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53:先っちょだけ
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「くそ! 覚えてろ!」
「ふぅ……大丈夫ですか?」
「危ないところ助けていただき、ありがとうございました」
「いえ、当然のことをしたまでです。ご婦人、ここはあまり治安のいいところではありません。観光なら北区をおすすめします。なんなら、ご案内致しましょうか?」
「いいのかい? ありがとねえ……最近の人はあんな鳥頭みたいな危ない人ばかりかと思っていたけど、アンタのような若者がいてくれるなんて……世の中捨てたものじゃないわね。それなら、青島プリンセスホテルまでお願いしてもいいかい? 実は道に迷ってしまって……」
「お安いご用です。荷物、持ちますよ」
(鳥頭じゃなくてトサカ頭な。それにしても、オレオレ詐欺とかもそうだが、いい年した男が年配の人を陥れようとするなんて、何考えてるんだ? 今のヤツも、ご婦人にカツアゲするとかありえないだろ? 胸くそ悪い!)
「ここが青島プリンセスホテルです」
「ありがとね……これ、もらっておくれ」
「いえ、気持ちだけで結構です」
「そんなこと言わないでもらっておくれよ。これはほんの気持ちだから」
「では、いただきます。美味しそうなかりんとうですね」
「これに目がなくてね。旭之製菓のかりんとうだから、間違いなく美味しいわよ」
「本当にありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとう」
(ううっ……結構な物をいただいてしまった。旭之製菓ってかなり有名どころじゃないか。本当にこんないいもの、もらってしまってよかったのだろうか……逆に申し訳がない気分だ)
(しかし、自分の行為に感謝してもらえるのは嬉しいことだな。風紀委員をやっていて報われた気分になる。やはり、年配の女性は優しくて、落ち着いていて、どこか気品があっていいよな。楓さんのように奥ゆかしい女性もいるし、俺もあんな風に年をとりたいものだ)
「せんぱ~い! せんぱ~い! ちょり~す~!」
「……」
「ちなみにJ○バンクのマスコットキャラクターはちょリスです!」
「……」
「先輩先輩! 聞いてくださいよ~。さっき、ナンパされたんですけど、その男の子がしつこくって! しかも、『先っちょだけ! 先っちょだけでいいから!』なんて、言ってくるんですよ~。セクハラを通り越して、変態ですよね! 最近は大の男が小学生をSNSで誘い出すとか終わってるわー。ロリコン、死ねばいいのに! ううっ……ほら、先輩。私、鳥肌たってます~。見てくださいよ~」
(近い! そんなに近寄られたら、胸元が見えるだろうが! シャツのボタン三つも開けて、スカートは下着が見えそうなくらい、かなり短め。どうして、俺の相棒は慎みの『つ』すらないんだ……風紀委員の自覚をもってくれ)
「先輩。どうしたんですか? 泣きそうな顔をして? さては、私の胸、見てましたね! 先輩も男の子なんですね~。あっ! 先輩の手にしているものは旭之製菓のかりんとうですよね! お詫びの品としてもらいますからね!」
「……おい、伊藤」
「はい?」
「叩きのめすぞ」
「ええええっ! なんで? どうして、可愛い後輩に向かって暴言を吐くんですか!」
「やかましい! 少しは風紀委員の自覚を持て! シャツのボタンは一つまで! スカートは膝下までにしろ!」
「ええええっ~、嫌ですよ。誰も膝下なんていませんから。先輩、ウザいですよ。もしくは、セクハラです」
「だったら、風紀委員やめちまえ! 大体、そんな格好をしているから、変な事言われるんだろうが!」
「いや、私のせいじゃないですから。悪いのはと○ねるずのフレーズを悪用したナンパ男ですから」
「……先っちょの件か?」
「そうです。あれはあのお方達が言うからギャグになるだけで、他の人がいったら、ただのヤリマンですよ。絶対、それだけではすませないつもりです。しかも、分かってるんだろ? 分かっているから同意したんだろ? ってドヤ顔で言い訳しそうで殺意がわきます。もっと、慎み深く愛を語れないんでしょうかね? 例えば、月が綺麗ですねっとか」
「お前が慎みとか言うな。けど、アメリカ人が月が綺麗ですねとか言ったら、キミの方が綺麗だよっとか言い出しそうで腹が立つ」
「いや、イミフですから。あっ、友達で『あなたを迎えに来ました』とか『俺が必ず守るから』とかで口説かれたことがある人、いますよ。お前はどこぞやの王子様かwww、みたいな」
「いろんな口説き文句はあるが、絶対に男が言わない、言ったことを守らない口説き文句は何か、知っているか?」
「へえ~、そんな口説き文句ってあるんですか?」
「一生浮気しない、だ」
「うわ……」
「そんなことより、今日こそは服装を直してもらうぞ! いいな!」
「ええっ~、しつこい~」
「い・い・な!」
「分かりましたよ……真面目なんだから……スカートの裾、調整しますから、後ろ向いてもらえます?」
「分かった」
(ふぅ……ようやくだ……ようやく分かってくれたんだな。服装を注意してからはや五年。ついに、伊藤も風紀委員らしく、校則通りの制服を……)
「終わりました。もう、振り返っていいですよ」
「そうか。それじゃあ……」
「……」
「……」
「おい」
「なんですか?」
「俺の気のせいか? 目の錯覚か? スカートの裾が全く長くなっていないように見えるのだが。太股が丸出しになってるぞ?」
「ちゃんと、短くしましたよ。先っぽだけ」
「……」
「これが本当の先っちょだけってね! お後がよろしいようで」
「……伊藤」
「なんですか?」
「……まずは、そのかりんとうを返せ! お前のようなヤツが喰っていいものじゃねえんだよ! 俺の感動を返せ!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「ふぅ……大丈夫ですか?」
「危ないところ助けていただき、ありがとうございました」
「いえ、当然のことをしたまでです。ご婦人、ここはあまり治安のいいところではありません。観光なら北区をおすすめします。なんなら、ご案内致しましょうか?」
「いいのかい? ありがとねえ……最近の人はあんな鳥頭みたいな危ない人ばかりかと思っていたけど、アンタのような若者がいてくれるなんて……世の中捨てたものじゃないわね。それなら、青島プリンセスホテルまでお願いしてもいいかい? 実は道に迷ってしまって……」
「お安いご用です。荷物、持ちますよ」
(鳥頭じゃなくてトサカ頭な。それにしても、オレオレ詐欺とかもそうだが、いい年した男が年配の人を陥れようとするなんて、何考えてるんだ? 今のヤツも、ご婦人にカツアゲするとかありえないだろ? 胸くそ悪い!)
「ここが青島プリンセスホテルです」
「ありがとね……これ、もらっておくれ」
「いえ、気持ちだけで結構です」
「そんなこと言わないでもらっておくれよ。これはほんの気持ちだから」
「では、いただきます。美味しそうなかりんとうですね」
「これに目がなくてね。旭之製菓のかりんとうだから、間違いなく美味しいわよ」
「本当にありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとう」
(ううっ……結構な物をいただいてしまった。旭之製菓ってかなり有名どころじゃないか。本当にこんないいもの、もらってしまってよかったのだろうか……逆に申し訳がない気分だ)
(しかし、自分の行為に感謝してもらえるのは嬉しいことだな。風紀委員をやっていて報われた気分になる。やはり、年配の女性は優しくて、落ち着いていて、どこか気品があっていいよな。楓さんのように奥ゆかしい女性もいるし、俺もあんな風に年をとりたいものだ)
「せんぱ~い! せんぱ~い! ちょり~す~!」
「……」
「ちなみにJ○バンクのマスコットキャラクターはちょリスです!」
「……」
「先輩先輩! 聞いてくださいよ~。さっき、ナンパされたんですけど、その男の子がしつこくって! しかも、『先っちょだけ! 先っちょだけでいいから!』なんて、言ってくるんですよ~。セクハラを通り越して、変態ですよね! 最近は大の男が小学生をSNSで誘い出すとか終わってるわー。ロリコン、死ねばいいのに! ううっ……ほら、先輩。私、鳥肌たってます~。見てくださいよ~」
(近い! そんなに近寄られたら、胸元が見えるだろうが! シャツのボタン三つも開けて、スカートは下着が見えそうなくらい、かなり短め。どうして、俺の相棒は慎みの『つ』すらないんだ……風紀委員の自覚をもってくれ)
「先輩。どうしたんですか? 泣きそうな顔をして? さては、私の胸、見てましたね! 先輩も男の子なんですね~。あっ! 先輩の手にしているものは旭之製菓のかりんとうですよね! お詫びの品としてもらいますからね!」
「……おい、伊藤」
「はい?」
「叩きのめすぞ」
「ええええっ! なんで? どうして、可愛い後輩に向かって暴言を吐くんですか!」
「やかましい! 少しは風紀委員の自覚を持て! シャツのボタンは一つまで! スカートは膝下までにしろ!」
「ええええっ~、嫌ですよ。誰も膝下なんていませんから。先輩、ウザいですよ。もしくは、セクハラです」
「だったら、風紀委員やめちまえ! 大体、そんな格好をしているから、変な事言われるんだろうが!」
「いや、私のせいじゃないですから。悪いのはと○ねるずのフレーズを悪用したナンパ男ですから」
「……先っちょの件か?」
「そうです。あれはあのお方達が言うからギャグになるだけで、他の人がいったら、ただのヤリマンですよ。絶対、それだけではすませないつもりです。しかも、分かってるんだろ? 分かっているから同意したんだろ? ってドヤ顔で言い訳しそうで殺意がわきます。もっと、慎み深く愛を語れないんでしょうかね? 例えば、月が綺麗ですねっとか」
「お前が慎みとか言うな。けど、アメリカ人が月が綺麗ですねとか言ったら、キミの方が綺麗だよっとか言い出しそうで腹が立つ」
「いや、イミフですから。あっ、友達で『あなたを迎えに来ました』とか『俺が必ず守るから』とかで口説かれたことがある人、いますよ。お前はどこぞやの王子様かwww、みたいな」
「いろんな口説き文句はあるが、絶対に男が言わない、言ったことを守らない口説き文句は何か、知っているか?」
「へえ~、そんな口説き文句ってあるんですか?」
「一生浮気しない、だ」
「うわ……」
「そんなことより、今日こそは服装を直してもらうぞ! いいな!」
「ええっ~、しつこい~」
「い・い・な!」
「分かりましたよ……真面目なんだから……スカートの裾、調整しますから、後ろ向いてもらえます?」
「分かった」
(ふぅ……ようやくだ……ようやく分かってくれたんだな。服装を注意してからはや五年。ついに、伊藤も風紀委員らしく、校則通りの制服を……)
「終わりました。もう、振り返っていいですよ」
「そうか。それじゃあ……」
「……」
「……」
「おい」
「なんですか?」
「俺の気のせいか? 目の錯覚か? スカートの裾が全く長くなっていないように見えるのだが。太股が丸出しになってるぞ?」
「ちゃんと、短くしましたよ。先っぽだけ」
「……」
「これが本当の先っちょだけってね! お後がよろしいようで」
「……伊藤」
「なんですか?」
「……まずは、そのかりんとうを返せ! お前のようなヤツが喰っていいものじゃねえんだよ! 俺の感動を返せ!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
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