冥界の仕事人

ひろろ

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第四章: 新人仕事人

生命の泉

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 あおいと蓮は、冥界に向かって瞬間移動する。


あおいが調査員補佐の任務に就くという事を、上司となる礼人に報告するためだ。


 2人は、生命いのちの泉 前にある死神管理棟、その中にある地区管理官室に到着した。


 ここは、人間界のひとつの国を 大まかな地域に分け、更に細かな地区に分けているのである。


 礼人は、その地区管理官という役職についているのであるが、省略して管理官と呼ばれる事が多いのだった。

 
 事務机がいくつか置かれている中で、事務仕事をしていた礼人だが、抱き合ったままの2人……に気がついた。


 ……というより、あおいがしがみついて離さないだけなのだが。


 あおいは、“幸せよ”というような顔付きでいる。


「お前たち、何を見せに来たんだ?」


 我に返ったあおいは、慌てて離れた。


「はっ、蓮先生 すみません!着いたんですね!」

 
「礼人さん、本日、泰山王様より 私の補佐に任命された あおい さんです」


「どうぞよろしくお願致します」


  あおいは、ぺこりとお辞儀をした。


「ほう、補佐という仕事か?我々の仕事は、忙しいから助かるな。

しっかり、蓮のサポートに励め!」


 ポロロン、ポロロン


 何の音?


「生命の泉に札が落ちたのだ。
この音は、我が地区だ!さあ、一緒に来い」


 礼人に言われ、あおい達は、後に続いて行く。

 
「あそこの 高い木が並んでいる所に、生命の泉がある。
この階段を上って行くぞ」
 

 緩やかだが、長い階段を上って木々の間を通って行くと、途轍とてつもなく広い湖……に出た。


冥界では、これを泉と呼んでいるのだった。


 この大きな大きな泉の中央は、小さな広場になっていて、札所と言われている。


「泉の上すれすれ に、札所から放射線状に橋が24本掛けられている。

  それぞれの橋の両端に沿って、水中の蝋燭立てに、蝋燭がさしてあって、火がともされているが、見えるか?

この火が消えかけたり、消えたりすると札が落ち、札所に流れていくのだ。

その札の主が死亡予定者となる。

ここまで、わかったか?」


……と、礼人が教えた。
 

 「ほら、中央を中心に、放射状に蝋燭がびっしり並んでいるでしょ?

圧巻の眺めだろう」


「はい、確かに凄いですね、蓮先生」


 あおいは、身が引き締まるような感覚を覚えていた。


「そして、我々がいる下に水が流れているが、この水路が泉をぐるりと取り囲んで4箇所、泉と繋がりがある水路となっている。

 その水路があるから、水流が生まれ蝋燭の札が落ちたら、札所に流れ着くのだ」


 礼人が何を言っているのか、難しくて、あおいは、ポカンとしている。


 元々、頭は弱いから仕方がないのだ。


「向こうの山の上から水が流れて、水路に入ってくるんだよ。
 
その水は、中央の札所の手前に流れ込んで、他の地域の生命の泉にも流れて行くんだよ。

 この橋を真っ直ぐに行けば、札所だから、今から札を取りに行くよ」


 更に蓮が、あおいに分るように説明したのだった。


「札所まで、かなり遠そうですね。
着くまでに時間がかかりそう……」


 あおいは、心配してあげたつもだったが、礼人が冷たく言い放つ。


「お前は、何の為にベルトを持っているんだ?」


「はいっ、瞬間移動の為です!」


「あおいちゃん、あそこまで自分で行けるよね?行こう!」


 蓮は、先に瞬間移動をした。


  早っ、もう行っちゃった!
 なんて名前の所だったかな?


 ええと、広場?小さい広場?


へたに瞬間移動したら、とんでもない所に行っちゃうよね?


 私は、走った方が早い!


 タッタッタッタッ……


「蓮、あおいは何をしている?連れて来い!」


「何してんの!あおいちゃん!
ほら、一緒に行くよ」


 迎えに来た蓮に連れられて、すぐ側にある札所に行った。


 こんなに近いのに、情け無い……。


「調査員は、記憶力が大事なのだ。
自信が無いなら、メモをとれ!
あおい、わかったな?」


「はい、そうします」


 これじゃあ、リッチ君みたいだ。
悔しいけど、礼人さんの言う通りだから、メモする癖をつけます。


「ここは、札が流れ着く場所だ。
 この札をすくって、モバリスにデーターを入れ、担当に送る」


 札所には2枚の札があり、礼人は手ですくった。


それから、その札をモバリスで、ピッとデーターを読み取り、調査員に送信したのだった。


「通常、午前0時に各地区の死神たちがここに集合して、本日の死亡予定者の札を集めるが、それ以外の時間に札が落ちるのは、突発的な事が起こったときだ。

 この札の持ち主もそうだ!

 では、私は行く!」


 シュッ!


  わっ、もういない……。


 「今の札の持ち主の所に、私たちは行かなくてもいいんですか?」


「ああ、私の所にはデーターがきていないから、行かない」


 蓮がもう行こうと言い、灯火の小道を一緒に歩く。


「ここを歩く時は、細心の注意が必要だから!
風で、蝋燭の火を消さないように。そっと歩いて!ほら、手を出して」


「えっ?」


つまずいたら危ないから、蝋燭が……」


 あ、そういうことね……。


 あおいの手を握る蓮。


 はたから見れば恋人同士に見えること間違いなしの2人。


  両端に蝋燭がある細い橋を、火を消さないように、恐る恐る歩いているだけなのだった。
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