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誰もが憧れる、素敵な男性に愛されて、誰もが羨むようなロマンチックな恋をして。愛し、愛され“結婚”という、人生最高の晴れの日を迎える。女子はそんな憧れのシナリオを思い描き、毎日を生きる。
「女子が嫌いな男性のタイプ。ランキング1位は何だと思う?」
「え~、ケチな男?」
「なに言ってんの、女子が嫌がる男なんて昔からマザコンに決まってる」
「どちらも、ちがーう」
「え~! マザコンじゃないの?」
丸の内に社屋を構える某企業のOLさんと思しきお洒落女子グループが楽しそうにランチをしていた。近い席に座ってしまったせいもあるけれど、わたしは彼女達の会話に思わず聞き耳立ててしまっていた。
「1位はマザコンじゃなくて、ドルオタ!」
「どるおた?」
一人が首を傾げて聞き直していた。わたしも思わず、それってなに? なんて心の中で聞いてしまって、ますます耳をそばだてちゃう。
すると、この話題を振った女の子が鼻に皺を寄せた顔で答えた。
「アイドルオタク」
盛り上がっていたOLさん達グループだけじゃなくて、その場にいた全員が心の中で、ああ~っ、となっていたと思う。
時代はアイドル戦国時代。このブームを作り出したのは他ならない〝ドルオタ〟さん達だ。
なるほど……、とわたしは感心しながら運ばれてきたカプチーノのカップに口を寄せた。彼女達の会話はまだ続く。
「アイドルオタクか~、確かに、結婚してもアイドルの追っかけとかしてたらサイテーだよね」
「うん、キモイ」
キャハハと笑う彼女達。ランチのパスタは食べ終わり、デザートに入っていた。もうすぐ始業時刻でしょう、なんてチラリと視線を送ったわたしだったけれど。
楽しそうね、なんて思ってしまった。
つい一週間前まで、わたしもああやって、あの女の子達と同じように昼休みはお友達とランチに出かけ、お洒落や恋の話しに、盛り上がっていた。
彼女達の話題に一石投じてやりたい気持ちを飲んでいたカプチーノで喉の奥、胃の底に流し込んだ。
嫌なタイプの男なんて、時代なんかでは変わらないわよ。今もやっぱり――
「まーみー」
ケーキのショーケースがある入口付近から友人のミヤが手を振りながらこちらにやって来た。
ひらひらの襟を立てたフェミニンなブラウスにコートを羽織り、お財布だけを手にしていた。仕事を抜けて来てくれた事が直ぐに分かる出で立ちだ。
「ごめんね、忙しかったんじゃない?」
ううん、大丈夫、と答えたミヤの耳元で、ミキモトか田崎のものと思われるパールのピアスが上品な光を放っていた。長い髪を綺麗にアップにして垂らした遅れ毛は緩いウェーブ、という髪型に大粒パールのピアスがよく似合っている。
コートを脱ぎ、椅子に座るミヤは隙のない美しさを纏う。さすがは、秘書課のエース。今まさに、働き盛りの輝きを放つミヤが眩しくて、わたしは思わず目を細めた。
「専務に、河野さんのフィアンセとの約束しちゃったんですけど、って言ったら上機嫌で、直ぐに行って来いって」
「なによ、それ~」
彼の名前が出されて恥ずかしくなったわたしはキャハハと笑ってごまかした。
わたしの婚約者、河野貴史は、ミヤの勤め先である某大手総合商社の幹部候補として名を連ね、29歳という若さで営業企画部の課長を務めるエリート商社マンだった。
つい先月までそこの人事部で働いていたわたしは1年前に貴史と出会って、恋に落ちた。
今思えば、お互い一目惚れだった。でも、大っぴらにはできない社内恋愛。しかも、貴史は常に女性達の注目集める誰もが認めるナイスガイ。
元カノからのお邪魔が入った事だってあったし、横恋慕に悩まされたり、上司に隠すのに苦労した事もある。
別れる危機もあったけれど、みんなみんな、乗り越えて、半年前一緒に旅行したグアムで、貴史はわたしにプロポーズされた。
『俺の一生、茉実を幸せにする仕事がしたい』
今思えば、ドキドキも、切ない思いも胸キュンも、ハラハラのスリルも全部楽しかった。全てがわたしの生活をキラキラと輝かせてくれた。
プロポーズ、という最高の瞬間を迎える為のプロムナードだったのだ。
じゃあ、今は?
「なに、何か心配事でもあるの?」
運ばれて来たカプチーノのカップを手にしたミヤがわたしの顔を覗き込んでいた。わたしは、ドキッと顔を上げる。
「え、なんで?」
上ずってしまいそうな声を必死に抑えて笑顔で聞いた。ミヤはカップに口を付けながらわたしの顔を見詰めた。
「んー、幸せの絶頂にいる筈なのに、なんとなく元気ないかな、なんて思ったの」
するどい、と内心で苦笑いしてしまう。
今現在のわたしは、幸福の絶頂、とは少々言い難い状態にあった。
「やだなぁ、ミヤは鋭い。さすがは秘書課のエース。些細な変化も見逃さない!」
わたしはキャハハッと笑って見せた。巧くごまかせたか、と思いながらミヤを見ると、真剣な瞳と視線がぶつかった。
ああ、ただでさえ鋭いミヤ、付き合いが長ければ、わたしの心の内なんて完全にお見通しか。
わたしは観念した。
「参りました」
「やっぱり。で、なに?」
率直に〝なに〟と聞かれてわたしは答えに窮した。言葉を探して、ゆっくりと口を開く。
「きっと、マリッジブルー」
「マリッジブルぅ~?」
ミヤの顔が、さっきの心配顔から一転、呆れ顔に変わる。
「だって、ここに来て昼休みのランチしてる女の子達のキラキラしてる姿とか、ほらミヤなんてわたしには眩しくて。ああ、わたし、仕事辞めちゃったんだっけ、なんて考えちゃったの」
「なるほど~」と言いながらもミヤは上品なグロスが艶を放つ唇を尖らせた。そして、一喝。
「贅沢!」
「そうかな」
「そうよ! あんな極上男性捕まえて、しかも彼は茉実にメロメロとか、ほんと皆どれだけ羨ましがってるか」
「それほどでも~」
「アンタを褒めてない!」
わたし達が笑い合っていると、ランチセットのサラダが運ばれて来た。これがいいタイミングとなってわたしは話題を変えた。
「あのねこの間、例の結婚式場見て来たの」
ミヤに「それでそれで」と続きを促され、わたしは一瞬間前に見て来た豪華な結婚式場の話しをした。
お料理が美味しそうだった、とか、披露宴会場が豪華だった、とか。でも何故か、チャペルを見た時の話しだけしなかった。
どうしてだろう。あの時感じた微かな違和感みたいなものなんて、忘れていたはずなのに。わたしは何故か口にしなかった。
うんうん、と話しを聞いていたミヤは少し安心したような顔をした。
「茉実が気に入ったなら良かったわ。河野さんが独断で式場決めてきちゃって、って聞いた時はちょっと、えー! ってなってたんだけど」
「うん」
そうなのだ。一生に一度の結婚式。式場は貴史と一緒に色々巡って検討して決めようと思っていたのに。貴史ったらわたしに何も言わずに決めてしまっていた。
結果的に素敵な式場だったから良かったけれど納得できてない。式場探しも楽しいデートになる、って職場の既婚の先輩が教えてくれて、わたしはそれを楽しみにしていたのに。
「じゃあ、ドレスとかの衣装決めを河野さんと楽しめばいいじゃない」
ミヤはわたしを元気づけるように言ってくれた。
「そうね、それがあったわ!」
結婚式の楽しみは、式場だけじゃなかったわね。他にもまだ、お料理を決めたり、引き出物を決める、という楽しみもある、とわたしは気を取り直した。
後は、とりとめのない話題が尽きることは無く、楽しい時間を過ごせたけれど、わたしの胸の隅っこにいつしか生まれていたモヤモヤを、今日、巧くごまかせたそっと胸を撫でおろしていた。
何となく、ミヤに話せなかった事は、自分の隙だろうか。幸福感に満ちている自分の隙間を見せたくない、それは女の本能なのかもしれない。
幸福の花は自慢しても、不幸の種は一粒だって隠し通したい。
「女子が嫌いな男性のタイプ。ランキング1位は何だと思う?」
「え~、ケチな男?」
「なに言ってんの、女子が嫌がる男なんて昔からマザコンに決まってる」
「どちらも、ちがーう」
「え~! マザコンじゃないの?」
丸の内に社屋を構える某企業のOLさんと思しきお洒落女子グループが楽しそうにランチをしていた。近い席に座ってしまったせいもあるけれど、わたしは彼女達の会話に思わず聞き耳立ててしまっていた。
「1位はマザコンじゃなくて、ドルオタ!」
「どるおた?」
一人が首を傾げて聞き直していた。わたしも思わず、それってなに? なんて心の中で聞いてしまって、ますます耳をそばだてちゃう。
すると、この話題を振った女の子が鼻に皺を寄せた顔で答えた。
「アイドルオタク」
盛り上がっていたOLさん達グループだけじゃなくて、その場にいた全員が心の中で、ああ~っ、となっていたと思う。
時代はアイドル戦国時代。このブームを作り出したのは他ならない〝ドルオタ〟さん達だ。
なるほど……、とわたしは感心しながら運ばれてきたカプチーノのカップに口を寄せた。彼女達の会話はまだ続く。
「アイドルオタクか~、確かに、結婚してもアイドルの追っかけとかしてたらサイテーだよね」
「うん、キモイ」
キャハハと笑う彼女達。ランチのパスタは食べ終わり、デザートに入っていた。もうすぐ始業時刻でしょう、なんてチラリと視線を送ったわたしだったけれど。
楽しそうね、なんて思ってしまった。
つい一週間前まで、わたしもああやって、あの女の子達と同じように昼休みはお友達とランチに出かけ、お洒落や恋の話しに、盛り上がっていた。
彼女達の話題に一石投じてやりたい気持ちを飲んでいたカプチーノで喉の奥、胃の底に流し込んだ。
嫌なタイプの男なんて、時代なんかでは変わらないわよ。今もやっぱり――
「まーみー」
ケーキのショーケースがある入口付近から友人のミヤが手を振りながらこちらにやって来た。
ひらひらの襟を立てたフェミニンなブラウスにコートを羽織り、お財布だけを手にしていた。仕事を抜けて来てくれた事が直ぐに分かる出で立ちだ。
「ごめんね、忙しかったんじゃない?」
ううん、大丈夫、と答えたミヤの耳元で、ミキモトか田崎のものと思われるパールのピアスが上品な光を放っていた。長い髪を綺麗にアップにして垂らした遅れ毛は緩いウェーブ、という髪型に大粒パールのピアスがよく似合っている。
コートを脱ぎ、椅子に座るミヤは隙のない美しさを纏う。さすがは、秘書課のエース。今まさに、働き盛りの輝きを放つミヤが眩しくて、わたしは思わず目を細めた。
「専務に、河野さんのフィアンセとの約束しちゃったんですけど、って言ったら上機嫌で、直ぐに行って来いって」
「なによ、それ~」
彼の名前が出されて恥ずかしくなったわたしはキャハハと笑ってごまかした。
わたしの婚約者、河野貴史は、ミヤの勤め先である某大手総合商社の幹部候補として名を連ね、29歳という若さで営業企画部の課長を務めるエリート商社マンだった。
つい先月までそこの人事部で働いていたわたしは1年前に貴史と出会って、恋に落ちた。
今思えば、お互い一目惚れだった。でも、大っぴらにはできない社内恋愛。しかも、貴史は常に女性達の注目集める誰もが認めるナイスガイ。
元カノからのお邪魔が入った事だってあったし、横恋慕に悩まされたり、上司に隠すのに苦労した事もある。
別れる危機もあったけれど、みんなみんな、乗り越えて、半年前一緒に旅行したグアムで、貴史はわたしにプロポーズされた。
『俺の一生、茉実を幸せにする仕事がしたい』
今思えば、ドキドキも、切ない思いも胸キュンも、ハラハラのスリルも全部楽しかった。全てがわたしの生活をキラキラと輝かせてくれた。
プロポーズ、という最高の瞬間を迎える為のプロムナードだったのだ。
じゃあ、今は?
「なに、何か心配事でもあるの?」
運ばれて来たカプチーノのカップを手にしたミヤがわたしの顔を覗き込んでいた。わたしは、ドキッと顔を上げる。
「え、なんで?」
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するどい、と内心で苦笑いしてしまう。
今現在のわたしは、幸福の絶頂、とは少々言い難い状態にあった。
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わたしはキャハハッと笑って見せた。巧くごまかせたか、と思いながらミヤを見ると、真剣な瞳と視線がぶつかった。
ああ、ただでさえ鋭いミヤ、付き合いが長ければ、わたしの心の内なんて完全にお見通しか。
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「参りました」
「やっぱり。で、なに?」
率直に〝なに〟と聞かれてわたしは答えに窮した。言葉を探して、ゆっくりと口を開く。
「きっと、マリッジブルー」
「マリッジブルぅ~?」
ミヤの顔が、さっきの心配顔から一転、呆れ顔に変わる。
「だって、ここに来て昼休みのランチしてる女の子達のキラキラしてる姿とか、ほらミヤなんてわたしには眩しくて。ああ、わたし、仕事辞めちゃったんだっけ、なんて考えちゃったの」
「なるほど~」と言いながらもミヤは上品なグロスが艶を放つ唇を尖らせた。そして、一喝。
「贅沢!」
「そうかな」
「そうよ! あんな極上男性捕まえて、しかも彼は茉実にメロメロとか、ほんと皆どれだけ羨ましがってるか」
「それほどでも~」
「アンタを褒めてない!」
わたし達が笑い合っていると、ランチセットのサラダが運ばれて来た。これがいいタイミングとなってわたしは話題を変えた。
「あのねこの間、例の結婚式場見て来たの」
ミヤに「それでそれで」と続きを促され、わたしは一瞬間前に見て来た豪華な結婚式場の話しをした。
お料理が美味しそうだった、とか、披露宴会場が豪華だった、とか。でも何故か、チャペルを見た時の話しだけしなかった。
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うんうん、と話しを聞いていたミヤは少し安心したような顔をした。
「茉実が気に入ったなら良かったわ。河野さんが独断で式場決めてきちゃって、って聞いた時はちょっと、えー! ってなってたんだけど」
「うん」
そうなのだ。一生に一度の結婚式。式場は貴史と一緒に色々巡って検討して決めようと思っていたのに。貴史ったらわたしに何も言わずに決めてしまっていた。
結果的に素敵な式場だったから良かったけれど納得できてない。式場探しも楽しいデートになる、って職場の既婚の先輩が教えてくれて、わたしはそれを楽しみにしていたのに。
「じゃあ、ドレスとかの衣装決めを河野さんと楽しめばいいじゃない」
ミヤはわたしを元気づけるように言ってくれた。
「そうね、それがあったわ!」
結婚式の楽しみは、式場だけじゃなかったわね。他にもまだ、お料理を決めたり、引き出物を決める、という楽しみもある、とわたしは気を取り直した。
後は、とりとめのない話題が尽きることは無く、楽しい時間を過ごせたけれど、わたしの胸の隅っこにいつしか生まれていたモヤモヤを、今日、巧くごまかせたそっと胸を撫でおろしていた。
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