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第1章
美しい蕾2
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百合子はその日、夕食の時間になっても顔を出さなかった。それを不審に思った蓮が百合子の部屋に出向けば、百合子は頬を濡らしていた。慌てて、蓮が百合子のそばに駆け寄った。誰かに何かをされたのかと問えば、百合子は首を横に振った。
蓮は何も言わずに、百合子を抱きしめた。
「百合子、父さんは君の夫を僕達全員にしようとしている。そのことを知っているんだろう?」
蓮は言葉を選びながら、慎重に続けた。
「清澄兄さんは数刻後にこちらに到着する。つまり、その話を受ける。けれども、夕月は辞退すると先ほど父さんに告げたよ。僕も正直悩んでいる」
蓮の言葉を聞いた百合子は目を見開いた。そして、「悩んでいる?」と呟いて、言葉の意味を理解して、再び蓮に抱きついた。蓮のほうは、泣いている百合子を泣きやませようと頭を優しく撫でた。
「嫌よ……。蓮お兄様が話を辞退するのは嫌よ……」
百合子のその言葉に今度は蓮が目を見開いた。
「ほかのお兄様たちから守ってくれるのは蓮お兄様だけですもの……」
幼い頃から百合子を守ってきたのは蓮だった。特に仁に叱られたときは、いつも庇ってやるのが蓮の役目であった。しかし、これとそれとは別の話だと蓮は思っていた。しかし、仮に自分が辞退し、ほかの三人の兄弟たちとうまくいかなかったらと考えた時に蓮は百合子が可愛そうに思えて仕方がなかった。
「わかったよ。僕は百合子との結婚の話を断らない」
蓮がそういえば、百合子は泣くのをやめてそっと蓮に体を預けた。
「へえ、蓮は辞退しないんだね」
そんな声が聞こえて、扉の方に視線をやれば勘当されたはずの清澄の姿がそこにはあった。以前よりも、容姿が男性的になり、大人の落ち着いた雰囲気を纏っていた。かつうかつと革靴を鳴らし、蓮に抱かれる百合子の腕をひっぱり、自分のほうへと抱き寄せた。
「こんな美しい花嫁を迎えられるなんて光栄だ
けれども、俺はお前を愛さないぞ、百合子……ーーーー」
そっと清澄が百合子の耳元で吐いた残酷な言葉に、百合子は思わず清澄を突き飛ばしてしまった。
蓮は何も言わずに、百合子を抱きしめた。
「百合子、父さんは君の夫を僕達全員にしようとしている。そのことを知っているんだろう?」
蓮は言葉を選びながら、慎重に続けた。
「清澄兄さんは数刻後にこちらに到着する。つまり、その話を受ける。けれども、夕月は辞退すると先ほど父さんに告げたよ。僕も正直悩んでいる」
蓮の言葉を聞いた百合子は目を見開いた。そして、「悩んでいる?」と呟いて、言葉の意味を理解して、再び蓮に抱きついた。蓮のほうは、泣いている百合子を泣きやませようと頭を優しく撫でた。
「嫌よ……。蓮お兄様が話を辞退するのは嫌よ……」
百合子のその言葉に今度は蓮が目を見開いた。
「ほかのお兄様たちから守ってくれるのは蓮お兄様だけですもの……」
幼い頃から百合子を守ってきたのは蓮だった。特に仁に叱られたときは、いつも庇ってやるのが蓮の役目であった。しかし、これとそれとは別の話だと蓮は思っていた。しかし、仮に自分が辞退し、ほかの三人の兄弟たちとうまくいかなかったらと考えた時に蓮は百合子が可愛そうに思えて仕方がなかった。
「わかったよ。僕は百合子との結婚の話を断らない」
蓮がそういえば、百合子は泣くのをやめてそっと蓮に体を預けた。
「へえ、蓮は辞退しないんだね」
そんな声が聞こえて、扉の方に視線をやれば勘当されたはずの清澄の姿がそこにはあった。以前よりも、容姿が男性的になり、大人の落ち着いた雰囲気を纏っていた。かつうかつと革靴を鳴らし、蓮に抱かれる百合子の腕をひっぱり、自分のほうへと抱き寄せた。
「こんな美しい花嫁を迎えられるなんて光栄だ
けれども、俺はお前を愛さないぞ、百合子……ーーーー」
そっと清澄が百合子の耳元で吐いた残酷な言葉に、百合子は思わず清澄を突き飛ばしてしまった。
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