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本編
俺用?のネックレスとリルの首輪 ロイSide
しおりを挟む「ロイさん、体調はどう?ちょっとは良くなった?」
「あぁ。まだちょっと頭は痛いが、だいぶマシになったな」
昨日は酒を飲みすぎた。寝落ちたらしく、気づいたら朝で、慌てて宿に戻ってきた。
昨日の夜 何も言わずにでかけ、朝に帰ってきたにもかかわらず、マリアは何も言ってこなかった。
ー何か文句を言われるかと身構えたが……マリアは無断外泊を怒るどころか、二日酔いがひどいなら寝てればいいと提案してきた。
ーこういうときのマリアの対応は、驚くほど冷静で。本当に10歳なのかと疑問がわく。……普段であれば。
今日はそんなことを思う余裕もなく、マリアの提案を受け、あっという間にベットの虫になった。
◇ ◇ ◇
「ロイさんとリルにこれあげる!付けて!!」
帰ってきたマリアは俺が起きていることに気づくとすぐに、ご機嫌で無限収納から2つのものをだして渡してきた。
1つは指輪っぽい丸いものがくくりつけられたネックレス。
もう1つは首輪。これはどう見てもリル用だから、このネックレスが俺宛に用意されたもの……?
「なんだ?これ」
「こっちのネックレスはロイさん用で、魔法耐性が付いてるんだって。で、こっちの首輪はリル用。こっちも魔法耐性付きだよ。この小さいポケットに契約獣の印のプレートがぴったり収まるんだって」
聞くと、たまたま通りかかった店に売っていたらしい。
ー指輪も、首輪も、こんなデザインの物は見たことがない。
そもそも、ネックレスってのは 女がつけるものだぞ……?
これはまぁ、男……俺がつけていても違和感のないデザインではあるが。
「……………………」
「ロイさん?」
思わず黙ってしまったために、マリアは困惑の表情を浮かべた。
「これ、俺がつければいいのか?」
「もちろん。ロイさん用だよ」
「……そうか」
何のかはわからなくとも、魔法耐性がついているのならぜひ身にはつけたいが……つけたとして、他人には絶対に見られたくないな。
「……つけるの、嫌?」
俺の困惑など知る由もないマリアは、悲しそうな顔を見せる。……よりにもよって、普段はほとんど動かない耳が、今はパタンと前に折れてしまうほどに、俺の反応はマリアの中での想像とちがったようだ。
「嫌……じゃ、ない。わざわざ買ってきてくれてありがとな」
頭をくしゃっと撫でながら俺は出来る限りだけど嘘くさくはならないように気をつけつつ、笑顔を見せた。
「……本当に? 嫌だったらいいんだよ?つけてくれなくても」
「嫌じゃねえって。それよりリルが物欲しそうな顔で見てるぞ。はやくつけて って言ってるんじゃないのか?」
嫌というより、困惑が勝っているだけなんだが……誤魔化すために、リルをだしにつかった。
「そうだね!リルー お待たせ~」
ー楽しそうにきゃっきゃしてる1人と1匹を横目に、俺はため息をもらした。
今日もマリアのわけのわからなさは健在だー……。
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