ゲームクリアから始まるRPG転生生活〜序盤で死ぬ勇者村のモブに転生したのでとりあえず復活前の魔王の心臓を刺してゲームクリアしてみた〜

taki210

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第五十七話

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その翌日。

俺は武闘祭の予選が行われる会場の控え室にいた。

コロシアムのような作りになっている会場にはぎっしりと客が詰めかけている。

すでに予選の戦いは始まっており、今まさに、多くの観衆に見守られながら二人の戦士が死闘を繰り広げているところだろう。

死人が出ることも多い武闘祭。

参加者たちの命懸けの攻防に熱狂する観客の声が控え室まで届いていた。

『さあ、続いての勝負は……仮面の騎士VS槍使いのフェン…の戦い…!さあ、両者にご登場願いましょう…!』

控室で待っていると、拡声魔法によって俺の名前がアナウンスされた。

俺は武器を持って控え室を出て、コロシアムの真ん中へと歩いていく。

反対側からは、槍を担いだ筋肉質の男が歩いてくる。

「「「「うぉおおおおおお!!!」」」」

会場入りした瞬間に凄まじい歓声が上がっ
た。

その俺ではなく、相手の槍使いの男に向けられているらしかった。

『まずは選手の紹介…!!右サイドから出てきたのは、今大会が初出場の新米…!!仮面の騎士…!!』

「「「「ぶぅうううううう!!!」」」」

俺の名前が呼ばれ、一部でブーイングが起こる。

いやなんでだよ。

『そして左サイドは言わずと知れた槍の名手…!!前回大会で好成績を残し、優勝候補とも歌われた戦士…槍使いのフェン!!』

「「「「うぉおおおおおおお!!!」」」」

歓声が上がる。

なかなか整った顔をしている槍使いのフェンが、あちこちから上がる歓声に余裕の表情で答えていた。

『では早速バトルを始めましょう…!両者向かい合って…!』

俺たちは武器を持って土俵の真ん中で向かい合った。

槍使いのフェンが、俺を見て「はっ」と鼻で笑った。

「なんだお前は。まだ子供じゃないか。そんな年齢で武闘祭に参加すると死ぬぞ?ここは子供の遊び場じゃないんだ」

「…」

「それになんだそのふざけた仮面は。それじゃあ、視界が悪くて戦いにならないだろ。ふざけてるのか?」

「…」

俺は槍使いのフェンをひたすら無視し続ける。

するとだんだん槍使いのフェンの剣幕が悪くなってきた。

「この俺を無視するとは……いいだろう。お前みたいなふざけたやつは手加減なしで叩きのめしてやる。死んでもしらねぇぞ?」

槍使いのフェンがこめかみをひくつかせながらそういった。

「フェン!!そんなふざけたやつ殺しちまえ…!!」 

「ガキが武闘祭に出てんじゃねぇ!!」

「フェン!!そんなガキなんざ手加減なしでぶっ殺しちまえ…!」

観衆からそんなヤジが飛ぶ。 

俺たちは、数メートルの距離を置いて互いの武器を構え、対峙する。

審判の男が俺と槍使いのフェンを交互に見て、準備が完了したことを確認する。

『それでは戦いを始めましょう…両者構えて………スタート!!』

審判が上げた腕を下ろした。

アナウンスもそれに連動して戦い開始を告げる。

「うぉおおおおおらああああああ!!」 

槍使いのフェンが前方からいきなり突っ込んできた。

「ふんふんふんふんふんふん!!」

槍の長いリーチを生かして、俺の剣の間合いの外からひたすら攻撃を仕掛けてくる。

俺はその攻撃を最小限の動きでかわす。

「「おぉおおおおおお!!!」」

「「すげぇえええええ!!!」」

俺の身のこなしにどよめきが上がる。

「あ、あいつ結構やるんじゃないか…?」 

「いいぞ仮面の騎士…!!」 

「これはいい勝負になりそうだ…!」

俺がフェンの攻撃を一つももらわず避けたことで、俺に対して飛んでいたブーイングが止んだ。

コロシアム全体にざわめきが広がる。 

「はっ…運のいいやつだ…!ギア上げていくぜ…!」

どうやら奇跡的に槍を避けられたと思ったらしいフェンが、今度は間合いを詰めて、槍の穂先だけでなく、持ち手の部分すらも使った棒術のような攻撃を仕掛けてくる。

『出たぁああああああ!!槍使いのフェンの得意技…!!棒術と槍術の合わせ技!!さあ、どうする仮面の騎士…!!』

「うらうらうらうらうらうらうら!!!!」

槍使いのフェンが槍の中ほどを持って、槍を振り回し、回転させ、攻撃を仕掛けてくる。

「よっと、おっと、ういっ…よいしょっ」

俺はしゃがんだり、ステップを踏んだり、時には剣を使いながら、槍使いのフェンの攻撃を全て交わしていく。

「「うぉおおおおお!!」」

「「すげぇええええ!!」」 

「「あいつ、フェンの攻撃を避けてやがる…!!」」 

「「何者なんだあいつ…!!」」  

会場がざわめく。

「う、うぉおおおおおおお!!!」

フェンがムキになってさらにギアを上げていく。 

「一辺倒だな……つまらないし、もう倒すか」

そろそろなんの工夫もない槍を振り回すだけの攻撃に飽きてきた俺は、側頭部に迫っていた槍をパシっと片手でキャッチした。 

「なっ!?」

俺の人差し指と親指が、槍の刃を摘んでいるのを目の当たりにし、フェンが目を見開く。

「ふん」

バリッ!!

俺がさらに指に力を加えると、フェンの槍は砕け、ボロボロと崩れた。

「そ、そんな…」

フェンがガクッと膝をついた。

『せ、戦意喪失…!槍使いのフェンがまさかの戦意喪失……!!!勝者、仮面の騎士!!』

「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」

凄まじい歓声が上がった。

俺が腕を上げると、呼応するように観衆が立ち上がり拍手を送ってくる。

…こうして俺は武闘祭予選一回戦を突破したのだった。


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