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寄り道?
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手作りのプレゼント。ママに聞いても次元が違い過ぎて全く参考にならず、結局、何もいいアイデアが湧かなくて。
でも、どんどん日にちは過ぎてくの。遼ちゃんとのことは誰にも内緒だし、と困ったあたしは。
「手作りのプレゼント?」
香織ちゃんのお家に来てしまいました。
香織ちゃんは、あたしにミルクたっぷりのホットコーヒーが入ったかわいいマグカップを渡しながらフフフと笑った。
「ひより、かーわいい」
香織ちゃん、あたしの前に座ってニコッと笑った。
「その、幼なじみのお兄ちゃんとは、いい感じなんだね?」
香織ちゃん、テーブルに肘を突いて、頬杖してウフフと笑ってる。
うん、いい感じ、なんだと思う、と頷いて、あたしはなんだか恥ずかしくなってそのままうつ向いちゃった。
香織ちゃんには、幼なじみのお兄ちゃんが高校の先生である遼ちゃんってことはまだ話していないんだけど、それ以外――その、えっと、遼ちゃんとの色々、の関係は全部聞いてもらって相談にのってもらったりしているから、なんだかとっても話しがしやすいの。
それに、同い年なんだけど、お姉ちゃんみたいな存在なんだもの。
「あたし、不器用で、難しいものは作れないの、でも……何かしてあげたい……」
あたしが、しどろもどろになりながらそう言うと、香織ちゃんは、そうだ! と何か閃いたみたいにゆっくり立ち上がった。
お腹に赤ちゃんがいる香織ちゃん。今、5か月に入ったとこって言ってた。香織ちゃんは細くて、まだお腹は目立たないけど少しゆったりしたお洋服着るようになったみたい。
「ちょっと待っててね」とあたしにウインクして、香織ちゃんはお部屋から出ていった。
そして、廊下から――、
「おかあさーん、この前片付けた道具箱、ここの収納に片付けたんだっけー?」
階下にいるお母さんに聞いてる香織ちゃんの声が聞こえた。すぐあとに「そうよー」という香織ちゃんのお母さんの声がして、廊下で、ガタガタという音がし始めた。
な、なんだろ? あたしはそわそわしながらも、ちょっとお部屋を見回した。
香織ちゃんは、彼と結婚することに決めてからも、実家に住んでる。大学を辞めて働き始めた、っていう彼もここからお仕事に通っているみたい。
香織ちゃんの広いお部屋は、今、彼との新婚生活のお部屋でもあるみたいで、家具とか、少し真新しいものが置いてある。大きなベッドもあって……なんだか、ちょっとこそばゆい。
あたしが肩を竦めた時、香織ちゃんはお洒落な小箱を持ってお部屋に戻ってきた。
「これこれ、ひよりにあげる」
そう言いながら座った香織ちゃんは、あたしの前に小箱を置いた。
プレゼント用かな、っていう可愛い蓋付き小箱を香織ちゃん、開けてくれた。その中には、色とりどりの細い革紐。
「香織ちゃん、これは?」
香織ちゃん、ニコッと笑った。
「ミサンガ、作る材料だよ。ちょっと前に流行ってたでしょ」
みさんが……。
「あの、腕とかに着ける?」
香織ちゃん、そう、と頷いて、ちょっぴり舌を出して首を竦めた。
「私も、不器用なの。手作りとか無理なの。だけど、これならって作ったの。これはその時の残り。ひよりに全部あげる」
え、くれるの?
あたし、香織ちゃんを見た。香織ちゃん、うんうん、と頷いてる。
「これならひよりも作れるよ。作り方はその箱の中に入ってるから、簡単なのから試してみて」
わぁあ……、と私は小箱を覗き込んだ。可愛い色、大人っぽい色、渋めのカッコいい色。カラフルな紐を見ていたらワクワクしてきちゃった。
「ひより、頑張って素敵なの作って彼にプレゼントしてあげて!」
ガッツポーズをしてみせてくれた香織ちゃんに、あたしは、うん! と頷いてた。
*
香織ちゃんのお家を出ると、もうだいぶ遅い時間になっていた。大変! と駅に向かってあたしは走った。
賑やかな駅前商店街を走っていた時、前から歩いてきた背の高い男の人とぶつかってしまった。
「あっ!」
「あぶないっ!」
勢いよくぶつかって、倒れそうになったあたしは、その人に腕を掴まれてなんとか転ばずに済んだ。
「すみません!」
慌てて顔を上げると。見上げても、だいぶ遠いお顔。すごく背が高い。
繁華街の眩しい明かりに逆光になって、目を凝らしたあたしの目に飛び込んできたのは、素敵な素敵な、イケメンさん……あれ、見た事があるような。
あっ、もしかして、って思った時だった。
「大丈夫? 気を付けないとダメだよ。この時間になると、ちょっとガラの悪い人もいるからね」
そう言って、助けてくれたお兄さんはあたしを真っ直ぐに立たせてくれて笑った。その笑顔に、ちょっぴりドキッとしちゃった。
あの、もしかして……そう言おうとしたら、お兄さん、屈んでた。そして、地面で何か拾って身を起こしたお兄さんは、
「もしかして、遼太の幼馴染のひよりちゃん?」
いきなりあたしの名前を呼んだ。びっくり。
「え、どうして!?」
お兄さんは、肩を竦めてニコッと笑い「これ」と何かが乗った手をあたしの前に差し出した。
あ。
そこには、ローマ字で、HIYORIって刺繍がしてあるひよこさんのぬいぐるみキーホルダー。あたしのリュックから、チェーンが切れて落ちちゃったんだ!
「えっと確か、宮部ひよりちゃん、だよね?」
「は、はい、そうです」
やっぱりお兄さんは――、
「随分前に会った時の面影が残っていたのと、この名前で直ぐにわかったよ」
遼ちゃんの親友の、緒方誠さんだった。
お友達と呑みに来ていた緒方さんは、
「送ってはあげられないけど、気を付けて帰るんだよ」
と言って頭撫でてくれた。
緒方さんと別れて、駅に向かいながらあたしは、なんだか、すごく遼ちゃんに会いたくて会いたくて……。
ねえ、遼ちゃん。遼ちゃん、早く会いたい。遼ちゃん、緒方さんに、会っちゃったよ――。
でも、どんどん日にちは過ぎてくの。遼ちゃんとのことは誰にも内緒だし、と困ったあたしは。
「手作りのプレゼント?」
香織ちゃんのお家に来てしまいました。
香織ちゃんは、あたしにミルクたっぷりのホットコーヒーが入ったかわいいマグカップを渡しながらフフフと笑った。
「ひより、かーわいい」
香織ちゃん、あたしの前に座ってニコッと笑った。
「その、幼なじみのお兄ちゃんとは、いい感じなんだね?」
香織ちゃん、テーブルに肘を突いて、頬杖してウフフと笑ってる。
うん、いい感じ、なんだと思う、と頷いて、あたしはなんだか恥ずかしくなってそのままうつ向いちゃった。
香織ちゃんには、幼なじみのお兄ちゃんが高校の先生である遼ちゃんってことはまだ話していないんだけど、それ以外――その、えっと、遼ちゃんとの色々、の関係は全部聞いてもらって相談にのってもらったりしているから、なんだかとっても話しがしやすいの。
それに、同い年なんだけど、お姉ちゃんみたいな存在なんだもの。
「あたし、不器用で、難しいものは作れないの、でも……何かしてあげたい……」
あたしが、しどろもどろになりながらそう言うと、香織ちゃんは、そうだ! と何か閃いたみたいにゆっくり立ち上がった。
お腹に赤ちゃんがいる香織ちゃん。今、5か月に入ったとこって言ってた。香織ちゃんは細くて、まだお腹は目立たないけど少しゆったりしたお洋服着るようになったみたい。
「ちょっと待っててね」とあたしにウインクして、香織ちゃんはお部屋から出ていった。
そして、廊下から――、
「おかあさーん、この前片付けた道具箱、ここの収納に片付けたんだっけー?」
階下にいるお母さんに聞いてる香織ちゃんの声が聞こえた。すぐあとに「そうよー」という香織ちゃんのお母さんの声がして、廊下で、ガタガタという音がし始めた。
な、なんだろ? あたしはそわそわしながらも、ちょっとお部屋を見回した。
香織ちゃんは、彼と結婚することに決めてからも、実家に住んでる。大学を辞めて働き始めた、っていう彼もここからお仕事に通っているみたい。
香織ちゃんの広いお部屋は、今、彼との新婚生活のお部屋でもあるみたいで、家具とか、少し真新しいものが置いてある。大きなベッドもあって……なんだか、ちょっとこそばゆい。
あたしが肩を竦めた時、香織ちゃんはお洒落な小箱を持ってお部屋に戻ってきた。
「これこれ、ひよりにあげる」
そう言いながら座った香織ちゃんは、あたしの前に小箱を置いた。
プレゼント用かな、っていう可愛い蓋付き小箱を香織ちゃん、開けてくれた。その中には、色とりどりの細い革紐。
「香織ちゃん、これは?」
香織ちゃん、ニコッと笑った。
「ミサンガ、作る材料だよ。ちょっと前に流行ってたでしょ」
みさんが……。
「あの、腕とかに着ける?」
香織ちゃん、そう、と頷いて、ちょっぴり舌を出して首を竦めた。
「私も、不器用なの。手作りとか無理なの。だけど、これならって作ったの。これはその時の残り。ひよりに全部あげる」
え、くれるの?
あたし、香織ちゃんを見た。香織ちゃん、うんうん、と頷いてる。
「これならひよりも作れるよ。作り方はその箱の中に入ってるから、簡単なのから試してみて」
わぁあ……、と私は小箱を覗き込んだ。可愛い色、大人っぽい色、渋めのカッコいい色。カラフルな紐を見ていたらワクワクしてきちゃった。
「ひより、頑張って素敵なの作って彼にプレゼントしてあげて!」
ガッツポーズをしてみせてくれた香織ちゃんに、あたしは、うん! と頷いてた。
*
香織ちゃんのお家を出ると、もうだいぶ遅い時間になっていた。大変! と駅に向かってあたしは走った。
賑やかな駅前商店街を走っていた時、前から歩いてきた背の高い男の人とぶつかってしまった。
「あっ!」
「あぶないっ!」
勢いよくぶつかって、倒れそうになったあたしは、その人に腕を掴まれてなんとか転ばずに済んだ。
「すみません!」
慌てて顔を上げると。見上げても、だいぶ遠いお顔。すごく背が高い。
繁華街の眩しい明かりに逆光になって、目を凝らしたあたしの目に飛び込んできたのは、素敵な素敵な、イケメンさん……あれ、見た事があるような。
あっ、もしかして、って思った時だった。
「大丈夫? 気を付けないとダメだよ。この時間になると、ちょっとガラの悪い人もいるからね」
そう言って、助けてくれたお兄さんはあたしを真っ直ぐに立たせてくれて笑った。その笑顔に、ちょっぴりドキッとしちゃった。
あの、もしかして……そう言おうとしたら、お兄さん、屈んでた。そして、地面で何か拾って身を起こしたお兄さんは、
「もしかして、遼太の幼馴染のひよりちゃん?」
いきなりあたしの名前を呼んだ。びっくり。
「え、どうして!?」
お兄さんは、肩を竦めてニコッと笑い「これ」と何かが乗った手をあたしの前に差し出した。
あ。
そこには、ローマ字で、HIYORIって刺繍がしてあるひよこさんのぬいぐるみキーホルダー。あたしのリュックから、チェーンが切れて落ちちゃったんだ!
「えっと確か、宮部ひよりちゃん、だよね?」
「は、はい、そうです」
やっぱりお兄さんは――、
「随分前に会った時の面影が残っていたのと、この名前で直ぐにわかったよ」
遼ちゃんの親友の、緒方誠さんだった。
お友達と呑みに来ていた緒方さんは、
「送ってはあげられないけど、気を付けて帰るんだよ」
と言って頭撫でてくれた。
緒方さんと別れて、駅に向かいながらあたしは、なんだか、すごく遼ちゃんに会いたくて会いたくて……。
ねえ、遼ちゃん。遼ちゃん、早く会いたい。遼ちゃん、緒方さんに、会っちゃったよ――。
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