浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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僕は惚れた人と結婚したいし

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秋澄(あきすみ)は書類を片手である。
「あら~秋澄ちゃんじゃないですか?」
「こんにちは」
「今日もクールだね、本当、おじさんの目の保養だよ」
なんていった辺りで。
「秋澄くん、こっち」
「すいません、それでは…」
「またね、今度ご飯食べようね」
の声を背にする。
「すまないね」
離れたところで謝られる。
「いえ…なんです?その?前にお会いしたときに比べると」
「それだけのことがあったってことだ」
「あ~」
「だから女性に声をかけている場合はこうして、間にはいるっていうことで決めたわけよ」
「それもまた」
「悪いやつではなかった、なかったんだが、しかし、不快な思いをさせてしまったことは謝罪しなければならない」
「慣れてますし」
「慣れちゃダメだよ、強いということはいいことだけどもね」
「それも…そうですね」
「秋澄くんはそこがな…」
「おかしいですかね」
「ううん、それはないが、その世の中にはそういうのを目つけてくる悪い奴もいるんでさ、そこを…うん、心配している、正直、あいつより君の方が私たちは大事だと思ってるから」
「そこまで…壊れましたか」
「昔から知ってると特にそれは感じるみたいだった」
「それは…」
「明るい奴だった、陽気な、だから一番大丈夫だと思っていたんだけどもね、だからこそ、ショックを受けているんだと思う」
「墜ちることはありますかね」
「わからない、でもあり得るとも思ってるよ」
「私も結構知ってましたからね」
「ああそうだね、そういえば…」
「秋澄さん、いらっしゃい」
そこに職場の人間たちがやってきて。
「クッキー食べない?クッキー、限定のやつ買ったはいいが、大きいやつでね」
「また大きいですね」
サイズ感としては、デン!
「小さいやつだとすぐに食べてしまう、だったら大きいやつならばいいんじゃないか?と思ったら、ちょっとさすがに後悔した」
カロリー表示も見たら、現実を思い出したという。
「来月健康診断があるの、バターが、バターがぁぁぁぁ」
「そういうときは食べるのやめたらいいですよ」
「秋澄ちゃぁぁぁん、あなたはなんて無茶なことをいうの、私におやつを諦めろというの?」
この人はおやつのためにKCJの整備に行くぐらいおやつが好きである。
「頑張って和菓子にしているの、でも洋菓子だった食べたくなるじゃないのぉぉ!」
この人は体質的に脂肪が減らないので、毎回健康診断前は辛いという。
「秋澄は、むしろちゃんと食べているのか心配になる。というかみんな痩せすぎだと思う」
「伽羅磁(きゃらじ)さんは男性だから、女性はね、男性と同じやり方じゃ痩せれないんだよぉぉ」
「伽羅磁お帰り」
「ただいま戻りました、秋澄さん、こんにちは」
「はい、こんにちは」
「あっ、書類のチェックはさせてもらいますから、その間にクッキーは食べててくださいね」
こういう時間は少し苦手だ。
なんというか寛げない。
「しかし、わざわざ来てもらってすまないな」
「しょうがないですよ、直接届けた方が書類が早いことになってますから」
「そうなんだよな、昔は良かった。なんていうのもおかしいが、現物のやり取りは不便になった」
「セキュリティにかかる費用もどんどん上がってますし」
「安全には変えられないですよ」
「伽羅磁さんはそういうこといいますがね、明らかに負担分がね、この上昇率だと、お金に余裕がある、それこそKCJさんの天下になりそうで」
「ああ、その辺はうちは強いでしょうね」
名伏せの人たちはまたまたやりました。
「だって、KCJの支部のガソリンスタンドって、整備部で車検した車にはガソリンを制限はあるけども、安くしたりするんですよ」
「それは結構有名だね、でも職員優先だから、買えないときもあるって」
「そうなんですよ、だから今までは買えたらラッキーぐらいだったんですが、今はお昼時に、ガソリンスタンドで、食堂のおにぎりとか売ってるんですけど、知ってました?」
「それは知らない」
「あっ、あれ、美味しくて安いから、タクシーの運転手さんとかが買っていきますよ」
「そうなの、なんで新米の美味しいお米のおにぎりが、あの大きさで100円とかなの?」
「さすがにそこまでは…」
「うん、わかってる、でもあれを食べたらコンビニと比べちゃうのよ」
「それはみんな言いますね。私も食堂で買ってきて、おやつがわりに食べる時はあります」
「秋澄さんのおすすめはあるんですか?」
「おすすめか…シンプルな塩結びも好きなんですが、伽羅磁さんとかなら、炊き込みご飯でいいんじゃないですかね。今日は栗ご飯とか出してましたよ」
「それって写真ある?」
「ありますよ、見ますか?」
「この栗は…まさか手で処理をしてるの?」
「みたいですね、朝、食堂に行くと、栗のあの殻がテーブルに見えてたりしますよ」
秋澄の支部では、山に住むサメたちが、栗を収穫し、KCJに納品をしている。
「いいな~」
考えただけで幸せである。
「でも私はKCJに入団してたら、確実に健康診断で毎回引っ掛かる自信はあるわ」
「それは自信をもっていうことじゃない」
「でも部長、あれはそうなりますって、KCJへお使い任せてもらってますが、あの時ご飯食べてから帰ってくるんです、その時にさえ…」
日替わりも気になるが、定番の定食にも迷う。ただ…デザートは食べよう。ここでしか、この値段では食べれない。
「パフェっていいですよね」
「ガラスの器なのがいいですよね、喫茶店みたいで」
「そうなのよ、盛り付けもまさにそう」
「秋澄さんってそういうのが好きなんですか?」
「ああ、結構好きかもしれませんね」
「どういう喫茶店行くんですか?」
「ああ、私はですね」
支部のそばの喫茶店をいくつか名前をあげる。
「あっ!そこは私も知ってる!というか、行ってる!わかる、雰囲気いいよね」
「ですよね、ちょっと入りにくいかなって思うんですが」
「なんかみんなビシッとしている店員さんだし、マスター渋いよね」
「渋いですよね」
「秋澄くんって渋いおじさんとか好きなわけ?」
「私はそこまでではないかな、そういうのが好きな人はいると思いますが」
「どういう人が好きなの?私は背が高くてイケメンで」
芸能人に例えて名前を出してみる。
「見てるだけで幸せになるんだけども、恋愛ものだとちょっも複雑な気分になるから不思議ね、でも格好いいのよ」
力説される。
「そういえば秋澄くんって前にお見合いしないかって言われたけども」
バサッ
「失礼しました」
「ん?伽羅磁大丈夫?」
そう声をかけたあとに。
「ああ、あれですか?あの後音沙汰はないですよ」
「それはそれで、なかなかの話だったのに」
「どういうことがあったんですか?」
「それが伽羅磁さん、すごかったよ。秋澄さんが…買い物でいいんだよね」
「そうです、スーパーで買い物してたらですね」
「知らないおばさんが、あなたお見合いしない?って聞いてきて」
「最初は何をいってるのかわからなくて、彼氏いるの?いません、ご職業も固いのでしょ?そうだと思いますで、連絡先渡して、もしも良かったらお願いねって言われて、話が終わりましたかどもね」
「そんな話聞いたことはないよ」
「秋澄さんは断ったのでしょ?」
「てもいい年で彼氏もいないの?って言われたらグサッとは来ましたね」
「それなら…」
「今はそんなのいなくてもなんとかなるわよ、変な男と付き合うぐらいなら、無理に結婚するぐらいなら、しない方がいいし、KCJならそういうのから逃げてきた人たちもたくさんいるの知ってるでしょ」
「そうですね、あれは話に聞いているだけで、とても心が傷みますよ、少しでも心が晴れることを望んでます」
「あなたは優しい人ね、だから回復魔法も痛くないのかもしれない」
「秋澄さんの回復魔法は優しいですから」
「わかる!それ!下手な人に回復魔法かけてもらうと、本当に痛いのよね、なんかこう、中から痛い、治ってるけど、中から!!!ってことで、一度その後痛み止め飲んだわ」
そしてそのまま寝ました。
「KCJ関係者でも、完全に痛くないまで行ける人は少ないですよ、私も痛くないとは言いますが、やっぱりその~未熟なので」
だから油断すると相手をピリッとさせることがある。
(その時のごめんなさい顔もいいんだよな)
抱き締めたくなるぐらいには好きな顔の一つらしい。
「回復と痛くないは別に覚えなきゃならないんだから、そこはしょうがないとは思ってるけどもね」
「痛みは人を変えますからね」
下手な人だと患部が煮えるわ!!という感想を熱く痛いこともあるらしい。
「はい、書類は終わり、ありがとうね、秋澄ちゃん」
「いえ、こちらこそ、クッキーごちそうさまです」
それでは失礼しますと後にすると。
そこから少し置いてから。
「ちょっと席をはずします」
伽羅磁が離席した。
「秋澄さん」
「なんですか?」
「先程のお話なのですが」
「先程の?なんです」
「お見合いの話です」
「ああ、あれですか」
「知りませんでした」
「まあ、決まりませんでしたし」
「かもしれませんが」
「伽羅磁さんはお仕事中だといつもと違いますね」
「…」
あれ?なんかおかしいことをいったかな。
「仕事しに来てるわけだから、地なんて出さないよ」
「ああ、そうですね」
秋澄が知ってる伽羅磁が出たので、なんだか微笑ましく思えてしまった。
「正直、根掘り葉掘りお見合いのことは聞きたい」
「なんです?伽羅磁さんも婚カツですか?」
「僕は惚れた人と結婚したいし」
「でも見合いの席で気に入るということもあるのでは?」
「そういう真剣に返してくれるところはすごい好感は持てるんだけどもさ、秋澄はお見合いという形で紹介されたら、どういう反応をするの?」
「私ですか?私ね…いい人だったら悪くないのかなって」
「今すぐ君のお見合いのセッティングしたいと思うんだけども」
「なんです?いい人でも紹介してくれるんですか?」
「紹介するぐらいなら、俺がこの世で最後の男になるまで頑張ることになるよ」
「何をしようとしてるんですか」
「それぐらいあり得ないってことさ」
「でも、他にもお見合いの話はありそうなんですよね」
「…」
「ああ、立場的にやっぱり結婚してないとダメなのかな?もあるのかなみたいな」
人手不足のためにKCJの職員の中にもちらほら、外部の役職を兼任する話が出てきてる。
古くからの家族制度を引き継いだものもあるから、何歳以上とか、結婚している人とか、そういう条件ありのものもあり。
「でもそれは伽羅磁さんなんかもでしょ?」
「俺はいいんだよ」
「はあ」
「自分勝手って呆れてる?」
「そういう人もいますからね」
ちなみにだからそうじゃない人に話が来るのである。
「大事なのは気持ちじゃないの?互いを労ることとかさ」
「私にはそういう結婚はたぶん縁がないですよ」
「どうしてさ、そんなに言うなら、君をもらっていくよ」
「そしたら伽羅磁さんは苦労しますから、気持ちだけはありがたいということで」
そこで困ったように笑うのだ。 


「秋澄~」
「なんですか?腰木(こしぎ)さん」
「ナリタツさんのところに顔をだしたら、お見合いに誘われた」
「最近多いですね」
「まあ、しっかり安定性があるって思われると、そりゃあそういう話が来るよなってことだな」
「腰木さんはお話受けるですか?」
「あや、明らかにスペックで狙ってきたから断った」
「男の人は大変だな」
「戦闘許可証持ちも最近はそんなわけでモテるとは聞くぜ」
「あ~でも、そこで鼻の下伸ばすのって、次の更新大丈夫かな?ってタイプが多くありません?」
「だよな!KCJの戦闘許可証失効しちゃうと、すぐにそのありがたみがわかるから、安定して更新できるようになるまでは、頑張った方がいいのにな」
何とか取れたタイプは、次の更新ができない確率が高いと出ています。
「そういう意味では戦闘許可証で得られる特典も罠って感じだし」
こんなにお得なんですか?楽しんでいると研鑽が足りなくなるという。
「そういう場合は他の資格も合わせてとればいいのに」
「回復とかか?回復は確かに使用できるうちは更新はないが、じゃあ取りますっていって取れる人間はそういないよ、俺だって救命で取れているぐらいなんだからさ」
「取れるのならば取りたいですか?」
「いや、そうなると、他のことに手が回らなくなるし、俺のベストはやっぱりこれなんだよな」
「まあ、そういうのってありますよね」
「そうそう、秋澄はわかりましたっていってすぐに決断とかするけどもさ、あれって辛くないの?」
「辛いですよ」
「辛いのになんで選ぶんだ?」
「他の人がいるなら、たぶん選びませんよ」
「ああ、そういうことね。でもお前はそういうところあるよね」
「でも人の未来を変えてしまう力ではあるじゃないですか」
「そういえばこの間も救助者のご家族からお礼を言われてたな」
「はい、言われました。最初はね、そういう交流とかを知りませんでしたから、人を助けるということとかあまりわからなくて、まっ、今もわかってないかな」
「なんでさ」
「私は人を見る目がないから、ほら、善人なのか、悪人なのかわからないから、助けた人がそうなのか、後でわかるんで」
「助けなければ良かったとか思ったりしたわけ」
「何人かはありますよ」
「あれを何人かで済むのがすげぇよ」
腰木的にはこいつ腹立つわも見ているが、何人では済まない。
「悪人助けて、そいつが悪さした罪を、お前のせいだと糾弾されてか、でもそんなこと言われてもなと俺は思うよ」
「そこまで気にすると、回復なんて使えないんですがね、やっぱり過りますよ」
「君は何もわかってはいない、とか言ってやればいいのに」
「なんです?急に」
「伽羅なんとかさんぐらい無意味な自信持てばいいんじゃないの?」
「ああ、伽羅磁さんの真似を……いや、あの人は自信家ではないですよ」
「えっ?」
嫌だって、あいつはそういう奴なんじゃないの?
「腰木さん、秋澄さんは…ああ、いた、すいません、ちょっと時間いただけます?」
「あっ、はい、構いませんよ」
急ぎの案件を持ち込まれ、受けるにしろ断るにしろ話を聞くことになった。
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