰になってきていた。
家令の仕事を覗いたりして暇を潰していたら、まずはミシェルが我が家に到着した。
「レインティアさま、お久しぶりにございます。お元気でいらっしゃいましたか?」
出迎えると早速小走りで抱きついてきた。
「ええ、元気よ。ミシェルこそ元気でしたの?」
「全然!元気じゃありませぇん」
「ええ!?大丈夫なの?」
思わずミシェルを引き剥がして顔を見ると、
「レインティアさまと会えない日々が続いたら元気でいられるわけないじゃないですか~」
わぁわぁと泣き出してしまったミシェルに困惑しながらも真っ直ぐな愛情をぶつけられて喜びを感じる。
「ナナミーもミシェルも婚約者を待たずに出発しましてよ」
「あらあら」
二人とも領地が遠いから一旦帰っているとここまで来るのに半月以上かかりそうだ。
「ネイサンはウィンフォース家の騎士団に自分の部下を任せるからってしばらく訓練に付き合うって言うからしばらく来られないの」
ミシェルが少し寂しそうにしている。レインティアにべったりといってもちゃんと愛情を持っている関係で羨ましいと思っている。
「あら?そう言えばネイサンさまはご実家のウィンフォース騎士団かあなたのアイスバーグ騎士団に所属しなくてよろしいのかしら?」
先ほどのミシェルの話ではしばらくと言っていた。
「ティアさまと共に仕事をする方が幸せなので騎士団は他の兄弟に任せますのよ!ネイサンは私の婿ですもの、一蓮托生ですわ」
ミシェルにベタ惚れなネイサンを知っているので無理矢理ではないことはわかっているけれど、将来有望な騎士であるネイサンをと思うとこれでいいのかと心配になる。
「王国騎士団に残っていたら泥舟ですし、我が家もウィンフォース家も実力が揃いなので心配いりませんわ。ネイサンには私たちを護るって仕事が出来て騎士団で頑張った甲斐があったと喜んでもらってますのよ」
そこまで言ってもらえれば納得するしかない。
「お茶をお持ちしました」
侍女ナーシャがティーワゴンを押して入ってきた。
「まぁ!久しぶりにサンダーホーク家のケーキが食べられますのね」
主人の友人たちの好みを熟知しているナーシャがしっかりミシェルの大好物のショコラケーキとラズベリーティーをテーブルにセットして下がった。
田舎とまでは行かずそれなりに発展してはいるが王都のように密集した家屋や店舗はなく、畑や牧場が点在している。
幼い頃は通年領地で過ごし、10の頃から王都と行き来が始まり、15の年で王宮にほぼ軟禁になった。
レインティアは数日屋敷でゆっくり過ごして、近隣を散歩して過ごした。
「やっぱり故郷はいいわね」
「そんな枯れたことを仰るお年ではないでしょう」
後ろについて歩いている侍女のネネが笑う。
「年は関係なくてよ?」
牧場では牛や羊が自由に駆け回ったり草を喰んだりしている。
動物は自由気ままで良いだなんて言う気はないけれど、王宮での日々と比べたらここで寝そべってぼんやりして過ごす日々が羨ましいとレインティアは思ってしまう。
でも今は解放されたのだ。
いざ自由を得るとあれこれやってみたかったのについ「明日にしよう」と流してしまう。
この自由が有限であったらもっと焦るのかも知れないけれど今は先が何も決まっていないから・・・は言い訳だろうか?
友人たちが遊びにきてくれたらきっと予定がびっしり埋まるわね?とレインティアは楽しみにしている。
屋敷に戻ると家令が手紙を渡してきた。
「あら?」
友人たちの名前の他にも数枚封筒がある。
「まぁ、ディライト卿からも来てるわね」
彼の帰国後に開催された茶会は、お誘いがあったようだけど、母たちが今は見合い的なものに参加させる気はないとお断りしてくれたので、彼に会うことはなく王都を離れたのだ。
急ぎではないと判断したのでまずは両親のいる居間に顔を出すことにした。
「あら、お帰りなさい」
「おかえり」
父と母は手紙や書簡を手に何やら話し込んでたようだ。
「ふぅ、ティアはしばらく休養をさせると言っておるのに見合いだ茶会だ夜会だの色々誘いがあってな」
婚約破棄などがあったのに?と首を傾げた。
「ティアに非があったわけではないからな。まぁそれでもバカにしたのか傷があるなら格下でも良いだろうと男爵家や後妻になどと話にもならない話もくるがな」
身分で差をつけたくはないけれど、家格が釣り合わないと言うのは両家にとって碌なことにならないので避けるのは仕方がない。
後妻も別に構わないけど、どういった離別理由かに寄ると思うが、父が静かに怒っているところを見ると良い意味では無さそうだ。
せっかく気楽になったのに訳アリな問題を抱えた相手はゴメンなのである。
「うふふ、私の可愛いティアを安く見たお家はちょっと痛い思いをしておいた方が良いわね」
「ははは、放っておいても自爆で消えそうだがな」
久しぶりに共に暮らせるようになった両親は随分と過激になってしまった気がする。
よほどストレスを抱えてしまっていたのだろうか?
夕食までは自室にいると伝えてて部屋に戻るとナーシャとネネがお茶を用意してくれた。
先ほどの手紙を開いていけば、友人たちからは近日我が家に向かう旨が書かれていて。
学友たちからはご機嫌伺いと近況報告。
ディライトからは領地に訪ねても良いかと簡素な伺いだった。
それぞれに返事を認めて、ディライトには近いうちに旅行に出るだろうから日程が合えばと返した。
「ナーシャ、ネネ、エリアーナたちがもう数日で訪ねて来るそうよ」
「まぁ予想の範囲ですね。すでにいつでも大丈夫なように整えておりますよ」
「さすが私のナーシャとネネは敏腕ですことね」
両親も兄も王都にいる時よりゆったりとしながらも事業や領地の視察にと充実した日々を送っている。
時折、王都に残っている貴族から懇願や嘆願が届いたりしているようだが引き継ぎに
の要件以外は撥ねつけている。
レインティアは何もしなくても良いと言われているのでそれに甘えているけど、少し手持ち無沙汰になってきていた。
家令の仕事を覗いたりして暇を潰していたら、まずはミシェルが我が家に到着した。
「レインティアさま、お久しぶりにございます。お元気でいらっしゃいましたか?」
出迎えると早速小走りで抱きついてきた。
「ええ、元気よ。ミシェルこそ元気でしたの?」
「全然!元気じゃありませぇん」
「ええ!?大丈夫なの?」
思わずミシェルを引き剥がして顔を見ると、
「レインティアさまと会えない日々が続いたら元気でいられるわけないじゃないですか~」
わぁわぁと泣き出してしまったミシェルに困惑しながらも真っ直ぐな愛情をぶつけられて喜びを感じる。
「ナナミーもミシェルも婚約者を待たずに出発しましてよ」
「あらあら」
二人とも領地が遠いから一旦帰っているとここまで来るのに半月以上かかりそうだ。
「ネイサンはウィンフォース家の騎士団に自分の部下を任せるからってしばらく訓練に付き合うって言うからしばらく来られないの」
ミシェルが少し寂しそうにしている。レインティアにべったりといってもちゃんと愛情を持っている関係で羨ましいと思っている。
「あら?そう言えばネイサンさまはご実家のウィンフォース騎士団かあなたのアイスバーグ騎士団に所属しなくてよろしいのかしら?」
先ほどのミシェルの話ではしばらくと言っていた。
「ティアさまと共に仕事をする方が幸せなので騎士団は他の兄弟に任せますのよ!ネイサンは私の婿ですもの、一蓮托生ですわ」
ミシェルにベタ惚れなネイサンを知っているので無理矢理ではないことはわかっているけれど、将来有望な騎士であるネイサンをと思うとこれでいいのかと心配になる。
「王国騎士団に残っていたら泥舟ですし、我が家もウィンフォース家も実力が揃いなので心配いりませんわ。ネイサンには私たちを護るって仕事が出来て騎士団で頑張った甲斐があったと喜んでもらってますのよ」
そこまで言ってもらえれば納得するしかない。
「お茶をお持ちしました」
侍女ナーシャがティーワゴンを押して入ってきた。
「まぁ!久しぶりにサンダーホーク家のケーキが食べられますのね」
主人の友人たちの好みを熟知しているナーシャがしっかりミシェルの大好物のショコラケーキとラズベリーティーをテーブルにセットして下がった。
30
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!
月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、
花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。
姻族全員大騒ぎとなった
何故、わたくしだけが貴方の事を特別視していると思われるのですか?
ラララキヲ
ファンタジー
王家主催の夜会で婚約者以外の令嬢をエスコートした侯爵令息は、突然自分の婚約者である伯爵令嬢に婚約破棄を宣言した。
それを受けて婚約者の伯爵令嬢は自分の婚約者に聞き返す。
「返事……ですか?わたくしは何を言えばいいのでしょうか?」
侯爵令息の胸に抱かれる子爵令嬢も一緒になって婚約破棄を告げられた令嬢を責め立てる。しかし伯爵令嬢は首を傾げて問返す。
「何故わたくしが嫉妬すると思われるのですか?」
※この世界の貴族は『完全なピラミッド型』だと思って下さい……
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
〔2026/02・大幅加筆修正〕
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
王妃ですが都からの追放を言い渡されたので、田舎暮らしを楽しみます!
藤野ひま
ファンタジー
わたくし王妃の身でありながら、夫から婚姻破棄と王都から出て行く事を言い渡されました。
初めての田舎暮らしは……楽しいのですが?!
夫や、かの女性は王城でお元気かしら?
わたくしは元気にしておりますので、ご心配御無用です!
〔『仮面の王と風吹く国の姫君』の続編となります。できるだけこちらだけでわかるようにしています。が、気になったら前作にも立ち寄っていただけると嬉しいです〕〔ただ、ネタバレ的要素がありますのでご了承ください〕
遊び人の侯爵嫡男がお茶会で婚約者に言われた意外なひと言
夢見楽土
恋愛
侯爵嫡男のエドワードは、何かと悪ぶる遊び人。勢いで、今後も女遊びをする旨を婚約者に言ってしまいます。それに対する婚約者の反応は意外なもので……
短く拙いお話ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
このお話は小説家になろう様にも掲載しています。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる