444 / 1,093
胃袋は思春期
しおりを挟む
カワイサリエビ
川に遊びに来ていた少年が、若き日のイサリことおっちゃんから、これ珍しいと思うと言わんばかりに、その頃のおっちゃんはテレパシーは習得しておらず、ボディランゲージを含めて渡された海老。
それを家で育て、観察日記を提出したところ、どうもこれは見たことがない海老であるとのことで調査が入り、数年後新種として認定された。
名前の由来はその時には水族館暮らしをしていたおっちゃん、イサリから。
「つまり、イサリAがその海老っちゅうわけやな」
おっちゃんの本名はイサリ・B(バース)です。
そういって来ると思ったから、その話題な、だって直球、ストレート、おっさんのギャグぐらいありふれているから、おっちゃんのセンスにはちょっと合わん。
「はっはっはっ」
「おっちゃん」
他の部署から訪ねてくる職員がいる。
どうした?
「おっちゃんさ、どうやって日本語覚えたの?」
河川ザメっていうのはな、人間さんの真似する遊びがあってな…このバスは終点二手寺(ふたででら)になっております。
「なんやそれ?あっ、わかった、前に浜薔薇に行ったとき乗ったバスか」
こんな感じでな。河川ザメが初めて覚える人間の言葉は、バスのアナウンスだとされているんや。
サメの生息地を調査するときにもこれはかなり有効な方法であった。
「自己申告しているようなもんやし、そりゃあ、自分からいつも聞いている次は○○前、次は○○前とか言ってくれたらさ」
それで河川ザメのテリトリーは、その川という広い中でも、どこら辺が寝床にしているのかわかるという。
でもそういうことやないんやろ?実際にこうして日本語を話せているっていうまでのことなんやろ?基本河川ザメは「サ」か「メ」しか言わんしな。
「それはそれでどうやってるの?」
感情を込めて、鳴いているって感じやな。人間でも河川ザメがこいつ何喋ってるのか気になるわっていって、覚えた人たちはいるけども。
「奇特やな」
確かおっちゃんの言葉については、おっちゃんよりススムの方が詳しいはずや、おっちゃんに言葉教えてくれた飼育担当の人とも熱心に話していたし。
というわけでススムこと所長に話を聞くことにする。
「ああそれか、その飼育の担当っていうのは、私が子供の頃には定年間近だったんだが、戦時中に河川ザメの研究をしていた人でな」
「水産学部とかですか?」
「頭はいいから、言葉を教えて、なんかできんかな?ぐらいだったらしい、イサリ見ればわかるけど、河川ザメはお調子者だから使えんってことになってな、ただその時の研究の成果使って、おっちゃんに言葉を教えていったんや」
まずは「あいうえお」から。
「ただな、河川ザメは発声があんまり上手ではないから、上手いのも今はいるみたいだけど」
おはようございます!
それでは今日も朝から映画ラジオ!
「なんであの二匹はこんなに流暢に喋れるのか」
「所長、それは僕に言われても困ります」
「しかしやな、イサリは本当にしゃべるの苦労したの、日本語とイルカ語は理解してるんやけどもな」
「えっ?おっちゃん、イルカとも喋れるんですか?」
「二段ジャンプはイルカから教わったんやで」
「なんでしょうね、言語って大事だなって、そのエピソードでよくわかります」
二段ジャンプできるのはこの一匹だけで、他のイルカも覚えてほしいんだけども、なんでかサメが覚えました。
でもサメなんで、水族館の花にはなりません。
「それでまあ、浄水センターに最初は金魚さんたちの同僚やったんやけども」
見学の子供たちが暇そうにしていると、笑わせようとしだした。
「今じゃあれや」
浄水センター公式動画で、おっちゃんと職員さんの爆笑ネタ配信中。
「かなり続いてますよね」
「イサリもあいつらも、あのネタに関しては真剣に会議しおる」
次は何やる?
時期ネタはかぶるしな。
おっちゃん、なんか最近おもしろいことあった?
あったかな?う~ん、あっ、バタービスケット旨いの出たんだけども、食べた?
でもあれ、前のやつより量激減してない?
それがな、大問題や、おっちゃんには一袋では足りん。
食べ盛りやな、胃袋だけは思春期や。
こんな感じで面白いなって事が出てきたら、メモを取って動画の脚本にして、上司の承認とってから撮影に入る。
「今はもう浄水センターの広報なのか、お笑い動画なのかわからんなっていったら」
じゃあ、今年の時事問題でネタ作れば文句言われないんとちゃう?
受験生向きやとかなら話は通るな!
「ほんまにあのサメはこういう時だけ、頭がよう回るもんやな」
「それで勉強の合間に見てほしい動画にも選ばれて、取材も来ましたからね」
「あれからや、見ている子供らが、面白かったです、次は何やるの?中世ヨーロッパだと嬉しいなって言われているのを見たら、…承認しないわけにはいかんやろ」
最近は色んなのに手を伸ばそうと思い、おっちゃんも他のお勉強動画を見ていたりもする。
そしてこの間も聴講生としてとある大学に行きたかったのだから、サメだからと断られた。
「むしろこの辺は日本よりも海外の方が笑って受け入れてくれるもんらしい」
君はなんだね?
サメです。
それはわかってる。
勉強しに来ました、さっそくなんですが、素人質問で恐縮ですがこちらについて聞きたいことがあるのですが?
「そういうことが続いて、教授とサメの質問には気を付けろって言われているらしいぞ」
「なんかいい話聞けた?」
「真似できない、参考にならない話ばっかりだった」
でも面白かったと職員は思った。
川に遊びに来ていた少年が、若き日のイサリことおっちゃんから、これ珍しいと思うと言わんばかりに、その頃のおっちゃんはテレパシーは習得しておらず、ボディランゲージを含めて渡された海老。
それを家で育て、観察日記を提出したところ、どうもこれは見たことがない海老であるとのことで調査が入り、数年後新種として認定された。
名前の由来はその時には水族館暮らしをしていたおっちゃん、イサリから。
「つまり、イサリAがその海老っちゅうわけやな」
おっちゃんの本名はイサリ・B(バース)です。
そういって来ると思ったから、その話題な、だって直球、ストレート、おっさんのギャグぐらいありふれているから、おっちゃんのセンスにはちょっと合わん。
「はっはっはっ」
「おっちゃん」
他の部署から訪ねてくる職員がいる。
どうした?
「おっちゃんさ、どうやって日本語覚えたの?」
河川ザメっていうのはな、人間さんの真似する遊びがあってな…このバスは終点二手寺(ふたででら)になっております。
「なんやそれ?あっ、わかった、前に浜薔薇に行ったとき乗ったバスか」
こんな感じでな。河川ザメが初めて覚える人間の言葉は、バスのアナウンスだとされているんや。
サメの生息地を調査するときにもこれはかなり有効な方法であった。
「自己申告しているようなもんやし、そりゃあ、自分からいつも聞いている次は○○前、次は○○前とか言ってくれたらさ」
それで河川ザメのテリトリーは、その川という広い中でも、どこら辺が寝床にしているのかわかるという。
でもそういうことやないんやろ?実際にこうして日本語を話せているっていうまでのことなんやろ?基本河川ザメは「サ」か「メ」しか言わんしな。
「それはそれでどうやってるの?」
感情を込めて、鳴いているって感じやな。人間でも河川ザメがこいつ何喋ってるのか気になるわっていって、覚えた人たちはいるけども。
「奇特やな」
確かおっちゃんの言葉については、おっちゃんよりススムの方が詳しいはずや、おっちゃんに言葉教えてくれた飼育担当の人とも熱心に話していたし。
というわけでススムこと所長に話を聞くことにする。
「ああそれか、その飼育の担当っていうのは、私が子供の頃には定年間近だったんだが、戦時中に河川ザメの研究をしていた人でな」
「水産学部とかですか?」
「頭はいいから、言葉を教えて、なんかできんかな?ぐらいだったらしい、イサリ見ればわかるけど、河川ザメはお調子者だから使えんってことになってな、ただその時の研究の成果使って、おっちゃんに言葉を教えていったんや」
まずは「あいうえお」から。
「ただな、河川ザメは発声があんまり上手ではないから、上手いのも今はいるみたいだけど」
おはようございます!
それでは今日も朝から映画ラジオ!
「なんであの二匹はこんなに流暢に喋れるのか」
「所長、それは僕に言われても困ります」
「しかしやな、イサリは本当にしゃべるの苦労したの、日本語とイルカ語は理解してるんやけどもな」
「えっ?おっちゃん、イルカとも喋れるんですか?」
「二段ジャンプはイルカから教わったんやで」
「なんでしょうね、言語って大事だなって、そのエピソードでよくわかります」
二段ジャンプできるのはこの一匹だけで、他のイルカも覚えてほしいんだけども、なんでかサメが覚えました。
でもサメなんで、水族館の花にはなりません。
「それでまあ、浄水センターに最初は金魚さんたちの同僚やったんやけども」
見学の子供たちが暇そうにしていると、笑わせようとしだした。
「今じゃあれや」
浄水センター公式動画で、おっちゃんと職員さんの爆笑ネタ配信中。
「かなり続いてますよね」
「イサリもあいつらも、あのネタに関しては真剣に会議しおる」
次は何やる?
時期ネタはかぶるしな。
おっちゃん、なんか最近おもしろいことあった?
あったかな?う~ん、あっ、バタービスケット旨いの出たんだけども、食べた?
でもあれ、前のやつより量激減してない?
それがな、大問題や、おっちゃんには一袋では足りん。
食べ盛りやな、胃袋だけは思春期や。
こんな感じで面白いなって事が出てきたら、メモを取って動画の脚本にして、上司の承認とってから撮影に入る。
「今はもう浄水センターの広報なのか、お笑い動画なのかわからんなっていったら」
じゃあ、今年の時事問題でネタ作れば文句言われないんとちゃう?
受験生向きやとかなら話は通るな!
「ほんまにあのサメはこういう時だけ、頭がよう回るもんやな」
「それで勉強の合間に見てほしい動画にも選ばれて、取材も来ましたからね」
「あれからや、見ている子供らが、面白かったです、次は何やるの?中世ヨーロッパだと嬉しいなって言われているのを見たら、…承認しないわけにはいかんやろ」
最近は色んなのに手を伸ばそうと思い、おっちゃんも他のお勉強動画を見ていたりもする。
そしてこの間も聴講生としてとある大学に行きたかったのだから、サメだからと断られた。
「むしろこの辺は日本よりも海外の方が笑って受け入れてくれるもんらしい」
君はなんだね?
サメです。
それはわかってる。
勉強しに来ました、さっそくなんですが、素人質問で恐縮ですがこちらについて聞きたいことがあるのですが?
「そういうことが続いて、教授とサメの質問には気を付けろって言われているらしいぞ」
「なんかいい話聞けた?」
「真似できない、参考にならない話ばっかりだった」
でも面白かったと職員は思った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる