可愛い天使だと思っていたのは私だけのようです

福ノ内 六森

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ティアSIDE

出会いまでティア1

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 気が付いたのは5歳の時だった。
 自分の何もかもが群れのみんなとは違うということに。

 狼族という種族は家族が強い絆で結ばれており、母親や父親を始めとして家族で群れを形成している。
 狼族は多産なので2回目の出産で生まれた僕にも2人の姉と兄が1人いて、僕を含めて3人が同時に生まれた。

 両親や兄弟たちは濃い灰色の髪に白い肌、赤茶色の瞳だった。
 それに対して僕の色は、白に近いプラチナブロンドの髪に褐色の肌、そして何より気持ち悪がられたのが左右で違う瞳の色だ。それも正反対の色で。

 この国というか全ての国で何より大事にされているのが瞳の色である。
 瞳は魂を表すと言われていて、黒に近い濃い色であるほど信用される。
 色素が薄い色になればなるほど薄情で信用できないとされるのだ。

 そして左右で違う色の瞳を持つ場合、濃い色でさほど色に差がない場合は良い。
 しかし、左右で真逆の色であったり色素が薄いとなれば危険な人物として腫れ物のような扱いを受ける。

 そしてもう一つ大切にされているのが、種族としての色である。
 狼族であれば大体濃い灰色から白までの間の色で存在する。虎族であれば多少差はあるがオレンジや黄色から白まで存在する。そしてどの種族も家族や群れでの色は大体同じ色である。

 だが、たまに奇種と呼ばれる家族や群れの誰とも違う色の個体が生まれることがある。
 そういった個体は群れをなさない種族の場合は例外であるが、群れで暮らす種族にとっては瞬時にどこの群れの者か判断することが難しいため忌み嫌われる。
 そもそも色が普通じゃないということで嫌われることも多いが。

 そんな二つの忌み嫌われる要素を持って生まれたのが僕だ。
 そんな僕は、他人や家族から触れられたことも触れたこともない。

 ただ1人。兄を除いては。

 兄は弟が欲しかったようで、こんな僕でもたくさん可愛がってくれた。
 他の弟達が生まれるまでは、だったが。

 僕が2歳の時に弟と妹が2人づつ生まれた。
 
 最初は僕も兄になれるのだと喜んだが、妹と弟は僕が近づくと泣いてしまい近づけなかった。
 それだけではなく、普通の弟が生まれたことに兄は喜び弟につきっきりなってしまった。


 最初の1年は兄にかまってもらえることが少なくなり、ただただ寂しかった。
 弟が生まれて2年経つ頃には、弟達が憎たらしくなった。しかし、とても兄が楽しそうに弟達の相手をしているのでどうすることもできなかった。
 
 3年経つ頃には兄の役に立って褒めてもらいたいと思い、ギルドに登録してクエストを受けるようになった。
 最初の頃はうまくいかなくてたくさん怪我もしたがお金を稼いでくると兄がとても喜ぶので頑張った。

 クエストを受け始めたことは兄にしか話していなかったので自分の貯金にしていた。

 そうした生活を2年ほど続けていた。
 8歳になる頃には兄と僕はとてもよそよそしくなっていたが僕は兄が大好きだった。

 ある日兄が落ち込んだ様子で僕に話しかけてきた。

「俺全然稼げなくてさ、兄ちゃんなのに情けないよな。」

 そんなことを言われ、久々に話しかけられたのと褒められた嬉しさで舞い上がった。
 兄のためになるなら、僕が必要とされるならばと思い、

「今日から、僕が稼いだお金お兄ちゃんにあげる!」

「いいのか?」

 そんな会話をしたのち、ギルドで稼ぎ兄に渡す。
 それを兄が自分の稼ぎだといい両親に渡すという流れが出来上がった。

 兄に必要とされることがただただ嬉しくて毎日必死に頑張った。
 役に立てるのが、兄と話す機会ができるのが嬉しかった。

 そのうち、貯蓄がたまったのか母や父は働きに行かなくなった。
 
 元々の魔力も強かったからか、難易度の高いクエストに挑戦しても余裕でクリアできるくらいになった頃には、最初は褒めてくれていた兄も褒めてくれることはなくなった。
 稼ぐことで自分が兄に必要とされているのではないかと思い必死に頑張った。


 
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