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バトルの予感
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ちょっと遅い時間だったけど、遼ちゃんのお部屋に来てしまいました。あんまり時間はないんだけど、今日あったこと、遼ちゃんに報告したかったから。
「あれ、おばさんは?」
「ああ、今日は仕事、遅くなるって言ってた。年末商戦、最後の追い込み」
実はおばさん、社長さんです。小さな輸入雑貨商さんやってます。
お風呂から出てきた遼ちゃん、冷蔵庫から出したビール飲みながら、キッチンで簡単なお料理を始めた。
遼ちゃんは、お料理も上手なの。でもあたしは、何もできないから……見てるだけ……。なんとなく、シュン、となっちゃう。
「遼ちゃん……」
「んー?」
遼ちゃん、白菜切りながら顔上げることなくお返事。あたしは、それを見詰めて、ちょっともじもじ。
「あの……今度、ママにお料理教えてもらいます」
小さな声で言うと。目を丸くしてあたしを見た遼ちゃん、アハハハッと笑い出した。
「なんで笑うの」
あたしが少し怒ると。
「ひよは焦って、ああなろう、こうなろう、とか思わなくていいんだよ。何でも少しずつ、ゆっくりでいい。ひよのいいとこは、ちゃんと俺が知ってるから。ひよの出来ないとこはちゃんと俺がカバーしてやるから」
遼ちゃん……! あたしは遼ちゃんに抱きついた。
「うわっ! あぶなっ」
あっ、遼ちゃん、包丁使ってたんだ!
「ごめんなさいっ」
ギュッと目を閉じたあたし、でも遼ちゃんからは離れない。頭上から、遼ちゃんの、クスリという笑い声。恐る恐る顔を上げると、優しいキスが待っていた。
唇重ねたまま抱き上げられて、遼ちゃん近くに置いてあった椅子に座った。あたしは、遼ちゃんのお膝にちょこんっ。ゆっくりと唇離して……。
「メシ、作れねーし」
あ、ごめんなさいっ、って言おうとしたら。
「ひよ、責任とって」
え? あっ! 知らないうちに、ブラのホックが外れてる!
「え、遼ちゃん、責任って……あっ、んんっ」
胸が……っ、
「遼ちゃ……ふっぁあっ」
先っぽ、擦られて、ピクンと震えて、遼ちゃんにしがみついた。
「ひよ」
耳に吐息かけられて、囁かれて、
「遼ちゃん、だめだよ……あたし」
「ん、もうちょいね」
遼ちゃんの手が!
「や……っ、ぁあっ」
あたしのスカートはいつの間にかまくられて、ショーツが丸見え……そこに、遼ちゃんの指が触れる。
擦られて、隙間から指が――あたしは遼ちゃんのTシャツ掴んで跳ね上がった。
「あっ、あっ、やぁっ、だめ、もうだめぇっ」
遼ちゃんっ! たまらずカラダのけ反らせたあたしの身体は遼ちゃんにグッと抱き寄せられ、強い力で胸に抱かれた。
遼ちゃんの、腕の中で、はあはあと上がっちゃった息を整えながらあたしは目を閉じた。
「遼ちゃん、遼ちゃん……」
遼ちゃんの優しい手が、あたしの頭を撫でてくれて、そっと頬に添えられて、顔を上げて、キス。唇離して、遼ちゃん、あっそうだ、と何か思い出した。
「ひよ、今夜は何か俺に話したいことあったって、言ってたよな」
そうだった! 今日、緒方さんに会ったこと、遼ちゃんにお話ししようと思ったんだった!
「あのね、遼ちゃん、今日ね」
遼ちゃんが大きな目であたしを真っ直ぐに見てくれる。これは、昔から、遼ちゃんがあたしの話を聞いてくれる時の、大好きな優しいお顔。
「駅前の……」
話しを始めた時だった。プルルルル……と遼ちゃんのお家の電話が鳴った。
「ちょっと待ってな、ひよ」
そう言い、遼ちゃんはあたしをお膝に乗せたまま、カウンターの上に置いてあったコードレスフォンを取った。
「はい、ひら……」
「りょうたあぁあぁぁあ―――っ!」
遼ちゃん、真っ先にコードレスフォンを耳から離したから、あたしにもその声、しっかりばっちり聞こえました。
――パパ!!
いけないっ、パパが帰ってきたんだ!
「あー、はい、おじさん、大丈夫ですって。はい、何もしてません。は? 神に誓えるか? はは……おじさん、俺どんだけ信用ねーの?」
もうやだ、パパったら! 遼ちゃん、ごめんなさい! あたしは慌てて下着と服を整えて、遼ちゃんのお膝から下りた。
遼ちゃん、電話で話しながらあたしにアイコンタクト。頭なでなで。
「ひよ、ちょっと顔出しにきただけだから、今すぐ帰すから。はいはい、お宅の玄関先まで送り届ます」
遼ちゃん、そう言うと電話を切った。
「パパがごめんね」
遼ちゃん、苦笑い。
「いや、ケンさんだけじゃない。どんな親父でも、同じだろ。気にしてねーよ」
ハハハと笑った遼ちゃんに頭撫でられて、胸がきゅん。あたしは、遼ちゃんの笑顔が、触れる手が、ほんとに好き。遼ちゃん、フッと肩を竦めた。
「まったく何にもしてない、は嘘だしな」
あはははは……。
「はい、しっかり送り届けましたので、これで失礼いたします!」
遼ちゃん、あたしの家の玄関で、パパに九十度に頭を下げて言った。
……遼ちゃんてば。
玄関で仁王立ちで待っていたパパもパパです。
ドア開けて、ビックリしたよ。もう一度閉めようとしちゃったよ……。
「遼ちゃん、ごめんなさいね、疲れているのにひよりが押しかけちゃったから……」
ママがパパの後ろから遼ちゃんに優しく声を掛けたけど。
「あ、いえ、それはぜんぜん。じゃあ、俺はこれで」
一言も話さないパパと、遼ちゃんの険悪な空気。あたし、おろおろ。ママはなんだか嬉しそうに、ひよちゃん、来て来てって手招き。
「ひよちゃん、パパがね、会社の人から美味しそうなお菓子頂いてきたの。遼ちゃん。今度、ゆっくり来てね」
ニコニコ顔で遼ちゃんに言ったママ、キッチンに入っていった。こんな空気に気付かないママは、いろんな意味で無敵です。
あたしは遼ちゃんをチラッと見たけど、遼ちゃん、パパと睨み合い。目は合わず。
ああ、大丈夫かなぁ。
パパ、遼ちゃんに変なこと言わないでねって心の中でそう願いながら……
「ひよちゃーん、早く早く」
キッチンからのママの声に「はーい」とお返事して、ちらちらパパと遼ちゃんを見ながらあたしはキッチンに入っていった。
あ、遼ちゃん。緒方さんに会ったことを、今夜遼ちゃんに話せなかったよ――。
「あれ、おばさんは?」
「ああ、今日は仕事、遅くなるって言ってた。年末商戦、最後の追い込み」
実はおばさん、社長さんです。小さな輸入雑貨商さんやってます。
お風呂から出てきた遼ちゃん、冷蔵庫から出したビール飲みながら、キッチンで簡単なお料理を始めた。
遼ちゃんは、お料理も上手なの。でもあたしは、何もできないから……見てるだけ……。なんとなく、シュン、となっちゃう。
「遼ちゃん……」
「んー?」
遼ちゃん、白菜切りながら顔上げることなくお返事。あたしは、それを見詰めて、ちょっともじもじ。
「あの……今度、ママにお料理教えてもらいます」
小さな声で言うと。目を丸くしてあたしを見た遼ちゃん、アハハハッと笑い出した。
「なんで笑うの」
あたしが少し怒ると。
「ひよは焦って、ああなろう、こうなろう、とか思わなくていいんだよ。何でも少しずつ、ゆっくりでいい。ひよのいいとこは、ちゃんと俺が知ってるから。ひよの出来ないとこはちゃんと俺がカバーしてやるから」
遼ちゃん……! あたしは遼ちゃんに抱きついた。
「うわっ! あぶなっ」
あっ、遼ちゃん、包丁使ってたんだ!
「ごめんなさいっ」
ギュッと目を閉じたあたし、でも遼ちゃんからは離れない。頭上から、遼ちゃんの、クスリという笑い声。恐る恐る顔を上げると、優しいキスが待っていた。
唇重ねたまま抱き上げられて、遼ちゃん近くに置いてあった椅子に座った。あたしは、遼ちゃんのお膝にちょこんっ。ゆっくりと唇離して……。
「メシ、作れねーし」
あ、ごめんなさいっ、って言おうとしたら。
「ひよ、責任とって」
え? あっ! 知らないうちに、ブラのホックが外れてる!
「え、遼ちゃん、責任って……あっ、んんっ」
胸が……っ、
「遼ちゃ……ふっぁあっ」
先っぽ、擦られて、ピクンと震えて、遼ちゃんにしがみついた。
「ひよ」
耳に吐息かけられて、囁かれて、
「遼ちゃん、だめだよ……あたし」
「ん、もうちょいね」
遼ちゃんの手が!
「や……っ、ぁあっ」
あたしのスカートはいつの間にかまくられて、ショーツが丸見え……そこに、遼ちゃんの指が触れる。
擦られて、隙間から指が――あたしは遼ちゃんのTシャツ掴んで跳ね上がった。
「あっ、あっ、やぁっ、だめ、もうだめぇっ」
遼ちゃんっ! たまらずカラダのけ反らせたあたしの身体は遼ちゃんにグッと抱き寄せられ、強い力で胸に抱かれた。
遼ちゃんの、腕の中で、はあはあと上がっちゃった息を整えながらあたしは目を閉じた。
「遼ちゃん、遼ちゃん……」
遼ちゃんの優しい手が、あたしの頭を撫でてくれて、そっと頬に添えられて、顔を上げて、キス。唇離して、遼ちゃん、あっそうだ、と何か思い出した。
「ひよ、今夜は何か俺に話したいことあったって、言ってたよな」
そうだった! 今日、緒方さんに会ったこと、遼ちゃんにお話ししようと思ったんだった!
「あのね、遼ちゃん、今日ね」
遼ちゃんが大きな目であたしを真っ直ぐに見てくれる。これは、昔から、遼ちゃんがあたしの話を聞いてくれる時の、大好きな優しいお顔。
「駅前の……」
話しを始めた時だった。プルルルル……と遼ちゃんのお家の電話が鳴った。
「ちょっと待ってな、ひよ」
そう言い、遼ちゃんはあたしをお膝に乗せたまま、カウンターの上に置いてあったコードレスフォンを取った。
「はい、ひら……」
「りょうたあぁあぁぁあ―――っ!」
遼ちゃん、真っ先にコードレスフォンを耳から離したから、あたしにもその声、しっかりばっちり聞こえました。
――パパ!!
いけないっ、パパが帰ってきたんだ!
「あー、はい、おじさん、大丈夫ですって。はい、何もしてません。は? 神に誓えるか? はは……おじさん、俺どんだけ信用ねーの?」
もうやだ、パパったら! 遼ちゃん、ごめんなさい! あたしは慌てて下着と服を整えて、遼ちゃんのお膝から下りた。
遼ちゃん、電話で話しながらあたしにアイコンタクト。頭なでなで。
「ひよ、ちょっと顔出しにきただけだから、今すぐ帰すから。はいはい、お宅の玄関先まで送り届ます」
遼ちゃん、そう言うと電話を切った。
「パパがごめんね」
遼ちゃん、苦笑い。
「いや、ケンさんだけじゃない。どんな親父でも、同じだろ。気にしてねーよ」
ハハハと笑った遼ちゃんに頭撫でられて、胸がきゅん。あたしは、遼ちゃんの笑顔が、触れる手が、ほんとに好き。遼ちゃん、フッと肩を竦めた。
「まったく何にもしてない、は嘘だしな」
あはははは……。
「はい、しっかり送り届けましたので、これで失礼いたします!」
遼ちゃん、あたしの家の玄関で、パパに九十度に頭を下げて言った。
……遼ちゃんてば。
玄関で仁王立ちで待っていたパパもパパです。
ドア開けて、ビックリしたよ。もう一度閉めようとしちゃったよ……。
「遼ちゃん、ごめんなさいね、疲れているのにひよりが押しかけちゃったから……」
ママがパパの後ろから遼ちゃんに優しく声を掛けたけど。
「あ、いえ、それはぜんぜん。じゃあ、俺はこれで」
一言も話さないパパと、遼ちゃんの険悪な空気。あたし、おろおろ。ママはなんだか嬉しそうに、ひよちゃん、来て来てって手招き。
「ひよちゃん、パパがね、会社の人から美味しそうなお菓子頂いてきたの。遼ちゃん。今度、ゆっくり来てね」
ニコニコ顔で遼ちゃんに言ったママ、キッチンに入っていった。こんな空気に気付かないママは、いろんな意味で無敵です。
あたしは遼ちゃんをチラッと見たけど、遼ちゃん、パパと睨み合い。目は合わず。
ああ、大丈夫かなぁ。
パパ、遼ちゃんに変なこと言わないでねって心の中でそう願いながら……
「ひよちゃーん、早く早く」
キッチンからのママの声に「はーい」とお返事して、ちらちらパパと遼ちゃんを見ながらあたしはキッチンに入っていった。
あ、遼ちゃん。緒方さんに会ったことを、今夜遼ちゃんに話せなかったよ――。
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