ねぇ、大好きっていって

深智

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仲直り1

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『ひより、LINEやってるよね? ひより、クラスのどのグループにも入ってないから……』

 今まであまりお話しした事なかった香織ちゃんと、あの後LINEのIDを交換した。

『私、きっと学校やめちゃうから』

 香織ちゃんはそう言って笑ってた。

『赤ちゃんを産みたいから』




 新しく出来た大事なお友達。凄く嬉しい。幸せになって欲しいなって思う。

 自分のお部屋でベッドに転がってスマートフォンの中に増えた〝柚木香織〟というお名前を眺めていた時。階段の下からママの呼ぶ声がした。



「え、おばあちゃんが?」

 鎌倉に住んでるおばあちゃんが転んで怪我をして入院した、とママが言う。

「ごめんね、ひよちゃん。これからパパとママ、行って来なくちゃいけないの。今夜は帰れないけど、ひよちゃん、今晩一人で大丈夫かしら」

 えっと、えっと、あたし、1人でお留守番? あたしは夜を1人で過ごした事はなくて、不安で一杯の顔をした。

「一晩だけだから、何とかがんばって。ひよちゃん連れて行きたいけど、ちょっと慌ただしいし、学校があるでしょう?」

 うん。

「俺も心配なんだが、今夜ばかりは仕方ないな。ママ、おケイのとこにお願いしていくか」
「ええ、おケイちゃんには事情話してあるから、大丈夫と思うわ」

〝おケイちゃん〟というのは、遼ちゃんとこのおばさん。

 パパが荷物を用意しながらあたしに言った。

「ひよ、ちゃんと戸締まりするんだぞ」

 車に乗ったパパは運転席の窓を開けると、あたしの頭を撫でる。

「今夜は、家から出ないこと」
「はーい、分かってます!」

 ママは心配そうに助手席からあたしを見て、ごめんね、と言い、2人を乗せた黒いレクサスは夜の闇の中に消えて行った。

 急に心細くなって遼ちゃんのお家を見上げた。遼ちゃんのお部屋の窓はまだ真っ暗で、帰ってきてはいないみたいだった。

 冷たい夜風が吹き抜けて、ブルッと震えた。遼ちゃんに会いたい。でも、今夜はーーお風呂入って早く寝ちゃおう。



 バスタブから立ち上る湯気を見ながら、たくさんたくさん考え事した。

 大好きな人なら、触れられるのは幸せ? そうかなぁ。やっぱりあたしは遼ちゃんの気持ちが欲しい。それは贅沢、なのかなぁ。

 ねぇ、遼ちゃん。涙が出てきたよぉ。寂しいよ、遼ちゃん。

 膝を抱えると、ぽちゃん、と顔がお湯につく。そうしいるうちに、頭がボーッとしてきた。あー、あたし、ばか。のぼせちゃったみたい。

 慌ててあがろうとしたけど、縁につかまったまま。ぐったり。

「ひよ!?」

 遼ちゃんの、声? なんでー?

「なにやってんだよ! もうっ」

 フワッと身体が浮いた。そのまま夢心地で、意識がしろくなっていった――。

 遼ちゃん、夢なら覚めないで。




 ひよーー。

 大好きな人の声。ゆっくりと目を開けると、心配そうに覗く遼ちゃんの顔。

「遼ちゃん、どうしてここに?」
「どうして、ってひよ」

 遼ちゃんが飽きれ気味にため息をついてる。

 あたし、どうしたんだっけ。うーんと、あ、お風呂。

「誰もいないってのに、玄関鍵もかけずに風呂に入るわ、風呂ではのぼせてのびてるわ。まったく。ひよに何かあったら俺ーー」

 言葉を詰まらせた遼ちゃんの肩越しに見慣れた薄いオレンジ色の花柄の天井。ここはあたしの部屋。

 遼ちゃん、連れてきて……あっ! やだっ、あたし裸っ! 頭にのせてあった氷が落っこちた。あたしの身体に巻いてたバスタオルがパラッと落ちた。

「脱がす手間が省けちゃったな」

 遼ちゃんの腕があたしを抱いた。

「仲直りの〝なかよしタイム〟しよう」

 遼ちゃんの、グリーン系のスッキリとした匂いに包まれて、あたしは「うんうん!」と頷いた。

 あたし、やっぱり遼ちゃんに触れて欲しい!




 唇を重ねる。この前とは違う、優しくて甘いキス。遼ちゃんの舌が凄く柔らかくあたしの舌に絡みつく。上顎を舐められて。

「んん……」

 遼ちゃんの気持ちが欲しい。でも、遼ちゃんに触れてもらうのがこんなに幸せで、気持ちが良くて。

「ひよ……」

 あたしの唇から離れた遼ちゃんの唇が首筋通って胸に。

「……ぁ……ぁん……」

 遼ちゃんの大きな手が、あたしの胸を揉む。先を指で……摘まんで。

「ふぁっ……ああっ」

 あたしはピクンッと震えて顔をのけ反る――。遼ちゃんがあたしの……乳首を、吸う。

「ぁン……ふぁあ……」

 身体を貫く微弱な電流に、しびれてしまう。

「遼ちゃん……ぁっ……遼……ちゃん……」

 遼ちゃんに必死にしがみつくと、優しい笑顔があたしを見た。

「ひよ、ほら……」

 遼ちゃんは、しがみつくあたしを少しだけ離すと抱き上げて、向かい合うように膝にのせてくれた。

「ひよ、ごめんな……」

 そのあまりにも優しい声音に涙が一気にじわっと。あたしもごめんなさい、って言いたかったのに。言葉が、出ないの。

 喉の奥が痛いの。大好きな、大好きな遼ちゃんの顔。また、涙で見えないよ。

 一生懸命手で涙を拭ったけど、拭っても拭っても止まんない。

「あたし、もう遼ちゃんに〝なかよし〟して貰えないかも……って」

 ひぐっひぐっとしゃくりあげてしまって、もうその後が続かない。

「しないわけないだろ」

 甘いキスが、待っていた。

 遼ちゃん……。

「もっと、〝なかよし〟しようか?」
「うん」

 うん。うん。もっともっともっと……!

 あたしをベッドに寝かせた遼ちゃんは、Tシャツを脱ぐ。たくましい身体は、見慣れているはずなのに――涙が出るくらいカッコイイです。

 遼ちゃん――!



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