総理大臣 藤堂 光

椎名ほわほわ

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第四話

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 ──日本時間では、2月24日、AM0時00分、国際連合本部会議場。



「報告は以上であります! 日本は間違いなく、再び世界征服のための行動を開始したことを、世界の皆様に報告させて頂きます!」



 ここ、国連本部にて《日本を除く》加入国全てが召喚され、会議が行なわれていた。会議の内容は『日本による世界征服計画の断固阻止、ならびに日本への懲罰内容』である。



「わが国からも報告します、彼らは善意で我が国に協力していた日本人を拉致し、わが国の一般市民を大量に虐殺しております! 彼らへは何の慈悲も必要ありません!」



 念のため申し上げておくが、フルーレの部下達は一般市民には一切攻撃を仕掛けておらず、殺したのは必要最小限の兵士のみである。また、善意で協力等とこの国は言っているが、それはあくまで見栄えをよくするだけの建前であり、実際は酷使して生産業を行なわせており、そこから上がる利益を奪い取っていただけである。明らかに日本に対して、一方的な酷い言いがかりなのだが、都合がその方が自国にとっても都合が良いためそれを指摘する国は居ない。



「とはいえ、日本国民は、現日本首相のヒカル・トウドウに扇動されただけであると予想される故に、日本首相であるヒカル・トウドウの首を落とせば自然におさまる可能性も否定できない」



「その可能性は十分に考えられる。日本のことだ、あの放送に催眠電波などを仕込み、国民を操っている可能性も否定が出来ない」



 などと、荒唐無稽な言いがかりを、現日本首相の光が実際に犯している罪状であるかのように、濡れ衣を次々と重ね着させるかのように上乗せしていく。生かさず殺さずでやっていても、せいぜい持って100年程度で潰れるだろうと思われていた、当初の世界の予想を大きく裏切り、日本は1000年耐えてきた。


 そこには不気味な力か何かがあの国には存在していると内心で、世界の各国は有りもしない物に対して、無意識に脅えているのである。そして脅えるが故に、その処罰は苛烈な物になっていくのだ。その繰り返しが、より恨みを、悲しみを、そして何より怒りを深く、強い物にしていくだけだというのに。



 それらの発表がいくつか出された後、議長を務める男が纏め始める。その表情は、実に歪みきっていた。



「今までの発表、ならびに危険性の指摘は、十分に日本が再び暴走を始めたと判断するに足りるだろう。よって、日本の首相に対してのみ、粛清を実行する事を許可する! 粛清開始許可は、これより発動……」


 させる、と議長の男が言う前に声を割り込ませた国があった。


「失礼ながら、これからの発言をする事に対しての許可を頂きたい!」


 この声に議長はしかめっ面をしていたが、発言した国が現在の世界においてトップクラスの軍事大国の国であり、常任理事国の一国であるが故に「発言を許可する!」と発言した。なお、現時点では2000年前と違い常任理事国は5枠から8枠へと拡張されている。


「ここまでの大きい仕掛けは、日本の首相だけでは不可能である。また、あの放送をする前日、ヒカル・トウドウがテンノウの前へ訪れている事が判明している! つまり、テンノウも共犯であり、今回の粛清許可は、ヒカル・トウドウだけでなく、日本の皇帝であるテンノウも粛清せねばならないと進言する!」


 この発言により、国連の会議場は一気に騒ぎが発生した。その通りだ! とどなる声もあれば、そこまでやると日本人が自棄を起こして、今後使い物にならなくなる! などの反論も飛び交っている。2分ほど後に、議長が木の槌をダン、ダン!と打ち鳴らす。



「静粛に! ──今の発言は非常に重要なものであると考えられる! よって多数決により、日本の皇帝である『テンノウ』にも粛清対象として扱うかどうか、多数決を取ろうと思うがよろしいか?」



 この議長の提案に全ての国が多数決による決定を行なうべきである、との意見で一致した。



「では、多数決を取る。『テンノウ』の粛清を行うべきか否か! 手元にあるスイッチにてそれぞれの国の意思を表していただく」



 一斉に静まり返った国連の会議場で、スイッチが押される音だけが響く。 しかしそこには一種の狂ったような熱気が溢れかえっていた……そして、結果が発表される。



「静粛に。では、これより結果を発表する」



 そして前面の巨大スクリーンに結果が発表される。『テンノウ』の粛清を行なうか否か。YESが172国、NOが21国と結果が映し出され、圧倒的多数で『テンノウ』への粛清許可を出すべきとの結果が出た。



「見ていただいたように、『テンノウ』への粛清許可を求める票が圧倒的多数なのを確認し、今回の粛清必須対象は、日本国首相のヒカル・トウドウと、テンノウの2人になった!」



 議長の発言を受けて、満足そうに進言をした某国の代表は頷いている。多くのざわめきがしばらく続いたが、更に某国の代表は、ざわめきが収まってきたところで言葉を続けた。



「粛清の順番ですが、まずはヒカル・トウドウを先に消しましょう。それで今回の粛清が終わった、と油断したところでテンノウを狙うのです。 そうしたほうがより日本は世界にとてつもない無礼を働いたと、日本国民にも理解させる事ができるでしょう!」



 そこからは粛清作戦を練り、まずは今回の首相であるヒカル・トウドウを粛清し、その証拠を国連に提出する。 写真等では証拠として弱いため、首と片手の腕を粛清後に持ち帰り、眼球や指紋等から本人である事を証明する。 その証明が行われた後にテンノウを粛清する事と決まった。



 粛清成功報酬は、よほどの事でない限り、次回の議題に対しての発言権の強化がなされ、その国の意見が通りやすくする事に決められた。こんなことがまかり通るぐらい、この世界は狂っていた。



 粛清における手段、方法が完全に確定した直後、殆どの国の代表は、付き添いで同行していた部下達に国に対して、母国への素早い報告を命じた。報告する言葉はこれだけである、「エル・ドラド」。遠い過去の日本が、黄金の国と呼ばれていた事は有名だが、この時代で言う黄金は、次回の母国発言権強化による、莫大な富を得るチャンスの事である。



 こうして、防衛と称して日本に無理やり駐屯していた多くの国の工作員やコマンダーたちが、光と天皇陛下を粛清と言う名の暗殺をするための行動を開始したのである。
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