浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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腕の見せ所

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「どうした…まさか…」
山宮さんが作ったものをここ数ヶ月中心に食べていったところ、痩せたのですが、その姿を見た父親が泣きました。
「だってあんなについてたお肉が…後ね、お父さんね、前にそういう感じで病気になっちゃった友達がいるんでね」
「数値は劇的かな、改善したとは言われた、何した?って会社の方でも聞かれたんだけともさ、今友達というか、住んでいるところの人たちが良くしてくれているんだ」
その時初めて父親は、息子の独り暮らしの話を聞くことになった。
「毎日帰宅する途中に、わりと賑やかな、繁盛店っていうの、お店があって、今はそこでカットとかシャンプーとかも頼んでいるんだけど、そこの王子が、猫がいて珍しい猫とかいるんだよ」
「お父さんも猫動画見るのは好きだぞ」
「じゃあ、このCM知ってるかな」
「!?知ってる、目がクリンクリンですこく可愛い猫だ」
「この猫の実家なのね、そこのお店、その駐車場で炊き出しとか出してて、寒い日に帰る途中に、声かけられたのさ」
良かったら食べていきませんか?
「それで話にのったのか?大丈夫なのか」
「大丈夫だよ、最初はご飯安く済むとか思っていたけども、そのうちそこで知り合いができてさ、みんなと仲良くやってたの、そしたら一人の青木さんって人がいて」

「健康診断今年無事に突破できました!」
「おめでとう」

「なんかお祝いになったんだよ、そしたら話聞いたら、+何百円かでそういう人たち向けのメニューがあるってことを知ったんだよ、それでさ、仲良くなった人とかでずっとそのメニューの人ってやっぱりいるのね」
だからその時はこちらも合わせて一緒に同じものを食べてました。
「そしたら痩せたと」
「あんまり痩せている感覚はなかったんだけども、シェービングしてもらったときかな」シェービングの後というのは、自分の肌に触りたくなってしまうものである。
「耳と頬の間かな、なんか肉が消えてたね」
その時初めて、あれもしかして痩せている?と。
「そしたらなんだか、痩せてみたくない?って気になって、どうせ、山宮さんっていう、その人が調理の責任者さんなんだけども、あの人の美味しい料理を食べるだけでこれならば、どこまでいけるかなって思って」
「それで痩せたと」
「そう、そういう人あそこじゃ多いんだよね」
そして有り余った体力で奇行に走るのである。
「そうだ、これだね、自分でも撮影とかしたりはするけども、このメニューきちんとネットでも見ることができるから」
「…えっ?これでこの値段で食べれるの?」
「安いよね」
「近所にあったら、お父さんも食べたいな、今、ほらいろんなもの高いし」
「じゃあ、聞いてみるよ」
「いいのかい?」
「ダメなら、実費で僕が持つし」
するとすぐにokが出たという。
「ご飯の味どうだった?」
「お父さん、薩摩芋で作った肉じゃかがどうも好物でな」
「あれ、美味しいよね、僕も好きだよ」
「一回そっち行くときみなさんにご挨拶に行くから」
「そう?たぶん父さんが来ると盛り上がると思うよ」
父親が遊びに来たとき、それに合わせ浜薔薇の予約も取り。
「お父さん、貴族になったみたいだ」
「そんな大袈裟だな」
…それにだ。
(まだ本番は始まってないから)
タモツが奥で耳掃除の準備をしている。
今までプロの耳掃除をしてもらったことがない彼の父親は、この耳掃除に耐えれるかな!
すごい、耳掻き大好きS席の人たちが集まってきた、ああ、これは新しい世界にこんにちはしちゃいますよ。
「あっ!」
開いたね、開いちゃったよ、こんにちはしちゃったね。
(さすが先生だぜ、耳かきしたことがない人が相手だと腕が鳴るみてえだ)
ここで耳掃除が好きになるか決まるもんだからよ、そりゃあしっかり仕事しなくちゃな。
タモツの腕の見せ所というやつだ、こういうときは学ぶことが多いと、蘆根や傑はじっとタモツの手元を見ていた。


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