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カルテ14 『どうして欲しい?』
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やっぱり、わたしはこの声が聞きたかったんだ。
耳からすっとわたしの中に滑り込み、深く浸透した声は、心を優しく抱き締める。
「今夜は、どうしたの」
柔らかな声が、優しく聞いた。
声がもたらす快感に、ちょっと酔いしれてみたくなる。
もう少し、その声を聞かせて。
「どうしてだと、思う?」
緒方君の口から、言葉を引き出してみたくなった。
仕事じゃないの。きっかけが、欲しいの。
少し前に電話の向こうから聞こえていた声とは違う。
遼太の声は、真っ直ぐで強く、グッと迫ってくるような声。緒方君の声は――、
「どうしてかな……」
フッと笑っている気配。緒方君は、そうだな……、なんてちょっと考えている風。ちょっぴり焦れて、わたしは言う。
「考えて。ちゃんと」
わたしの事、考えて。
とは言えなくて、内心でちょっと拗ねてしまう。
黙ってしまったわたしに緒方君が言う。
「仕事のこと、ではなさそうだね。それは分かった」
わざと、焦らしてるでしょう。
黙ったままでいるわたしの耳に、クスクスという笑い声が聞こえてきた。そして。
「迎えに行こうか」
緒方君の声は、フワッと全てを包んで優しく抱き締めて、囁く、そんな、声――。
ちょうど仕事を終えて帰るところだったという緒方君は、車で事務所まで迎えに来てくれた。
声が聞きたいの。
会いたいの。
その言葉を口にしなくても、緒方君は全てを叶えてくれた。
乗ってすぐ、緒方君の顔を見る。
優しい目がふわりと微笑み、しなやかな手がわたしの頬に触れた。
心地よい冷たさに痺れるような快感が全身を突き抜ける。頬に触れる緒方君の手に自分の手をそっと重ねた。
「会いたかったの。だから――」
言葉の続きは、唇が塞がれて言えなかった。
互いの気持ちは、どうなのだろう。
大人になると、改めて口にすることに恥ずかしさみたいなものを感じる言葉がある。
わたし達は、そんな感じ?
暗い車内、カーラジオの音がこの空気を邪魔しない程度の音量で流れていた。
そっと唇が離れると、緒方君の優しい瞳がわたしをまっすぐに見つめていた。
「家に、来る?」
なんの躊躇いも、なかった。わたしは小さく頷いていた。
「じゃあそれで決まり」
柔らかな笑みを見せて肩を竦めた緒方君はわたしの頭をクシャッと撫で、前を向き、ハンドルに手を掛けた。
車は宵の街へと走り出した。
☆
緒方君の自宅は、国立市のメイン通り沿いに立つマンションだった。
ファミリータイプの部屋もあるらしいマンションは、多くの部屋の明かりが点いていた。
高層マンションではないけれど、外装やエントランスを見れば決してお手頃なマンションではない事は一目瞭然。
エレベーターホールまで続く大理石の床は、靴音まで高価に聞こえた。
緒方君の部屋は最上階である5階にあった。
「どうぞ」
ドアを押さえて、緒方君はわたしを中に招き入れてくれた。
「ありがと……」
緊張しながら中に入るとポーチだけで六畳はありそうな広い玄関がお出迎え。
真正面の壁に、大きな絵が置いてあった。そう、置いてあった。
本来ならば壁に掛けて飾るべきであろう、額に納まった大きな絵。
富士が麓の杜を抱くような、どこか郷愁を誘う、観たものを惹きつけてしまうような美しい風景画だった。
高価そうな、大判の画。壁にはフックが付いていた。
ついさっきまでここに掛けてあったのでは? それとも、これから飾ろうと?
思わず見入っていたわたしは、あら? と思った。
この絵、どこかで観た気がする。気のせい?
わたしの記憶の奥底に、小さな引っ掛かりがあった。
この、違和感のような胸のつかえは、絵に対する不思議な既視感のせい?
そうだ、診察室に飾ってあった絵も富士だった。
脳裏に、緒方君と再会したあの日、診察室で観た絵が呼び起こされた。
そういえば、絵、全体のタッチが似てる気がする。
既視感はそのせい?
でも、違う。やっぱり、それ以前にこの絵を、何処かで観た気がしてならなかった。
わたしはドアを閉めた緒方君を振り向いた。
「緒方君、素敵な絵ね。どうして、床に? 壁に掛けると、良さそうなのに……」
ああそれはね、とスリッパを出してくれながら緒方君。
「僕の……親戚、が描いた絵なんだけど、譲って欲しい、という人が現れたから、手離すことにしたんだ。だから、埃を拭きとったりする為に下ろしたんだ。
今は引き取りにくるのを待ってる状態」
「譲って、しまうの?」
「そうなんだ、それが一番良さそうだと思ったんだ。この絵の為にも、僕の為にも」
僕の為にも?
緒方君の言葉がわたしの胸に何かしこりのようなものを残した。
親戚が、描いた絵?
親戚?
何故か、その言葉がとても意味深に胸に響いた。
その言葉を選ぶのに、一瞬の躊躇いが見えた気がした。
「緒方君?」
見上げると、緒方君の優しい笑顔。
どうぞ、とわたしの背にそっと手を添えた緒方君は、リビングに促してくれる。
この絵のことは、緒方君、あまり話したがらなそう。それなら、これ以上何か聞いては悪い。
わたしは、絵の話は切り上げた。
けれどやっぱり気になって、リビングに入る前にもう一度玄関を振り返った。
画は、まるで誰かを待つようにひっそりと佇んでいた。
やっぱり、どこかで観たことがあるような気がするの……。
フローリングの床が拡がるリビングは広くて、綺麗に片付いていた。
というより、家具も物も少なかった。
大型ハイビジョンテレビ、ゆったりと座れるデザインの一人掛けソファーと大きなカウチソファー、ガラス天板のお洒落なテーブル、そして、ワイングラスやロックグラス、ウイスキーが小奇麗に納まったサイドボード。
広いリビングの奥にはサービスルームのような一角があった。本がびっしり詰まった大きな本棚があり、そこに置かれたデスクパソコンと調べかけと思われる本が平積みされていた。
あそこが緒方君のお仕事スペースかな。
「少し、呑もうか」
カウンターになっているキッチンに入って行った緒方君に聞かれ、わたしは「うん」と答えたものの、所在無さげに立ち尽くしていた。
緒方君が、ああごめん、と言う。
「そこ、構わず座って」
カウンターから緒方君が指さしたのは、白いカウチソファー。
「あ、うん。じゃあそうさせていただきます」
思わず敬語になってしまう。
借りて来た猫状態で長椅子タイプのソファにそっと座ったわたしを見た緒方君、クスクスと笑っていた。
「そんなに緊張しなくていいよ」
ワインのボトルとつまみのナッツを入れた小鉢を持ってキッチンから出て来た緒方君に、わたしはちょっと頬を膨らませた。
「緊張なんて、してません」
「そう?」
軽く肩を竦めてみせた緒方君の笑顔が、すごく優しくて、胸にキュッと締まるような痛みを感じた。
慣れた手付きでワインボトルのコルクを抜いた緒方君は冷えたロゼのワインをグラスに注いでくれた。
薄紅色の綺麗な液体が揺れるグラスを「お疲れ様」と言いながらそっと合わせて、静かに口を付けた。
コクリ、と喉を通るワインの感触。アルコールがゆっくりとわたしの中を巡る。揮発する。
今なら少しだけ、大胆になれる、かも。
「緒方君、この前の答え、今言ってもいい?」
少し離れた一人掛けのソファーに座る緒方君を、わたしは真っ直ぐに見つめた。
緒方君も、目を逸らさずにわたしを見てくれている。
綺麗な目に吸い込まれそう。
「この前の、答え?」
わたしは「うん」と小さく頷いた。
何の答えかは、わたしからは何も言わないわよ。
ワイングラスを手の中に握り締めて黙っていると、緒方君がフワリと笑った。
「この前別れ際に、どっち? って聞いたあれかな」
「そう。緒方君、わたしに聞いたことちゃんと覚えてる?」
緒方君、グラスに口を付けて、わたしに流し目を送った。
その顔に色気があって、わたしはドキンと目を逸らしてしまった。
グラスの中の赤い液体を見つめてしまう。
「勿論。覚えていたよ。それどころか、気になってずっと眠れなかった」
クスクスと笑いながら話す緒方君。わたしは顔を上げて。
「嘘ばっかり」
少し頬を膨らませて言うと、緒方君はハハハと笑った。
少し前の妖艶な顔から一変。少年のようなかわいい笑顔。そのギャップ、反則だわ。
でも、心の滓が流されていくような気持ちに身体の力が抜けてしまいそうだった。
ワイングラスの中で揺れるピンク色の液体を見つめながら緒方君が言う。
「眠れなかった、は大げさだけどね、ずっと気にはなってたよ。どうなんだろう、って。僕は、翠川さんの中で、どんな存在になれるんだろうって」
「緒方君……」
気にしてくれてたんだね。
緒方君の言葉、一つ一つが、今のわたしには、とても染みる。
わたしの中で、緒方君は?
グラスを持つ手に、ギュッと力が籠った。
じゃあ、緒方君の中に、わたしの存在はちゃんとある?
緒方君の傍にいきたい、って素直に思った。
わたしはずっと、遼太が忘れられなかった。
一番、遼太の傍にいて、セットといってもよかった緒方君。
緒方君を見れば嫌でも思い出してしまいそうだったのに。
この間から……ううん、酔い潰れて助けられたあの時から。
一緒にいても、遼太のことを思い出さなかった。
それは、自らの感情を押し込めた訳じゃなくて、本当に、ムリなく、ごく自然に。
緒方君と、一緒にいたいって思ったの。
緒方誠君、という男と。
どんな男と一緒にいても遼太を思い出して引きずる、結果また忘れられない、そんな恋のループから抜け出せずにいたわたしを、緒方君は救い出してくれた。
初恋の病を、治してくれた。
それが、どういう感情なのか。
気付いた自分の気持ちは、まだ形になっていない。
わたしは視線を落としてグラスの中の揺れる液体を見ていた。
映るわたしの顔が揺れてる。
「気にしてくれていたんだ……」
ポツリと呟いたわたしの頬に、そっと伸びてきた緒方君の手が触れた。
トクン、と心地よい鼓動に身体が小さく震えた。
顔を上げると、少しだけ身を乗り出してわたしを見つめる緒方君の綺麗な目。
この手に、甘えたい。
触れる手に、わたしは自分の手を重ねた。火照る頬に気持ちいい手。目を閉じてその手に心を委ねる。
「正直、あの電話を掛けた時は、まだ半々だったの」
そっか、という柔らかな声に、少し残念そうな響き? わたしは慌てて目を開けた。
緒方君の黒く澄んだ瞳が、真っ直ぐにわたしを見ていた。
目が合った瞬間、その目がフワッと笑った。ちょっと、いたずらっぽく。
「じゃあ、今夜の電話は?」
ドキン。
言うの? わたしは少し上目遣いになった。
少し見つめ合って、沈黙。
「傍に、行ってもいい?」
沈黙を破ったのは、緒方君の言葉だった。
あの時はどうだったの? とか。今は? とか。
そんな、まるで互いを牽制し合うような問答なんて、もういらない。
互いの気持ちは、きっと、二人とも分かってる。言葉にしなくても。
いつのまにか、必要で、傍にいて欲しい、そう思える人になっていた。
そう、だよね、緒方君?
わたしは堪らず持っていたグラスを置いて、両手を伸ばした。
緒方君!
拡げた両腕で、抱きしめて。
わたしの身体はすっぽりと緒方君の中に納まる。
「今夜の電話はね、緒方君に……緒方君自身にこうして会いたいって、心から思ったから、だから――」
言葉の先は、唇が塞がれて言えなかった。
柔らかくて甘くて、蕩けるような長い長い口づけ。
気持ちを溶かしてしまうようなこんなキスは、久しぶりだった。
一緒にいるのが自然。気持ちが溶け合う。ずっとこのままでいたい。
若い時なら、ビビッと来るものがあって恋をしたって思えるのかもしれないけれど。
本当に心から求める相手に巡り会えたら、気付かないうちに心の深淵から染まっているのかもしれない。
そのまま、横になれる形になっているカウチソファー。
唇を重ねたまま、わたし達は倒れ込んだ。
ゆっくりと唇を離して、見つめ合って。
「緒方君……」
緒方君は肩を竦めてクスリと笑った。
指の長いしなやかな手が、わたしの髪を梳く。
その指に、痺れてしまいそうだった。
「どうして欲しい?」
妖艶に微笑んでそんな事を聞かないで。
「どうしてくれるの?」
逆に聞いちゃう。
緒方君、一瞬目を丸くして、アハハと笑った。
「じゃあ、僕に任せてくれる?」
さっきから、お互い質問ばかり。
わたしは、緒方君の首に腕を絡めて、今度は少し乱暴に唇を奪った。
舌を絡めて、お互い吸って。
お任せ、します。
心の中で言っていた。
緒方君に、身も心も、全てを。
何度も何度もキスをして。
指を絡めて、肌を重ねて、溶け合って。
生理前で、敏感になっていた躰が、久しぶりのこの快感に酔いしれて。
夢中で互いを求め合って、落ち着いて、もう一度、キスをして……名残惜しむようにゆっくりと唇を離す。
気付けば、緒方君が下になっていて、わたしが見下ろす体勢になっていた。
フワリと笑った緒方君が手を伸ばしてわたしの髪を優しく梳いた。綺麗な顔が、優しくわたしを見上げてる。
「緒方君……」
急に、今まで止まっていた時流が流れだしたような錯覚が襲われた。
はだけた自分の胸元が突然恥ずかしくなって手で覆おうとしてその手をスッと掴まれた。
「隠さなくていいのに」
緒方君が、わたしを抱いて起き上がった。
「だって……」
そう言えば、照明もこんなに煌々と……。
恥ずかしさに顔をうつ向けるとふわっと抱きしめられた。
その腕の中で彼の声を聞く。
「この間の約束、覚えてる?」
約束?
わたしは、深大寺に言った時の緒方君との会話を思いだした。
『必ず助けてあげるから』
あの、約束かな。
頬に密着する緒方君の胸。ワイシャツは、わたしが脱がしてしまった。
鼓動が直接耳に届いて、気持ちが落ち着く。
わたしは目を閉じて、頷いた。
「助けてくれるんでしょう?」
そうだよ、という柔らかな声。
「僕は、生き生きと輝ける翠川さんを守りたいんだ」
ハッとして、緒方君の胸から顔を上げた。
わたしの脳裏に玲さんの言葉が蘇る。
『菊乃、君は僕を支えて生きるんだ』
緒方君は、玲さんの対極にいる。尊重し合える、尊敬し合える。
緒方君は、働くわたしも含めて包み込んでくれるの?
わたしは何も答えられなくて、緒方君を見つめたまま動けなかった。
緒方君は優しく微笑み、わたしの髪を梳いて、言う。
「だから、ちゃんと話してごらん。
僕に」
一瞬、なんのことか分からなかった。
緒方君は首を傾げるわたしの目を覗き込んだ。
「僕が、何かあった? って聞いた時、君はすごく抽象的な言葉で話したよね」
わたしは、あの日の会話を思いだして、あっ、と声を上げた。
そう。緒方君が心配して聞いてくれたけれど具体的なことを話せなくて。
『冷たい壁が立ちはだかって――』というような言葉で返した。
「実は、帰りがけのあの問いの答えよりも、こっちの方がずっと気になっていた。何かあったらしいのに分からない。心配だった」
思わず、顔を両手で覆った。
泣き顔を見られるの、得意じゃない。だから極力泣かないよういつも頑張ってる。
堪えてる。
だって、感情に流されたら仕事にならない職業だもの。だからどんどん可愛くない女になっていくのかもしれない。
ここで泣けば、男もハッと思うのかも、そう計算しても、泣けなかった、のに。
今は、涙が止まらない。
頑張ってきたの。
ずっと。張り詰めて。
玲さんと別れた時も泣かなかったわたしが、今零れる涙をなんとか止めようと両手で顔を覆っていた。
顔を覆う手が、そっと包まれた。
「ゆっくりでいいから、話してごらん。
僕が、聞いててあげるから」
無理に手を離そうとするのではなく。
わたしが落ち着くまで泣かせてくれる、そんな気遣いが感じられる優しい手が、わたしの手を包んでいた。
「おがたくん……」
「よしよし」
小さな子供をあやすような声。そのまま、キュッと抱きしめられた。
ダイレクトに触れる緒方君の胸。体温の温もりと肌の感触。
緊張が、解れる。
「聞いて、くれる? たくさん、話すわよ?」
抱きしめられているわたしの頭上から、フッと笑う声が降って来た。
「いいよ。心して聞きます」
強張っていた心が、放たれる瞬間だった。
わたしは緒方君の胸にそっと手を突いて、顔を離した。
見上げて、目を合わせて、見つめ合う。
「キス、してくれたら、話せる」
一瞬、アーモンド型の目が丸くなる。そして直ぐに、アハハと笑った。
「はい、お姫様」
そう言った次の瞬間、キスが待っていた。
甘くて痺れる、そんなキス。
わたしは、緒方君の首に腕を絡めてしがみつく。
もう一度、もう一度、身も心も蕩けてしまうようなあの時間を。
耳からすっとわたしの中に滑り込み、深く浸透した声は、心を優しく抱き締める。
「今夜は、どうしたの」
柔らかな声が、優しく聞いた。
声がもたらす快感に、ちょっと酔いしれてみたくなる。
もう少し、その声を聞かせて。
「どうしてだと、思う?」
緒方君の口から、言葉を引き出してみたくなった。
仕事じゃないの。きっかけが、欲しいの。
少し前に電話の向こうから聞こえていた声とは違う。
遼太の声は、真っ直ぐで強く、グッと迫ってくるような声。緒方君の声は――、
「どうしてかな……」
フッと笑っている気配。緒方君は、そうだな……、なんてちょっと考えている風。ちょっぴり焦れて、わたしは言う。
「考えて。ちゃんと」
わたしの事、考えて。
とは言えなくて、内心でちょっと拗ねてしまう。
黙ってしまったわたしに緒方君が言う。
「仕事のこと、ではなさそうだね。それは分かった」
わざと、焦らしてるでしょう。
黙ったままでいるわたしの耳に、クスクスという笑い声が聞こえてきた。そして。
「迎えに行こうか」
緒方君の声は、フワッと全てを包んで優しく抱き締めて、囁く、そんな、声――。
ちょうど仕事を終えて帰るところだったという緒方君は、車で事務所まで迎えに来てくれた。
声が聞きたいの。
会いたいの。
その言葉を口にしなくても、緒方君は全てを叶えてくれた。
乗ってすぐ、緒方君の顔を見る。
優しい目がふわりと微笑み、しなやかな手がわたしの頬に触れた。
心地よい冷たさに痺れるような快感が全身を突き抜ける。頬に触れる緒方君の手に自分の手をそっと重ねた。
「会いたかったの。だから――」
言葉の続きは、唇が塞がれて言えなかった。
互いの気持ちは、どうなのだろう。
大人になると、改めて口にすることに恥ずかしさみたいなものを感じる言葉がある。
わたし達は、そんな感じ?
暗い車内、カーラジオの音がこの空気を邪魔しない程度の音量で流れていた。
そっと唇が離れると、緒方君の優しい瞳がわたしをまっすぐに見つめていた。
「家に、来る?」
なんの躊躇いも、なかった。わたしは小さく頷いていた。
「じゃあそれで決まり」
柔らかな笑みを見せて肩を竦めた緒方君はわたしの頭をクシャッと撫で、前を向き、ハンドルに手を掛けた。
車は宵の街へと走り出した。
☆
緒方君の自宅は、国立市のメイン通り沿いに立つマンションだった。
ファミリータイプの部屋もあるらしいマンションは、多くの部屋の明かりが点いていた。
高層マンションではないけれど、外装やエントランスを見れば決してお手頃なマンションではない事は一目瞭然。
エレベーターホールまで続く大理石の床は、靴音まで高価に聞こえた。
緒方君の部屋は最上階である5階にあった。
「どうぞ」
ドアを押さえて、緒方君はわたしを中に招き入れてくれた。
「ありがと……」
緊張しながら中に入るとポーチだけで六畳はありそうな広い玄関がお出迎え。
真正面の壁に、大きな絵が置いてあった。そう、置いてあった。
本来ならば壁に掛けて飾るべきであろう、額に納まった大きな絵。
富士が麓の杜を抱くような、どこか郷愁を誘う、観たものを惹きつけてしまうような美しい風景画だった。
高価そうな、大判の画。壁にはフックが付いていた。
ついさっきまでここに掛けてあったのでは? それとも、これから飾ろうと?
思わず見入っていたわたしは、あら? と思った。
この絵、どこかで観た気がする。気のせい?
わたしの記憶の奥底に、小さな引っ掛かりがあった。
この、違和感のような胸のつかえは、絵に対する不思議な既視感のせい?
そうだ、診察室に飾ってあった絵も富士だった。
脳裏に、緒方君と再会したあの日、診察室で観た絵が呼び起こされた。
そういえば、絵、全体のタッチが似てる気がする。
既視感はそのせい?
でも、違う。やっぱり、それ以前にこの絵を、何処かで観た気がしてならなかった。
わたしはドアを閉めた緒方君を振り向いた。
「緒方君、素敵な絵ね。どうして、床に? 壁に掛けると、良さそうなのに……」
ああそれはね、とスリッパを出してくれながら緒方君。
「僕の……親戚、が描いた絵なんだけど、譲って欲しい、という人が現れたから、手離すことにしたんだ。だから、埃を拭きとったりする為に下ろしたんだ。
今は引き取りにくるのを待ってる状態」
「譲って、しまうの?」
「そうなんだ、それが一番良さそうだと思ったんだ。この絵の為にも、僕の為にも」
僕の為にも?
緒方君の言葉がわたしの胸に何かしこりのようなものを残した。
親戚が、描いた絵?
親戚?
何故か、その言葉がとても意味深に胸に響いた。
その言葉を選ぶのに、一瞬の躊躇いが見えた気がした。
「緒方君?」
見上げると、緒方君の優しい笑顔。
どうぞ、とわたしの背にそっと手を添えた緒方君は、リビングに促してくれる。
この絵のことは、緒方君、あまり話したがらなそう。それなら、これ以上何か聞いては悪い。
わたしは、絵の話は切り上げた。
けれどやっぱり気になって、リビングに入る前にもう一度玄関を振り返った。
画は、まるで誰かを待つようにひっそりと佇んでいた。
やっぱり、どこかで観たことがあるような気がするの……。
フローリングの床が拡がるリビングは広くて、綺麗に片付いていた。
というより、家具も物も少なかった。
大型ハイビジョンテレビ、ゆったりと座れるデザインの一人掛けソファーと大きなカウチソファー、ガラス天板のお洒落なテーブル、そして、ワイングラスやロックグラス、ウイスキーが小奇麗に納まったサイドボード。
広いリビングの奥にはサービスルームのような一角があった。本がびっしり詰まった大きな本棚があり、そこに置かれたデスクパソコンと調べかけと思われる本が平積みされていた。
あそこが緒方君のお仕事スペースかな。
「少し、呑もうか」
カウンターになっているキッチンに入って行った緒方君に聞かれ、わたしは「うん」と答えたものの、所在無さげに立ち尽くしていた。
緒方君が、ああごめん、と言う。
「そこ、構わず座って」
カウンターから緒方君が指さしたのは、白いカウチソファー。
「あ、うん。じゃあそうさせていただきます」
思わず敬語になってしまう。
借りて来た猫状態で長椅子タイプのソファにそっと座ったわたしを見た緒方君、クスクスと笑っていた。
「そんなに緊張しなくていいよ」
ワインのボトルとつまみのナッツを入れた小鉢を持ってキッチンから出て来た緒方君に、わたしはちょっと頬を膨らませた。
「緊張なんて、してません」
「そう?」
軽く肩を竦めてみせた緒方君の笑顔が、すごく優しくて、胸にキュッと締まるような痛みを感じた。
慣れた手付きでワインボトルのコルクを抜いた緒方君は冷えたロゼのワインをグラスに注いでくれた。
薄紅色の綺麗な液体が揺れるグラスを「お疲れ様」と言いながらそっと合わせて、静かに口を付けた。
コクリ、と喉を通るワインの感触。アルコールがゆっくりとわたしの中を巡る。揮発する。
今なら少しだけ、大胆になれる、かも。
「緒方君、この前の答え、今言ってもいい?」
少し離れた一人掛けのソファーに座る緒方君を、わたしは真っ直ぐに見つめた。
緒方君も、目を逸らさずにわたしを見てくれている。
綺麗な目に吸い込まれそう。
「この前の、答え?」
わたしは「うん」と小さく頷いた。
何の答えかは、わたしからは何も言わないわよ。
ワイングラスを手の中に握り締めて黙っていると、緒方君がフワリと笑った。
「この前別れ際に、どっち? って聞いたあれかな」
「そう。緒方君、わたしに聞いたことちゃんと覚えてる?」
緒方君、グラスに口を付けて、わたしに流し目を送った。
その顔に色気があって、わたしはドキンと目を逸らしてしまった。
グラスの中の赤い液体を見つめてしまう。
「勿論。覚えていたよ。それどころか、気になってずっと眠れなかった」
クスクスと笑いながら話す緒方君。わたしは顔を上げて。
「嘘ばっかり」
少し頬を膨らませて言うと、緒方君はハハハと笑った。
少し前の妖艶な顔から一変。少年のようなかわいい笑顔。そのギャップ、反則だわ。
でも、心の滓が流されていくような気持ちに身体の力が抜けてしまいそうだった。
ワイングラスの中で揺れるピンク色の液体を見つめながら緒方君が言う。
「眠れなかった、は大げさだけどね、ずっと気にはなってたよ。どうなんだろう、って。僕は、翠川さんの中で、どんな存在になれるんだろうって」
「緒方君……」
気にしてくれてたんだね。
緒方君の言葉、一つ一つが、今のわたしには、とても染みる。
わたしの中で、緒方君は?
グラスを持つ手に、ギュッと力が籠った。
じゃあ、緒方君の中に、わたしの存在はちゃんとある?
緒方君の傍にいきたい、って素直に思った。
わたしはずっと、遼太が忘れられなかった。
一番、遼太の傍にいて、セットといってもよかった緒方君。
緒方君を見れば嫌でも思い出してしまいそうだったのに。
この間から……ううん、酔い潰れて助けられたあの時から。
一緒にいても、遼太のことを思い出さなかった。
それは、自らの感情を押し込めた訳じゃなくて、本当に、ムリなく、ごく自然に。
緒方君と、一緒にいたいって思ったの。
緒方誠君、という男と。
どんな男と一緒にいても遼太を思い出して引きずる、結果また忘れられない、そんな恋のループから抜け出せずにいたわたしを、緒方君は救い出してくれた。
初恋の病を、治してくれた。
それが、どういう感情なのか。
気付いた自分の気持ちは、まだ形になっていない。
わたしは視線を落としてグラスの中の揺れる液体を見ていた。
映るわたしの顔が揺れてる。
「気にしてくれていたんだ……」
ポツリと呟いたわたしの頬に、そっと伸びてきた緒方君の手が触れた。
トクン、と心地よい鼓動に身体が小さく震えた。
顔を上げると、少しだけ身を乗り出してわたしを見つめる緒方君の綺麗な目。
この手に、甘えたい。
触れる手に、わたしは自分の手を重ねた。火照る頬に気持ちいい手。目を閉じてその手に心を委ねる。
「正直、あの電話を掛けた時は、まだ半々だったの」
そっか、という柔らかな声に、少し残念そうな響き? わたしは慌てて目を開けた。
緒方君の黒く澄んだ瞳が、真っ直ぐにわたしを見ていた。
目が合った瞬間、その目がフワッと笑った。ちょっと、いたずらっぽく。
「じゃあ、今夜の電話は?」
ドキン。
言うの? わたしは少し上目遣いになった。
少し見つめ合って、沈黙。
「傍に、行ってもいい?」
沈黙を破ったのは、緒方君の言葉だった。
あの時はどうだったの? とか。今は? とか。
そんな、まるで互いを牽制し合うような問答なんて、もういらない。
互いの気持ちは、きっと、二人とも分かってる。言葉にしなくても。
いつのまにか、必要で、傍にいて欲しい、そう思える人になっていた。
そう、だよね、緒方君?
わたしは堪らず持っていたグラスを置いて、両手を伸ばした。
緒方君!
拡げた両腕で、抱きしめて。
わたしの身体はすっぽりと緒方君の中に納まる。
「今夜の電話はね、緒方君に……緒方君自身にこうして会いたいって、心から思ったから、だから――」
言葉の先は、唇が塞がれて言えなかった。
柔らかくて甘くて、蕩けるような長い長い口づけ。
気持ちを溶かしてしまうようなこんなキスは、久しぶりだった。
一緒にいるのが自然。気持ちが溶け合う。ずっとこのままでいたい。
若い時なら、ビビッと来るものがあって恋をしたって思えるのかもしれないけれど。
本当に心から求める相手に巡り会えたら、気付かないうちに心の深淵から染まっているのかもしれない。
そのまま、横になれる形になっているカウチソファー。
唇を重ねたまま、わたし達は倒れ込んだ。
ゆっくりと唇を離して、見つめ合って。
「緒方君……」
緒方君は肩を竦めてクスリと笑った。
指の長いしなやかな手が、わたしの髪を梳く。
その指に、痺れてしまいそうだった。
「どうして欲しい?」
妖艶に微笑んでそんな事を聞かないで。
「どうしてくれるの?」
逆に聞いちゃう。
緒方君、一瞬目を丸くして、アハハと笑った。
「じゃあ、僕に任せてくれる?」
さっきから、お互い質問ばかり。
わたしは、緒方君の首に腕を絡めて、今度は少し乱暴に唇を奪った。
舌を絡めて、お互い吸って。
お任せ、します。
心の中で言っていた。
緒方君に、身も心も、全てを。
何度も何度もキスをして。
指を絡めて、肌を重ねて、溶け合って。
生理前で、敏感になっていた躰が、久しぶりのこの快感に酔いしれて。
夢中で互いを求め合って、落ち着いて、もう一度、キスをして……名残惜しむようにゆっくりと唇を離す。
気付けば、緒方君が下になっていて、わたしが見下ろす体勢になっていた。
フワリと笑った緒方君が手を伸ばしてわたしの髪を優しく梳いた。綺麗な顔が、優しくわたしを見上げてる。
「緒方君……」
急に、今まで止まっていた時流が流れだしたような錯覚が襲われた。
はだけた自分の胸元が突然恥ずかしくなって手で覆おうとしてその手をスッと掴まれた。
「隠さなくていいのに」
緒方君が、わたしを抱いて起き上がった。
「だって……」
そう言えば、照明もこんなに煌々と……。
恥ずかしさに顔をうつ向けるとふわっと抱きしめられた。
その腕の中で彼の声を聞く。
「この間の約束、覚えてる?」
約束?
わたしは、深大寺に言った時の緒方君との会話を思いだした。
『必ず助けてあげるから』
あの、約束かな。
頬に密着する緒方君の胸。ワイシャツは、わたしが脱がしてしまった。
鼓動が直接耳に届いて、気持ちが落ち着く。
わたしは目を閉じて、頷いた。
「助けてくれるんでしょう?」
そうだよ、という柔らかな声。
「僕は、生き生きと輝ける翠川さんを守りたいんだ」
ハッとして、緒方君の胸から顔を上げた。
わたしの脳裏に玲さんの言葉が蘇る。
『菊乃、君は僕を支えて生きるんだ』
緒方君は、玲さんの対極にいる。尊重し合える、尊敬し合える。
緒方君は、働くわたしも含めて包み込んでくれるの?
わたしは何も答えられなくて、緒方君を見つめたまま動けなかった。
緒方君は優しく微笑み、わたしの髪を梳いて、言う。
「だから、ちゃんと話してごらん。
僕に」
一瞬、なんのことか分からなかった。
緒方君は首を傾げるわたしの目を覗き込んだ。
「僕が、何かあった? って聞いた時、君はすごく抽象的な言葉で話したよね」
わたしは、あの日の会話を思いだして、あっ、と声を上げた。
そう。緒方君が心配して聞いてくれたけれど具体的なことを話せなくて。
『冷たい壁が立ちはだかって――』というような言葉で返した。
「実は、帰りがけのあの問いの答えよりも、こっちの方がずっと気になっていた。何かあったらしいのに分からない。心配だった」
思わず、顔を両手で覆った。
泣き顔を見られるの、得意じゃない。だから極力泣かないよういつも頑張ってる。
堪えてる。
だって、感情に流されたら仕事にならない職業だもの。だからどんどん可愛くない女になっていくのかもしれない。
ここで泣けば、男もハッと思うのかも、そう計算しても、泣けなかった、のに。
今は、涙が止まらない。
頑張ってきたの。
ずっと。張り詰めて。
玲さんと別れた時も泣かなかったわたしが、今零れる涙をなんとか止めようと両手で顔を覆っていた。
顔を覆う手が、そっと包まれた。
「ゆっくりでいいから、話してごらん。
僕が、聞いててあげるから」
無理に手を離そうとするのではなく。
わたしが落ち着くまで泣かせてくれる、そんな気遣いが感じられる優しい手が、わたしの手を包んでいた。
「おがたくん……」
「よしよし」
小さな子供をあやすような声。そのまま、キュッと抱きしめられた。
ダイレクトに触れる緒方君の胸。体温の温もりと肌の感触。
緊張が、解れる。
「聞いて、くれる? たくさん、話すわよ?」
抱きしめられているわたしの頭上から、フッと笑う声が降って来た。
「いいよ。心して聞きます」
強張っていた心が、放たれる瞬間だった。
わたしは緒方君の胸にそっと手を突いて、顔を離した。
見上げて、目を合わせて、見つめ合う。
「キス、してくれたら、話せる」
一瞬、アーモンド型の目が丸くなる。そして直ぐに、アハハと笑った。
「はい、お姫様」
そう言った次の瞬間、キスが待っていた。
甘くて痺れる、そんなキス。
わたしは、緒方君の首に腕を絡めてしがみつく。
もう一度、もう一度、身も心も蕩けてしまうようなあの時間を。
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