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親の顔。主君の顔。
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アルファーフが連れて行かれた。
それなのに、自分はついて行くことが許されなかった。
相手が王妃であれば何とでも言い含めることもできるが、他国の王女の立場を取るのであれば、余程のことがない限り無理強いなど出来ない。だからサンドラ国王女が嫌だと言えば他国の貴族に何が出来ようか。
思った以上に引っ掻き回してくれた大人達への苛立ちも露わに、セザール・アレマーは広間を出た。
出てくる寸前に見た国王陛下とノーティ公爵には、何事か話し合っている様子であったし、少し離れたところにいたリザファー妃はジル第二王子と共に、心配そうにアルファーフの出て行った方をみつめていた。
ついてきたライオ・コーエンに振り返り、セザール・アレマーは言う。
「サンドラ国王女殿下に護衛をつけよ」
本来であれば国王か王族の言葉しか聞かないはずの近衛騎士は、確かに頷いた。
「仰せのままに」
その命に従うことは、王太子アルファーフの命であったから。
その命に従うことは、王太子アルファーフを護ることであったから。
ライオ・コーエンは速やかに彼らの消えて行ったであろう方向へ走り出した。
同じ頃。
ジル第二王子とリザファー妃は、出来ることのない己の不甲斐なさを感じながらも、アルファーフを心配していた。
「兄上は大丈夫でしょうか••••••」
心配そうに扉を見やるジルの肩を、リザファー妃が後ろからそっと掴む。
「アルは頭の良い子よ。大丈夫と信じましょう」
「リザファー妃殿下、ジル殿下」
いつの間にか近くに来ていたノーティ公爵に声をかけられる。
「申し訳ございません。少し失敗しました••••••」
リザファー妃が首を振る。
「いいえ、あのように強硬な態度に出られるとはわたくしも予想しておりませんでした」
ジル第二王子も頷く。
そこに、先程までの愛らしさはない。
「これは、それぞれが見誤った結果です」
それに、とジル第二王子は扉から視線を外さずに続ける。
「誰よりもお怒りなのは、セザール義兄上でしょう••••••」
追いかけなくてよろしいのですか?
ジル第二王子の深い碧がノーティ公爵を捉える。
「ここは、息子に任せるのが良いでしょう。あの子は侮辱を流せるようですから」
私より余程宰相に向いているのかもしれませんね、と笑い含みに言うが、この先の解決が何ひとつされない現状にどうしたものか、と溜息がこぼれ落ちる。
そんな様子を、レキナウス・グリーは見届けていた。
未だ見えぬ歴史の全容を記録するために。
そして貴族達の中には王妃の強硬手段に慌てて会場を後にするものや、どうなっているかわからず混乱する者たちでとても夜会の体をなさなくなっていた。
それなのに、自分はついて行くことが許されなかった。
相手が王妃であれば何とでも言い含めることもできるが、他国の王女の立場を取るのであれば、余程のことがない限り無理強いなど出来ない。だからサンドラ国王女が嫌だと言えば他国の貴族に何が出来ようか。
思った以上に引っ掻き回してくれた大人達への苛立ちも露わに、セザール・アレマーは広間を出た。
出てくる寸前に見た国王陛下とノーティ公爵には、何事か話し合っている様子であったし、少し離れたところにいたリザファー妃はジル第二王子と共に、心配そうにアルファーフの出て行った方をみつめていた。
ついてきたライオ・コーエンに振り返り、セザール・アレマーは言う。
「サンドラ国王女殿下に護衛をつけよ」
本来であれば国王か王族の言葉しか聞かないはずの近衛騎士は、確かに頷いた。
「仰せのままに」
その命に従うことは、王太子アルファーフの命であったから。
その命に従うことは、王太子アルファーフを護ることであったから。
ライオ・コーエンは速やかに彼らの消えて行ったであろう方向へ走り出した。
同じ頃。
ジル第二王子とリザファー妃は、出来ることのない己の不甲斐なさを感じながらも、アルファーフを心配していた。
「兄上は大丈夫でしょうか••••••」
心配そうに扉を見やるジルの肩を、リザファー妃が後ろからそっと掴む。
「アルは頭の良い子よ。大丈夫と信じましょう」
「リザファー妃殿下、ジル殿下」
いつの間にか近くに来ていたノーティ公爵に声をかけられる。
「申し訳ございません。少し失敗しました••••••」
リザファー妃が首を振る。
「いいえ、あのように強硬な態度に出られるとはわたくしも予想しておりませんでした」
ジル第二王子も頷く。
そこに、先程までの愛らしさはない。
「これは、それぞれが見誤った結果です」
それに、とジル第二王子は扉から視線を外さずに続ける。
「誰よりもお怒りなのは、セザール義兄上でしょう••••••」
追いかけなくてよろしいのですか?
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「ここは、息子に任せるのが良いでしょう。あの子は侮辱を流せるようですから」
私より余程宰相に向いているのかもしれませんね、と笑い含みに言うが、この先の解決が何ひとつされない現状にどうしたものか、と溜息がこぼれ落ちる。
そんな様子を、レキナウス・グリーは見届けていた。
未だ見えぬ歴史の全容を記録するために。
そして貴族達の中には王妃の強硬手段に慌てて会場を後にするものや、どうなっているかわからず混乱する者たちでとても夜会の体をなさなくなっていた。
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