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第1章 異世界転移編
第13話 魔石はゴミ以下
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セラがテーブルに置いたネックレスを責任者風の中年男は胸ポケットから取り出したルーペでじっくりと観察を始めていた。
なぜか魔石の時とは違いその顔は真剣そのものである。
少しして鑑定を終えたのか男は「そんな、まさか」と驚いたように呟いた後、無言になった。
そしてなぜか分からないが、男は涼しい店内だというのに、顔にはびっしりと汗を掻き始めていた。
「あの少しお尋ねしますが、こちらの宝石はどちらで?」
「えーと、貰い物ですけど」
なんでもないように言ったセラに男は驚きのあまりか言葉を失い、セラの顔を呆然としながら眺める。
「あのぅ、どうかしましたか?」
「い、いえ、これは失礼いたしました。貰い物という事はこちらの品は献上品という事でしょうか?」
「献上品? いえ、普通に知り合いの男の子から貰ったんですけど」
「……は? 男の子?」
セラの返答に男はそのまま、黙り込んでしまう。
俺様から見ても男が物凄い速度で思考を巡らせていることが手に取る様に分かるほどだった。
そして男は意を決したのか神妙な面持ちで切り出した。
「お嬢様……、いえ、姫殿下、失礼を重々承知の上なのですが、こちらの品を我が商会に売っていただくことはできませんか? もちろんこちらの品に相応しいだけの白金貨をご用意させていただきます」
聞いた事のない【白金貨】というワードに俺様は「白金貨ってなんだ?」と横にいたグレイスに耳打ちで尋ねると、グレイスは目の前で行われている出来事に驚きながらも「金貨10枚分の価値のある硬貨だ」と教えてくれた。
つまり、セラが首から引っ下げていたピンク色の宝石は少なくても金貨10枚分の価値がある白金貨1枚分以上の価値があるということになる。
だが、男の言い方から見て、どう考えても金貨10枚分の価値では収まらない事は俺様の目から見ても明らかである。
「あのぅ、私、姫でも殿下でもないのですけど」
「何を仰いますか。よくよく見ればお召し物も異国の地の物とお見受けします。貴方様が異国のさぞ高貴な御身分であることは明らかでございます。もちろん御身分を隠されたいのであればこの事は決して口外など致しません。……それでこちらの品、どうか譲っては頂けませんか?」
いつの間にかカウンターの外から出てきていた男は必死の形相で迫ってくる。
何がなんでも買い取りたい事情がこの男にはあるようである。
「いや、でもアレックス君から貰った物ですし……」
「そこをなんとかお願いいたします」
セラがやんわりと断りを入れようとするが男はそれでも食い下がる様に頭を下げながら懇願する。
このままだと男が土下座をしそうな勢いだったので優しい俺様は笑顔で男に言ってやった。
「そこまでいうのなら売ってやろう。今は亡きアレックス殿下もセラの為ならば快く受け入れてくれるだろうからな」
「ほ、本当でございますか?」
先程の魔石の査定の時とは打って変わって男はまるで救世主を見るかのような眼差しを俺様に向けてくる。
まぁ俺様が救世主で偉大過ぎる勇者なのは分かりきっているのでただ本来の形に戻っただけの話ではあるが。
「いや、アレックス君、殿下じゃないですし、多分まだ生きてますけど」などというセラの声が俺様の耳に届いた気もするがこれは幻聴だろう。
それを証拠に男も俺様の方しか見ていない。
確かにアレックスとかいうどっかの村のガキがセラにピンク色のゴミみたいな宝石がついた手作り感満載のネックレスを手渡す所を見た気もしなくもないが、きっとアレックス君はどこかの王子殿下かなんかだったに違いない。俺様はそう信じている。
「あの、ここではなんですので」
と男はそう言って俺様達を店の奥にあるVIPルームらしき部屋へと促す。
確かにこんな高価
ゴミ
な宝石をこんな一般カウンターで取引するなど以ての外である。
今はたまたま俺達しか客がいないからいいが、途中から客が来ないとも限らないのだからな。
「あのぅ、ホントに売るんですか?」
「仕方がないだろう。エメルの魔石がゴミ以下の値段しか付かなかったんだから」
「ゴミじゃないわよ、失礼ね。はぁ、やっぱ魔法ないのね、この世界。ようやく実感したわ」
そんな小さな声の会話を交わしながら俺様達はVIPルームへと向かうのだった。
なぜか魔石の時とは違いその顔は真剣そのものである。
少しして鑑定を終えたのか男は「そんな、まさか」と驚いたように呟いた後、無言になった。
そしてなぜか分からないが、男は涼しい店内だというのに、顔にはびっしりと汗を掻き始めていた。
「あの少しお尋ねしますが、こちらの宝石はどちらで?」
「えーと、貰い物ですけど」
なんでもないように言ったセラに男は驚きのあまりか言葉を失い、セラの顔を呆然としながら眺める。
「あのぅ、どうかしましたか?」
「い、いえ、これは失礼いたしました。貰い物という事はこちらの品は献上品という事でしょうか?」
「献上品? いえ、普通に知り合いの男の子から貰ったんですけど」
「……は? 男の子?」
セラの返答に男はそのまま、黙り込んでしまう。
俺様から見ても男が物凄い速度で思考を巡らせていることが手に取る様に分かるほどだった。
そして男は意を決したのか神妙な面持ちで切り出した。
「お嬢様……、いえ、姫殿下、失礼を重々承知の上なのですが、こちらの品を我が商会に売っていただくことはできませんか? もちろんこちらの品に相応しいだけの白金貨をご用意させていただきます」
聞いた事のない【白金貨】というワードに俺様は「白金貨ってなんだ?」と横にいたグレイスに耳打ちで尋ねると、グレイスは目の前で行われている出来事に驚きながらも「金貨10枚分の価値のある硬貨だ」と教えてくれた。
つまり、セラが首から引っ下げていたピンク色の宝石は少なくても金貨10枚分の価値がある白金貨1枚分以上の価値があるということになる。
だが、男の言い方から見て、どう考えても金貨10枚分の価値では収まらない事は俺様の目から見ても明らかである。
「あのぅ、私、姫でも殿下でもないのですけど」
「何を仰いますか。よくよく見ればお召し物も異国の地の物とお見受けします。貴方様が異国のさぞ高貴な御身分であることは明らかでございます。もちろん御身分を隠されたいのであればこの事は決して口外など致しません。……それでこちらの品、どうか譲っては頂けませんか?」
いつの間にかカウンターの外から出てきていた男は必死の形相で迫ってくる。
何がなんでも買い取りたい事情がこの男にはあるようである。
「いや、でもアレックス君から貰った物ですし……」
「そこをなんとかお願いいたします」
セラがやんわりと断りを入れようとするが男はそれでも食い下がる様に頭を下げながら懇願する。
このままだと男が土下座をしそうな勢いだったので優しい俺様は笑顔で男に言ってやった。
「そこまでいうのなら売ってやろう。今は亡きアレックス殿下もセラの為ならば快く受け入れてくれるだろうからな」
「ほ、本当でございますか?」
先程の魔石の査定の時とは打って変わって男はまるで救世主を見るかのような眼差しを俺様に向けてくる。
まぁ俺様が救世主で偉大過ぎる勇者なのは分かりきっているのでただ本来の形に戻っただけの話ではあるが。
「いや、アレックス君、殿下じゃないですし、多分まだ生きてますけど」などというセラの声が俺様の耳に届いた気もするがこれは幻聴だろう。
それを証拠に男も俺様の方しか見ていない。
確かにアレックスとかいうどっかの村のガキがセラにピンク色のゴミみたいな宝石がついた手作り感満載のネックレスを手渡す所を見た気もしなくもないが、きっとアレックス君はどこかの王子殿下かなんかだったに違いない。俺様はそう信じている。
「あの、ここではなんですので」
と男はそう言って俺様達を店の奥にあるVIPルームらしき部屋へと促す。
確かにこんな高価
ゴミ
な宝石をこんな一般カウンターで取引するなど以ての外である。
今はたまたま俺達しか客がいないからいいが、途中から客が来ないとも限らないのだからな。
「あのぅ、ホントに売るんですか?」
「仕方がないだろう。エメルの魔石がゴミ以下の値段しか付かなかったんだから」
「ゴミじゃないわよ、失礼ね。はぁ、やっぱ魔法ないのね、この世界。ようやく実感したわ」
そんな小さな声の会話を交わしながら俺様達はVIPルームへと向かうのだった。
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