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三章
489話
しおりを挟むあと一週間切ってるからそれなりの準備は整っているのに、後から後から役人たちがひっくり返すをしてるらしい。
身内だけの席な、昼食の時に私は提案をした。
「役人は外交部の方達ですよね?」
「そうだが」
レオルカさまが頷く。
「相手をしているこちらの者は、文官試験は?」
「半々かなぁ」
執務を手伝う家令さんの下の人たちと、侍従さんたちは学園でそれなりの教育を受けている人材なはず。
「では、役人を相手するなら皆さん公用語で話すように通達してください」
「「「え」」」
「ナギ国の方たちは、レイドラアース語を使えません、大陸の公用語を使える通訳を通すことになります。なので付け焼き刃にはなりますが、私たちも公用語では過ごすことに慣れておくべきです」
笑っているのは、お義母さまとシャロンさまだけであとは顔が引き攣っていた。
「おほほ、みんな習ってきたでしょう?」
「いやー、滅多に使わないから」
侍従さんたちもちょっと苦い顔してるなぁ。
「希望される方は夕食語に勉強会をしましょう。公用語を使いこなせる人には技能手当てが付きますよ」
ね?今後も要人が来るだろうから必要な経費だ。
目線でレオルカさまに促すとハッとしたみたいで頷く。
「試験を受けてもらうが能力に応じて給金を上げることを約束する」
学園の卒業試験を受かった人たちなんだから、覚えなおせばイケるはず。
さて、外交部のお役人さまはどれくらいのレベルかしらね?
「私はカタコト程度なんです」
マデリーさまは語学が苦手だそう。
「難しい事は通訳を通せば良いですし、気負わなくて大丈夫ですよ」
そもそもレイドラアース語って言ってもグリーンリバーやキャベルルンと隣国はちょっと発音が違う程度なので、公用語を使う場面が少ないんだよね。
国が二つ三つ離れると別言語になっちゃうので公用語は王族と高位貴族、王宮勤めには必須なんだけど、近隣でも滅多に交流してないからねぇ?
「まずはクソ役人に話しかけられても公用語で通せば良いわねぇ」
お義母さまたちがクスクス笑ってる。
鬱憤溜まってたんだろうな。
私はその場にいなかったけれど、公用語しか使ってはダメだって伝えたら、めっちゃ反発を受けたらしい。
でもみんな公用語で返して、相手が折れるまで公用語で聞き返したって。
外交部の人じゃなかったらこの手は使わないんだけどね。
夕刻前に王国騎士団と外務大臣とその側近が到着した。
私は、レオルカさまとセリウスさまとマデリーさまとでお出迎えした。
『ようこそ、いらっしゃいました』
大臣のアスター・ガルフ侯爵が一瞬キョトンとしたが、フッと微笑んでから挨拶をしてくれた。
『お出迎えに感謝する。予定より遅れてしまったが、騎士団を送ってくれて助かりましたぞ』
『すみませんね。海の整備に忙しく街道は手薄にしてしまったようす』
王国騎士団の面々が薄汚れちゃってるの。〈洗浄〉使ってるだろうけど、くたびれ感がね。
辺境に来るには護衛が必要なのを体現してくれてありがとう。私はしっかり守られてたから、実感があんまりなかったけど、危険って言われてるのは仕方なかったね。王国騎士団が疲れちゃうんだもの。
いつかの押しかけ令嬢たち、運が良かったのね。
『皆さま、お疲れでしょうからまずはお風呂と食事をどうぞ』
マデリーさまが言うと、副隊長さんが、
『ありがとうございます。お心遣いに感謝します』
って答えた。ちゃんと使えそうなお人だった。良かった。
やり取りを忌々しげに見てるのは要注意だね。チェックチェック。
ちなみに銭湯のある宿はまだ解禁前なので室内用ね。
流石にナギ国の王族にはご案内すべきだろう。
騎士団の皆さんを侍従さんたちがご案内してくれた。
ガルフ侯爵が、一緒にいたお義母さまとシャロンさまに話しかけてきた。
『私の部下たちが無礼をしたのだね。行き届かなくて申し訳ない』
『いいえぇ、至らないおぼっちゃまは何処にでもいますものねぇ』
目が笑ってない中の寒々しい会話だ。
『ハーボットの一派が一掃できたのは良かったが悪事を働く者は小狡くともそれを活かすために有能ではあったのでね。残ったのは毒にも薬にもならぬのだよ』
わー。クソお祖父様!まだまだ被害が表に出てくるよ。
『グレーデン辺境伯夫人、教育に力を入れるのは私も望むところではあるが急な変化について来られない古い者もいる。歩み寄りを見せるためにも年寄りを味方につけるのが良いよ』
うぶー、さすが大臣なだけあった。ちゃんと釘を刺してきたよ。
『だが大した脳がないのに威張っておるのには良い薬になろう。公用語もできずに、また学ぶ気もない者は淘汰せねばな』
良い笑顔で先に来て騒いでた連中を見る。
おそらく半分くらいは話してる内容がわかってるだろう。わかってるよね?
『さすがに歳を感じる。食事と風呂をいただいて休ませてもらおう』
王様、改造馬車貸してくれなかったかな??
食事会は明日になったよ。
「はぁー、ガルフ侯爵は迫力があるよ」
『気を抜いたわねぇ』
『あ!』
レオルカさま、一点減点。
『身内の時はいいでしょ』
『気を抜いたら、いざという時に出ちゃうのよ』
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