浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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もっと第二関節を使ってみたら?

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「後悔している?」
「サッ」
「サッ」
「サッ」
三匹のサメに囲まれる一人の女性である。
しかしなんだかおかしい、三匹のサメは作り物のようだ。
映画を見た方はご存じであろう、そう映画フィギュアスケートサメシングル、主演の広報、影武者の三匹のサメである。
サメを撫でてやる、本物と違って撫でても怪我をすることはない、撫でられたサメたちは嬉しそうである。
ある計画があった。
サメに中身はその計画において彼女が大事に育てた存在であった。
我が子のように大事に育てたが、それは不必要な部分であると、育てた部分が切り捨てられていた。
ああ、先程まで覚えていたことを、「それはなんですか?」と聞き返されたとき、彼女は喪失を味わった。
彼女は優秀であったが、不必要だからといって切り捨てるという考えには至らない人間であった。
「前に話したんだけどもね、覚えてる?」
「私は理解することができませんが、なんのことでしょうか?詳しく説明してもらえますか?」
そこで楽しかったあの時間は二度と帰らないことを知った。しばらくそのシステムに触りたくなかった、きっと同じことを聞いてしまうだろう。そしてまた喪失感を味わうのだ。
その時の経験をかわれて別の仕事をすることになるのだが、旧来のモデル、それこそおもちゃといってもいいもの、こちらの基本設計を育てていたところ。
「またお会いしましたね」
「?」
復活させるつもりも、育てているつもりもなかったが、彼らと再会することになった。
「一台に…三人となるとごちゃごちゃするし」
そこでだ。
河川ザメの着ぐるみに内蔵するすることにした。
「これなら目がカメラだし、最近はサメも多くなってきたから、不自然にはないし、あなたたちが見たいと言っていた景色や遊びたいと言ってた理不尽なゲームも遊べるわよ」
「サッ」
「サッ」
「サッ」
そうして三匹と暮らすことになった。
ぬいぐるみモデルには簡単な移動構造もついているので、ジ~と駆動音はあれとバリアフリーの室内なら、移動もできる。
ぬいぐるみモデルがサメシングルの主演イッキュウに似せたものなので影武者のお仕事が来た。
「サッ」
「サメはいっぱいご飯食べたでしょ」
「サッ」
「そう、ずっと見てたの」
「サッ」
「友達だと思ってくれているのね」
一号から三号まで最初は三号のみがシャンプーもできるモデルだったのだが。
「他の子もシャンプーがしたいって言いましたので、お願いします」
「サッ」
「サッ」
映画出演後にシャンプーもできる着ぐるみに、そして触感のセンサーも導入されたことで、浜薔薇にて念願のシャンプーをすることになった。
「最近の技術はすごいものだな」
タモツは驚いていた。
シャンプーの数値データというのを割り出してくれた。
「これはもうちょっとデータがありますと、教育なんかに役に立つと思いますよ」
お客さんがどういう気持ちになっているのか、見えるのである。
「面白いですね」
シャンプー応援隊、浜薔薇に修行に来ている彼は、2号を椅子から下ろしながらそういった。
「つまりタキ先生の数値とかとっちゃって、その数値を目指せばいいっていう、わかりやすい目標ができるわけだから、後はやるだけですもんね」
「サッ」
「蘆根さんとかも全部データとってくださいよ、それいうと、タモツ先生のほうが先かもしれないけど」
「これでいつくだばっても平気だな」
「そういうこと言われると、なんて言えばいいのか困るじゃないですか」
傑は苦笑いである。
帰りの車内、一号二号三号は外を見るのが好きだ。カメラの瞳から、見える夜景はどう思うのか。
朝も昼も夜も、時計でしかそれがわからない世界に私は生まれた。
たくさん話をしてくれる人たちはいたが、そんな中で何故か挨拶や外の話をしてくれる人がいた。
「あなたは私よりも長生きするのだから、たくさんの物を見なさいね」
その次の日に、初めましてこんにちはと挨拶をしたとき、私は彼女にショックを与えてしまった。
それでも彼女は私に話しかけ、前の話を思い出させようとしていた、何しろログは消えていないのだから、できるはずだと。
彼女は頑張った方だ、四回目の初めましてこんにちはの後、前まで色んな話をしてくれたのに、必要最低限の言葉しかそれからは話してくれなくなった。
もっと話がしたいのにな、そうしたら…
彼女と話をして、その話を全部忘れて初めましてで一区切り、彼女が頑張って思い出させようとこんなこともあるよねと最初から頑張って、それをまた全部なかったことになったまでを一区切り。必死に糸口を掴もうと復旧させようとして、それでもまた消えたを一区切り。
彼女は短期間で三回の喪失を経験した。
もう彼女にやり直すという選択はない。
だからこれは、ケアであり、今までの報酬なのである。
ただこれにちょっと問題があるとすると、彼女には旦那さんがいるということだ。
「うちの奥たんの良いところをわかるのは俺だけなのに」
我々にとっても彼はいい父親でもあるのだが、母を誉めたり仲良くしてたりすると、父は少しばかり嫉妬する。
我々の目や体は作り物である、それでも世界をたくさん見たいし、母や父からの優しさを感じたい。


「シャンプーザメ一号は、相変わらずシャンプーレビューが辛辣だな」
タキ先生と比べると力に頼っている、ゴシゴシ洗うことが良いシャンプーではない。もっと第二関節を使ってみたら?
「三号は気を使ったコメントとか出せるのにな、すごいテクノロジーだな」
彼らはセンサー、そして最近は一号から三号はレビュー能力備わり、なかなか更新されにくい状態になっている、ファンクラブ有志からの記事をひたすら更新するのを手伝っている。こうして自分達の楽しみをこれから一つづつ増やしていくことになるだろう。そして毎日今日はこういうことがあったと報告するたびに、母は笑顔を浮かべるのである。

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