異世界モテ革命!実用恋愛スキル×最強レベルで王国無双

ソコニ

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第5話「美女騎士のツンデレ攻略法」

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朝日が昇る頃、ハーレム・ヒルズの前には王女の一行と俺たちが集まっていた。今日はエルフの集落を訪れる日だ。

「おはよう、遼」フィリア王女が微笑みながら挨拶してきた。昨日より親しげな態度だ。

「おはようございます、フ…王女様」

公の場では敬語で話すべきだろう。彼女も理解したようで、小さくうなずいた。

王女の護衛には、昨日はあまり目立たなかった女性騎士が加わっていた。銀の鎧に身を包み、腰には長剣を下げている。厳しい表情で俺を見ているが、その美しさは隠せない。赤褐色の短い髪と鋭い緑の瞳が印象的だ。

「こちらはセリア・フォン・クライスト」フィリアが紹介した。「私の親衛隊長よ」

「藤原遼です」俺が挨拶すると、セリアは冷たく頷いただけだった。

『警戒心の強い対象を検出。親密度を上げるには特別なアプローチが必要です』

なるほど。この騎士長は簡単に心を開かない相手のようだ。

一行はルナの先導で森へと向かった。王女の馬車は置いていき、全員が馬に乗る。俺も一頭の穏やかな栗毛の馬を割り当てられた。

「乗れる?」ルナが心配そうに聞いた。

「大丈夫」

実際には乗馬の経験はないが、ここで「実用恋愛スキル」が思わぬ形で役立った。

『身体言語マスタースキルが馬とのコミュニケーションにも有効です。基本的な乗馬技術が使用可能になりました』

人間関係のスキルが動物にも通用するとは驚きだ。確かに馬の背に乗ると、自然と体のバランスを取ることができた。

森の奥へと進むにつれ、木々は大きく、環境は神秘的になっていった。光が葉の間から差し込む様子は幻想的で、時折聞こえる鳥の鳴き声も地球のものとは少し違う。

途中、セリア騎士長が俺に近づいてきた。

「あなたは怪しい」彼女はいきなり言った。「記憶喪失を装っているのではないのか?」

鋭い指摘だ。彼女は直感的に俺の異質さを感じ取ったのかもしれない。

「確かに全てを覚えているわけではありません」俺は言葉を選んだ。「でも、騎士長が警戒するのは当然です。王女様の安全のために」

この率直さが意外だったのか、セリアは少し表情を和らげた。

「王女様は珍しくあなたに心を開いているようだ。私は彼女を守る立場にある。不審な点があれば容赦しないと思ってもらいたい」

「分かりました。透明性を持って行動します」

セリアは少し驚いたような目で俺を見た後、馬を進めて王女の側に戻った。

『警戒心の強い相手へのアプローチ法「ツンデレ攻略基礎」が解放されました』

ツンデレ攻略?スキルのネーミングがどんどん具体的になっていく。

昼頃、森の奥深くにある小さな湖のほとりで、シルヴィアが待っていた。

「ようこそ、ラステルの友人たち」彼女は笑顔で迎えてくれたが、フィリア王女と護衛を見て少し緊張した様子になった。

「王女…様?」

「こんにちは」フィリアは優雅にお辞儀をした。「エルフの皆さんの領域に足を踏み入れることを許可していただき、感謝します」

シルヴィアは少し驚いた様子だったが、すぐに落ち着いて返礼した。

「ようこそ、フィリア王女様。私はシルヴィア・ムーンブロッサム。このマーミディアの森の番人です」

『エルフの敬意表現を検出。関係構築の好機』

王女とシルヴィアの初対面は良好な様子だ。これで一安心。

「遼」シルヴィアが俺に微笑みかけた。「また会えて嬉しいわ」

「僕もだよ」

セリアが疑わしげな目で俺たちを見ている。彼女はまだ完全には信用していないようだ。

一行はシルヴィアの案内でエルフの集落へと向かった。木々の間を進むと、突然視界が開け、大きな木々の上や周囲に建てられた美しい家々が現れた。

「なんて美しい…」フィリアは感嘆の声を上げた。

エルフの集落は文字通り森と一体化していた。巨大な木の幹や枝に沿って建てられた家々は、自然を傷つけることなく共存している。ツリーハウスと呼ぶには洗練されすぎていて、「森の宮殿」という表現が相応しい。

集落の中央に着くと、多くのエルフたちが集まってきた。彼らは好奇心いっぱいの目で人間の一行を見ていた。特に王女には敬意を示している。

「皆さん、グランツェル王国のフィリア王女様と、ラステル村からの友人たちです」シルヴィアが紹介した。

エルフの長老が前に出てきて、王女に挨拶した。

「王女様、我々の森へようこそ。人間の王族がここを訪れるのは100年ぶりのことです」

「お招きいただき光栄です」フィリアは丁寧に答えた。

その後、エルフたちは歓迎の宴を開いてくれた。テーブルには森の恵みを活かした料理が並び、エルフたちの奏でる音楽が流れる。

シルヴィアが俺の隣に座り、小声で話しかけてきた。

「あなたはすごいわ、遼。王女様をここに連れてくるなんて」

「君の協力があってこそだよ」

「でも、どうしてエルフの集落を提案したの?」

「フィリア…王女様が自然や薬草に興味を持っていると知ったからさ」

シルヴィアは感心した様子で頷いた。「あなたは相手の心をよく読むわね」

それは「実用恋愛スキル」のおかげだが、そうは言えない。

食事の間、フィリア王女はエルフの長老から森の歴史や薬草の知識について熱心に話を聞いていた。彼女の知的好奇心は本物のようだ。

セリア騎士長は常に王女の傍らにいて警戒を怠らないが、時折料理に感心した様子を見せることもある。彼女の固い表情が少しずつ緩んでいくのが分かった。

「藤原遼」

突然、セリアが俺に声をかけてきた。彼女は少し離れたテーブルに腰掛け、ワインのような飲み物を手にしていた。

「どうぞ」彼女は隣の席を示した。

俺が座ると、彼女は真剣な表情で言った。

「王女様は、あなたのことをとても評価している。私はまだ完全には信用していないが…王女様の判断は尊重する」

「ありがとうございます」

「それに…」彼女は少し躊躇した。「あなたがエルフたちと良好な関係を持っていることは評価できる。人間とエルフの関係は必ずしも良好ではないからな」

政治的な緊張があるようだ。情報を得るチャンスかもしれない。

「国境近くの状況が難しいと聞きました」俺が言うと、セリアは驚いた顔をした。

「よく知っているな。そうだ、レヴァンティア帝国との緊張が高まっている。帝国はエルフの森も狙っているのだ」

「だからこそ、こうした交流は重要なんですね」

セリアは思慮深く頷いた。「そうだ。王女様もそれを理解している。だからこそ今回の国境視察なのだ」

これは重要な情報だ。ただの親善訪問ではなく、政治的な意図があるようだ。

「あなたは…」セリアは俺をじっと見た。「普通の村人ではないな。その洞察力と会話術は」

「運が良かっただけです」

彼女は笑った。笑顔の彼女は一層美しかった。

「謙虚さも悪くない。でも謙虚さだけでは生き残れない世界だということを忘れるな」

『セリアの好感度+15。現在の好感度:25/100』

彼女はまだ完全には心を開いていないが、少しずつ距離が縮まっているようだ。

「セリア、そこにいたのね」

フィリアが二人に近づいてきた。

「殿下、警護を怠っておりました」セリアは立ち上がって頭を下げた。

「気にしないで」フィリアは微笑んだ。「エルフの集落は安全よ。それに、あなたも少しは楽しむべきだわ」

彼女は俺の隣に座った。

「遼、ありがとう。素晴らしい場所に連れてきてくれたわ」

「気に入っていただけて良かったです」

「イライザ長老から多くのことを学んだわ。特に薬草の知識は王都でも価値があるはず」

フィリアの知的好奇心と学ぶ姿勢は、地位にあぐらをかくタイプの貴族とは違うようだ。彼女は本当に国のことを考えている。

宴の後、シルヴィアが俺たちを森の奥にある神聖な湖へ案内してくれた。そこは魔力が満ちていると言われる場所で、夜になると水面が淡く光るという。

湖のほとりでは、フィリアが深い感動を覚えた様子で景色を眺めていた。セリアは少し離れたところで警戒を怠らない。ルナはシルヴィアと薬草について話している。

俺はふと、自分の置かれた状況の不思議さを感じた。数日前までは現代日本の冴えない大学生だった俺が、今は異世界の王女やエルフたちと交流している。しかも、女神リリアから授けられた「実用恋愛スキル」のおかげで、どんどん人間関係が広がっていく。

「考え事?」

振り返ると、フィリアが立っていた。彼女は夕暮れの光に照らされて、一層美しく見える。

「少し」

「私も」彼女は湖を見つめた。「この場所、不思議な力を感じるわ。心が落ち着くの」

俺も同じことを感じていた。この湖には確かに特別な雰囲気がある。

「遼」フィリアが真剣な表情で言った。「あなたには秘密があるわね」

心臓が跳ねた。彼女は俺の正体に気づいているのか?

「それは…」

「答えなくていいわ」彼女は優しく微笑んだ。「誰にでも秘密はあるもの。私にだってあるわ」

「王女様にも?」

「ええ。例えば…」彼女は少し恥ずかしそうに言った。「実は私、王都を抜け出して一人旅をしたことがあるの。普通の人として生活してみたくて」

「それは驚きです」

「一週間だけだったけど、あの時初めて自分自身でいられた気がしたわ」

彼女の告白に、俺も何か返さなければと感じた。「魅力的な自己開示」のスキルが発動する。

「僕も…全てを覚えているわけではないけど、前の世界ではあまり目立たない存在でした」

「そう?でも、あなたは人を惹きつける力を持っているわ。ルナさん、シルヴィアさん、そしてセリアも」

「セリアも?」

「ええ。彼女はあまり人を信用しないの。でも、あなたには少し心を開いているみたい」

「それは光栄です」

「それに」フィリアは少し照れたように言った。「私も、あなたと話すのが好きよ」

『フィリア王女の好感度+20。現在の好感度:75/100』

「王女様…」

「ここでは、フィリアと呼んで。公式の場では無理だけど、ここだけでは」

「分かった、フィリア」

二人は湖を見つめながらしばらく静かに立っていた。心地よい沈黙だった。

夕暮れが深まり、湖面が徐々に光り始めた。最初は微かな青い光だったが、やがて湖全体が幻想的な光に包まれる。

「美しい…」フィリアは息をのんだ。

俺も同意せずにはいられなかった。地球では決して見ることのできない光景だ。

シルヴィアが近づいてきた。

「これが私たちの誇り、月光の湖。人間が見るのは数百年ぶりかもしれないわ」

「見せてくれてありがとう」フィリアは心からの感謝を示した。

遠くから、セリアが俺たちを見守っている。彼女の表情は読み取れないが、以前よりは緊張が解けているようだ。

その夜、エルフたちは森の中の特別な宿泊施設を用意してくれた。大きな木の上に作られた美しい部屋で、窓からは光る湖と星空が見える。

俺の部屋を訪れたのは、意外にもセリアだった。

「少し話がある」彼女は真剣な表情で言った。

「どうぞ」

「王女様は明日、ラステル村に戻った後、次の村へ移動する予定だった」セリアは静かに言った。「しかし、彼女はあなたを王都に招待したいと言っている」

「王都に?」

「そう。王女付きの外交顧問として」

この展開には本当に驚いた。まさか王女の外交顧問になれるとは。

「それは…光栄ですが、なぜ僕が?」

「あなたにはエルフとの交渉がうまくいく素質がある。それに、王女様はあなたの視点を評価しているようだ」

「実用恋愛スキル」が王宮への道を開いたのか。これは想像以上の展開だ。

「考えておきます」

「明日、返事をしてほしい」セリアは立ち上がった。「私個人としては…」

彼女は少し言葉を選ぶようだった。

「王女様の側にあなたのような人がいることは、良いことかもしれないと思っている」

『セリアの好感度+10。現在の好感度:35/100』

ツンデレの兆候だろうか。彼女が去った後、俺は窓から星空を見つめながら考え込んだ。

王都への招待は大きなチャンスだ。「モテスキル」を活かして政治の世界に足を踏み入れる可能性がある。しかし、それはルナやガロウと離れることも意味する。

部屋のドアがノックされ、今度はルナが入ってきた。

「遼、聞いたわ…王都に行くの?」

彼女の表情には不安が見えた。

「まだ決めてないよ」

「そう…」ルナは少し安心したように見えた。「でも、素晴らしいチャンスよね」

「うん。でも、ここにも大切な人がいるからね」

ルナの頬が赤くなった。「本当?」

「もちろん」

『ハーレムバランス調整中:ルナの好感度維持 95/100』

この時、異世界での新たな可能性が俺の前に広がっていることを実感した。「実用恋愛スキル」は単なるモテるための能力ではなく、人間関係を構築し、世界を変える力を持っているのかもしれない。

明日、王女の申し出にどう答えるか。その決断が、俺の異世界での運命を大きく左右することになりそうだ。

翌朝、エルフの集落を後にする時、シルヴィアが俺たちを見送ってくれた。

「また来てね」彼女は特に俺を見て言った。「あなたはいつでも歓迎よ」

「ありがとう」

フィリアはシルヴィアと長老に深く感謝を示し、将来の協力関係について約束した。政治的にも重要な訪問になったようだ。

ラステル村に戻る道中、フィリアは俺に近づいてきた。

「考えてくれた?私の提案」

「はい」俺は決意を固めていた。「喜んでお受けします」

フィリアの顔が明るくなった。「本当?嬉しいわ!」

セリアも微かに微笑んだ。彼女も俺の決断を支持しているようだ。

「ただ、一つだけ条件があります」

「何かしら?」フィリアは少し驚いた様子で尋ねた。

「ルナも一緒に王都に連れていけますか?彼女は薬草の知識が豊富で、王宮の医療にも貢献できると思います」

フィリアは少し考えた後、頷いた。「もちろん。彼女のハーフエルフとしての視点も貴重ね」

ルナは驚きと喜びの表情を見せた。「本当に?」

「うん」俺は笑顔で答えた。「一緒に行こう」

『ハーレムバランス調整大成功:ルナの好感度+5。現在の好感度:100/100』

『警告:ルナの好感度が最大値に達しました。告白イベントが近い将来発生する可能性があります』

予想外の表示に、俺は少し慌てた。好感度が最大値?告白イベント?まるでゲームのようだ。

村に戻ると、俺たちのために盛大な歓迎が用意されていた。村人たちはエルフとの外交成功に大喜びだった。

「素晴らしい功績だ!」村長は俺の肩をたたいた。「王女様とエルフの架け橋になるとは!」

マリアも喜んでいたが、俺が王都に行くと知って少し寂しそうな表情を見せた。

「また来てね」彼女は俺を抱きしめた。「ハーレム・ヒルズはいつでもあなたを待ってるわ」

『マリアの好感度:80/100』

ガロウも俺の決断を支持してくれた。「若いうちに見聞を広めるのは良いことだ。王都での活躍を期待しているぞ」

準備の時間は限られていた。フィリア一行は明日には出発する予定だったからだ。

夕方、荷物をまとめていると、ルナが部屋にやってきた。

「遼…私のためにありがとう」彼女は感激した様子で言った。

「当然だよ。君がいないと寂しいし」

「本当?」彼女は俺に近づいた。「遼、私…」

その時、ドアがノックされ、セリアが入ってきた。

「失礼」彼女はルナと俺の距離に少し眉をひそめた。「藤原遼、王女様があなたに会いたがっている」

「分かりました」

ルナは少し残念そうな表情を見せたが、理解を示した。「また後でね」

王女の部屋に行くと、フィリアは窓際に立って夕暮れを眺めていた。

「遼、来てくれたのね」

「お呼びでしたか」

「ええ」彼女は振り返った。「明日から王都への旅が始まるわ。長い道のりになるけど、あなたがいてくれると心強いわ」

「僕にできることがあれば」

「あなたには特別な才能があるわ。人の心を読み、関係を築く力。それは王都でも大いに役立つはず」

それが「実用恋愛スキル」だとは言えないが、確かにその通りだろう。

「私はあなたを単なる顧問としてではなく、信頼できる友人として招待したの」フィリアは真剣な表情で言った。

「光栄です、フィリア」

「それと…」彼女は少し照れたように言った。「王都では色々な女性があなたに接近するかもしれないけど、気をつけて」

「どういう意味ですか?」

「政略結婚を求める貴族の娘たちよ」フィリアは少し不満そうに言った。「あなたのような人物は狙われるわ」

「僕が?」俺は思わず笑った。「僕はただの村から来た記憶喪失の男ですよ」

「でも、王女の顧問になる男性よ。それだけで十分な価値があるの」フィリアは真剣だった。「貴族社会は複雑で危険な場所。油断しないで」

「アドバイスありがとう」

フィリアは少し迷った後、言葉を続けた。「あと、ルナさんとの関係は…特別なの?」

この質問には少し驚いた。王女が俺の恋愛事情を気にするとは。

「ルナは大切な友人です」正直に答えた。「彼女がいなければ、今の僕はいなかった」

「そう…」フィリアの表情からは感情が読み取れなかった。「分かったわ。明日は早いから、休んで」

「おやすみなさい、フィリア」

部屋を出る時、セリアが廊下で待っていた。彼女は相変わらず警戒心いっぱいの表情だが、少し和らいでいるようにも見える。

「王女様とは何を話した?」

「明日からの旅のことと、王都での心構えです」

セリアは少し考えた後、低い声で言った。「一つ忠告しておく。王女様に気に入られることは、王都では諸刃の剣になり得る。敵も作るということだ」

「気をつけます」

「それと」彼女はさらに声を落とした。「王女様はあなたを信頼している。その信頼を裏切るな」

「決して」

セリアは一瞬だけ微笑んだように見えた。「おやすみ」

『セリアの好感度+5。現在の好感度:40/100』

部屋に戻ると、ルナが待っていた。

「どうだった?」

「王都の話さ」俺は荷物の続きをまとめながら答えた。「明日からが楽しみだね」

「うん…」ルナは少し躊躇った後、言った。「遼、さっき言いかけたことがあるの」

俺は手を止めた。彼女の真剣な表情から、これが重要な会話になることが分かった。

「何?」

「私…」彼女は勇気を出して言った。「遼のことが好き」

ついに来た。スキルの警告通り、告白イベントが発生した。

「ルナ…」

「答えはいらないわ」彼女は急いで言った。「今は遼も色々考えることがあるでしょうから。ただ、知っておいてほしかっただけ」

彼女の率直さと優しさに心を打たれた。

『「心からの返答」スキルが発動可能です』

(使用する)

俺は自然と言葉が口から出てきた。

「ルナ、正直に言うよ。僕も君のことをとても大切に思っている。でも、今は自分の気持ちも整理できていないんだ。王都に行って、新しい環境で色々経験するけど、君との絆は決して忘れない。だから、もう少し時間をくれないか?」

これは演技ではなく、本当の気持ちだった。スキルは言葉を整理してくれただけで、感情そのものは俺自身のものだ。

ルナの顔が明るくなった。「うん、分かった」

彼女は俺に近づき、そっと頬にキスをした。「おやすみ、遼」

そして彼女は部屋を出て行った。

『告白イベント適切対応。ルナの好感度維持:100/100。「心からの返答」スキル習得完了』

荷物をまとめ終わり、寝床に横たわると、今日一日の出来事が頭の中で回転していた。エルフの集落訪問、セリアとの対話、フィリアからの誘い、そしてルナの告白。

異世界に来てわずか数日で、ここまで人間関係が広がるとは思っていなかった。これもすべて「実用恋愛スキル」のおかげだろうか。いや、スキルは確かに役立っているが、最終的には俺自身の言動や決断が結果を生み出している。

スキルを確認すると、自然と頭の中にステータス画面のような表示が現れた。

『恋愛スキル習得状況:
初級スキル:12/12(完全習得)
中級スキル:3/10(習得中)

現在のハーレム形成度:45%
メンバー:ルナ(100/100)、マリア(80/100)、シルヴィア(50/100)、フィリア(75/100)、セリア(40/100)』

ハーレム形成度という表示は相変わらず恥ずかしいが、これが「実用恋愛スキル」のシステムなのだろう。しかし、女性たちへの感情は単なる数値ではない。それぞれに特別な絆を感じている。

明日からは王都への旅が始まる。そこでは新たな出会いと挑戦が待っているはずだ。「実用恋愛スキル」を駆使して、どこまで行けるのか。そして、本当に「恋愛スキルで世界を制覇」することは可能なのか。

その夜、不思議な夢を見た。女神リリアが再び現れ、微笑んでいる。

「よくやっているわ、藤原遼」彼女は言った。「私の予想以上よ」

「リリアさん…これはどういう意味ですか?」

「恋愛スキルって、本質的には人間関係のスキルなのよね」リリアは笑った。「あなたはそれを理解し始めている。単にモテるためだけじゃなく、人と人との絆を築くため」

「でも、スキルのおかげで不自然に関係が進んでいるようにも感じます」

「そうかしら?」リリアは首を傾げた。「スキルはきっかけを作るだけ。その後の関係を深めるのは、あなた自身の言動よ」

それは確かにそうかもしれない。

「これからどうなるんですか?」

「それを決めるのはあなた自身よ」リリアは微笑んだ。「ただ覚えておいて。この世界ではあなたの恋愛スキルが、思いもよらない形で役立つことになるわ」

夢の中でリリアの姿が徐々に薄れていく。

「頑張って、恋愛勇者」

最後にそんな言葉が聞こえた気がした。

(続く)
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