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本編
それぞれのマリアの力量の把握具合 ロイSide
しおりを挟む「それはさすがに心配しすぎじゃねえか? というより、過保護すぎ。気持ち悪ぃ」
「心配もすんだろ!だってマリアだぞ!? ルイスは知らないだろうけどな、マリアは無自覚に笑顔でサラッと、とんでもねぇことを言ったりやったりするんだからな!?」
午前中。マリアを防具屋に(無理矢理)連れていった。
防具なんかいらない、邪魔。と散々文句を言っていたマリアが火魔法耐性がついたブレスレットにやたら食いつき、そういやこういうことはまだコイツに教えてないな、って思ってついでだし教えちまうか、と説明。……それがいけなかったのだと、俺はすぐに気づくことになるが、その時にはもう既に遅かった。
途端に目を輝かかせ、そして思案顔になった。それが終わったかと思えば急に前向きに買い物をし始め、即購入からの即解散を希望してきた。
……いやいやいやいや!ちょっと待てお前!? 今度はなにやらかす気だ!?
何が、とか具体的なことは何も出てこないがなんとなく、直感でそう思った。
“こいつはまた何かやらかす気だ”と。
過去最高にしつこく問い詰めたがマリアが答えるわけもなく、結局そこで不本意にも、解散することになった。
◇ ◇ ◇
耐えきれず、ルイスも非番と言っていたのを思い出し、宿舎のルイスの部屋を訪れたところで冒頭のやり取りに戻る訳だが。
「いやまぁ、見た目と実際のスペックが合ってないのはわかってるけど……。そんな心配するほどなのか?」
先日の大量発生したスライムの討伐についていったルイスも、マリアの戦ってるところは見てない(らしい)とはいえ、ある程度想像はついてると本人は言うが……。俺は知っている。俺とルイスの想定は、まったく噛み合っていないし、合うこともおそらくないということを。それどころか同じ次元にさえいないんだよ。そんなことを内心思いつつ、話を続ける。
「今度は何をやらかすのか、知るのが怖い。でも知らずに放置するのはもっと怖い……」
知らぬ存ぜぬでいられればいいのだが。ここまで面倒見といて、いまさらそれはできないだろ。
「めんどくせぇのな、お前」
「めんどくさいとか言うなよ、幼馴染だろ」
「いや、お前は昔からめんどくさかったぞ」
「ひでぇ奴だ……」
いつもなら笑って流せるルイスの暴言も、今日に限って心に刺さる。
「だったらさっさと吐かせればいいだろ。何企んだ、っつってよ」
「それが出来ないから今こうなんだよ!」
ルイスはあからさまにめんどくさいって顔を見せてくる。
「……めんどくせぇわ、本当に」
「悪かったなめんどくさくて!」
昼間っから始まった酒を飲みながらの愚痴は、夜になってエミリーが帰ってくるまでなんだかんだ続いた。
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