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第2章:「仕組まれた罪」 第1話
しおりを挟む儀式前日の夜明け、特別室の窓からは最初の光が差し込んでいた。リュークは疲労で赤く充血した目をこすりながら、祈りの言葉を続けていた。
「運命の流れよ、正しき道を進め。七神の導きのもと、我らの歩みを照らしたまえ…」
二日間、彼はほとんど眠らなかった。エルガスの脅し、オラシオの陰謀、エマの裏切り—彼は誰も信用できない状況で、わずかな仮眠だけで砂時計を守り続けた。幸いにも、昨夜は誰も現れなかった。エルガスの計画が失敗に終わったのか、それとも別の策略を練っているのか。
「もう少しだ」
リュークは自分に言い聞かせた。あと一日。今日一日を乗り切れば、明朝に砂時計を中央祭壇に運び、任務は完了する。ガレス先生の信頼に応えられる。
疲労で体が重く、頭も朦朧としていたが、リュークの決意は揺るがなかった。彼は立ち上がり、窓際に歩み寄った。外では神殿の人々が早朝から儀式の準備に忙しそうに動き回っている。
「儀式か…」
儀式のことを考えると、先日見た予知の光景が思い出された。炎に包まれる神殿、割れる砂時計—それは避けられない未来なのだろうか?
そのとき、扉がノックされた。リュークは警戒しながら砂時計を手に取り、「誰だ?」と尋ねた。
「私だ、リューク」
ガレスの声だった。リュークはほっとして扉を開け、老神官を迎え入れた。
「先生、来てくれたんですね」
ガレスはリュークの疲れ切った顔を見て、眉をひそめた。「無理をしすぎたようだな。しかし、よく頑張った」
リュークは砂時計を祭壇に戻しながら、この二日間の出来事—エルガスの脅し、オラシオの陰謀、エマの裏切り—をすべて報告した。
「やはり…」ガレスは深いため息をついた。「神殿内の闇は予想以上に深い」
「なぜ彼らは砂時計を狙うんですか?」
「それは…」老神官は言葉を選ぶように慎重に続けた。「運命の砂時計には、通常の神器以上の力があるからだ」
「どんな力です?」
「運命そのものを操る力だ」ガレスは静かに言った。「儀式で正しく使えば、一年の運命の流れを整える。だが、悪用すれば…特定の運命を固定化することも可能だという」
リュークは息を呑んだ。「運命を固定化?」
「そう。例えば、ある人物の権力を永続させるとか、特定の事象が絶対に起こらないようにするとか…」
「それってつまり…」
「神々の領域に踏み込む行為だ」ガレスは厳しい表情で言った。「絶対にあってはならないことだ」
「エルガスが神殿長の地位を…」
「可能性はある」老神官は窓の外を見つめた。「彼は父親より早く権力を手にしたいのかもしれない」
リュークは考え込んだ。もし砂時計が悪用されれば、神殿の未来、いや、王国全体の未来が歪められる可能性がある。彼の任務はますます重要に思えてきた。
「今日一日だけだ」ガレスは励ますように言った。「明朝、私が迎えに来る。一緒に中央祭壇まで砂時計を運ぶ」
「はい、先生」
老神官は去り際、扉の前で立ち止まった。「リューク、あと一つ忠告がある」
「何でしょう?」
「今夜が最も危険だ。彼らも最後の機会と知っている。決して油断するな」
リュークは固く頷いた。「命に代えても守ります」
ガレスは微笑み、静かに去っていった。
***
正午が過ぎ、神殿全体が儀式の準備で騒がしくなっていた。リュークは祈りの合間に、特別室を出て聖域近くの回廊を歩いていた。砂時計は常に彼の手にあり、決して手放すことはなかった。
回廊の突き当たりで、彼は執事長と出会った。老執事は儀式の準備のリストを手に持ち、せわしなく動いていた。
「おお、リューク・アスター」執事長は彼に気づくと立ち止まった。「砂時計の管理は順調か?」
「はい、執事長様」
「よろしい。儀式はいよいよ明日だ。今夜は神殿内の全員が早めに就寝する。万全の状態で儀式に臨むためにな」
「理解しています」
執事長はリュークの肩に手を置いた。「若いのに立派な任務だ。神殿長も喜んでおられるぞ」
リュークは微笑んだ。少なくとも執事長は彼を敵視していないようだ。それだけでも心強かった。
特別室に戻る途中、リュークは神殿の大ホールを通り過ぎた。そこでは神官たちが儀式の準備をしており、中央には高位神官たちが集まっていた。その中に、エルガスとオラシオの姿があった。
リュークは柱の陰に隠れ、彼らの様子を窺った。二人は何やら熱心に話し合っている。その表情は緊張感に満ちていた。
「最後のチャンスだ」
風が運んできた言葉の断片をリュークは聞き取った。エルガスの声だった。
「今夜必ず…」
オラシオの返答は聞こえなかったが、リュークには彼らの意図が明らかだった。今夜、彼らは最後の行動に出るつもりなのだ。
ガレス先生の警告通り、最大の危機が迫っていた。
***
夕刻、特別室に戻ったリュークは、食事のトレイが置かれているのを見つけた。エマの姿はなく、おそらく神殿の召使いが置いていったのだろう。
リュークは警戒して食事を調べた。昨日の教訓から、彼は何も信用しなくなっていた。念のため、食事には手をつけないことにした。
窓の外では太陽が沈み始め、神殿に夕闇が訪れようとしていた。リュークは砂時計を祭壇に置き、再び祈りの言葉を唱え始めた。疲労で体は限界に近かったが、意志の力だけで自分を支えていた。
「運命の流れよ、正しき道を進め…」
祈りの言葉が途中で途切れた。突然、リュークの「運命の目」が反応したのだ。強烈な頭痛とともに、視界が歪み始める。
「また来るのか…」
彼は額を押さえながら、砂時計に手を伸ばした。触れた途端、いつものように一連の光景が目の前に広がった。
—扉が壊され、黒い影が入ってくる姿。
—砂時計が床に落ち、割れる音。
—そして、炎に包まれる部屋。
「まさか…今夜?」
予知が終わると、リュークは決意に満ちた表情になった。予知されたのは今夜の出来事だ。誰かが強引に入り込み、砂時計を奪おうとする。それを阻止しなければならない。
彼は部屋の中を見回し、防衛策を考えた。力での対抗は難しい。彼は戦士ではなく、相手は複数になるかもしれない。必要なのは知恵だった。
「扉は施錠するとしても…」
彼は砂時計を大切に抱え、考え続けた。そのとき、閃いたように立ち上がった。
「窓からの脱出ルートを…」
リュークは窓の外を確認した。特別室は神殿の二階にあり、下には中庭が広がっている。木々が生い茂っており、万が一の場合は飛び降りることもできそうだ。
「でも、それでは任務放棄になる」
彼は思い直した。自分の役目は砂時計を守ることであって、逃げることではない。どうすれば侵入者に対抗できるか…
「ガレス先生に報告すべきだろうか」
しかし、部屋を離れることはできない。砂時計を携えて神殿内を歩き回れば、かえって危険にさらすことになる。
「ここで守るしかない」
リュークは扉にさらに鍵をかけ、椅子で補強した。武器になりそうなものはないか探したが、見つかったのは祈りの燭台くらいだった。
彼は覚悟を決めた。この部屋で、砂時計を守り抜く。それが彼の使命だった。
***
夜が更け、神殿は静寂に包まれていた。リュークは疲労と緊張で神経が研ぎ澄まされ、わずかな物音にも反応するようになっていた。
「もう夜半か…」
燭台の火が揺れ、不気味な影を壁に投げかけている。リュークは砂時計を脇に置き、扉の方を見つめていた。
カチッ。
かすかな音が扉の方から聞こえた。誰かが鍵を開けようとしている。リュークは息を殺し、立ち上がった。
「来たか…」
もう一度、カチッという音。続いて、扉の取っ手がゆっくりと回された。施錠されていることに気づいた侵入者は、しばらく動きを止めた。
沈黙が流れる。リュークは心臓の鼓動が耳に響くのを感じた。
突然、ドンという大きな音とともに、扉が激しく揺れた。誰かが体当たりをしたのだ。リュークは砂時計を抱き、部屋の奥に下がった。
「開けろ!リューク・アスター!」
エルガスの声だった。彼は怒りに任せて扉を叩いていた。
「儀式の準備のために砂時計を検査する必要がある!神殿長の命令だ!」
明らかな嘘だ。神殿長はそんな命令を出すはずがない。
「信じられません!」リュークは叫び返した。「神殿長様なら私に直接言いに来るはずです!」
「この傲慢な!」
今度は数人がかりで扉を叩く音がした。扉を補強していた椅子が軋むのがわかる。
「もう選択肢はない」
リュークは窓に向かった。侵入者が入ってくる前に、砂時計を持って逃げるしかない。彼は窓を開け、外の状況を確かめた。
その時、扉がついに破られた。木材が砕ける音とともに、エルガス、オラシオ、そして二人の見知らぬ神官が部屋に押し入った。
「逃がすな!」
リュークは砂時計を抱え、窓に向かって走った。しかし、オラシオが彼の前に立ち塞がった。
「砂時計を渡せ、見習い」
「渡せません!」
リュークは燭台を手に取り、自分を守ろうとした。しかし、訓練を受けた神官たちを相手に、一介の見習いが太刀打ちできるはずもない。
あっという間に彼は取り囲まれ、燭台は床に叩き落とされた。燭台から火が床に広がり、カーテンに燃え移る。
「砂時計を!」
エルガスが彼に飛びかかり、二人は床に倒れた。激しい揉み合いの中、リュークは必死に砂時計を守ろうとした。
「絶対に渡さない!」
しかし、四人がかりの力には抗えない。リュークは殴られ、蹴られ、ついに砂時計を手から離された。
「やっとだ」エルガスは勝ち誇ったように砂時計を手に取った。
その瞬間だった。
「何事だ!」
廊下から怒声が響いた。神殿長アルバートとガレスが駆けつけてきたのだ。
「父上!」エルガスは驚きに目を見開いた。
「何をしている!」神殿長は激怒した様子で叫んだ。「なぜ私の命令なしにここにいる!」
エルガスは狼狽しながらも、すぐに表情を取り繕った。
「父上、大変なことになっています。リューク・アスターが砂時計を破壊しようとしていました」
「何!?」リュークは信じられない思いで声を上げた。
「彼の部屋に入ると、砂時計を窓から投げ捨てようとしていました。私たちはそれを必死に止めたのです」
神殿長はリュークを厳しい目で見つめた。「本当か?」
「違います!」リュークは必死に否定した。「彼らが砂時計を奪おうとしたんです!私は守ろうとしただけで…」
「嘘だ!」オラシオが口を挟んだ。「我々が入ってきたとき、彼は砂時計を壊そうとしていた。彼の能力は神殿にとって危険です」
部屋は炎が広がり、煙が立ち込めていた。ガレスは急いで消火を始めながら、「神殿長、冷静に判断を」と言った。
「証拠はあるのか?」神殿長はエルガスに尋ねた。
「あります」エルガスは床に散らばった砂時計の破片を指した。「彼が砂時計を落としたときに割れたのです」
リュークは愕然とした。確かに床には砂時計の破片が散らばっているが、本物の砂時計はエルガスが手に持っている。これは明らかに事前に用意された偽の証拠だった。
「違う!そんなものは…」
「それに、彼の部屋から見つかったものをご覧ください」オラシオが取り出したのは、小さな袋だった。中には砂時計の一部と思われる破片と、闇市場との取り引きを示す偽の手紙が入っていた。
「これは!」リュークは言葉を失った。「私が見たことのないものです!」
神殿長は激怒した表情で彼を見つめた。「リューク・アスター、これはどういう説明だ?」
「罠です!彼らが仕組んだ罠なんです!」
エルガスは悲しそうな表情を装った。「予想通りです。彼の『運命の目』は彼を狂わせたのです。古の預言者たちも同じ運命を辿りました」
「父上」エルガスは続けた。「彼は砂時計の力を利用して、自らの運命を変えようとしたのです。それは神への冒涜です」
神殿長は黙って状況を見つめ、最後にガレスを見た。
「ガレス、おまえが彼を推薦したのだな?」
「はい、神殿長様。しかし、私は彼を信じています。彼には潜在能力があり、神々に選ばれた素質が…」
「十分だ」神殿長は手を上げた。「証拠は明らかだ。彼の部屋から砂時計の破片が見つかり、取り引きの証拠も…」
「それは偽物です!」リュークは叫んだ。「エルガスが全て仕組んだんです!」
神殿長は彼を冷たい目で見つめた。「重大な罪だ。審問が必要だろう」
「父上、時間がありません」エルガスは急かした。「明朝は儀式です。今すぐに判断が必要です」
神殿長は深い溜息をついた。「リューク・アスター、おまえは重大な神殿法を犯した。神器を損壊し、その破片を闇市場に売ろうとした罪は重い」
「違います!聞いてください!」
「明日の儀式後、正式な裁判を開く。それまでは地下牢に拘束する」
衛兵たちが呼ばれ、リュークは腕を捕まれた。彼は必死にもがいたが、力では太刀打ちできない。
「ガレス先生!信じてください!私は無実です!」
ガレスは悲しみに満ちた目でリュークを見つめていたが、神殿長の判断に逆らうことはできなかった。
「真実はいずれ明らかになる」老神官は静かに言った。「今は耐えなさい」
リュークは引きずられるように部屋から連れ出された。炎は消し止められ、エルガスは勝ち誇ったような微笑みを浮かべていた。
「おまえの運命の目も、おまえを救えなかったな」
彼のささやきが、リュークの耳に届いた。
***
地下牢は冷たく、じめじめとしていた。リュークは石の壁にもたれながら、全てが夢であってほしいと願った。しかし、現実は残酷だった。
「なぜだ…」
彼は呟いた。自分の「運命の目」が予知した通りになってしまった。砂時計は割れ(偽物だが)、部屋は炎に包まれ、そして彼自身が罠にはめられた。
「運命は変えられないのか…」
絶望感が彼を包み込む。任務に失敗し、ガレス先生の信頼を裏切り、そして明日には裁判で重い罪に問われる。
牢の小さな窓から、月明かりがわずかに差し込んでいた。リュークはその光を見つめながら、この状況から抜け出す方法を考えた。
「なぜエルガスは砂時計を欲しがったのか…」
運命を固定化する力。それは神殿長の地位を我が物にするためなのか、それとも別の目的があるのか。
窓の外では、神殿の塔に明かりが灯っていた。儀式の準備は夜通し続いているのだろう。そして明日、エルガスは本物の砂時計を使って何をするつもりなのか。
リュークは冷たい石の床に横たわり、疲れ果てた体を休ませた。三日間ほとんど眠っていなかったため、すぐに意識が遠のき始めた。
彼が眠りに落ちる直前、「運命の目」が再び反応した。今回は痛みはなく、むしろ穏やかな光が彼を包み込むような感覚だった。
—月明かりの中、石の壁に隠された小さな扉。
—神殿の裏庭に通じる秘密の通路。
—そして、青白い光を放つ砂時計の欠片。
「まだ…希望がある?」
リュークは微かな光明を感じながら、深い眠りに落ちていった。彼の運命は、まだ完全に閉ざされてはいなかった。
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