あれ?気づいたら俺を追放したSランクパーティーが崩壊してて、逆に温かく迎え入れてくれたAランクパーティーがSランクに昇格していたんだが?

taki210

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第二十四話

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『彗星の騎士団』が大量発生したブルー・アリゲーターの討伐クエストをこなしている一方その頃。

『緋色の剣士』のメンバー3人は、パーティーホームで反省会を開いていた。

2度によるクエスト失敗で、傲慢な彼らも、何かがおかしいと気づき、原因を突き止めるためにこの場を設けたのだった。

だが、実際に始まってみれば、反省会とは名ばかりで、互いに責任のなすりつけ合い。

時間は無為に過ぎていくばかりだった。

「お前たちが役立たずだから2度もクエストに失敗した!!俺は何も悪くない!!」

カイルが唾を吐き散らし、怒鳴る。

「はぁ!?ふざけないで!!それはこっちのセリフよ!!全ては前衛のあんたの責任だわ!!責任転嫁しないでもらえるかしら!?」

ミシェルが対抗し、金切声をあげる。

「なんだと!?ろくに回復魔法も使えないくせに!!リーダーの俺に偉そうに意見するな!!」

「あんたこそ、ろくにミノタウロスのいっぴきも倒せないじゃない!!そんなんでリーダー面しないでもらえるかしら!?」

もう1時間以上も、二人は怒鳴り合いを続けていた。

そんな二人に挟まれる形で、細剣使いのアンリが俯いていた。

じっと、亡くなった自らの右腕を見つめる。

「…」

もう、以前のように細剣使いとして全力の力を出すことはできない。

左腕で剣を握ることも出来るには出来るが、実力は半減してしまうだろう。

追放。

アンリの頭の中に、そんなに文字が浮かび上がった。

以前に自分が、アルトを役立たずとして追放したように、今度は自分が、無能の烙印を押され、追放されるかもしれない。

そうすれば、自分の冒険者人生は終わりだ。

片腕の剣士を迎え入れてくれるパーティーが一体どこにあるというのだろうか。

『緋色の剣士』に捨てられたら、自分は破滅する以外に道がない。

アンリの頭の中には、そんなことばかりが渦巻いていた。

そんな中、いい加減怒鳴り疲れたらしい二人が、ようやく話を前に進めようとしていた。

「はぁ、はぁ…物分かりの悪い女だ…だが、まあいい。俺は何も悪くはないが…とりあえず話を前に進めようじゃないか」

「はぁ、はぁ…馬鹿な男ね…話にならないわ…でも、ここは大人な私が引き下がってあげる。ひとまず、今後のことを話し合いましょう」

そこからは、ようやく次のクエストに向けての話し合いが始まった。

カイルもミシェルも、一度鉾を納めて、真剣に対策を考える。

何しろ彼らにはもうあとがない。

あと一度クエストに失敗すれば、Aランクへと降格してしまうのだから。

もはや自分たちの力を過信して、がむしゃらに突き進んでいいような段階ではなかった。

「ねぇ…その、一つ提案があるんだけど…」

「なんだ?」

話し合いの中、ミシェルが徐に切り出した。

「アルトを呼び戻すってのは…どう…?」

「は?」

「え?」

ミシェルの予想だにしないセリフに、他の二人が唖然とする。

ミシェルは非常に言いにくそうにしながら、ボソボソと喋る。

「なんか…原因はわかんないけど…アルトがいなくなってから私たちおかしくなったような気がするし…その…あいつが弱いのには変わりないんだけど…ちょっとぐらいは役に立ってたのかなって…」

「ふざけるなっ!!!」

ミシェルのセリフに、カイルが激昂する。

「あんな無能!!呼び戻すなんて論外だ!!俺たちがクエストに失敗したのはあいつがいなかったからじゃない!!!」

カイルのプライドが、それを認めることを許さなかった。

アルトは無能であり役立たずである。

カイルの中でこの事実は絶対に揺るがないものだった。

追放したはずのアルトが、実は自分たちのパーティーを支えていたなど、カイルには想像すら出来ないことだった。

「で、でも…私たちがクエスト失敗したのはアルトが出て行ってからで…」

「単純に人数が足りなかっただけだ!!あんな無能じゃなくて、新しいサポート役を見つければいい。あんなやつの代わりなんていくらでもいる!!」

「そ、そうね…確かに、そうかも…」

何かがおかしい。

そんな違和感はミシェルの中にもあったが、彼女もまたアルトの追放に加担した側であり、過去の過ちを出来るなら認めたくなかった。

だから、自分たちがクエストを2度も失敗したのはアルトが抜けたからではなく、単に人数的な問題だった、というカイルの解釈に乗っかってしまった。

「…」

アンリは相変わらず何も喋らない。

そして、話し合いの結果、彼らは新しいサポート役を一人、パーティーに迎え入れることを決めた。

その判断が、『緋色の剣士』を更なる泥沼に誘うことになるとも知らずに。



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