浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

文字の大きさ
24 / 1,093

ご用のかたは遠慮なくお申し付けください

しおりを挟む
https://sagetimeiq3.fc2.xxx/
こちらの方でも作品は公開してますが、浜薔薇も含めて成人向け扱いになってます。


ニュ!
目の前を、視界を塞ぐ何かである。

問題(デデ!/SE)
これはなんでしょうか?
寝起きの頭なのであまり上手く回りませんが、考えてみましょう。

「あっ、イツモか」
答えはイツモの肉球ドアップ、みなさんも正解できたかな?

室内は猫に快適な気温ではあるが、外は大変寒い日である。
「おはようございます」
蘆根に挨拶するのは学校の後輩でもある傑である。
「今日は寒いな」
「本当ですよね」
浜薔薇は蘆根が継いだときに、リフォームされている、寒暖差があまり起きないような断熱性能でありながら、光熱費はかからない作りになっているため、四季を通じて快適になっている。
「こんにちは」
お客さんがやってきた、暖かい室内でコートをロッカーにしまい、さっそく本日のメニューを注文した。
「髪はこのぐらいで…」
このお客さんは近年、浜薔薇に通ってくれるお客さんで、前髪が邪魔になるぐらいになるとやって来る。
「前に通っていたお店は、前髪をいつも切り損ねてさ」
それでも我慢していたのだが、前髪に煩わされるのがイヤになり、店を変えた。
パーティションで仕切られた一角にご案内し、まずはブラッシングからである。
このブラッシングを丁寧に行うことで、頭皮のマッサージにもなるし、汚れもかき出せる。
「なんか浜薔薇に来ると、さっぱりするんだよ」
それもそのはず。
浜薔薇ではご自宅ではなかなか難しい毛穴の汚れまでとってくれる。
お湯である程度以上流し洗いしてからのシャンプー、マッサージ、トリートメントで生まれるツヤガミからの、カット!
「切るのが惜しくなるぐらい艶々にされるんだもんな」
「これでヘタスタイル変わることもありますね」
あまりに痛みすぎると切るしかない場合もある。
「でもこのバランス考えると残した方がいい(んですよね」
そういうバランスの取り方、ヘアスタイルにあまりこだわりのないお客さんに提案する能力を傑はもっている。
「こんな良くなるとは…」
たまたま店に来たタイプのお客さんは、自分の魅力的な一面を思い知らされることとなる。
「また来るよ」
そしてそのまま常連客コースというのが、最近は多いだろうか。
元々スタイルにこだわりある方からの、細かい注文も応えれるために、カットのメインは傑である。
「じゃあ、次は爺出番だな」
そういってよっこいしょと、タモツが出てきた。
このこだわりあるお客さんは、予約の段階で、タモツ先生がちょうどいいときに予約をとりたいのですが?といって先に抑えてきていた。
「そういわれたら、やるしかねえな」
そういって予約がある朝はいつもより気合いを入れているらしい。
「やっぱり爺だから、だましだましよ」
そうはいうが、蒸しタオルを準備し、ブラシで泡立てる姿は、一分の隙も見せない。
その姿を見ると、蘆根はうるっときてしまう。
奥さんが倒れて、入院、あっという間に亡くなってしばらくは、声をかけるのもためらったぐらいだ。
「もううちも終わりだ」
それがその頃の口癖だ。
そこに蘆根がけんか腰で。
「タモツ先生からはまだまだ教わることがありますからね」
と押し掛けて来た。
「勝手にしろ!」
険悪な日々が続きはしたが、店を開けるとお客さんたちはやってくる。
先に浜薔薇をよろしく頼むね、いい跡継ぎが見つかったといったのは、近所の人たちが喜んだ。
ある時忙しく、蘆根だけではさばききれなくなったのを見て、ふらっとタモツはやってきた。
「俺がこっち引き受けるから、慌てなさんな」
そういって何事もなかったように客の相手を始めるのだった。
しかしブランクはタモツの魔法のような腕を奪ってしまった。
往年のタモツの技を知るものの中には、そこにがっかりとし、離れていったものも多い。
けども、それを埋めるように蘆根がサポートをし始める。
チーン
仏壇には亡くなった奥さんの写真が飾られていた。
「しっかりしなきゃ、笑われちまうからな」
そういってタモツは、また店に戻ってきた。
確かに往年の腕、本調子ではないかもしれないが、まだやれる、まだやろうとする気持ちは本物である。
がさっ!
耳の中から大きな音がした。
タモツの耳かきが、耳の中から大きな垢を削り、それを取り出したのだ。
「寒いもんだけども、家の中はあったかいですから、それで汗をかいてますし、お客さん、水分不足になってます、お肌がカサカサしてます」
「えっ?そうなの」
「はい、これではいくらクリームをつけてもダメですから、時間を決めてお水を飲んだ方がいいと思います」
「うちでお水差し上げてますから、どうぞこちらを」
そういってペットボトルのミネラルウォーターが出てきた。
暖房のきいた室内、ごくごくと飲めてしまう。
「こんなにカラカラになっているとは思わなかったよ」
「これからマッサージもしますから、老廃物も流せますし」
マッサージは蘆根の出番である。
ゴリゴリ
「お客さん、これ、家でもマッサージした方がいいですね、お風呂上がりでも、それで大分違いますから」
「仕事でね、結構しんどくてね」
「頭と胃ですね」
「ひゃぁ」
そして一眠りしてから、今日のメニューはおしまいとなった。
一眠り、仮眠はフルコースメニューのサービスとなっております、ご用のかたは遠慮なくお申し付けください。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...