最強少女のおすそわけ

雫月

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第二章 魔法学園の日常編

第23話 「断っておくが、私にそんな趣味はない。」

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「……さーて、ナッキ姉。これは一体どういうことかちゃんと説明してくれる?」

「リケア?ここは学校なんだから、ちゃんと先生って呼びなさい?」

「いやーそういうことを言ってるんじゃないんだけど……。それに今日はもう学校終わってるからナッキ姉でいいでしょ?」

「え~?先生って呼ばれたいから、そう言ってくれると嬉しいんだけど……?」

「あーはいはい。わかりました。」

 その日の夜。
 シエルたちのクラス『総合魔法学部』の生徒たちが暮らしている【炎麟えんりん寮】、その一階にあるロビーに【カーバンクル】とナッキの姿があった。
 
 レズィアム魔法学園には全部で六つの寮がある。
 学園の敷地内、校舎を挟んで大ホールの反対側に六つ並んで建てられており、【炎麟】の他に【氷閃ひょうせん】【風呀ふうが】【土泪どるい】【光蓮こうれん】【雷呟らいけん】と、それぞれ各部のクラスごとに名前と色で分けられており、学園に通う全ての生徒が寮生活を送っている。
 
 校舎と同じ時期に建てられたとされる白造りな寮の外装は、とても趣があり歴史を感じさせる。
 石と木材が用いられている内装は、素材のシンプルさと暖かみがあるモダンなデザインが備わった落ち着きのある空間となっている。

 新学期の初日を終え、夕食を終えた他の生徒たちは各自の部屋で勉強の予習をしたりくつろいでいたりと、思い思いの時間を過ごしていた。
 憩いの場であるロビーは広々としており、天井は吹き抜けになっている。あちこちにテーブルと椅子が備えられ、数名の生徒が談話を楽しんでいたりもしていた。
 そんな中、角にあるスペースに集まったシエルたちは、臨時教師として突然学園に現れたナッキにその経緯を聞き出していたところだった。

「ほら、サイネス先生もおっしゃってたでしょ?人手が足りなくて大変なんですって。」

「だからって何でナッキね……先生なの?もう……」

 恥ずかしそうに一人だけ声を潜めるリケア。
 学園にナッキが来たおかげで、彼女は今日一日目立ちっぱなしとなり、気疲れでヘトヘトになっていた。

「でもさ、もし来るんなら絶対フェリネスさんが来ると思ってたよ。」

「あー、ダメよ彼じゃ。リケアしか見ないからとても先生なんて務まらないわ。」

「ははっ、そりゃ言えてんな。」

 本人が居ないのをいいことに好き勝手なことを言う面々。
 ユグリシアは黙って話を聞きながら、くしゃみが止まらないフェリネスの姿を想像していた。

「わたしがここに来た理由は先生としてだけど、実は他にも目的があって来たのよ。」

「もしかしてユグと何か関係あんのか?」

「あら、リッツ君は鋭いわねー?その事について、みんなに協力してほしいんだけど……」

 魔法教員免許を持つ者は探せば必ずいるはずだ。
 にもかかわらず、それを飛び越して神殿騎士団という所謂『大物』がいきなり現れた事に、リッツはずっと疑問を抱いていた。
 彼の察しの通り、ナッキが学園に来た理由はユグリシア絡みの事だったようだ。

「……え?ユグを目立せちゃいけない?ナッキね……先生、どういうこと?」

「そうねぇ。簡単に言うとユグちゃんを守るため……ってところかしら?」

 ナッキから語られたのは、私生活を含め学園内外においてユグリシアを極力目立たせてはいけない、とい趣旨の内容だった。

「守るって、何からだよ?」

「色々あるけど、とりあえずは【ラグナロク】と【ホーリーレイズ】から、かしらね。」

「ええ!?【ラグナロク】は分かるけど、なんで【ホーリーレイズ】もなの?」

 シエルたちが驚くのも無理はない。【ホーリーレイズ】に関しては、ユグリシアと接点がないと思っていたからだ。
 気になるその理由を尋ねると、ナッキの表情が少し険しくなった。

「あなたたちは【クイーンガーディアン】の名前を知っているかしら?」

 ナッキが出したキーワードにシエルとリッツは絶句し、ユグリシアは首をかしげた。

「おいまさか……あの【クイーンガーディアン】が出てきたってのかよ?」

「ええ。『聖遺産』である魔法書庫が襲われたんだから、当然の事だわ。この前の事件の後ちょっとだけ大変だったのよ。ねぇリケア?」

「んふっ……。そ、そうだね……」

 ため息混じりに話し出そうとしたナッキの横で、リケアが笑いをこらえるように顔を伏せた。

「……?」

 二人から不審な目を向けられているリケアを無視してナッキは話を進める。
 事件後に【クイーンガーディアン】から事情聴取を受けたそうなのだが、その際に【ラグナロク】を差し置いて『白銀色をした長い髪の少女』の事をやたらと訊いてきたらしい。

「あの人たちはユグリシアさんとファルイーヴァとの戦いを知っていたのよ。おそらくどこかで監視していたんだと思うわ。」

「……チッ、気に入らねぇな。まるでユグがお尋ねモンみたいじゃねぇか。」

「でも、なんでユグの事をそんなに訊いてきたんだろ……?」

「それは以前のわたしたちと同じ理由よ。ユグリシアさんが危険な存在かどうか確かめようとしていたわね。」

 そう言うとナッキはおもむろに椅子から立ち上がり、シエルたちに向かって深々と頭を下げた。

「……ナッキ先生……?」

「今さらかもしれないけど、あの時は本当にごめんなさい。ユグリシアさんに危険がないというあなたたちの言葉を疑ったわたしたちが間違っていたわ……。」

「えっ、いやいや!それはもう終わった事だから謝んなくていいよナッキ先生!」

「そうだな。結果的にリケアと兄貴が仲直りできたんだから、それでいいじゃねぇか?」

「……わたしも。全然気にしてないよ?」

 長女であるナッキも、やはり責任を感じていたようだ。
 しかしそれを咎める言葉は一切なく、顔を上げたナッキが見たのは明るく笑うシエルたちの姿だった。

「そう言ってくれると嬉しいわ。みんなありがとう。」

 曇っていたナッキの表情も明るくなり、彼女は隣にいるリケアに勢い良く抱きついた。

「ぐええ!な、なんで私なの!?」

「たまにはいいじゃない。ギュッてさせてよリケア~。」

 わちゃつく二人をしばらく見ていたリッツだが、もういいだろと言わんばかりに咳払いをする。

「……んで?その事情聴取ってのは結局どうなったんだよ?」

 冷静に質問をしているように見えるリッツだが、テーブルに指をトントンと鳴らしている。
 【クイーンガーディアン】が敵になり得るかもしれない状況に、彼の言葉から少しばかり焦りが感じられた。

「心配しなくても大丈夫よ。『彼女』のおかげで上手くごまかせたから。」

 それを察したナッキは、にこやかな表情で返答し、テーブルの上に一枚のカードをそっと置いた。

「んぶふっ……!」

 何も描かれていない真っ白なカードを見たリケアが再び笑いをこらえようとしたが、今度は我慢できずに吹き出してしまう。

「なんだよリケアさっきから気持ち悪ぃな。何かあんなら早く言え。」

「……こ、これ見て……」

 ツボにはまったリケアは、むせかえりながらテーブルに置かれたカードに手をかざす。
 すると彼女の魔力に反応したカードから白色の淡い光が輝きを放ち、立体的に浮かび上がった人影を映し出した。

「……うっ……!これは……!?」

「え……ん、んん~!?」

 淡い光が消え人影が鮮明に見えたのだが、凄まじい違和感を放つその姿にシエルとリッツは不思議な声が出た。
 白と青の清楚な服とロングスカート、そして白銀色の長い髪。
 容姿だけ見ればユグリシアとそっくりなのだが、よーく見ると身長や体格が全然違う。

「……この顔……見たことあんぞ。」

「一応聞くけどリケア……。これ誰?」

「……フェリ兄……」

 その瞬間、シエルとリッツが椅子から転げ落ちた。

「うわっはははは!!」

「お前それ……それなんて格好してんだっはははは!!」

 なんとその正体はユグリシアの格好をしたリケアの兄フェリネスだった。
 二人は大爆笑のまま床を転げ回り、リケアも大笑いしながらテーブルを叩いている。

「こーら。もう夜も遅いんだからあまり騒いじゃダメでしょ?」

「んな事言ったってよ……!ヒィー腹いてぇー!」

「家で散々笑ったのに……やっぱり面白いあははは!」

 まだ笑い続けているリッツとリケアは会話ができそうにない。
 一方のユグリシアは、自分の姿をしたフェリネスの写真を眺めて「かわいい」と一言。

「……ハァ、ご、ごめんナッキ先生……でもなんでフェリネスさんがこんな面白い格好してるの?」

 かろうじて落ち着きを取り戻したシエルは、笑いすぎて出た涙を拭いながらナッキに尋ねた。

「そうねぇ。早い話がユグリシアさんの身代わりってところかしら?」

 その言葉を聞いたリッツとリケアは「全然似てない」と更に笑い転げる。

「幸いにもユグリシアさんの姿は遠くからしか目撃されてなかったの。だから特徴が目立つところだけフェリネスに変装してもらったワケなのよ。」

「ゲホッゲホッ……!じゃああれか?兄貴は女装してファルイーヴァと戦ってたって話したのか?」

「ええもちろん。彼は女装が趣味なんですーって説明したわ。」

「おわっはははは!!」

 あろうことかファルイーヴァと互角の戦いをした『白銀色の髪の少女』が、実は女装したフェリネスだったとよと無茶苦茶な弁明をしたらしい。
 【クイーンガーディアン】隊長のフレイアもさすがに引いていたというナッキの説明に、ユグリシア以外の三人は息ができなくなるほど笑い果てた。



「────……あー死ぬかと思ったぜ。でもよ、アイツらよくそんな話信じたよな?」

「他に証拠が無かったし、少し強引に言いくるめた部分はあったかしらね。」

「いやーフェリネスさんも体張ってくれたんだねー。」

「ふふっ、そうね。彼もリケアを救ってくれたお友達に恩返しをしたいって言ってたから、一肌脱いでもらったのよ。」

「んで、アレか……」

「んぶっ!ちょっとリッツ。せっかく落ち着いたのに思い出させないでよ……。」

 まだ笑い足りないリッツとリケアはお腹を抱えながら笑い声を噛み殺していると、さすがのナッキも少し呆れた声でそれを制止した。

「はいはい。フェリネスの事はもういいから、ここから本題に入るわね。」

「……さっき言ってたユグを目立たすなって話か。」

「そうね。じゃあユグリシアさん?腕輪を見せてくれるかしら?」

「……わかった。」

 ナッキはにこやかに微笑み、そのままユグリシアに顔を向ける。
 頷くユグリシアは腕に着けてある腕輪を外してテーブルの上に置いた。

「それって冒険者の証……だよね?」

「あれ……?よく見たら私たちのと色が少し違うよ?」

「それに何か書いてんな。『フォルグリム・リミット』……?なんだこりゃ?」

 腕輪を覗き込む三人に対し、ナッキは「よく気づいたわねー」とにこやかに拍手を送る。

「これは[フォルグリム・リミット魔女の誓約]という、対象となる者の魔力を限りなく抑え込む魔法がその腕輪に込められているの。それを着けていればユグリシアさんの魔力は人並みにまで制限されているはずよ。」

 「へ~」と感心するシエルとリケアに対し、魔法が使われているという言葉に反応したリッツが頬に手をつき嫌そうな顔を見せる。

「あ……?ひょっとしてスレイブのヤツも絡んでるのか?」

「さすがねリッツ君。この腕輪はスレイブ様が作られた特別製なの。」

「なるほどな。でもよ、ユグの魔力を抑えただけで目立たなくなるもんなのか?」

「いい質問ね。ユグリシアさんの本来の強い魔力値はすでに記録されているハズだから、素の状態でいるとすぐに居場所がバレちゃう可能性があるわね。」

「だから魔力を抑えて気配を感じられにくくするワケか。」

「そうよ。それだけでも大きな効果を持つわ。昨日ユグリシアさんがEランクで冒険者登録をしたのも、目立たなくするための対策だったということね。」

「あー、昨日ニャムが言ってたやつか。『特別……』何だっけ?」

「認証許可な。」

「そう、それ。……でも、あれ?その許可を出したのって、たしか姉さんだったような……?」

 ギルドで冒険者登録をしていた際、ユグリシアの隣にいたシエルはそう聞いていたのを覚えていた。
 まさかという表情のシエルに、ナッキは笑顔で正解を告げる。

「その通りよシエル君。実は今回の話はセティール陛下からご提案された事なの。」

「え!?姉さんが!?」

「お前一緒に住んでるくせに事情知らなすぎだろ。」

 すっとんきょうな声をあげ驚くシエルだったが、思い返せばセティールとユグリシアが二人で話しているのを何回か見かけていた彼は、「そういうことか」と納得したように頷いている。

「陛下がスレイブ様と学園長先生にもお一人で連絡をして段取りをしてくださったわ。わたしは初めてお会いしたけど、素晴らしいお方ね。」

「まぁ、姉さんは人の5倍くらい行動力があるからねー。」

「常に動きっぱなしだもんな。ホント、ありゃ真似できねぇよ。」

 今度はセティールの話をする面々と、彼女がくしゃみをする姿を思い浮かべていたユグリシア。
 するとその横から、「ちょっと待って」とリケアが手を挙げ話を遮った。

「あら、なにかしらリケア?」

「結局この話ってユグ以外誰も知らなかったってことでしょ?なんで私たちに隠す必要があったの?」

 少し不機嫌そうに質問するリケア。事情を聞かされていない身内といった点では彼女も同じだ。
 前もって教えてくれても良かったのでは?というリケアの主張はもっともだが、返ってきたナッキの答えは単純なものだった。

「あ、わたしが言わないでってお願いしたの。だって先に教えちゃうとわたしが先生として来ても驚かないじゃない?」

 みんなをビックリさせたかったのよーと楽しそうに話すナッキに、シエルたち三人は呆れた顔で天を仰いだ。

「んなこったろうと思ったぜ。」

「名づけて『ユグユグ大作戦』!おかげで今のところユグリシアさんはあまり目立ってないんじゃないかしら?」

「……まぁ、そうかもしれねぇが……なんだそのダセェ作戦名は?」

「姉さんのセンスは独特だからね……。」

「あら、わたしは素敵な名前だと思うんだけど?」

「……お姉ちゃんが付けてくれた名前だから、わたしも好きだよ。」

「わぁったわぁった。本人が気に入ってんなら何も言わねぇよ。」

 息を吐きながらテーブルの上に上半身を突っ伏したリッツ。気を張っていた彼も、ナッキとユグリシアの緩い会話にすっかり毒気を抜かれた様子だ。

「それで、俺たちはこれからどうすればいいの?」

「そうねぇ。シエル君たちはとりあえず普段通りにしてくれて大丈夫かしら。ただ、ユグリシアさんが目立たないように作った仮のプロフィールは話を合わせてくれると助かるわね。」

「肝心のユグは?」

「彼女はおとなしい性格みたいだし、みんなと同じ普段通りでいいと伝えてあるから大丈夫よ。ね、ユグリシアさん?」

「……大丈夫ですぜ、ボス。」

「昨日も言ったと思うけど、授業以外での魔法やスキルの使用は控えてちょうだいね?」

「……りょーかい、ボス。」

「お前は盗賊か。」

「あははは!」

「なにそれユグー?変なのー。」

 ロビーに響く楽しそうな会話と弾ける笑顔。
 『普段通り』な【カーバンクル】を眺めるナッキの表情はとても穏やかだった。

「……ふふっ、わたしが心配するまでもなかったわね。」

 微笑むナッキから漏れた呟きは、シエルたちの明るい笑い声にかき消された。

 そうこうしているうちに、寮内を照らしている魔法照明が薄暗くなった。そろそろ消灯となる合図だ。

「あらあら。もうこんな時間なのね。それじゃ部屋に戻りましょうか。みんな明日からよろしくね?」

 話がまとまったところでナッキが先に席を立った。明日の授業の準備をしなければいけないのだと、嬉しそうに笑う。

「まっかせてよナッキ先生!余裕だよ余裕。な、リケア?」

「当ー然。こんなのテストより簡単だもん。」

「本当かよお前ら?じゃあユグの出身地、どこ地方の何村か覚えてっか?」

「え……?」

「うっ……。」

「はい!せーの!?」

「ジルンタララ地方!」

「ホ……ホニャニャチカ村!」

「…………」

 自信満々に答えるシエルと、突然のフリに慌てふためくリケア。
 その場の空気がしばらくの間凍りつく。

「……惜しい。」

「惜しくねぇよ。どこだそりゃ。」

「あらあら。面白いけど、ちょっと不安かしらね~?」

 気を遣ったユグリシアのフォローが入るも、先行き不安なリッツとナッキが同じタイミングでため息を吐いた……。

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