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本編
仲間、増える。 01
しおりを挟む「グギャァァァ」
「よし、これで終了っと……」
ロイさんの起こし方のコツ?を聞いたあとは街の外に出たんだけど、思ったより閉門まで時間がなかったから、近場で取れる薬草の採取依頼を5件、受けた。
そしていつも通り鑑定様様で薬草の採取をしていたら たまたまゴブリン10匹の小集団と遭遇。あっちが先に襲ってきたので、返り討ちにした。
「ゴブリンの魔石も回収したし、あとは燃やして…… よし、OK~」
数が少ないから単純に火魔法で燃やして、燃え切ったところで水魔法で鎮火。
……うん、これなら土には埋めなくても大丈夫。
「薬草もう少し採ってこうかな……」
薬草の採取を再び始めたときだった。
ーガサガサッ
近くの茂みで音がした。
「なにか、いる……?」
音のした茂みに近づこうとしたときだった。
「きゃん!」
「へっ!?」
茂みの中で音をたてていた張本人が、鳴き声をあげながら出てきた。出てきて……それはそのまま真っ直ぐ、私のお腹に突っ込んできた。
突っ込まれた拍子にバランスを崩してしまい、そのまま押し倒されるかたちでこけた。
「きゃうん!」
下敷きになった私の顔を舐めながら、再び鳴き声を上げる。
「い、犬……?」
突っ込んできたもの、それは真っ白でもふもふっとした犬だったー……。
「きゅう~ん」
尻尾をはち切れんばかりにブンブン振り、見上げながら可愛い声をあげる、犬。子犬というにはちょっと大きいかなっていうサイズ感。
突然の出来事に反応できない。……というかそれ以前に私は猫獣人なんだけど……。
そりゃまぁ、猫と犬の相性は(個体にもよるけど)悪くはないことも多いとは聞いてるけど…… こんなに犬に好かれてることには違和感を覚えるかな。
「えっと…… なんでこんなところに犬がいるの? 魔物?普通に動物??」
起き上がりつつ、その犬を抱き抱える。
……おぉ、思ってる以上にもふもふ…!
って、そうじゃなくて。とりあえず鑑定しえ確認しなきゃだよね。
◇ ◇ ◇
名前:
年齢:5
種族:フェンリル
レベル:10
魔力:800
体力:650
スキル:水魔法B 風魔法A+ 火魔法C 土魔法C 氷魔法C 雷魔法A 光魔法B 鑑定S 物理攻撃耐性 縮小化 爪斬撃 戦闘強化 気配察知
称号:マリアの契約獣
備考:ショタな神様が今さらミスに気づきそれのお詫びのつもりで手配した契約獣
◇ ◇ ◇
あ、犬じゃなかった。狼なんだ。しかも、フェンリルって……。
遥か大昔にたった1匹で国を滅ぼしたって伝説が残っているような圧倒的強者。
個体数が少なすぎる上に目撃することがまずないせいで、実在してるしてないで議論がなされている、神獣……。(ロイさんから教えて貰った知識の1つ)
そんなことより、契約した覚えもないのに契約獣ってどういうこと?ってちょっと思ったけど、すぐ解決したわ。……備考欄のおかげで。
鑑定結果に備考なんて出たの初めてだよ…… ナニコレ。
あと気になるのが、 “今さらミスに気づいた”って部分だよね。わざわざ今さらってつけなくてもよくない? たしかにお詫びにしてはいまさらなんだけど。
鑑定結果について1人内心ツッコミをいれていたら、
「きゅう~ん?」
犬……もとい、狼……フェンリルが鳴き声をあげた。
「えっと……君はフェンリルなんだね。私の契約獣になってるみたいだけど……いいの?私、猫の獣人だよ?」
「きゃん!」
なんとなく、どうしたの?って聞かれた気がして、思わず話かけてみた。
返ってきた鳴き声は、いいよ!って言ってるような気がした。これも、なんとなくだけど。
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