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第十五話

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自らのスキル『カリスマ』でクラスメイトたちを支配し、有馬裕也は私怨で新田恵美とついでの一ノ瀬快斗を置き去りにして孤立させた。

カテリーナの話によれば、この世界には、魔族の他にモンスターという、人を見ると問答無用で襲いかかってくる化け物たちも跋扈しているという。

スキル無しの新田とおそらく大したスキルを持っていないであろう一ノ瀬はすぐにモンスターによって殺されるだろうと裕也は思った。

「はっ、この俺を無碍にしたんだ。当然の報いだな」

ずっと自分の告白を断った恵美に対する仕返しの機会を窺っていた裕也は清々した気分だった。

裕也は非常にプライドの高い人間だった。

生まれつき容姿と能力に恵まれて周囲からちやほやされて育ったからだ。

故に自分の思い通りにならない人間が嫌いだった。

特に女は、大抵が裕也の整った容姿に一目惚れし、こちらからアプローチするまでもなく向こうから告白してきた。

少しガードの硬い女でも、裕也がちょっと思わせぶりな態度を見せるだけですぐに落とすことができた。

が、恵美だけは違った。

恵美の容姿とその男好きのする魅力的な体つきを見た時、裕也はすぐに恵美を自分のものにすることに決めた。

そして恵美に話しかけ、何度か好意をちらつかせるような態度をとった。

が、恵美は裕也に見向きもしなかった。

裕也が自分から話しかけても、そっけなく対応することが多く、まるで裕也に興味を示していないように思われた。

これが裕也には気に入らなかった。

今まで手に入らない女なんていなかったからだ。

なんとしてでも恵美を自分のものにしたいと思った。

そして、ついに告白をすることにした。

自分から女性に対して思いを告げるのは初めてで、裕也のプライドが若干傷つくものだったが、しかし、流石の恵美もこちらから告白をすれば断らないだろうと裕也は考えたのだった。

が、結果は惨敗。

裕也は一瞬にして振られたのだった。

「新田さん。君のことが好きだ。俺と付き合ってくれないかな?」

どうせオーケーされるだろうと思い、裕也は自信満々に教室のど真ん中で恵美に対して告白を行った。

が、恵美はどこか軽蔑するような表情とともに、少しも迷うことなく裕也の告白をバッサリと切って捨てた。

「ごめんなさい、あなたとは付き合えないかな」

恵美のその言葉が発せられた時、クラス内に響めきが起こった。

裕也は、今日恵美に告白することを取り巻きの何人かに伝えており、それがクラス中に広まっていて、その場にいた生徒のほとんどが、きっと裕也の告白は成功し、二人は付き合うことになるだろうと踏んでいたのだ。

が、結果は違った。

裕也は振られた。

公衆の面前で恥をかかされたのだ。

「もう行っていいかな?」

「…っ」

羞恥に顔を赤くする裕也に、恵美は無神経にもそう聞いてきた。

裕也は耐えられなくなってその場から逃げ出した。

そしてこの時に受けた屈辱をいつか必ず晴らして張ると思った。

そうして裕也は翌日から、恵美に仕返しのできるタイミングをつけ狙うようになった。

「最後まで生意気な女だったな」

森の中を歩きながら、裕也はひとりごちる。

裕也は最後に、恵美にチャンスを与えてやった。

自分の性奴隷になるなら、命を助けてやってもいい、と。

流石に背に腹は変えられないと、恵美はプライドを捨てて乗ってくるかと思ったが、またしても予想は外れ、恵美は裕也の性奴隷になることよりも死を選んだ。

「馬鹿な女だ。せいぜい無惨に死んでくれよ」

裕也はそう吐き捨てて、前に向きなおる。

今現在、裕也の周りには、裕也を守護するための数人の生徒が取り囲んでいた。

裕也が恵美と快斗を置き去りにしてその場から離れて、まず最初にやったことが、クラスメイトたちに自分のスキルを申告させることだった。

快斗のスキル、『カリスマ』によってほとんど洗脳状態であるクラスメイトは、いとも簡単に自分のスキルの全容を裕也の前に曝け出した。

その結果わかったことがある。

それは、実際に先頭に役立ちそうなスキルを持ったものは、全体の三分の一にも満たないということだった。

ほとんどの生徒が、直接戦闘に役立つものではなく、食べ物を探すスキルや、水を生成するスキル、火を起こすスキルなどといった、サポート系のスキルだった。

ちなみに今裕也たちが迷わず歩けているのは、ガイドスキルという、道案内のスキルを持った生徒が先導してくれているからに他ならなかった。

「ひょっとするとわざわざ王都に召喚せずにこうして旅をさせているのは…役立たずを篩い落とすためなのかもな…」

裕也はカテリーナの考えをそんなふうに慮ってみたりする。

今のところ、裕也にはカテリーナに逆らおうとは思っていなかった。

最終的には、クラスメイトたちをカテリーナに捧げて自分だけ日本に帰れればいいと裕也はそう考えていた。

「勝てそうなら戦ってみるのもいいが…まぁそれは最後の手段だな…ふふ…せいぜい俺の役に立ってくれよ…」

裕也は、周囲の戦闘系のスキルを持った生徒たちに聞こえないようにそう呟いて、どす黒い笑みを浮かべるのだった。

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