異世界モテ革命!実用恋愛スキル×最強レベルで王国無双

ソコニ

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第4話「異世界での「会話テクニック」攻略開始」

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翌日の正午、約束通りハーレム・ヒルズの事務所を訪れると、マリアだけでなく村長も待っていた。

「遼くん、来てくれたのね」マリアが満面の笑みで迎えてくれる。

「王女様のことで相談があるんだ」村長は緊張した面持ちで言った。「フィリア王女は三日後にこの村を訪れる。我々としては最高のおもてなしをしたい」

「具体的に何をすればいいんですか?」俺は尋ねた。

「まず、歓迎式典のスピーチをお願いしたい」村長が言った。「そして…」

「王女様の案内役よ」マリアが続けた。「村を案内しながら、王女様の機嫌を損ねないようにしてほしいの」

「それは…難しそうですね」

「でも、遼くんなら大丈夫よ」マリアは俺の肩に手を置いた。「昨日の宴会でも見たわ。あなた、人の心を掴むのが上手いもの」

村長も頷いた。「酔った男を落ち着かせたのも見事だった。あの手腕があれば王女様も…」

「分かりました」俺は覚悟を決めた。「できる限り協力します」

「ありがとう!」二人は安堵の表情を見せた。

「それで、王女様はどんな方なんですか?詳しく教えてもらえますか?」

村長とマリアは顔を見合わせた。

「フィリア王女は…」村長が言葉を選ぶように話し始めた。「非常に美しいが、気難しい方だ。特に男性には冷淡で、これまで何人もの求婚者を拒絶してきた」

「王宮の噂では」マリアが小声で付け加えた。「王女様を口説こうとした貴族が追放されたこともあるそうよ」

これは厄介だ。気難しい王女を相手にするのは、俺の恋愛スキルにとって最大の試練かもしれない。

「ただ」村長が続けた。「芸術や音楽はお好きで、弱者には優しいとも聞く。それと、嘘が大嫌いで、正直な人間を評価するらしい」

これは貴重な情報だ。

「分かりました。何か準備すべきことはありますか?」

「まず、服装だな」村長が言った。「適切な正装が必要だ。それと基本的な礼儀作法」

「そして」マリアが笑顔で言った。「魅力的な会話術よ。退屈させない話題と、適度なユーモア。でも調子に乗りすぎないこと」

ここで「実用恋愛スキル」が役立ちそうだ。

「私が服と礼儀作法を教えるわ」マリアが申し出た。「時間はあるでしょ?」

「はい、喜んで」

---

その後の二日間、俺はフィリア王女の訪問に向けて猛特訓を受けることになった。

まずはマリアから正装の着こなしと基本的な宮廷マナーを教わった。お辞儀の角度、話し方、歩き方まで。

「背筋をもっと伸ばして!」マリアは厳しく指導する。「王女様に会うときは、自信を持ちながらも謙虚な態度が大事よ」

「こうですか?」

「そう、その調子!」

訓練中、俺は新しいスキルを獲得した。

『恋愛スキル「気品ある立ち振る舞い」が習得可能になりました』

(使用する)

すると、自然と姿勢が良くなり、動作も洗練されていくのを感じた。本来なら何カ月もかかる礼儀作法の習得が、スキルのおかげで大幅に短縮される。

「すごいわ!」マリアは目を丸くした。「こんなに早く上達するなんて!まるで貴族の家で育ったみたい」

翌日は村長から歓迎スピーチの指導を受けた。

「遼くん、もっと堂々と話すんだ。声の抑揚も大切だぞ」

恋愛スキルの中にスピーチに関するものはないかと探ってみると、新たなメッセージが表示された。

『中級恋愛スキルパック解放条件:初級スキルをすべて習得し、実践すること』

ということは、まだ初級スキルを完全に習得していないということか。もう少し基礎を固める必要がありそうだ。

夕方、ルナが森で薬草を集めるのを手伝っていると、彼女が不安そうに言った。

「遼、大丈夫?急に王女様の案内役なんて…プレッシャーじゃない?」

「少しね」正直に答えた。「でも、挑戦してみたい」

「本当に遼は不思議ね」ルナは微笑んだ。「昨日まで記憶があやふやだったのに、今日は王女様の案内役になろうとしてる」

俺は少し考えてから言った。「僕自身も自分の可能性を試したいんだ。この世界で何ができるのか」

「そう…」ルナは少し寂しそうな表情になった。「王女様に気に入られたら、王都に行っちゃうかもね」

俺は思わずルナの手を取っていた。

「どこへ行っても、ルナは大切な友達だよ。忘れないよ」

彼女の頬が赤くなった。「本当?」

「約束する」

『スキル「心からの約束」発動。ルナの信頼度+15。現在の好感度:95/100』

ルナの好感度が急上昇している。初対面からわずか数日でここまで親密になるのは、間違いなく「実用恋愛スキル」の効果だろう。

---

フィリア王女が村を訪れる前日、俺は村の広場に集まった村人たちの前で、リハーサルのスピーチを行うことになった。

村長からの指示で、歓迎の言葉と村の魅力を簡潔に伝える内容だった。ただ話すだけでなく、聞き手を惹きつける話術が必要だ。

「みなさん」俺は深呼吸して始めた。「明日、私たちの村はグランツェル王国の誇り、フィリア王女をお迎えします…」

話し始めると、頭の中で新たなスキルが解放された感覚があった。

『恋愛スキル「カリスマ的会話術」が習得可能になりました』

(使用する)

スキルが発動すると、声のトーンや話すリズム、間の取り方が自然と洗練されていく。村人たちの表情が変わり、みな食い入るように俺の話を聞き始めた。

「…そして私たちはラステル村の温かい心と、自然の恵みを王女様にお見せしたいと思います。どうか皆さん、最高のおもてなしを共に作り上げましょう」

スピーチを終えると、驚くほどの拍手が起きた。

「素晴らしい!」村長が目を輝かせて言った。「こんな感動的なスピーチは初めてだ」

マリアも感心した様子で頷いていた。「これなら王女様も喜んでくださるわ」

『恋愛スキル「カリスマ的会話術」の習得完了。効果:聴衆の心を掴み、魅了する話し方ができるようになりました』

いくつかの初級スキルを習得したことで、ようやく中級スキルへの道が開けそうだ。

リハーサル後、ハーレム・ヒルズの裏庭で一人になり、これまでに獲得したスキルを確認してみた。

『初級恋愛スキル一覧:
- 第一印象ブースト(習得済)
- 共感的傾聴(習得済)
- ボディランゲージ・マスター(習得済)
- 会話の主導権(習得済)
- 初級ナンパ術(習得済)
- 初級ダンス術(習得済)
- 洗練された褒め言葉(習得済)
- 誠実な半真実(習得済)
- 気品ある立ち振る舞い(習得済)
- カリスマ的会話術(習得済)
- 心からの約束(習得済)

中級恋愛スキルパック解放まで残り1スキル』

あと一つ初級スキルを習得すれば、中級スキルが解放されるらしい。残りのスキルは何だろう?

考えていると、突然マリアが近づいてきた。

「遼くん、何してるの?」

「ああ、明日のことを考えてました」

「緊張してる?」マリアは優しく微笑んだ。

「少しね」

「大丈夫よ」彼女は俺の肩に手を置いた。「あなたなら素晴らしい案内役になれるわ」

マリアの親密なスキンシップと甘い香りに、一瞬ドキッとした。彼女は明らかに俺に好意を持っている。

「マリアさん、王宮のことをもっと教えてもらえませんか?」

「ええ、もちろん」

マリアは宮廷の華やかな生活や、貴族たちの恋愛事情について話し始めた。王宮では政略結婚が一般的だが、秘密の恋愛も少なくないという。そして王女は正直者で、偽りの愛情表現を見抜くのが得意らしい。

「それで」マリアは少し声を潜めた。「王女様は本当に結婚相手を見つけられないの?」

「そうみたい。彼女が求めるのは政治的な結婚相手ではなく、真の理解者だって」

「なるほど…」

つまり、フィリア王女相手には、恋愛スキルによる表面的な魅力ではなく、本質的な共感と理解が必要ということか。これは考えさせられる。

「遼くん」マリアが突然真剣な表情になった。「あなたのこと、気に入ってるわ」

「え?」

「そのままの意味よ」彼女は微笑んだ。「この村に来てくれて嬉しい。あなたみたいな人、初めて」

マリアの率直な告白に、俺は少し戸惑った。しかし恋愛スキルのおかげで冷静な対応ができる。

「ありがとう、マリアさん。僕も村の皆さんと出会えて嬉しいです」

直接的な返事は避けつつも、彼女の気持ちを尊重する言い方だ。

マリアは少し残念そうにしたが、すぐに明るく笑った。「分かってるわ。今はフィリア王女のことで頭がいっぱいよね」

『プラトニック対応スキル習得!「恋愛の先送り」:好意に対して直接的な拒絶をせず、関係性を維持したまま決断を先延ばしにする技術』

これが最後の初級スキルか!これで中級スキルパックが解放されるはずだ。

「さて、明日に備えて早めに休んだ方がいいわ」マリアが言った。「王女様の一行は正午に到着する予定よ」

「分かりました。おやすみなさい、マリアさん」

マリアの家を後にし、ガロウの家に向かう途中、頭の中で待望のメッセージが表示された。

『初級恋愛スキルパック完全習得!中級恋愛スキルパック解放!』

次々と新しいスキル情報が流れ込んでくる。

『中級恋愛スキル一覧:
- 相手の価値観分析(未習得)
- ダブルバインド質問法(未習得)
- 即興ストーリーテリング(未習得)
- ヒーロー効果の演出(未習得)
- 高度な立ち振る舞い(未習得)
- 意外性のギャップ創出(未習得)
- 感情の共鳴(未習得)
- 魅力的な自己開示(未習得)
- 戦略的距離感(未習得)
- カリスマ的スピーチ術(未習得)』

これらのスキルは初級よりもはるかに高度そうだ。特に「相手の価値観分析」や「カリスマ的スピーチ術」は、明日の王女との対面で役立ちそうだ。

ガロウの家に着くと、ルナが待っていた。

「遼、どうだった?」

「うん、なんとかなりそうだよ」

ルナは少し心配そうに言った。「王女様、本当に難しい方らしいわ。村では色々な噂が飛び交ってる」

「どんな?」

「王女様の機嫌を損ねた村は、税金が三倍になったとか…」

「それはさすがに都市伝説だよ」俺は笑った。

「そうだと良いけど…」ルナは心配そうに言った。「遼、明日一緒に行ってもいい?」

「もちろん。ありがとう」

ルナの申し出は嬉しかった。彼女のサポートがあれば心強い。

夜、寝床に入ってからも、明日のことで頭がいっぱいだった。王族と接するのは生まれて初めてだ。それも、気難しいという評判の王女様。

(よし、中級スキルを試してみよう)

『中級恋愛スキル「相手の価値観分析」を使用します。対象を想定してください』

頭の中でフィリア王女のイメージを思い浮かべた。情報は限られているが、芸術や音楽が好きで、正直な人間を評価し、弱者には優しいという特徴がある。

『価値観分析中...結果:対象は「誠実さ」「芸術的感性」「思いやり」を重視している可能性が高い。また「自立心」と「知性」も価値を置いていると推測されます』

なるほど。これは明日の対応に役立ちそうだ。王女に対しては、誠実さを示しながらも知的な会話を心がける。そして可能であれば、芸術や文化についての話題を準備しておこう。

『中級恋愛スキル「カリスマ的スピーチ術」の訓練を開始します』

今日のリハーサルで習得した「カリスマ的会話術」をさらに発展させたスキルだ。頭の中で何度もスピーチを練習した。

寝る前の最後の思考は、この異世界での自分の立ち位置についてだった。数日前までは現代日本の冴えない大学生だった俺が、今は王女を迎える村の代表になろうとしている。「実用恋愛スキル」はただのモテるための能力ではなく、人と人との関係を築き、社会で生きていくための総合的なスキルなのかもしれない。

その夜、俺は決意した。明日の王女との対面を成功させ、この異世界での可能性をさらに広げよう。もしかしたら、この出会いが俺の運命を大きく変えるかもしれない。

---

王女到着当日、村は早朝から緊張感に包まれていた。家々は掃除され、広場には花が飾られ、村人たちは最も良い服装に身を包んでいる。

俺も村長から借りた正装に身を包み、ハーレム・ヒルズの前で最終確認を行っていた。

「遼くん、緊張してない?」マリアが声をかけてきた。

「少しね」

「大丈夫よ」彼女は俺の服の襟を直しながら言った。「この服、よく似合ってるわ」

深い青色の上着に白いシャツ、それに黒のズボン。地球の礼服とは少し違うが、異世界の正装としては申し分ない。

「王女様の一行が見えたぞ!」村の見張り役が叫んだ。

村人たちが慌ただしく整列を始める。俺は村長とマリア、そしてルナと共に村の入口に立った。

遠くから馬車と騎士団が近づいてくる様子が見えた。先頭を行く騎士たちの鎧は太陽の光を反射して輝いている。彼らの後ろには豪華な装飾が施された馬車が続いていた。

「あれがフィリア王女の馬車よ」マリアが小声で言った。

俺は深呼吸をして、新たに習得した中級スキルを意識した。

(「カリスマ的スピーチ術」と「相手の価値観分析」を準備)

一行が村の入口に到着すると、騎士長らしき人物が馬から降りて村長に近づいた。

「グランツェル王国第三王女、フィリア・グランツェル・フォン・ライヒェンバッハ殿下のご到着だ」

非常に長い名前だ。

村長が丁寧にお辞儀をすると、馬車から一人の女性が降り立った。

俺の息が止まるほどの美しさだった。

金色の長い髪と碧い瞳、雪のように白い肌。洗練された顔立ちと気品ある立ち振る舞い。フィリア王女は噂以上の美女だった。彼女は薄い青色のドレスを身にまとい、小さな王冠を頭に載せている。

年齢は俺と同じくらい、20代前半だろうか。

「ラステル村へようこそ、王女様」村長が恭しく言った。

フィリア王女は村を見回し、少し退屈そうな表情で頷いた。「ご挨拶ありがとう」

その声は予想外に柔らかく、少し憂いを含んでいた。

村長が俺に目配せをした。これが俺のスピーチのタイミングだ。

一歩前に出て、恭しくお辞儀をした後、「カリスマ的スピーチ術」を発動させた。

「フィリア王女様、ラステル村へようこそ」俺は穏やかにしかし自信を持って話し始めた。「私たちの小さな村は、華やかな王都に比べれば質素かもしれません。しかし、ここには都では見られない真実の美しさがあります」

王女が少し興味を示した様子で俺を見た。

「森の囁き、星空の輝き、そして何より、人々の温かな心。今日は王女様に、私たちの誇りであるこれらの宝をご覧いただければ幸いです」

スピーチを終えると、王女は少し驚いたような表情をしていた。

「あなたは?」

「藤原遼と申します。本日、王女様の案内役を務めさせていただきます」

「藤原?変わった名前ね」王女は少し首を傾げた。「どこの出身?」

「遠い東の国から参りました」

「興味深いわ」王女は初めて小さな笑みを浮かべた。「では、案内してくれる?」

「喜んで」

これで第一関門は突破だ。王女の興味を引くことができた。

フィリア王女と一行を村の中心部へと案内しながら、俺は「相手の価値観分析」を駆使して彼女の反応を観察していた。

『分析結果:対象は表面的な取り繕いを嫌い、誠実さと知性を重視している。また美的感覚が非常に鋭く、自然美に対する感受性が高い』

これを踏まえて、案内中の説明も調整する。

「王女様、こちらが村の広場です。毎月満月の夜には、村人たちが集まって音楽と踊りを楽しみます」

「まあ、素敵ね」王女は広場の装飾に目を留めた。「この花の配置、誰が考えたの?」

「村の子どもたちです。彼らは自然の美しさを直感的に理解しています」

王女は満足げに頷いた。「子どもたちの感性は純粋で美しいものね」

この反応から、彼女が自然美と純粋さを評価していることが確認できた。

広場から薬草園、そして村の小さな神殿まで案内する間、俺は王女の反応を細かく観察し、会話を彼女の興味に合わせていった。

時折、ルナが助け舟を出してくれる。彼女は地元の知識を活かして、森の薬草や伝統について説明していた。

「このエリヴィアンの花は、満月の夜にしか咲かず、その香りには心を癒す効果があるんです」ルナが説明した。

「本当?興味深いわ」王女は花に近づいた。「私、植物や薬草に興味があるの」

「それでしたら」俺は機会を捉えた。「明日、エルフの集落への訪問はいかがでしょう?彼らは薬草の知識が豊富で、王女様のような洞察力をお持ちの方なら、きっと価値ある発見があるはずです」

「エルフの集落?」王女の目が輝いた。「それは素晴らしいわ。ぜひ行きたい」

村長とマリアが驚いた顔を見せた。当初の予定では王女は一泊だけの予定だったが、もう一日滞在することになるとは。

「しかし殿下」王女に付き添っていた女官が心配そうに言った。「予定では明日には次の村へ…」

「変更するわ」王女はきっぱりと言った。「エルフの集落は滅多に訪れる機会がないもの」

俺とルナは目配せした。これは成功だ。王女の滞在が延びれば、村にとっても良いことだろう。

夕方、ハーレム・ヒルズで王女と一行のための歓迎会が開かれた。マリアは最高のおもてなしを用意していた。

宴会場の一角で、フィリア王女が俺に声をかけてきた。

「藤原遼」

「はい、王女様」

「あなた、普通の案内人じゃないわね」彼女は鋭い視線を向けた。「その話し方、立ち振る舞い…どこで学んだの?」

危険な質問だ。嘘はすぐに見抜かれそうだ。ここは「誠実な半真実」を使おう。

「実は私も諸事情があって、記憶の一部があいまいなんです」俺は正直に答えた。「でも人と接することは得意なようで…」

「記憶喪失?」王女は興味を示した。「それで遠い東の国から来たとは覚えているの?」

「はい。断片的な記憶はあります」

「興味深いわ」彼女は微笑んだ。「嘘をつかないのね。それが分かるわ」

『対象との親密度上昇中。フィリア王女の好感度:30/100』

まだ数値は低いが、初日としては上々だ。

「明日のエルフ訪問、楽しみにしているわ」王女は言った。「あなたとルナさんが案内してくれるのね?」

「はい、喜んで」

王女が離れた後、村長が俺に駆け寄ってきた。

「遼くん、大成功じゃないか!王女様があんなに打ち解けるなんて珍しい。村の評判が上がるぞ」

マリアも嬉しそうに言った。「見事だったわ。どうやったの?」

「ただ、王女様の興味に合わせただけです」

これが「実用恋愛スキル」の効果だとは言えないが、実際にはスキルのおかげで王女の価値観を素早く分析できたのだ。

宴会の終わり頃、俺は宿の小さなテラスで一人、星を眺めていた。すると、意外な人物が近づいてきた。

「こんな所にいたのね」

フィリア王女だった。彼女は護衛を下がらせ、一人で来ていた。

「王女様」俺は驚いて立ち上がった。

「座って」彼女は隣の椅子を指した。「少し話したいの」

並んで星空を眺めながら、王女は静かに言った。

「知ってる?私はいつも周りから何かを期待されているの。完璧な王女であれ、理想の妻になれ…でも誰も私自身を見てくれないの」

突然の告白に、俺は何と答えるべきか迷った。この場面でスキルに頼るべきだろうか?いや、ここは素直に自分の言葉で。





「それは寂しいことですね」俺は誠実に言った。「王女様は『フィリア王女』である前に、一人の人間なのに」

彼女は少し驚いたような表情をした後、微笑んだ。

「そう…その通りよ。普通はみんな私の地位しか見ない。でも、あなたは違う気がする」

「僕は王女様ではなく、フィリアさんという一人の女性と話したいと思います」

内心では驚いていた。こんな大胆な発言、通常なら考えられない。でも「実用恋愛スキル」が俺に自信を与えているのだろう。

「フィリア…」彼女は自分の名前を呟いた。「久しぶりに誰かに名前で呼ばれた気がするわ」

『大成功!フィリア王女の好感度+25。現在の好感度:55/100』

「明日のエルフ訪問、楽しみにしているわ」フィリアは立ち上がった。「おやすみなさい、藤原遼」

「おやすみなさい、フィリア」

彼女は小さく微笑み、テラスを後にした。

この奇妙な展開に、俺は星空を見上げながら考え込んだ。王女との対話は予想以上に成功したようだ。これも「実用恋愛スキル」の効果か。いや、最後の会話は単純なスキルではなく、人間同士の真の交流だったような気もする。

頭の中に新たなメッセージが表示された。

『中級恋愛スキル「魅力的な自己開示」習得完了。効果:適切なタイミングで自分の本音を伝えることで、相手との心理的距離を縮める』

そして、もう一つ。

『警告:ハーレムバランスに乱れの兆候。ルナとマリアの好感度維持には注意が必要です』

そうか、フィリアが加わることでハーレム…いや、女性たちとの関係性が複雑になるということか。これは意識しておく必要がありそうだ。

部屋に戻ると、ルナが待っていた。彼女は少し心配そうな表情をしていた。

「遼、王女様と話してたの?」

「うん、少しね」

「そう…」ルナは何か言いたげな表情を見せた。「明日、エルフの集落に行くんでしょ?」

「うん。ルナも一緒だよね?」

「もちろん」彼女は微笑んだ。「シルヴィアに連絡を取っておいたわ。明日、彼女が案内してくれるって」

「ありがとう」

ルナが少し迷った後、言った。「遼、忘れないで。王女様はいずれ王都に戻るけど、私はずっとここにいるから」

その言葉に、俺は思わずルナの手を取った。

「分かってるよ。ルナは特別な存在だよ」

彼女の頬が赤くなり、嬉しそうな表情になった。

『ハーレムバランス調整成功。ルナの好感度維持:95/100』

明日はエルフの集落訪問だ。フィリア王女、ルナ、そしてエルフのシルヴィア。女性たちとの関係性はますます複雑になりそうだが、これも「実用恋愛スキル」を磨く絶好の機会かもしれない。

そして、この王女との縁が俺の異世界での立場をどう変えていくのか。未来は予測できないが、一つだけ確かなことがある。俺の「モテスキル」は、単なる恋愛テクニックを超えて、この世界で生きていくための強力な武器になりつつあるということだ。

(続く)

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転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

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