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さあ行こう!
王様に謁見
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ルシェは白髪の女性に連れられ一階の、ある部屋に通された。
その部屋の中は広く、煌びやかな彫刻が施された一人掛けのソファーが奥にあって、左右にはそれと同じデザインの三人掛けのソファーがテーブルを挟んで置いてある。
高い天井には、これまた豪華なシャンデリアが吊り下がり、床にはえんじ色の絨毯が敷かれている。
「ここは人型専用の応接室だわ。私を特別扱いしなくてもいいのよ。他の人と同じ控室で大丈夫ですわ。でも、気遣ってくれたのね。
トキエさん、どうもありがとう」
「いえ、姫君のルシェ様を他の者と同じにはできません。それにしても、人間界へと修行にいらしてから、随分とお変わりになったのですね。立派な女性になられたようで、教育係の私は、嬉しゅうございます。間もなく、王様とお妃様がお見えになります。こちらで、お待ち下さいませ」
そう言ってトキエが退室したので、ルシェは半円形のアーチ窓に行き外を眺め、腕を上にピンと伸ばし大きく背伸びをした。
「うーん、窓から見えるこの景色、すっごく久しぶりだわ!あっ、この木、見ない間に大きくなったわ……。そっか、それだけ人間界に長く居たってことね……」
コンコン。
扉をノックして執事のノナカが入って来た。
「ルシェ様、お帰りなさいませ。只今、王様、お妃様が入室されます」
ノナカはルシェに一礼をし、扉を開けて王と妃を迎えた後、退室したのだった。
「おかえり、ルシェ!やっと虹の玉が集まったのだな。人間界での生活は、さぞ大変であったろう?良く頑張ったな」
ルシェの父である王が言った。
「お父様、お母様、ご無沙汰いたしておりました。虹の玉集めに手こずりまして、大変、お待たせして、申し訳ございませんでした」
ルシェは、両手でドレスを軽く持ち上げ、腰を落とし両親に挨拶をした。
「ルシェさん、やっと戻っていらしたのね。
あまりにも虹の玉集めが終わらないので、人間界にずっといる気なのかと、心配をしていたところでしたのよ」
母である妃から言われ、ルシェは苦笑いを浮かべた。
(虹の玉が滅多に見つからなかったのは確かだけど、人間界にいることが楽しくなってきて、積極的に探しに行かなかったのですわ。
お母様、ごめんなさい)
「今日からここで暮らすのだろう?
ルシェの部屋を綺麗に整えさせておいた。
ゆっくりと休んで、人間界での疲れを癒しなさい」
王の言葉に慌ててルシェが答える。
「えっ?あっ、まだ直ぐには帰って来れませんわ。舞踏会が終わったら、一旦、人間界に戻り、改めて帰って参ります」
………………………
タムと庄三郎とモロブは、暫し休憩をしてから、他の男女ゲストと共に舞踏会が行われる大広間へと連れられてきていた。
「あれ?ルシェちゃんがいないよ。どこへ行ったんだろう?」
「そうだな、見当たらないな。迷子になってしまったのだろうか?しかし、タムとは違ういい大人なんだから、それはないはずだ」
「モロブさん、酷いよ。僕は迷子になんてならないよ!」
タムが抗議をするとモロブは、右手を顔のところに上げ、すまん!という仕草をした。
「お城なんて、やたらに入れる所じゃねえから、あちこち覗きまくりしているんだろうよ。心配はいらんだろう!じきに来るさ」
「そうだね、大丈夫だよね……」
タムは、そう言いながらもキョロキョロしている。
すると、突然、照明が暗くなり二階へと続く大階段の踊り場にスポットライトが当たったのだ。
スポットライトに照らされ、浮かび上がる三人の姿にゲスト達は大歓声を上げる。
「わっ!あの人が王様なんだね?
僕、初めて王様を見ちゃった!感激!」
「ワシも初めてだ!タム、モロブ、王様の姿をしっかりと目に焼き付けておけよ!」
「はい!それとお妃様の姿と……。うん?あと一人、どなただろう?なんだか……。
庄さん、誰かに似ていませんか?」
「なんかさ、ルシェちゃんみたいな人だね」
「えっ?何だよ?もう一人?ああ、娘だな。王女様だろう?って、おい、はあ?まさか、ル、ル……」
「庄さん、ルシェですよ!あれは、ルシェです!多分……。どうして?」
三人の頭の中は、パニックになっていたのだった。
だが、そんな事にはお構い無く、王の合図で音楽が流れ始め、ゲスト達は謁見の列を作り始める。
手を振りながら階段を降りる王と妃は、ゲスト達が立つ場所よりも 一段高い位置にある長テーブル中央の席についたが、その両側はまだ空席で、隣国からの来賓者や公爵の貴賓席となっている。
そして、王と妃の側にルシェの姿はなかった。
…………………
「庄三郎さん、モロブさん、タム、遅くなって失礼しましたわ。さあ、王様に謁見しましょう。早く並ばないと!
さあ、皆さん行きましょう……?私、行きますわよ?」
「……うわっ!ルシェ!お前……いや、君は、あなたは、王様の娘?お姫様?だったのか?だったのですか?」
庄三郎は、どう接したらいいか分からない様子で何とか聞いた。
「あ……やはり、バレたのね。だから、お父様たちと並びたくはなかったわ。無理矢理、あそこに立たされたのよ。はぁ。
皆さん、今まで黙っていて、ごめんなさい。
私は、確かに国王の娘ですわ。でもね、私は あくまでもアンティーク影山の一員なのですから、いつもの様に接して下さい」
ルシェはそう言ったが、少しの間だけはギクシャクとした空気が流れてしまっていた。
だが、社交ダンスをしないルシェ達の踊りというのは、四人のダンスパフォーマンスで息を合わせた動きが必要だった。
ルシェ達は、列に並びながらも動きの確認をしている。
「うんっ?次はこんな感じの動作なのか?」
「そうそう、そうですわ!庄三郎さん、良くなりましたわ」
「さあ、王様の所まであと少し。我々、アンティーク影山の息の合ったチーム力を見せる時が近づいてきました!頑張りましょう」
「はいっ!モロブさん!」
ルシェとタムが元気に返事をする頃には、普段の仲間同士に戻っていたのだった。
ダンスパフォーマンスは、クラシックの曲に合わせて、優雅に踊っているつもりだったが、何処か変なのか、笑いが起きていたようだ。
踊り終わり、王の前に出た庄三郎の姿は、いつもとまるで違い、質問をされても、あまりに小さい声だった為、何度も聞き返されたりしたが、無事に終わってホッとしたのだった。
「あー!終わった!ま、こんなもんだろう!
皆んな、ご苦労さん!さあ、色んな花の蜜があるぞ!食べようぜ」
庄三郎が大きな声で行ったから、皆は吹き出してしまった。
王との謁見が済んだグループは、それぞれ流れている曲に合わせて、自由に踊っている者や立食をしている者もいる。
ルシェは、壁際の椅子に腰掛けて休んでいた。
「あれ?もしかして、君は……」
ルシェは、声を掛けられ横を向いた。
「えっ?」
その部屋の中は広く、煌びやかな彫刻が施された一人掛けのソファーが奥にあって、左右にはそれと同じデザインの三人掛けのソファーがテーブルを挟んで置いてある。
高い天井には、これまた豪華なシャンデリアが吊り下がり、床にはえんじ色の絨毯が敷かれている。
「ここは人型専用の応接室だわ。私を特別扱いしなくてもいいのよ。他の人と同じ控室で大丈夫ですわ。でも、気遣ってくれたのね。
トキエさん、どうもありがとう」
「いえ、姫君のルシェ様を他の者と同じにはできません。それにしても、人間界へと修行にいらしてから、随分とお変わりになったのですね。立派な女性になられたようで、教育係の私は、嬉しゅうございます。間もなく、王様とお妃様がお見えになります。こちらで、お待ち下さいませ」
そう言ってトキエが退室したので、ルシェは半円形のアーチ窓に行き外を眺め、腕を上にピンと伸ばし大きく背伸びをした。
「うーん、窓から見えるこの景色、すっごく久しぶりだわ!あっ、この木、見ない間に大きくなったわ……。そっか、それだけ人間界に長く居たってことね……」
コンコン。
扉をノックして執事のノナカが入って来た。
「ルシェ様、お帰りなさいませ。只今、王様、お妃様が入室されます」
ノナカはルシェに一礼をし、扉を開けて王と妃を迎えた後、退室したのだった。
「おかえり、ルシェ!やっと虹の玉が集まったのだな。人間界での生活は、さぞ大変であったろう?良く頑張ったな」
ルシェの父である王が言った。
「お父様、お母様、ご無沙汰いたしておりました。虹の玉集めに手こずりまして、大変、お待たせして、申し訳ございませんでした」
ルシェは、両手でドレスを軽く持ち上げ、腰を落とし両親に挨拶をした。
「ルシェさん、やっと戻っていらしたのね。
あまりにも虹の玉集めが終わらないので、人間界にずっといる気なのかと、心配をしていたところでしたのよ」
母である妃から言われ、ルシェは苦笑いを浮かべた。
(虹の玉が滅多に見つからなかったのは確かだけど、人間界にいることが楽しくなってきて、積極的に探しに行かなかったのですわ。
お母様、ごめんなさい)
「今日からここで暮らすのだろう?
ルシェの部屋を綺麗に整えさせておいた。
ゆっくりと休んで、人間界での疲れを癒しなさい」
王の言葉に慌ててルシェが答える。
「えっ?あっ、まだ直ぐには帰って来れませんわ。舞踏会が終わったら、一旦、人間界に戻り、改めて帰って参ります」
………………………
タムと庄三郎とモロブは、暫し休憩をしてから、他の男女ゲストと共に舞踏会が行われる大広間へと連れられてきていた。
「あれ?ルシェちゃんがいないよ。どこへ行ったんだろう?」
「そうだな、見当たらないな。迷子になってしまったのだろうか?しかし、タムとは違ういい大人なんだから、それはないはずだ」
「モロブさん、酷いよ。僕は迷子になんてならないよ!」
タムが抗議をするとモロブは、右手を顔のところに上げ、すまん!という仕草をした。
「お城なんて、やたらに入れる所じゃねえから、あちこち覗きまくりしているんだろうよ。心配はいらんだろう!じきに来るさ」
「そうだね、大丈夫だよね……」
タムは、そう言いながらもキョロキョロしている。
すると、突然、照明が暗くなり二階へと続く大階段の踊り場にスポットライトが当たったのだ。
スポットライトに照らされ、浮かび上がる三人の姿にゲスト達は大歓声を上げる。
「わっ!あの人が王様なんだね?
僕、初めて王様を見ちゃった!感激!」
「ワシも初めてだ!タム、モロブ、王様の姿をしっかりと目に焼き付けておけよ!」
「はい!それとお妃様の姿と……。うん?あと一人、どなただろう?なんだか……。
庄さん、誰かに似ていませんか?」
「なんかさ、ルシェちゃんみたいな人だね」
「えっ?何だよ?もう一人?ああ、娘だな。王女様だろう?って、おい、はあ?まさか、ル、ル……」
「庄さん、ルシェですよ!あれは、ルシェです!多分……。どうして?」
三人の頭の中は、パニックになっていたのだった。
だが、そんな事にはお構い無く、王の合図で音楽が流れ始め、ゲスト達は謁見の列を作り始める。
手を振りながら階段を降りる王と妃は、ゲスト達が立つ場所よりも 一段高い位置にある長テーブル中央の席についたが、その両側はまだ空席で、隣国からの来賓者や公爵の貴賓席となっている。
そして、王と妃の側にルシェの姿はなかった。
…………………
「庄三郎さん、モロブさん、タム、遅くなって失礼しましたわ。さあ、王様に謁見しましょう。早く並ばないと!
さあ、皆さん行きましょう……?私、行きますわよ?」
「……うわっ!ルシェ!お前……いや、君は、あなたは、王様の娘?お姫様?だったのか?だったのですか?」
庄三郎は、どう接したらいいか分からない様子で何とか聞いた。
「あ……やはり、バレたのね。だから、お父様たちと並びたくはなかったわ。無理矢理、あそこに立たされたのよ。はぁ。
皆さん、今まで黙っていて、ごめんなさい。
私は、確かに国王の娘ですわ。でもね、私は あくまでもアンティーク影山の一員なのですから、いつもの様に接して下さい」
ルシェはそう言ったが、少しの間だけはギクシャクとした空気が流れてしまっていた。
だが、社交ダンスをしないルシェ達の踊りというのは、四人のダンスパフォーマンスで息を合わせた動きが必要だった。
ルシェ達は、列に並びながらも動きの確認をしている。
「うんっ?次はこんな感じの動作なのか?」
「そうそう、そうですわ!庄三郎さん、良くなりましたわ」
「さあ、王様の所まであと少し。我々、アンティーク影山の息の合ったチーム力を見せる時が近づいてきました!頑張りましょう」
「はいっ!モロブさん!」
ルシェとタムが元気に返事をする頃には、普段の仲間同士に戻っていたのだった。
ダンスパフォーマンスは、クラシックの曲に合わせて、優雅に踊っているつもりだったが、何処か変なのか、笑いが起きていたようだ。
踊り終わり、王の前に出た庄三郎の姿は、いつもとまるで違い、質問をされても、あまりに小さい声だった為、何度も聞き返されたりしたが、無事に終わってホッとしたのだった。
「あー!終わった!ま、こんなもんだろう!
皆んな、ご苦労さん!さあ、色んな花の蜜があるぞ!食べようぜ」
庄三郎が大きな声で行ったから、皆は吹き出してしまった。
王との謁見が済んだグループは、それぞれ流れている曲に合わせて、自由に踊っている者や立食をしている者もいる。
ルシェは、壁際の椅子に腰掛けて休んでいた。
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