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本編
リルの種族
しおりを挟むーそれは突然だった。
「え、リルの種族?」
「あぁ。考えたんだがやっぱり、旅に出る前に最低限リルの種族やスキルくらいは知っとくべきだ」
「まぁ、そうだね……」
やっぱりそうくるかぁ……。ロイさんがリルの種族を知りたがってるのはわかってたから、リルのステータスを偽装できないかやってみたんだけど、ダメだったんだよね……。自分にのみ有効のスキルだった。
「だから今日はギルド行って、鑑定石借りてリルのこと鑑定してから依頼受けるぞ」
「はーい……」
リルがフェンリルだってことを知ったあと、ロイさんがどんな反応するかって考えたら怖いなぁ……。
でもこれからずっと一緒に旅をしていくのに、ずっと隠しとくのは無理な気がするなぁ……。
それに、リルが通常の大きさにならなきゃいけない場面に遭遇する可能性だってきっとあるだろうし。
「……ロイさん。ギルドで鑑定石使うのに、個室を借りれないかな?」
「個室を? ………ギルドマスターがいれば、直接頼んでみるけど、出来るかはわかんねぇぞ」
何かを察したのだろう。ロイさんは少し悩んだ末、今はまだ何も聞かないでくれた。
「うん。お願いします」
◇ ◇ ◇
「……………………」
ギルドマスターにお願いしたらあっさり個室の利用許可がおりて。
ついでに鑑定石も借りて、リルを鑑定した。
そして予想通り、ロイさんはリルの種族を見た瞬間、固まってしまった。
無言のまま固まること、およそ10分。
「あの~ロイさん? びっくりしてるのはよくわかるんだけどさすがに長すぎ……」
種族見ただけでこれかぁ……。 これでリルが本来はこのサイズじゃないって知ったらどうなるんだろ……。
「お、おう……。悪い。 規格外なお前の契約獣な上に、戦闘能力も相当だったからな。 ある程度覚悟はしていたんだが……想像以上すぎた」
「ごめんなさい?」
頭を抱えつつロイさんは やっと、って感じで声を発した。
「スキルもすごいな……。まぁフェンリルならこんなもんだろうが……。
……リルがフェンリルだってこと、誰かに言ったか?」
「言えるわけないでしょ。だから子犬かな?なんてすっとぼけてたんだよ」
「知ってて契約したのか? つか、どうやって契約に持ち込めたのか聞きたいような気がするが、聞かないほうが身のためな気がする」
「あーうん。それは聞かないでほしいし、聞かれたとしても言わない……」
というか、聞かれても困る。
“神様から契約獣として送られてきましたー” とか何アホなこと言ってんの?とかしか思えないでしょ。
かといって、良い誤魔化し方とか浮かばないし。
ーそもそもこの世界、神様を信仰してるのかすら知らないし。
信仰してたとして、あのショタな神様は何の神様なのか知らない……。
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