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⑨ー魂のカケラー
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少し進むと、向かう奥の方がほんのり明るい。声は、やはりその方向からする。
思わずシンの足も速くなり、勢い良くその光の前に躍り出る!
「・・!!」
飛び込んできた目の前の景色に思わずシンは目を見張った。
広く薄暗い空間に、まるで漂うかのように輝く無数の彩とりどりの宝石のような物が浮かんでいる。
一つ一つの大きさは20~30cmほど。色も青・赤・黄・緑・紫・・・と様々だ。
シンは思わず引き込まれるように恍惚とそれらを見上げた。
「・・・これは?」
良く見るとこの彩とりどりの宝石たちはただ浮かんでいるのではなく、しばらく前のシンと同じように細い白鋼の様な物でがんじがらめに吊るされていた。
そして、その中央付近にある深い紺碧の宝石の方から、今まで聞こえていた声が今度は気配となって漂っているのが分かった。
ふと、気付くといつの間に来たのかジェドが恨めしそうにその宝石たちを見上げながらシンの隣に立っていた。
いつになく厳しい表情のジェドをシンは黙って見る。
「・・あの時」
小さくこもった声でジェドが口を開いた。
「・・あの時、連れて行かれるシンを止めることが出来なかったのは、これのせいなんだ」
「・・?どう言うこと?」
シンは意味が分からず聞き返す。
「この一つ一つに、僕たちの魂のカケラが入れられている」
言葉を少しずつ絞り出す様にジェドは話し始めた。
「この国の王はかなり用心深い。と言うか小心者?・・まあ、誰も信用してないんだ。・・だから王に仕えている者の魂を一人一人こうやって閉じ込めて、決して裏切らせないようにしている・・・で、歯向かったりしようものなら、即、これを魂ごと壊してしまうんだ」
ジェドはチラッとシンの方に目線を落とす。
「またこれがさ、魂を抜かれて入れられるときが、もーっ、思い出したくないっつうか・・。ほんと、最悪でさ」
黙り込んだシンを気にしてか少し軽い口調で言った。
「・・・でも、それじゃあ、今、二人がやっている事って」
シンはその瞳を大きく見開き、食い入るようにジェドを見た。
「まあ、僕の方は上手くやったから存在はばれてはないと思うけど、カイルはあれだけ派手にやっちゃってるからなぁ」
苦笑いで誤魔化す様にジェドが言う。
「・・そんな、何でこんなこと、何で助けたりするんだよ!!」
まるで、ジェドたちが悪者かのようにシンは詰め寄った。ジェドはどう答えたら良いか困ったように視線をそらす。
そんなジェドをぐいっと横に押しやり、無数にあるその中の一つ、紺碧の宝石をシンが指差す。
「・・・あれだよね、カイルの魂が入っているやつ」
「分かるのか?・・あ、リオンがそこにいるのか?」
頷くとシンはその宝石の方へ歩み寄る。
「あ、おいっ!シン!どうするつもりだ?!何をやっても無駄だ!この白鋼の封印は幾重にも張られていて、今まで誰も解くことは出来てない!下手なことをして壊れてしまったら!」
止めるジェドを無視して、シンは紺碧の宝石に近づく。
その刹那!
バリリンッッ!!
耳を覆いたくなるような衝撃音が真横からしたと同時に、カイルが倒れ込むように転がり込んできた!
「カイル!」
つかさずジェドがカイルに駆け寄り、抱き起こす。
「あいつら、かなり焦ってる。シンが逃げたことを隠す事で、いっぱいいっぱいみたいだな。・・・ゴーレムを出しやがった」
ゆらりと立ち上がりながらカイルは自分が先程まで居た場所を睨む。
この視線の先には、大柄の人や獣の形をした土塊で出来た人形・ゴーレムが数体動めいているのが見える。その額、もしくは喉の辺りに青や緑に輝く物が埋め込まれている。誰からか奪って作られた魔石だ。土塊であるゴーレムの駆動力となる。
このゴーレムたちは魔具の研究の初期段階で作られたもので、力ばかりが強く細かい事は出来ず破壊専門とも言える。
「カイル!ダメだ!!あいつらをここに入れちゃっ!!」
「分かってる!!」
ジェドの悲鳴にも聞こえる叫び声にカイルが答える。
が、その瞬間にも一番手前にいた人型のゴーレムが、壊れた壁を粉々に握りつぶしカイルたちめがけて投げつけた!
カイルとジェドが瞬時に同じ短縮呪文を詠唱する。
と、同時にまるで壁を作るかのように黄色く光る直径1mほどの魔方陣がいくつも現れ、ゴーレムが投げた石礫を防いだ。
しかし、そのわずかな隙間を小さいながらも鋭利な破片がすり抜ける。
「っ!!」
慌ててその破片の軌道をカイルとジェドが追う。
ザシュッ!!
二人の耳に鈍く何かを切り裂いた様な音が届く。
「っ痛・・」
その音のした辺りでシンが蹲っている。
「シン!」
魔方陣を保つのをジェドに任し、カイルが駆け寄る。
シンの腕から赤い血が滴り落ちる。
思わずシンの足も速くなり、勢い良くその光の前に躍り出る!
「・・!!」
飛び込んできた目の前の景色に思わずシンは目を見張った。
広く薄暗い空間に、まるで漂うかのように輝く無数の彩とりどりの宝石のような物が浮かんでいる。
一つ一つの大きさは20~30cmほど。色も青・赤・黄・緑・紫・・・と様々だ。
シンは思わず引き込まれるように恍惚とそれらを見上げた。
「・・・これは?」
良く見るとこの彩とりどりの宝石たちはただ浮かんでいるのではなく、しばらく前のシンと同じように細い白鋼の様な物でがんじがらめに吊るされていた。
そして、その中央付近にある深い紺碧の宝石の方から、今まで聞こえていた声が今度は気配となって漂っているのが分かった。
ふと、気付くといつの間に来たのかジェドが恨めしそうにその宝石たちを見上げながらシンの隣に立っていた。
いつになく厳しい表情のジェドをシンは黙って見る。
「・・あの時」
小さくこもった声でジェドが口を開いた。
「・・あの時、連れて行かれるシンを止めることが出来なかったのは、これのせいなんだ」
「・・?どう言うこと?」
シンは意味が分からず聞き返す。
「この一つ一つに、僕たちの魂のカケラが入れられている」
言葉を少しずつ絞り出す様にジェドは話し始めた。
「この国の王はかなり用心深い。と言うか小心者?・・まあ、誰も信用してないんだ。・・だから王に仕えている者の魂を一人一人こうやって閉じ込めて、決して裏切らせないようにしている・・・で、歯向かったりしようものなら、即、これを魂ごと壊してしまうんだ」
ジェドはチラッとシンの方に目線を落とす。
「またこれがさ、魂を抜かれて入れられるときが、もーっ、思い出したくないっつうか・・。ほんと、最悪でさ」
黙り込んだシンを気にしてか少し軽い口調で言った。
「・・・でも、それじゃあ、今、二人がやっている事って」
シンはその瞳を大きく見開き、食い入るようにジェドを見た。
「まあ、僕の方は上手くやったから存在はばれてはないと思うけど、カイルはあれだけ派手にやっちゃってるからなぁ」
苦笑いで誤魔化す様にジェドが言う。
「・・そんな、何でこんなこと、何で助けたりするんだよ!!」
まるで、ジェドたちが悪者かのようにシンは詰め寄った。ジェドはどう答えたら良いか困ったように視線をそらす。
そんなジェドをぐいっと横に押しやり、無数にあるその中の一つ、紺碧の宝石をシンが指差す。
「・・・あれだよね、カイルの魂が入っているやつ」
「分かるのか?・・あ、リオンがそこにいるのか?」
頷くとシンはその宝石の方へ歩み寄る。
「あ、おいっ!シン!どうするつもりだ?!何をやっても無駄だ!この白鋼の封印は幾重にも張られていて、今まで誰も解くことは出来てない!下手なことをして壊れてしまったら!」
止めるジェドを無視して、シンは紺碧の宝石に近づく。
その刹那!
バリリンッッ!!
耳を覆いたくなるような衝撃音が真横からしたと同時に、カイルが倒れ込むように転がり込んできた!
「カイル!」
つかさずジェドがカイルに駆け寄り、抱き起こす。
「あいつら、かなり焦ってる。シンが逃げたことを隠す事で、いっぱいいっぱいみたいだな。・・・ゴーレムを出しやがった」
ゆらりと立ち上がりながらカイルは自分が先程まで居た場所を睨む。
この視線の先には、大柄の人や獣の形をした土塊で出来た人形・ゴーレムが数体動めいているのが見える。その額、もしくは喉の辺りに青や緑に輝く物が埋め込まれている。誰からか奪って作られた魔石だ。土塊であるゴーレムの駆動力となる。
このゴーレムたちは魔具の研究の初期段階で作られたもので、力ばかりが強く細かい事は出来ず破壊専門とも言える。
「カイル!ダメだ!!あいつらをここに入れちゃっ!!」
「分かってる!!」
ジェドの悲鳴にも聞こえる叫び声にカイルが答える。
が、その瞬間にも一番手前にいた人型のゴーレムが、壊れた壁を粉々に握りつぶしカイルたちめがけて投げつけた!
カイルとジェドが瞬時に同じ短縮呪文を詠唱する。
と、同時にまるで壁を作るかのように黄色く光る直径1mほどの魔方陣がいくつも現れ、ゴーレムが投げた石礫を防いだ。
しかし、そのわずかな隙間を小さいながらも鋭利な破片がすり抜ける。
「っ!!」
慌ててその破片の軌道をカイルとジェドが追う。
ザシュッ!!
二人の耳に鈍く何かを切り裂いた様な音が届く。
「っ痛・・」
その音のした辺りでシンが蹲っている。
「シン!」
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シンの腕から赤い血が滴り落ちる。
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