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米の酒とブドウの酒
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「東司さん、浜薔薇への荷物と、その荷物を運んできた河童山さんというかたが久しぶりにお会いしたいと」
誰だろう?と支部の受付から連絡をもらい、そのままロビーに出ると。
?
やっぱりわからない。
(誰だ?)
「ジラン!」
そこでわかった。
「えっ?」
だが東司が知っている姿形ではない。
「俺だ!」
「いや、わかったが、えっ?」
「こちらではあの姿は目立つと言われてな」
「ああ、そういうことか」
ソファーに向かい合って座る。
「しかし、こっちに来てるとは知ってはいたが、別人で驚いたよ」
東司をジランと呼ぶ人たちはわかりやすくいうと、ドワーフである。
「いや、お前からあの職人技を見せてもらって、その後、あれが潰えそうだってっていう話になったら、うちから誰かを送るかって話になってな、しかし、大変だな、人間というのは技術を磨いても、後を継ぐやつはいないわ、若いうちが短いわ」
「それはしょうがないって」
「それでな、こっちの酒を飲ませてもらってことで、今は先生の元で手伝っててな、筋がいい、もっと早く来てほしかったなんてこぼされているんだが…」
「あっ、そうか」
このドワーフ弟子、今の先生と同じぐらいの年齢で、ドワーフだと若手になる。
「若い扱いされるは慣れているけども、自分と同じ年ぐらいの先生ははじめてでな、それで今は鞄を作ってて、あれだ、こっちでは作った奴にタグ、印いれるんだろ?だからこっちの町バックには俺のタグが入っているんだよ」
ドワーフは銘を刻むという感覚がないので、こそばゆいらしい。
「やるならしっかりやろうと思ってな」
『2copper9』
河童山が主導で作った町バックシリーズにはこのタグが入っている。
「しかし、名前、ずいぶん独走的な名前だな」
「タグか?」
「いや、こっちでのお前の名前」
「本名だとせっかくの魔法が台無しだからってことで、なんか日本名をつけろと、色々と話していったんだが」
赤銅がとれる山の出身で。
「他の国なら、カッパーとかでもいいんですけども、日本だと…」
そういって妖怪の方の河童の説明をされた。
「それでいいんじゃねえ?」
「えっ?」
「いや、これで決まりだ、俺は今日から河童山だ」
KCJの職員がポカーンとしていたのは想像しやすいと思う。
「だからタグも、これか」
「他のやつらには河童山だからそこをcopperと賭けていると思われているがな」
29は元素記号だよ。
「名前はあれだが、タグのデザインはいいんじゃないかな」
「だろ!」
本当、この辺は浜薔薇の誰かさんと話が合いそうである。
「先生な、今は新しいこと習っててな、染め物、今の施設のそばには染め物の工房があって、そこで糸の染め方を習っててな、好奇心が旺盛なんだよ、それで俺は久しぶりにジランの顔を見に来たってわけさ」
東司 燭という名前はこちらの世界に帰還してからの名前である。
戸籍の名前は異世界転移によって、失踪者扱いで死亡となっており、新生活プログラムによって新しい名前となった。
彼の身寄りは帰還の際の調査ではみな故人といってよく、復帰もできたが、墓の任せられるならばそれ以外は特に望まないということで。
それまで育っていたドワーフの集落で彼はジランドール、燭台の意味の名前を持っていたので、そこから燭となっていた。そこからはKCJの戦闘職 『蝋涙(ろうるい)』東司 燭、これが今の呼び名だ。
「やっぱりよ、職人っていうのは引退はねえ、人生確かに色々あるかもしれないが、それこそ、うちのジジイなんて、ジジイになって、若いときとは上手くいかねえなっていいながらも、できることは俺らよりもすごいから、本当はこっちにうちのジジイが来る気だったんだぜ」
「それはさすがに止めただろう」
「止めたな、ジジイが弟子入りすると向こうも気を使うぞって」
「確かに気を使いそうだ」
「だろ、よーし今日は飲むぞ」
「おいおい」
「前に送ってきた酒旨いってはいってたが、俺飲めてなくてさ、樽一つじゃ足りねえからな」
「それはわかってはいるけどもさ、わかった、わかった、今日は飲むか」
「わかってんじゃねえか!よーし」
このご時世、売上にお困りの方はドワーフのお客さんをご案内させてみませんか?彼らは飲むぞ!
「セルフになるが、先に料理は作ってもらって、置いている酒は飲んでもいいって」
東司が馴染みのお店に連絡を入れると、お店の人はとんでもなく喜んでくれた。
「あっ、そうだ、こっち前払いのほうがいいし、多目に払っておいてくれ、こっちの金もらってもさ、使う場所がないんで、溜まっていく一方なんだ」
異世界転移あるある。
「それなら、ちょっと待って」
あちこちに連絡。
「こっちの金あるなら、もっと酒に使う気はあるか?」
「どうしたよ?」
「前に樽送ったろ?ああいうのってお祝い事に出されるんだが、あちこちでそういうのがなくなって、買わないかの話が俺に来てたんだが」
「えっ?いいぜ、買っても、足りるか?」
「そっちに送るぶんもだが、エルフの長老にもって思って」
「お前、本当にマメだな、米の酒とブドウの酒ならば贈答ってことでなんとかなるだろうよ」
管理部門にも連絡し、東司に話を持ってきたところのものは買い上げた上に、何かに使ってくれと東司個人からお金を置いてきたという。
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
「これが町バックか」
山バックよりも小さく、お財布などを取り出しやすくしております。
見本のリュックを1つ、蘆根は手に取り。
「これが小サイズ?」
中を見た後に、背負ってみると、そこにうずうずとした
イツモが、中に飛び込んだ。
「おお!」
さすがにいきなり重くなったので、びっくりすると、リュックから尻尾だけが飛び出てて。
(はっ!)
いけないと思った傑がスマホを片手にカメラを起動させる。
くる!
リュックの中で向きを変えて、イツモがひょっこり顔をだした、そして蘆根と目があっている。
パシャ
手を震わせながら、写真を狙う傑。するとイツモがこっちを見た。
「このリュックの小はイツモがちょうどいいサイズだな」
なんて笑っていた。
ひたすら写真を撮影されるがイツモが飽きたらしく、リュックから飛び出てて、どっかに行ってしまった。
「傑?どうした?」
「なんでこんなシャッターチャンスを作れるんですか」
「そうか?」
「そうですよ、KCJの撮影の人も毎回頑張っているのを聞いてますし」
それこそ猫どころか、ケットシーは気まますぎて、おとなしいイツモでさえも見所を作るのは大変なのに。
「そのセッティングを越えた風景を作るんですもん」
あまりにもびっくりして、まだ写真の確認をしてないぐらいである。
「俺はそういうここで撮影するとかわからないからな」
先にイツモを見てしまう、抱っこするのでカメラに行こうはない。
「そこはね、浜薔薇の写真も撮影してますから、いい写真は一枚でも多くほしいですよ」
冷静さを取り戻して。
「やっぱり今のはいいですね」
すぐに波里に送信、すぐに返事もくる。
「イツモは先輩と一緒にいると、表情豊かっていうか、本当にこれ写真にしたらいいのになって思うことばかりするんですもの」
「あっ、そういえばお客さんがイツモの衣装を作ってみたと、アンモナイトなんだけどもさ」
そのチョイス、蘆根と同類の気配がした。
誰だろう?と支部の受付から連絡をもらい、そのままロビーに出ると。
?
やっぱりわからない。
(誰だ?)
「ジラン!」
そこでわかった。
「えっ?」
だが東司が知っている姿形ではない。
「俺だ!」
「いや、わかったが、えっ?」
「こちらではあの姿は目立つと言われてな」
「ああ、そういうことか」
ソファーに向かい合って座る。
「しかし、こっちに来てるとは知ってはいたが、別人で驚いたよ」
東司をジランと呼ぶ人たちはわかりやすくいうと、ドワーフである。
「いや、お前からあの職人技を見せてもらって、その後、あれが潰えそうだってっていう話になったら、うちから誰かを送るかって話になってな、しかし、大変だな、人間というのは技術を磨いても、後を継ぐやつはいないわ、若いうちが短いわ」
「それはしょうがないって」
「それでな、こっちの酒を飲ませてもらってことで、今は先生の元で手伝っててな、筋がいい、もっと早く来てほしかったなんてこぼされているんだが…」
「あっ、そうか」
このドワーフ弟子、今の先生と同じぐらいの年齢で、ドワーフだと若手になる。
「若い扱いされるは慣れているけども、自分と同じ年ぐらいの先生ははじめてでな、それで今は鞄を作ってて、あれだ、こっちでは作った奴にタグ、印いれるんだろ?だからこっちの町バックには俺のタグが入っているんだよ」
ドワーフは銘を刻むという感覚がないので、こそばゆいらしい。
「やるならしっかりやろうと思ってな」
『2copper9』
河童山が主導で作った町バックシリーズにはこのタグが入っている。
「しかし、名前、ずいぶん独走的な名前だな」
「タグか?」
「いや、こっちでのお前の名前」
「本名だとせっかくの魔法が台無しだからってことで、なんか日本名をつけろと、色々と話していったんだが」
赤銅がとれる山の出身で。
「他の国なら、カッパーとかでもいいんですけども、日本だと…」
そういって妖怪の方の河童の説明をされた。
「それでいいんじゃねえ?」
「えっ?」
「いや、これで決まりだ、俺は今日から河童山だ」
KCJの職員がポカーンとしていたのは想像しやすいと思う。
「だからタグも、これか」
「他のやつらには河童山だからそこをcopperと賭けていると思われているがな」
29は元素記号だよ。
「名前はあれだが、タグのデザインはいいんじゃないかな」
「だろ!」
本当、この辺は浜薔薇の誰かさんと話が合いそうである。
「先生な、今は新しいこと習っててな、染め物、今の施設のそばには染め物の工房があって、そこで糸の染め方を習っててな、好奇心が旺盛なんだよ、それで俺は久しぶりにジランの顔を見に来たってわけさ」
東司 燭という名前はこちらの世界に帰還してからの名前である。
戸籍の名前は異世界転移によって、失踪者扱いで死亡となっており、新生活プログラムによって新しい名前となった。
彼の身寄りは帰還の際の調査ではみな故人といってよく、復帰もできたが、墓の任せられるならばそれ以外は特に望まないということで。
それまで育っていたドワーフの集落で彼はジランドール、燭台の意味の名前を持っていたので、そこから燭となっていた。そこからはKCJの戦闘職 『蝋涙(ろうるい)』東司 燭、これが今の呼び名だ。
「やっぱりよ、職人っていうのは引退はねえ、人生確かに色々あるかもしれないが、それこそ、うちのジジイなんて、ジジイになって、若いときとは上手くいかねえなっていいながらも、できることは俺らよりもすごいから、本当はこっちにうちのジジイが来る気だったんだぜ」
「それはさすがに止めただろう」
「止めたな、ジジイが弟子入りすると向こうも気を使うぞって」
「確かに気を使いそうだ」
「だろ、よーし今日は飲むぞ」
「おいおい」
「前に送ってきた酒旨いってはいってたが、俺飲めてなくてさ、樽一つじゃ足りねえからな」
「それはわかってはいるけどもさ、わかった、わかった、今日は飲むか」
「わかってんじゃねえか!よーし」
このご時世、売上にお困りの方はドワーフのお客さんをご案内させてみませんか?彼らは飲むぞ!
「セルフになるが、先に料理は作ってもらって、置いている酒は飲んでもいいって」
東司が馴染みのお店に連絡を入れると、お店の人はとんでもなく喜んでくれた。
「あっ、そうだ、こっち前払いのほうがいいし、多目に払っておいてくれ、こっちの金もらってもさ、使う場所がないんで、溜まっていく一方なんだ」
異世界転移あるある。
「それなら、ちょっと待って」
あちこちに連絡。
「こっちの金あるなら、もっと酒に使う気はあるか?」
「どうしたよ?」
「前に樽送ったろ?ああいうのってお祝い事に出されるんだが、あちこちでそういうのがなくなって、買わないかの話が俺に来てたんだが」
「えっ?いいぜ、買っても、足りるか?」
「そっちに送るぶんもだが、エルフの長老にもって思って」
「お前、本当にマメだな、米の酒とブドウの酒ならば贈答ってことでなんとかなるだろうよ」
管理部門にも連絡し、東司に話を持ってきたところのものは買い上げた上に、何かに使ってくれと東司個人からお金を置いてきたという。
『ここは浜薔薇の耳掃除です』
「これが町バックか」
山バックよりも小さく、お財布などを取り出しやすくしております。
見本のリュックを1つ、蘆根は手に取り。
「これが小サイズ?」
中を見た後に、背負ってみると、そこにうずうずとした
イツモが、中に飛び込んだ。
「おお!」
さすがにいきなり重くなったので、びっくりすると、リュックから尻尾だけが飛び出てて。
(はっ!)
いけないと思った傑がスマホを片手にカメラを起動させる。
くる!
リュックの中で向きを変えて、イツモがひょっこり顔をだした、そして蘆根と目があっている。
パシャ
手を震わせながら、写真を狙う傑。するとイツモがこっちを見た。
「このリュックの小はイツモがちょうどいいサイズだな」
なんて笑っていた。
ひたすら写真を撮影されるがイツモが飽きたらしく、リュックから飛び出てて、どっかに行ってしまった。
「傑?どうした?」
「なんでこんなシャッターチャンスを作れるんですか」
「そうか?」
「そうですよ、KCJの撮影の人も毎回頑張っているのを聞いてますし」
それこそ猫どころか、ケットシーは気まますぎて、おとなしいイツモでさえも見所を作るのは大変なのに。
「そのセッティングを越えた風景を作るんですもん」
あまりにもびっくりして、まだ写真の確認をしてないぐらいである。
「俺はそういうここで撮影するとかわからないからな」
先にイツモを見てしまう、抱っこするのでカメラに行こうはない。
「そこはね、浜薔薇の写真も撮影してますから、いい写真は一枚でも多くほしいですよ」
冷静さを取り戻して。
「やっぱり今のはいいですね」
すぐに波里に送信、すぐに返事もくる。
「イツモは先輩と一緒にいると、表情豊かっていうか、本当にこれ写真にしたらいいのになって思うことばかりするんですもの」
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