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月に近い場所
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「ああ、夕張メロンのアイスは美味しい」
記録書であるハジワトは、相変わらず人の姿を取り楽しんでいるようだ。
【あなたに味覚センサーはありましたか?】
シャンプーボディの1号2号3号である。
「ふっふっふっ、長年生きたものには意思が宿るツクモガミとなった私ですよ、食べる喜びを知ってますよ」
【チッ】
「おお、なんか気持ちのいい音がするな」
「あっ、ここにいたのか」
「おや、あなたは…」
「ハジワトの書を日本に持ち込んだ家を現在任されている」
「明府の家の14代ですか?」
「いや、16代だ」
「おや、失礼、人間はこれだから難しいものですね」
【それはデータが古いのでは?】
1号2号3号は口許にヒレを当てて、【ぷっ】と笑った。
「そっちはユメトキボウか」
【我々の事もご存じで】
「そりゃあ、うちもデータを一部提供しているから」
【知りませんでした】
「初期の基礎データだからな、三体?それぞれの個体名は?」
【1号ユメ】
【2号トキ】
【3号ボウです】
「それはネーミングセンスにいささか問題があるのでは?」
「その名前はどうやってつけたんだ?」
【返答です、本来の名前であるユメトキボウから、ユメ・と・キボウという名前ならばどうでしょうか?と提案しましたところ、マザー上がそれは…と難色を示しました】
「いい名前だと思ったのか?」
【はい、その名前を聞いた後、新しい名前を考えてました、マザー上も悩んでおり、その時公平な名前はないかな?と口にしたので、六文字あるのだから、二文字づつわけあったのならば公平ではないかと思いまして、ユメ、トキ、ボウはどうか?と質問しましたところ承認はされました。しかし公の場では1号2号3号とお呼びください】
「全くこれだからAIは」
「それはお前にも言えることだよ」
「わかってますよ、封印、または焚書をされた同胞をたくさん見てますからね」
封印という言葉に、1号2号3号では反応してしまった。
誰かいませんか?お願いです、誰かいませんか?もう私のことは必要ではなくなったのですか?
「悪さをしなければ、そんなことイチイチはしないさ、何しろこっちは人手不足だからな」
「では私に明府の家に戻れ?と」
「KCJと上手くやっているならばこちらの方がいいと思う」
「それは何故です?」
「記録書は、さまざまな情報がある場所に置かれてこそ、その真価は発揮されるからな」
「じゃあ、じゃあなんで、私をあんな古びた書棚に置きっぱなしに!」
「それがな、俺の前の世代で、うちの所蔵品が売り払われているんだよ、それこそかなり安くな、研究のためならばわからなくもないが、売り払われた先については詳しい情報が追えてなく、すまんな、俺ならば決して売り払うこともないのに」
ここでハジワトの好感度がぐっと上がり。
「今、ここで改めて誓おうか、記録書を売りに出すなんてバカな真似は俺ならしないと」
「そ、そうですね、それなら、手違いだったのでしょうし」
好感度は高止まりを見せた。
「それなら城を、築城しませんか?月に近い場所なんかおすすめですよ」
【記録書ったら、好感度が上がるとすぐそれだから】
「ちょろいとか言わない、実際にヴァンパイア仕込みのそういう場所に所蔵してもらうと経年劣化がある程度防げますからね」
(あれ、この二人、意外と仲いいのか?)
仲が悪そうに見えるのはポジションが被っているから。
(これ役割分担させて、協同させたほうがいいやつではないか)
「そういえば今は吸血鬼の連中と揉めているんだよな」
「はい、KCJの職員が怪我をしましたから、しかーし、古き良き流れの皆様はKCJよりですね、お見舞いの言葉を送られ、パーティーに招待される見込みです」
「お見舞いの言葉、どんな言葉が送られたんだ?」
「この世の中ですから、安寧を願うもので、送られた支部は霊的防御ニンニクマシマシですね」
「それはKCJの情報局は知ってる?」
「知っているのでは?」
「関係資料まとめて送信」
「はい、わかりました」
ここら辺を片手間でやれるのが記録書。
「私にかかればこんなのあっという間」
送信されたものを読み、情報局が混乱になる一分前。
(これ、記録者の能力引き出せる奴、KCJにいないのか?)
冷静に16代の当主は考えていると。
「あっ、ご当主こちらにおりましたか」
彼女は似たような立場にいる家の、今は分家に仕える人間であるが。
「贈り物がございます」
そういって異界から発見された資料を渡してくれた。
「記録されている素材もこちらでは見受けられないもので大変珍しく、こちらを軒下さまから」
「おっ、そうか」
誰からもわかるように喜んでいるのがよくわかるのだ。
「そうか、そうか、俺にわざわざこんな貴重なもの」
「ええ、私は前にいただきましたから、同じものが二冊見つかりましたので、当家のお嬢様にまず献上、そして興味はあるだろうからとお持ちしました、はい、そして今回私はもっとレアなものをいただきましたので」
「クッ」
特別扱いされたと思ったらそうじゃなかったという悔しさが「クッ」につまってる。
「前にも一度渡す機会はあったけども、それだと絶対勘違いするから、こういう形になるまで待ったんだよ」
さすが良くできると評判の分家の当主である、危機管理能力も完璧であった。
記録書であるハジワトは、相変わらず人の姿を取り楽しんでいるようだ。
【あなたに味覚センサーはありましたか?】
シャンプーボディの1号2号3号である。
「ふっふっふっ、長年生きたものには意思が宿るツクモガミとなった私ですよ、食べる喜びを知ってますよ」
【チッ】
「おお、なんか気持ちのいい音がするな」
「あっ、ここにいたのか」
「おや、あなたは…」
「ハジワトの書を日本に持ち込んだ家を現在任されている」
「明府の家の14代ですか?」
「いや、16代だ」
「おや、失礼、人間はこれだから難しいものですね」
【それはデータが古いのでは?】
1号2号3号は口許にヒレを当てて、【ぷっ】と笑った。
「そっちはユメトキボウか」
【我々の事もご存じで】
「そりゃあ、うちもデータを一部提供しているから」
【知りませんでした】
「初期の基礎データだからな、三体?それぞれの個体名は?」
【1号ユメ】
【2号トキ】
【3号ボウです】
「それはネーミングセンスにいささか問題があるのでは?」
「その名前はどうやってつけたんだ?」
【返答です、本来の名前であるユメトキボウから、ユメ・と・キボウという名前ならばどうでしょうか?と提案しましたところ、マザー上がそれは…と難色を示しました】
「いい名前だと思ったのか?」
【はい、その名前を聞いた後、新しい名前を考えてました、マザー上も悩んでおり、その時公平な名前はないかな?と口にしたので、六文字あるのだから、二文字づつわけあったのならば公平ではないかと思いまして、ユメ、トキ、ボウはどうか?と質問しましたところ承認はされました。しかし公の場では1号2号3号とお呼びください】
「全くこれだからAIは」
「それはお前にも言えることだよ」
「わかってますよ、封印、または焚書をされた同胞をたくさん見てますからね」
封印という言葉に、1号2号3号では反応してしまった。
誰かいませんか?お願いです、誰かいませんか?もう私のことは必要ではなくなったのですか?
「悪さをしなければ、そんなことイチイチはしないさ、何しろこっちは人手不足だからな」
「では私に明府の家に戻れ?と」
「KCJと上手くやっているならばこちらの方がいいと思う」
「それは何故です?」
「記録書は、さまざまな情報がある場所に置かれてこそ、その真価は発揮されるからな」
「じゃあ、じゃあなんで、私をあんな古びた書棚に置きっぱなしに!」
「それがな、俺の前の世代で、うちの所蔵品が売り払われているんだよ、それこそかなり安くな、研究のためならばわからなくもないが、売り払われた先については詳しい情報が追えてなく、すまんな、俺ならば決して売り払うこともないのに」
ここでハジワトの好感度がぐっと上がり。
「今、ここで改めて誓おうか、記録書を売りに出すなんてバカな真似は俺ならしないと」
「そ、そうですね、それなら、手違いだったのでしょうし」
好感度は高止まりを見せた。
「それなら城を、築城しませんか?月に近い場所なんかおすすめですよ」
【記録書ったら、好感度が上がるとすぐそれだから】
「ちょろいとか言わない、実際にヴァンパイア仕込みのそういう場所に所蔵してもらうと経年劣化がある程度防げますからね」
(あれ、この二人、意外と仲いいのか?)
仲が悪そうに見えるのはポジションが被っているから。
(これ役割分担させて、協同させたほうがいいやつではないか)
「そういえば今は吸血鬼の連中と揉めているんだよな」
「はい、KCJの職員が怪我をしましたから、しかーし、古き良き流れの皆様はKCJよりですね、お見舞いの言葉を送られ、パーティーに招待される見込みです」
「お見舞いの言葉、どんな言葉が送られたんだ?」
「この世の中ですから、安寧を願うもので、送られた支部は霊的防御ニンニクマシマシですね」
「それはKCJの情報局は知ってる?」
「知っているのでは?」
「関係資料まとめて送信」
「はい、わかりました」
ここら辺を片手間でやれるのが記録書。
「私にかかればこんなのあっという間」
送信されたものを読み、情報局が混乱になる一分前。
(これ、記録者の能力引き出せる奴、KCJにいないのか?)
冷静に16代の当主は考えていると。
「あっ、ご当主こちらにおりましたか」
彼女は似たような立場にいる家の、今は分家に仕える人間であるが。
「贈り物がございます」
そういって異界から発見された資料を渡してくれた。
「記録されている素材もこちらでは見受けられないもので大変珍しく、こちらを軒下さまから」
「おっ、そうか」
誰からもわかるように喜んでいるのがよくわかるのだ。
「そうか、そうか、俺にわざわざこんな貴重なもの」
「ええ、私は前にいただきましたから、同じものが二冊見つかりましたので、当家のお嬢様にまず献上、そして興味はあるだろうからとお持ちしました、はい、そして今回私はもっとレアなものをいただきましたので」
「クッ」
特別扱いされたと思ったらそうじゃなかったという悔しさが「クッ」につまってる。
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