３８歳、オタク女子。婚活始めました。

目覚める。②

店長は私より４つ上で年齢にも申し分なかった。

独身である事も会話の中でリサーチ済み。

そして多分彼女はいない…と思う。

大学を卒業してからずっと【どりーむ】で働いていたらしいので、【早々出会いなんてない＝彼女はいないだろう】という予測ではあるが…



本人に聞いてはいない。
聞くと、【こいつ俺に気があるんじゃないの？】と思われるのが嫌だし、店長だってそんなプライベートな事聞かれて答えるのに困ると思うし…






店長は私に対してとても優しかった。


それはそれは、独身女が【あれ？これ店長、私にだけ優しい気がする…。もしかして私に気があるんじゃ？脈アリなんじゃない？】と勘違いしてしまうくらいに…



例えば、私が髪を切った時である。

友達の誰もが気づかず、あげく「何にも変わってないじゃん。」と言われた事があった。

しかし、店長だけは店に入るとすぐに「あれ？髪切ったの？」と気づいてくれたのだ。

私が「切ったんですけど皆に変わってないって言われて…。」と苦笑いで返すと、

「そんな事ないよ。すぐわかったし、可愛いよ。」と笑顔で言ってきたのだ。


【可愛い…？】
【普通ただの仕事仲間に可愛いなんて言うだろうか。「似合ってるね。」とかなら言うだろうけど、可愛いって異性として意識してる人にしか言わなくないか？】

恋愛を長年サボってきた私には、お世辞というものが通用しなかった。


こんな感じでシフトに入る度に特別なんじゃ…と意識する程に優しいものだから、私が店長を恋愛対象として惹かれていくのには時間がかからなかった。


そうなると自分の髪型や服装が恥ずかしくなってくる。
バイトの日は良く見てもらおうと少しずつ、化粧や身なりに気を配る様になっていった。