空からのI LOVE YOU

奈津 柚亜里

文字の大きさ
3 / 35
事のはじまり

1

しおりを挟む
「おはよう。こよみ」

「おはよう、菜緒は眠そうだね」

「昨晩弟がクズってね。こよみ今日もきれいだね?」

「え、空?快晴だね」

「(天然め…)」


私は、坂倉こよみ。高校三年生で性格は、人見知り。よくおしとやかだって言われる。どこが、と思うのだけれど。

そして、私の横で大きなあくびをしているのが、水瀬菜緒。私の親友。弟がいて、とても面倒見がいい。

いつもの道を2人で歩くいつもの日常。

「こよみ、今日調子悪い?顔色悪いけど…」

菜緒が心配そうに訊いてくる。

「最近ちょっと調子悪くて…でも、大丈夫でしょ」

「そう?無理しないで、何かあったら言ってね」 

こういうところに、姉感…とでも言うのだろうか、を感じる、

私たちが通っているのは、私立聖南高等学校。
歴史が古く、古風な校舎が私のお気に入り。


「二人とも、おはよう」

靴を履き替えていると、後ろから知っている声が聞こえた。

「ああ、おはよう。明」

菜緒が応える。

少し気だるそうなのは岡本明。私と菜緒の幼なじみで、小中と同じ学校。
私の家と明の家は距離にして徒歩10秒。小さいときから顔はよくて、女の子によくモテる。顔はいい、顔は。ちなみに、私は優しくされた記憶が全くない。よく、いじめられた、というかそれのみだ。だから私はこいつが苦手。

「おー、菜緒。…こよみ?」

私はあまり明とは一緒にいたくないんだけど…

目をそらしながら一言、おはようと言う。

「顔くらい見ろよな…」

私が何故ここまで明と関わるのを拒むのか…

率直に言うと、女の子の視線が痛いからだ。 

「…あの子って、幼なじみの…」

「…ちょっと可愛いからって明くんに近づくなよ」

そうそう、今言われているこんな感じの。だいぶ前から言われてきたとはいえ気持ちの良いものではない。
 
そんな私をみかねて菜緒が助け船を出してくれる。

「この子、今日体調悪いらしくて、そろそろ教室行くね。」

「…ああ」

なんとか菜緒のおかげで助かった。ちなみに私と菜緒はクラスが一緒、明は別。


はあ…なんか気持ち悪い…。
その後も体調が優れないまま。今までの授業の内容は頭に入っていない。気付けばもう六時間目。

「って、ちょっと!こよみホントに大丈夫なの?」

私が思っているより私の顔色は良くないらしい…。

「保健室行っといでよ。私が先生に言っとくから。」

ありがとう、と言ってから私はふらつく足取りで保健室に向かった。

保健室に行くと先生はいなかった。

ベッド借りよう…まあ、使っても怒られないでしょ。

ベッドに入るとひどい頭痛のせいかすぐに瞼が重くなってきた。



どのくらいたっただろうか…。腕の辺りの温かさで目が覚める。頭痛はもうとうに治っているようで。

腕の辺りの温かさの正体…

「どうして明がここに…?」

すると私の声でか明が起きる。

「…はよ」

確かにおはようだけど、どうしているんだ…。

「菜緒に言われてきたら、お前寝てたから」

そうなんだ。…いつもあまり話さないからか、会話が続かない。昔は普通に話してたのに…

「HRは?」

とにかくこの沈黙を抜けたくて話しかける。

「終わったんじゃね?俺のクラスはとっくに終わってるけど…」

そっか、クラス違った。どうも慣れないこの感じ。

しばしの沈黙が2人を包む。

「私、そろそろ帰るね。カバンとってこないと…」

堪えきれなくなった私は早口で言う。

「あるけど、カバン…」

「あ、そうなの?」

ベッドから降り、立ち上がろうとした。が、まためまいがした。

やばい、そう思ったときにはもう遅い。床が近づく。

「…ったく、あぶねーな」

しかし、私の身体が床に落ちることはなかった。

「あ、ありがと」

危機一髪。顔面から床に落ちるのはいくらなんでも勘弁願いたい。

「…てかこいつ、細すぎだろ…」

明が何か呟く。

「そろそろ離して…?」

「あ、悪りぃ…。」

「平気だから。多分」

「…家まで送るから。」

なんてことだ。他の女子なら、もしかして私の事…?……となるところだけれど私の場合は違う。むしろ迷惑極まりない。

「いやいやいやいや、結構ですから」

一緒に帰るのはよろしくない。

「…なんで」

少し不満げな顔をする。どうしてだ…。私と帰らなくても女の子は手に取るほどいるでしょうに。

いや…、なんでって…女の子たちの…(以下略)

「1人で大丈夫」 

「遠慮すんなって」

「別にしてない」

私が拒むごとに、明の機嫌が悪くなっていく。

「…1回だまれよ」

「何………ん?!」

私今…明になにされてる?いや、何されてるのかはわかっているのだよ。はい、落ち着こう…。

しばらくして、明の顔が遠ざかる。

「……何…すんのよ」

「何って…キス?」

そのくらいわかってます。

「なんで…?!」

「こよみが黙らないから。」

っこいつは、そんな理由で私に…キスしたのか!どうせ、その他大勢の中の1人であろうがいくらなんでもそれは酷すぎやしないか。

「さ、サイッテー!」

明は動じず私を見ている。なんだよ。

「はいはい、わかったから。帰るぞ」

完全に明のペースにのまれてる…。そんな自分に腹がたつ!!

「明とは嫌っていってんでしょう!!」

「……じゃあ、誰とだったら良かったんだよ」

「は?」

「何でもねえよ…。こよみ、行くぞ」

仕方ない、ひとまずここは帰ることにしよう。私は諦めて明と帰ることにした。

もう…なんか頭いたいのどっかいったし…。




にしても…明、絶対許さない…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

処理中です...