浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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ご飯って毎日食べなくちゃダメなんですよ

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浜薔薇出張所の炊き出しなどは学生たちもやってくるが、時間的にはお持ち帰り、またはもらってすぐに食べながら帰るなどそんなかんじ。
「ここの飯は本当に美味しい、いえ、美味しいご飯ありがとうございます」
結構ゆるゆるに見える炊き出しだが、トラブルが起こさないようにしていくのと、健康にはうるさい。
炊き出しのメニューは基本的にはあまり豪勢ではない、他の人から見ると、炊き出しなんだから、そのメニューって贅沢だろうと言われたこともある。
ジ…
生霊達が見てますね。
これは浜薔薇を悪くいう人がいると、自然と湧く感じですかね。
あのぐらいなら害はそうないかな、ただそのままにしておくと危ない、何もないところで躓いたり、そこに何かが落ちてくるようになるし、本人以外にも家族にも出るからな…
茶九良のダンジョンの方にいる生霊と違って、管理されてないとどうしてもそうなる。
そう、生霊は他にもいる。
王国の住人の猫が大好きなんだが、あまり遊ぶ時間がとれない、そのために抜け出てしまい、猫のそばをたまにさ迷うので。
「有能活用しましょう」
ダンジョンの意思のその分身である白狐のツロツメがそういい、KCJもそのまま生霊にさ迷われ、何かのきっかけで変わってしまっては怖いということで。
シロツメはその昔地域のお祭りで使われていた面を、住人たちの生霊にペタりと張り付けた。
怪異ネコノゲボクたちはこうして生まれた。
ネコノゲボクはダンジョン内にいる猫達の世話をしている、そうして心を満たすことによって、生霊の本体、本人にもリフレッシュ効果が認められています。
「ただし微々たるものですから、生霊になるってことはストレスがあるので、そこが暴走しないようにする措置です」
ああなんということなのだろう、蘆根たちがお店でお客さんを癒しても、癒しても、過剰なストレスが彼らには日々降り注いでいるのだ。
「蘆根さんたち、浜薔薇は溜まったものを吐き出す、ストレスがかかってない状態にはできますけども、今の世の中はね、炊き出ししているとよく見えると思いますが」
たまにお客さんの中では不安に陥っている人もいる。
(あれ?ここでご飯食べれてない、いきなり炊き出しだ終わったら、生活できなくないか)
炊き出し前は今日はどうしようかと、節約を常に心がけて買い物をしていた人がふと思ったという。
「はいはい、お話は聞きますよ」
そういった相談はヴィーチェが承ったりします。
「出張所の炊き出しっていつまでやるんですか?」
「特に終わることは考えてませんよ、山宮さんたちがいますし」
山宮さんや他の調理の方も働き出している。
「本当ですか?」
「ええ、なかなか調理担当の方は増えないんですよね」
「なんでです?」
「求めるハードルが高いんで、特に山宮さんのような人がいると」
ジャンルを問わずなんでも作るし、また様々な食材への知識、調理技能がとても高い。
「あと、大きいのは、全部自分だけではやらないってタイプじゃないと、KCJでは難しいんですよね」
「全部自分でやっちゃダメなんですか?」
「ダメですよ、山宮さんは調理の下処理は機器使ってますし、もしも毎日あの分量一人でやってたら、体壊しますし、炊き出しが毎日出せなくなってしまう、ご飯って毎日食べなくちゃダメなんですよ」
「あっ…」
「できれば決まった時間にね、だからちゃんと食べてるかっていうのがとても大事で、KCJの場合は、うちはこれをこういうことをやりたいの!っていうのがあるから、そのために独立した状態を維持しなきゃならないんですよ、何かしらの形で社会に還元する」
「言ってることは素晴らしいですけども…」
「言いたいこともわかりますよ、実際にそれをやるとしたら…そこはクリアしているからこそ、ここにいますね」 
それこそお金の力だけではいくらあっても足りない。
「現場の責任者達が有能なんですよ」
元々人材としては異世界帰還者の受け入れ先から始まった。
帰還してもこの国ではきちんと働き先や教育機関がない、なのど最初は本当、冒険者パーティー、そこからギルドみたいな形で大きくなっていったようなものである。
初期の活動には異世界から採掘された水晶などを売り払って当てられた。
「ちょうどあちこちで掘り尽くされて、商品になるものが無くなって来た辺りなので、高く買い取ってもらいました、今はそういったものだけではなく、様々な分野で利益を取れるように管理部門所属の人材がいますね」
炊き出しなどの予算を抑えれる食品が得意な人間も支部には何人かいた。
「それこそ、畑からセロリを一株をママチャリに乗せてきて、山宮さん、これって調理に使える?とかいってきますし」
そういう感じにも冷静に対応する山宮さんは大人である。
「ここの野菜は美味しいと思うんだよね、うちの野菜はいつもここかな」
この管理部門の人は、近郊の農家の野菜をほとんど試しているようだ。
「だいたいこんなところに直売所が、人歩いてないじゃんってところの方が美味しくて安いね」
そして持って帰れないぐらい野菜が多いときは。
「もしもし」
管理部門に連絡して、車で来てもらう。
「どうしますか?」
「全部買いで」
「わかりました」
そして車にのったあと。
「この間、この近くの畑から都市部のバイヤーが買い付けたって聞いてね、近所ならば美味しいものあるんじゃないかと目をつけていたんだよね、だからこうして自宅の前で直売していたからラッキーだよ」
こういうタイプの野菜は、炊き出しではなく、保存食の冷凍お総菜として調理されることが多い。
学生達が浜薔薇出張所に立ち寄れる時間は、まだ炊き出しが出来てなかったり、終わっていたりすることも多いので、代わりにこういったもので対応している。
また…
「旨かったわ」
遠く離れた西の都市、浄水センターのお昼もこのタイプが彩っている。
なんか最近は山宮さん、様々やな。
浄水センターにいるサメ、おっちゃんは食い物にはうるさい。おっちゃんが旨いというものは本当に旨いということで、KCJから送られてくるお総菜などは今では職員にも分けて食べられているが。
「うちの子食べ盛りなんで」
気持ちわからるけども、それ以上はあかんよ。
多めに持っていこうとした職員の一人の手首をおっちゃんは掴んだ、その時のおっちゃんは間違いなく殺し屋の目付きをしていたという。
(あかん、怖いわっていう言葉も出んぐらいになってる)
「そこまでにしておきなさい、喧嘩はだめ、おっちゃん、これからルール決めるから、そのヒレしまってんか?」
やはりサメは人の本能に恐怖を与えれる存在なんだな。
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