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七章
七話 決戦! 藤堂正道 VS 押水一郎 真実と願い その一
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押水一郎のハーレム宣言は後に『青島のドンキホーテ』として、この島の伝説として語り継がれることとなる。
押水一郎はすぐさま職員室に呼び出され、停学処分となった。
事情聴取のときに、僕だけじゃない! 二人の共犯者がいた、そいつらにそそのかされたと供述している。
その二人は、放送が完了したとき、すでに姿が見えなかったと押水一郎は話している。
確かに、右京と吉永らしき声は放送の中に入っていた。
しかし、調査の結果、該当する生徒、右京と吉永は最後まで見つけることができなかった為、彼の単独犯として処理された。
停学処分が解けた時、彼の居場所はどこにもなかった。
学園の男子生徒達は押水一郎を追い回した。あそこまで啖呵を切られたのだ、黙っているはずがない。
決着は一日でついた。風紀委員が……藤堂正道が彼らを力でねじ伏せたため、騒動は一日で終わりをみせたのだ。
しかし、これは悪手だった。
行き場のない怒りは消え去ることなく、更に燃えさかる。怒り、憎しみ、憤り……その感情は周りに伝染していく。
静観していた生徒に悪意がこびりつき、押水を恨むようになった。
彼らは無言の反抗に出た。つまり、押水一郎をハブにしたのだ。
彼に話しかける者は同じくハブにされる。悪い噂をたてられる。
クラスメイトも彼と距離をとっている。君子危うきに近寄らずだ。
体育の授業ですら教師は、押水一郎と誰か組んでやれ、とは言わなかった。
尚、押水一郎に不満を持っている者は生徒だけではない。
保護者からもハーレム発言についての苦情が殺到し、一時学園の機能がマヒするほどであった。
押水一郎の名前は学園の内にも外にも知られてしまい、敵だらけとなった。
押水一郎だけが被害を受けたわけではなく、彼を取り巻いていた女の子も散々だった。
押水一郎の担任は責任をとり、自主退職。
養護教諭は淫行行為が発覚し、懲戒解雇。(これは自業自得)
押水一郎の姉である遙は身内の不祥事の責任をとり、生徒会長を辞任。
風紀委員長、高城瞳は押水一郎の為に権限を使って彼を優遇させていたことが分かり、退任。
ヒューズは電撃解散!?
家庭用汎用アンドロイド、ユーノは押水一郎に悪影響を及ぼされた可能性があると懸念され、研究施設へ帰っていった。(富士山桜の強い要望により実行。なお、彼女は転校していった)
この騒動に百年の恋も冷めたのか、女の子達は彼の元から一人また一人去っていった。
妹からはファ○リーズをかけられる始末。(姉達は大爆笑)
押水一郎がかつて女の子に囲まれ昼食をとっていた屋上は笑い声が消え、残暑と雑草だけが残っている。
この光景に、かの松尾芭蕉が見たら、きっとこうつぶやくに違いない。
つわものどもが夢のあと……と。
ハーレムを叫ぶ前に押水一郎には破滅への足音が聞こえなかったのだろうか?
気づいていたら、違った未来になっていたのかもしれない。だが、それも後の祭り。
押水一郎のハーレム天下は、今、終わりを告げたのだった。
身の丈に合わない理想を追えばどうなるのか、彼は身をもって私達に教えてくれたのだ。
そんな彼を誰が笑えようか。軽蔑はしているが。
- 風紀委員 伊藤ほのか原作 『ハーレム男の栄光と落日』より抜粋 -
押水一郎の一件は事件が発生してから約二週間後に急展開を迎える。誰もが予測できなかったことが起こったのだ。
藤堂正道の謝罪である。
藤堂正道の謝罪一日前。
俺が屋上に着くと、呼び出していた人物、押水一郎、姉の遙、幼馴染の桜井みなみと大島さとみ、佐藤友也がいた。
今から俺は最後の仕上げに入る。押水一郎から全ての女性を引きはがす。
押水姉と幼馴染だけは今も押水を擁護していた。
付き合いの長い友人達はハーレム宣言だけでは離れていかないようだ。それだけ友情、愛情が深いのだろう。
だが、俺は今、その友情を壊そうとしている。俺の我儘のせいで。
目をつぶれば今でも鮮明に思い出せる。
友情が壊れたあの日。悔しくて涙したあの痛み。
その痛みを知りながら、復讐しておきながら、俺は友情を奪ったアイツ等と同じことをしようとしている。
今からやろうとしていることに、俺は悩みに悩んだ。そんな資格が自分にあるのか、何百、何千と自身に問いかけた。夜も眠れなかった。だが、やはり答えはいつも同じだ。知りたい、見てみたい、絆の在り処を。
「僕達の仲を、絆を壊せるわけがない!」
あの日、お前が言った通り、絆が強ければ、本物なら壊れはしないだろう。俺達とは違うはずだ。
後は、押水とその友人達に委ねよう。願わくば友情が勝るほうを願っている。押水達の友情が壊れなくても、目的は達成できる。
さあ、始めようか。最後の大仕事を。
押水一郎はすぐさま職員室に呼び出され、停学処分となった。
事情聴取のときに、僕だけじゃない! 二人の共犯者がいた、そいつらにそそのかされたと供述している。
その二人は、放送が完了したとき、すでに姿が見えなかったと押水一郎は話している。
確かに、右京と吉永らしき声は放送の中に入っていた。
しかし、調査の結果、該当する生徒、右京と吉永は最後まで見つけることができなかった為、彼の単独犯として処理された。
停学処分が解けた時、彼の居場所はどこにもなかった。
学園の男子生徒達は押水一郎を追い回した。あそこまで啖呵を切られたのだ、黙っているはずがない。
決着は一日でついた。風紀委員が……藤堂正道が彼らを力でねじ伏せたため、騒動は一日で終わりをみせたのだ。
しかし、これは悪手だった。
行き場のない怒りは消え去ることなく、更に燃えさかる。怒り、憎しみ、憤り……その感情は周りに伝染していく。
静観していた生徒に悪意がこびりつき、押水を恨むようになった。
彼らは無言の反抗に出た。つまり、押水一郎をハブにしたのだ。
彼に話しかける者は同じくハブにされる。悪い噂をたてられる。
クラスメイトも彼と距離をとっている。君子危うきに近寄らずだ。
体育の授業ですら教師は、押水一郎と誰か組んでやれ、とは言わなかった。
尚、押水一郎に不満を持っている者は生徒だけではない。
保護者からもハーレム発言についての苦情が殺到し、一時学園の機能がマヒするほどであった。
押水一郎の名前は学園の内にも外にも知られてしまい、敵だらけとなった。
押水一郎だけが被害を受けたわけではなく、彼を取り巻いていた女の子も散々だった。
押水一郎の担任は責任をとり、自主退職。
養護教諭は淫行行為が発覚し、懲戒解雇。(これは自業自得)
押水一郎の姉である遙は身内の不祥事の責任をとり、生徒会長を辞任。
風紀委員長、高城瞳は押水一郎の為に権限を使って彼を優遇させていたことが分かり、退任。
ヒューズは電撃解散!?
家庭用汎用アンドロイド、ユーノは押水一郎に悪影響を及ぼされた可能性があると懸念され、研究施設へ帰っていった。(富士山桜の強い要望により実行。なお、彼女は転校していった)
この騒動に百年の恋も冷めたのか、女の子達は彼の元から一人また一人去っていった。
妹からはファ○リーズをかけられる始末。(姉達は大爆笑)
押水一郎がかつて女の子に囲まれ昼食をとっていた屋上は笑い声が消え、残暑と雑草だけが残っている。
この光景に、かの松尾芭蕉が見たら、きっとこうつぶやくに違いない。
つわものどもが夢のあと……と。
ハーレムを叫ぶ前に押水一郎には破滅への足音が聞こえなかったのだろうか?
気づいていたら、違った未来になっていたのかもしれない。だが、それも後の祭り。
押水一郎のハーレム天下は、今、終わりを告げたのだった。
身の丈に合わない理想を追えばどうなるのか、彼は身をもって私達に教えてくれたのだ。
そんな彼を誰が笑えようか。軽蔑はしているが。
- 風紀委員 伊藤ほのか原作 『ハーレム男の栄光と落日』より抜粋 -
押水一郎の一件は事件が発生してから約二週間後に急展開を迎える。誰もが予測できなかったことが起こったのだ。
藤堂正道の謝罪である。
藤堂正道の謝罪一日前。
俺が屋上に着くと、呼び出していた人物、押水一郎、姉の遙、幼馴染の桜井みなみと大島さとみ、佐藤友也がいた。
今から俺は最後の仕上げに入る。押水一郎から全ての女性を引きはがす。
押水姉と幼馴染だけは今も押水を擁護していた。
付き合いの長い友人達はハーレム宣言だけでは離れていかないようだ。それだけ友情、愛情が深いのだろう。
だが、俺は今、その友情を壊そうとしている。俺の我儘のせいで。
目をつぶれば今でも鮮明に思い出せる。
友情が壊れたあの日。悔しくて涙したあの痛み。
その痛みを知りながら、復讐しておきながら、俺は友情を奪ったアイツ等と同じことをしようとしている。
今からやろうとしていることに、俺は悩みに悩んだ。そんな資格が自分にあるのか、何百、何千と自身に問いかけた。夜も眠れなかった。だが、やはり答えはいつも同じだ。知りたい、見てみたい、絆の在り処を。
「僕達の仲を、絆を壊せるわけがない!」
あの日、お前が言った通り、絆が強ければ、本物なら壊れはしないだろう。俺達とは違うはずだ。
後は、押水とその友人達に委ねよう。願わくば友情が勝るほうを願っている。押水達の友情が壊れなくても、目的は達成できる。
さあ、始めようか。最後の大仕事を。
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