浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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生きる気力

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最近KCJ(王立 ケットシー協会  日本支部)の人が、浜薔薇の庭にあるガレージをオフィス代わりに使っている。

イベントの書類を作成すると、ケットシーのイツモの目がキラリと光り。
パッ!
イツモが登ってくるので。
「イツモ様、イツモ様、勘弁してくださいよ」
と片手で止めながらを繰り返している。

「昨今の事情を踏まえて、炊き出しを庭借りて行いたいっていっててたな」
「あっ、それでなんですか」
傑に蘆根は話をする。
「やっぱり海外に本拠地があればそういうの手厚いんじゃないか?」
利益は社会に還元するのが我々KCJです。

「こっちです」
庭にプレハブが運ばれてきた。
「これと当日はキッチンカーが来ます」
「洗濯機とかは使う?」
「あ~洗って着るというよりは、新しいものに着替えるって感じですね」

KCJはその日のために隣のアパート、旅行客向けに貸し出している、二部屋を借り。
男女別でお風呂も解放します。

この辺にいるケットシーはイツモだけなので、人員に余裕があることと、炊き出しのための物資があるから。
「頑張らなくても出来るんです」

「へぇ~そんなこと始めるんだ」
最近連日訪れているお客さんにも、これから炊き出し始めるよという話をした。
なぜ連日訪れているかというと、蘆根のマッサージは過労の状態を改善させ、HPも上限近くまで回復させれるため。
「浜薔薇に来る前は疲れすぎて眠れない、食べれない、ただ時間だけが過ぎていくんだ」
手当てでもらえる分みんな蘆根に課金していた。
「俺が金持ちになったら、すぐに蘆根さんにマッサージしてもらえる状態で、ついててもらうわ」
「気持ちはうれしいですけど、店やめるつもりはないですよ」
「そう?残念」
その夜近所の人が炊き出しのために米などを寄贈したいといってきた。
申し出はありがたく蘆根は承諾した。
その近所の人に向かって、もう一人近所の人は。
「蘆根のやつに甘くねえ?」
と言い出したが。
「それやって弟子に逃げられた人はダマラッシャイ!」
すごい剣幕で睨んだという。

蘆根の効果なのかわからないが。
「なんか近所のコンビニあるじゃん?」
郊外あるあるの駐車場がとんでもなく広いコンビニ。
「宅配の預かりロッカーを大きく作ることになるってよ」
この辺りの人通りも増えそうです。

浜薔薇が面している道路があって、そこを仕事帰り通る人もいる。
(はぁ、やっと終わった)
仕事は楽しいとは言えない。
そこにシュバ!と何かが。
「 わあ!」
最初は何かわからなかったがネコである。
「なんだよ、お前、危ないじゃないか」
と人間の言葉はわかるかは知らないが注意すると。
ネコはこっちを見ながら、ゴロン!
「ネコってしゃべらないと思うんですけど、この時私には、『ドヤ?兄ちゃん、もふっていくか?』と聞こえました」
そしてそっと手を伸ばた。
そこからである。
そこからこの道を通るたびに、ネコがチラッと見てから、こっちに来る。
「で、たまにいない時があるんですよね、そこでがっかりしている自分がいたんですよ」
そこで気がつく。
「俺って、ネコめっちゃ好きじゃん!」
そしてそこから仕事のストレスもみるみる減っていく。
あの不安から解放されている自分がいるのだ。
そしてその人は、ネコが浜薔薇のネコで、名前がイツモとわかってからも。
「王子!」
と呼び。
「王子にはいつもお世話になっています」
定期的にキャットフードのギフトを持ってくる。
イツモが生きる気力を与えてくれ。
「資格の勉強しまして、合格したので転職が決まりました」
人生にもプラス効果が出ているようです。

浜薔薇のストレスケア担当がイツモ、で飼い主の蘆根はストレスに対してはどうかというと、彼もまた並み以上の耐性を持つ。
「他のやつらが、疲れたとかいっても、俺一人だけ、もりもり飯食っている感じだな」
でもストレス管理から。
「大丈夫かもしれないけど、休んでよ」
と言われるぐらい。
「マッサージもやっていると、セルフケアでストレス回復は覚えるからな」
そういう話をベッドメイキングしながらする。
蘆根のベッドメイキングは早い、そしてちょっと見ただけではどうやっているのかはわからない。
「いや、ほら、俺は病院併設のところでも働いていたから」
大変だと手伝ったこともあるので覚えた。
「点滴とか行う処置室のベットと、マッサージの台って同じサイズだから」
その時の折り方そのままでベッドを作っている。
「だからクリーニングも同じところと契約だな」
マッサージも回転数は早いので、急患向けのベットの作り方はなんだかんだで便利だったりする。

炊き出しは色んな人がやってきた。
それこそ近所で働いている方のお昼にもなる、この辺は飲食店がないため、一挙に集まった感じである。
「えっ?髪も切ってくれるんですか?」
浜薔薇ではよろしかったら散髪もと協力することになった。
生活に不安を抱える一人の男はそこまでしてくれることに、大変驚いた。
「散髪と髭剃りと耳掻きします」
その人の耳の中はコートのファーのように、毛がもっさりと生え、垢がつまっている。
それをカミソリかけるとはがれていくが。
「お客さん、これ以上固くなつまっていたら、耳鼻科です」
「えっ?そこまでつまってた?」
「つまってました」
そしてあまりにも耳かきが気持ちよく。
(俺はこの耳かきをちゃんと客として受けてやるんだ!)
耳かきは生きる気力となったそうだ。


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