オールスペルキャスター、全属性の魔法を使える男〜異世界転生した俺は、圧倒的な魔法の才能で辺境の貧乏貴族から成り上がる〜

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第六十一話

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「また戦闘音、ですわね」

システィとヴィクトリアは安全な場所を探して森の中を歩く。

しばらくすると、前方から断続的に戦闘音が聞こえてきた。

2人は足を止めて注意深く前方を見つめる。

「どうする?よ、様子を見に行ってみる…?」

システィの中には先ほどの成功体験があった。

この先へ行けば、また漁夫の利を得られるのではないか。

そう思っての提案だった。

「いいえ…やめておきますわ」

だが、ヴィクトリアは首を振った。

「え、どうして…?」

システィが理由を尋ねる。

「罠かもしれませんわ」

ヴィクトリアは顎に手を当てがいながら自分の考えを口にする。

「バトルロワイヤル形式のこの魔導祭……二つのチームが戦闘している場所へ横槍を入れて容易く敵を狩る。という動きがおそらく王道であり最も効果的な作戦ですわ」

「う、うん…そうだね…」

「このことは魔導祭に参加している生徒のほとんどが理解していること。となれば、先読みのできるチームはどういう行動に出るか…容易く予想できるというものですわ」

「ど、どういうこと…?」

まだ合点の言っていない様子のシスティに、ヴィクトリアがさらに説明を付け加える。

「つまり…漁夫の利を得ようとして近づいてきた生徒たちを逆に待ち構えて迎え撃つという戦法をとる生徒が多数出てくるということですわ」

「む、迎え撃つ…?戦っているのにそんなことが出来るの…?」

「戦っているふりをして戦闘音だけを響かせるのは?」

「あっ…!」

システィが大きく目を見開く。

「わかったようですわね」

「た、確かに…そのことを全然考えてなかった…!戦闘音がなっているからって、戦闘が起こってるとは限らないもんね!」

「そうですわ。だから……この音も罠の可能性が高いですわ…少し、止まってよく音を聞いてみましょうか」

「う、うん…」

2人は近くの草陰に身を潜めて、断続的な戦闘音に耳を澄ませる。

「あ…なんか…この音…」

「やはり、ですわね…」

注意して聞いてみると、戦闘音には一定のリズムのようなものがあり、実際の戦闘が起きているとは思えなかった。

だが、その違いは注意して聞かなければわからないほどにわずかなものだった。

「念のため…まわりみちをして確認してみますわ。ついてきなさい、システィ」

「う、うん…!」

この音が自分達を誘い出すためのものだと半ば確信した2人は、回り道をして、横から音の発信源を観察する。

「みてください、システィ。やはり、ですわ。ああして私たちを誘い出して一網打尽にするつもりだったのですわ」

「ほ、本当だ…!!」

2人の視線の先には、木陰で待ち伏せる三人の生徒の姿があった。

そのうちの1人の生徒が、近くの木に向かって魔法を放っており、衝突音があたかも戦闘音のようにして周囲に響き渡っていた。

「すごいよヴィクトリア…知らずに近づいていたらやられていたかも…」

「迂闊に近寄らなくて正解ですわ。では、気づかれないように離れるのですわ」

「う、うん…!」

2人は互いに顔を見合わせてその場から離れた。

「ふぅ…危なかったぁ…」

待ち伏せをしていたチームから十分距離を取ったところで、システィが安堵の吐息を吐いた。

「あらかじめ気づけてよかったですわ」

ヴィクトリアも、罠にかからずに済んだことで、緊張していた面持ちを緩める。

「そっかぁ…こんな戦っているふりをして待ち伏せって、そういう戦法もあるんだぁ…」

システィがしみじみつぶやいた。

「アリウスくんが心配だなぁ…大丈夫かなぁ?」

「そこに関しては心配する必要なんてありませんわ。アリウスならたとえ罠にかかったところで、簡単に蹴散らしてしまうでしょう」

「それもそうだね」

2人はアリウスが負けることなど考えてなかった。

魔導祭に出ると決めてから今日までの訓練の中で、アリウスの実力を十分に理解することになったからだ。

「アリウスならきっとやってくれますわ。彼は間違いなく現時点で学院内一の魔法使いですわ」

「そうだよね…私も、アリウスくんに勝てる魔法使いがいるとは思えないもん」

「けれど…そんなアリウスでも苦戦するかもしれない相手の噂ならありますわ」

「え…アリウスくんが苦戦…?」

システィが驚いたようにヴィクトリアの顔を見つめる。

ヴィクトリアは真面目な表情で言った。

「第七皇子ブロンテ……皇族の中で最高の魔法使いと名高い皇子がこの魔導祭に飛び入り参加しているという噂があるのですわ」


「順調だな」

地面に転がって気絶している六人の魔法使いを見ながら俺はつぶやいた。

あれから俺は、順調に生徒の撃破数を増やしつつあった。

とにかく森のフィールド内を歩き回り、戦闘音のした方に片っ端から突っ込んでいく。

それが罠であろうが、罠でなかろうが関係はない。

見つけた生徒は1人も逃さずに片っ端から意識を刈り取っていった。

おかげで撃破数はそろそろ三十になろうとしている。

ちなみにいましたが倒したこの六人の生徒は、なんとチームどうして結託して俺を罠に嵌めようとしてきやがった。

戦闘音を周囲に響かせ、誘い込まれた俺に二チームで同時に襲いかかってきたのだ。

どうやらあらかじめ打ち合わせをしていた上での連携らしい。

かなり卑怯な、ルールを逸脱するギリギリの戦法だが……しかし、相手が悪かったな。

俺は難なく六人の意識を奪い、撃破数の肥やしにした。

「いろいろ考えてんだなぁ…まぁ、当然か。優勝賞金の額が額だからな」

これまで出会ってきた生徒たちは、ほとんどが純粋な魔法戦を仕掛けてくることなくあの手この手の搦手で俺を倒そうとしてきた。

普通の魔法使いならとっくにやられているところだった。

参加している生徒たちからは、なんとしてでも優勝するという執念のようなものを感じだ。

「まぁ…こっちも負けるわけにはいかないからな。手加減はできない」

俺は気絶した六人を尻目に、その場を去ろうとする。

その時だった。

「いやぁ、お見事だね。君ほどの魔法使いは今までにみたことがない」

「…?」

パチパチパチ、と唐突に背後から拍手が聞こえてきたのだった。

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