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第一章 飼いならし
3.湯気の密室
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午後7時。怜は指定されたバスルームへ向かった。
ドアを開けると、そこはすでに湯気で満たされ、芳しいハーブの香りが漂っていた。間接照明に照らされたバスルームは、大理石が使われ、まるで高級ホテルのようだった。
藍はすでに湯船に浸かっていた。上半身は胸元までお湯に沈み、顔を背もたれに預けて目を閉じている。その肉体は、バスケットボールで鍛えられた頃の逞しさを保っていたが、湯気の中にいるせいか、どこか儚げに見えた。
「怜か。入ってこい」
藍の声は、湯気に溶けるように穏やかだった。
「失礼します」
怜は、シャツとスラックスを脱ぎ、バスローブ姿になる。そして、バスタオルと新しいおむつ、クリームを置いた。
藍は、湯船からゆっくりと立ち上がった。水滴を滴らせるその肉体は、怜が今まで見たこともないほど無防備だった。
「まず、体を流すぞ」
藍はシャワースペースへ移動した。怜は、藍の背中に向かって、シャワーの温度を調節する。
「ああ、いい湯加減だ」
藍は、その場で気持ちよさそうに目を閉じた。怜は、体を洗うためのタオルに、上質なボディソープをつけた。
「背中を、頼む」
「はい」
怜は、藍の広くて引き締まった背中を、ゆっくりと、しかし丁寧に洗い始めた。手のひらを通じて伝わる肌の熱と筋肉の感触に、怜の指先に微かな緊張が走る。
(これが、憧れの先輩の……)
泡を立てて背中を洗ううちに、藍は完全に力を抜いて、怜にその全てを委ねていた。その姿は、信頼というよりも、完全に従属しているようだった。
「もっと、上の方も強く」
藍は、まるで小さな子どものように要求した。その声には、外で見せるビジネスマンの威圧感は全くない。
背中から腕、そして胸元へ。怜の指先が藍の身体を辿るたびに、藍は気持ちよさそうに息を吐いた。
そして、いよいよ下半身だ。
藍は、シャワーの温水で流されながら、何の躊躇いもなく、両足を大きく開いた。
「そこも、綺麗にしてくれ」
怜は、一瞬息を詰めた。この行為は、介助という名の下に許された、極めて私的な行為だ。
怜は、タオルに泡をつけ直し、藍の太腿から、最も敏感な部分へと手を動かす。
藍の体が、小さく、しかし激しく震えた。
「っ……、怜」
藍は、初めて名前を呼んだ。その声は、湯気に濡れて、少し掠れていた。
「……気持ちいいか、先輩」
怜は、つい意地悪な質問をしてしまった。藍の剥き出しの弱さに触れると、怜の中の何かが制御を失いそうになる。
「……黙って、職務を遂行しろ」
藍はそう答えたが、その声には強い拒絶の色はなかった。むしろ、受け入れている。
清拭を終え、シャワーで泡を流した後、藍は再び湯船に浸かった。湯から上がった藍は、浴室の温かい空気の中で、怜に向き直った。
「さて。仕上げだ、怜」
藍は、水気を拭き取るため、怜が用意したバスタオルを腰に巻いた。
そして、怜に指示した。
「風呂場の鍵を、もう一度確認しろ」
怜は、鍵がしっかりとかかっていることを確認した。密室。湯気。二人だけの秘密の空間。
「よし。じゃあ、これを着せてくれ」
藍は、腰に巻いたタオルを解いた。そして、怜が用意した分厚い夜間用のおむつに手を伸ばす。これから、彼には外部の人間と会うという任務がある。そのための、完璧な防護服だ。
ドアを開けると、そこはすでに湯気で満たされ、芳しいハーブの香りが漂っていた。間接照明に照らされたバスルームは、大理石が使われ、まるで高級ホテルのようだった。
藍はすでに湯船に浸かっていた。上半身は胸元までお湯に沈み、顔を背もたれに預けて目を閉じている。その肉体は、バスケットボールで鍛えられた頃の逞しさを保っていたが、湯気の中にいるせいか、どこか儚げに見えた。
「怜か。入ってこい」
藍の声は、湯気に溶けるように穏やかだった。
「失礼します」
怜は、シャツとスラックスを脱ぎ、バスローブ姿になる。そして、バスタオルと新しいおむつ、クリームを置いた。
藍は、湯船からゆっくりと立ち上がった。水滴を滴らせるその肉体は、怜が今まで見たこともないほど無防備だった。
「まず、体を流すぞ」
藍はシャワースペースへ移動した。怜は、藍の背中に向かって、シャワーの温度を調節する。
「ああ、いい湯加減だ」
藍は、その場で気持ちよさそうに目を閉じた。怜は、体を洗うためのタオルに、上質なボディソープをつけた。
「背中を、頼む」
「はい」
怜は、藍の広くて引き締まった背中を、ゆっくりと、しかし丁寧に洗い始めた。手のひらを通じて伝わる肌の熱と筋肉の感触に、怜の指先に微かな緊張が走る。
(これが、憧れの先輩の……)
泡を立てて背中を洗ううちに、藍は完全に力を抜いて、怜にその全てを委ねていた。その姿は、信頼というよりも、完全に従属しているようだった。
「もっと、上の方も強く」
藍は、まるで小さな子どものように要求した。その声には、外で見せるビジネスマンの威圧感は全くない。
背中から腕、そして胸元へ。怜の指先が藍の身体を辿るたびに、藍は気持ちよさそうに息を吐いた。
そして、いよいよ下半身だ。
藍は、シャワーの温水で流されながら、何の躊躇いもなく、両足を大きく開いた。
「そこも、綺麗にしてくれ」
怜は、一瞬息を詰めた。この行為は、介助という名の下に許された、極めて私的な行為だ。
怜は、タオルに泡をつけ直し、藍の太腿から、最も敏感な部分へと手を動かす。
藍の体が、小さく、しかし激しく震えた。
「っ……、怜」
藍は、初めて名前を呼んだ。その声は、湯気に濡れて、少し掠れていた。
「……気持ちいいか、先輩」
怜は、つい意地悪な質問をしてしまった。藍の剥き出しの弱さに触れると、怜の中の何かが制御を失いそうになる。
「……黙って、職務を遂行しろ」
藍はそう答えたが、その声には強い拒絶の色はなかった。むしろ、受け入れている。
清拭を終え、シャワーで泡を流した後、藍は再び湯船に浸かった。湯から上がった藍は、浴室の温かい空気の中で、怜に向き直った。
「さて。仕上げだ、怜」
藍は、水気を拭き取るため、怜が用意したバスタオルを腰に巻いた。
そして、怜に指示した。
「風呂場の鍵を、もう一度確認しろ」
怜は、鍵がしっかりとかかっていることを確認した。密室。湯気。二人だけの秘密の空間。
「よし。じゃあ、これを着せてくれ」
藍は、腰に巻いたタオルを解いた。そして、怜が用意した分厚い夜間用のおむつに手を伸ばす。これから、彼には外部の人間と会うという任務がある。そのための、完璧な防護服だ。
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