オールスペルキャスター、全属性の魔法を使える男〜異世界転生した俺は、圧倒的な魔法の才能で辺境の貧乏貴族から成り上がる〜

taki210

文字の大きさ
39 / 118

第三十九話

しおりを挟む

「いやぁ、あなたがまさかあそこまで強い魔法使いだとは…これなら護衛要らずも納得ですなぁ、はっはっはっ。取り乱してすみませんでしたよ」

「いえ、そんなことは」

「それでは私はこれで。また縁があれば」

「ええ。ありがとうございました」

「では」

にかっと笑って手を上げた御者が俺たちの元から離れていく。

五日間に渡った馬車の旅が終わり、俺たちは今、帝都にいた。

旅路の途中、運が悪いのか、馬車が何度かモンスターに囲まれ襲われると言う事態が発生し、護衛がいないためその都度俺がモンスターを駆逐する羽目になった。

最初は取り乱していた御者も、俺がモンスターの群れを掃討する実力があると徐々に理解し、最後には叫び声も上げなくなっていた。

「それではいきましょうか」

「ああ、そうだな」

御者が見えなくなるまで見送ってから、俺とルーシェは帝都へと踏み込んでいく。

「うわぁ…すごいですねぇ…これが帝国最大の都市…」

「これはすごいな…こんな量の人、初めて見たぞ…」

人でごった返した帝都のまちを、俺たちは進んでいく。

二人して、見たこともないような圧巻の光景に田舎者のように当たりを見渡しながら進んでいく。

…いや、事実帝都の人間からしたらエラトール家の人間なんて田舎者か。

「ええと…それで、屋敷の方角は…」

ルーシェが手元の地図を眺めながら、当たりを見渡す。

俺たちは現在、当て所なく歩いているわけではない。

帝国貴族は、その大抵が大なり小なり帝都に屋敷を持っているものだった。

エラトール家も例外ではなく、この帝都に屋敷を一つ、持っているらしいのだ。

帝国魔術学院に通う間、俺はその屋敷に住むことになる。

「こっちですね…貴族街と言う場所にあるらしいです」

ルーシェによると、エラトール家の屋敷は、貴族家の家が集まった貴族街と言う場所にあるらしい。

俺たちは人の波に揉まれながら、貴族街を目指して進んでいった。


「ここですね」

「…え、まじ?」

「マジです。ここが帝都のエラトール家の屋敷です」

「いや…屋敷って言うより…」

なんかお化け屋敷みたいなのが出てきた。

あれから約一時間後。

貴族街にあるエラトール家の屋敷を目指して歩いた俺たちは、無事に地図の指し示す場所へと辿り着いていた。

そしてそこに立っていた建物に愕然とする。

大きさはそれなりだ。

貴族の屋敷として申し分ないほど。

だが、その外見があまりに伴っていない。

長年手入れがされてこなかったのか、雑草は伸びっぱなしだし、窓ガラスは割れているし、壁のあちこちにたくさんのシミが出来ていた。

貴族家の屋敷というより、捨て置かれた廃墟といった様相を呈している。

周りに並んでいる他の屋敷が小綺麗なだけに、エラトール家の屋敷は余計に浮いていた。

「今日は一日掃除になりそうですね…」

「そうだな…」

俺たちは壊れた門から、敷地内へと入っていった。


「ふぅ…ある程度片付いたな…」

「そうですね…」

夕刻。

ここについてから今まで掃除に没頭していた俺たちは、だいぶ綺麗になった屋敷の中を見渡して額の汗を拭った。

掃除用具が屋敷の中にあってよかった。

おかげで、夜までには、ぎりぎり人が住んでいてもおかしくない程度の家にはなりそうだった。

「お腹が空きましたね…」

ぐううとルーシェの腹の虫が鳴いた。

ルーシェが若干頬を染めて、誤魔化すようにそういった。

「何か買ってこよう、何がいい?」

俺は気分転換に外で夕食でも調達してこようと思い、そういった。

ルーシェが慌ててぶんぶんと首を振る。

「そんな…!買い出しなら私が!掃除まで手伝ってもらっているのに…!」

「いいさ、これぐらい。少し外の空気も吸いたいし、適当に買ってくるよ」

そう言った俺は、ルーシェの制止を振り切って屋敷の外に出た。



「きゃあっ!?なんですかあなたたちは…!!話しなさい!!」

「ぐへへ。大人しくしろよ、お嬢さん…」

「大声を出すと痛い目見るぜ?」

「無礼者…!汚い手で私に触れないでください!!」

「んだとこのあま!!」

「汚い手だと!?ぶっ殺されてぇのか!?あぁん?」

屋敷を出て、庶民街の方向に向かって歩いていた俺は、ふとそんな声が聞こえてきて足を止める。

近くにある路地から、随分と物騒な会話が聞こえてきた。

「なんだなんだ…?一体何事だ?」

聞こえてきた声をそのまま受け取るならば、誰かが二人組の男に襲われていると見受けられた。

「一応様子を見てみるか…」

俺は声の聞こえてきた路地裏に足を踏み入れ、足早にその先に進んでいく。

「んー!!んんんん~!!!」

「けっ、手間かけさせやがって…」

「最近の貴族娘はみんなこんなかよ!?カケラほどの品もありゃしねーぜ!!」

どうやら様子を見にきて正解だったようだ。

そこでは二人の男が、大体俺と同い年ぐらいの小さな娘に猿轡を噛ませて連れ去ろうとしているところだった。

「あぁ?なんだテメェ?」

「うせろガキ!てめぇも攫っちまうぞ?」

俺の姿を認めた男二人が、低い声で脅しをかけてくる。

「んー!!!んんん~!!」

猿轡をかまされた少女が助けを求めるように俺を見てきた。

「ええと…助けがいるよな?明らかに」

「んっ!!んんんっ!!!」

少女がこくこくと頷いた。

まぁおおよそわかっていたことだが、やはり目の前のこれは人攫いか何かの現場ということか。

「おいガキ…最後の警告だ。そこを退け」

「今ならまだ痛い目見ずに済むぞ?」

男の一人がナイフを取り出してぎらつく刃をこちらに向けた。

「はぁ…」

俺はため息を吐いて、魔法の詠唱を開始した。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

処理中です...